リゼロを読む WEB版・初見向け解説
明るさ
字の大きさ
行間
地の文の書体

206話

第七章98

『プレアデス戦団』

帝国では顧みられなかった陽魔法。その運用に、たった一つだけ例外があった。

🏃 流法

――『魔法を使うより、ビュンって近付いて叩いちゃった方が早いときもあるでしょ?』

ヴォラキア帝国では、『魔法』がほとんど発展していない。

――魔法の道が拓かれなかったのは、それ以外の道が拓かれた証に他ならない。

――『魔法を使うより、ビュンって近付いて叩いちゃった方が早いときもあるでしょ?』

人の体に宿るマナの使い道は魔法だけに限らない。

一流の戦士ともなれば、自らの肉体の強化にマナを用いるのは自然の理だ。

――意識的に行うそれを『流法』と呼ばれる技術だが。

セシルス

(≧▽≦)

「ちゃっちゃっちゃちゃちゃ!」

トン、と一足だけ爪先を地について、次の瞬間には十数メートルの距離が消える。

――武技の極みとさえ言われる『流法』を、生まれながらに無自覚に行使するモノ。

⚡ 一番槍

一番槍の名誉なんて、あってなきが如し

セシルス

(・∀・)

「一番槍の名誉なんてあってなきが如しですが、細かいことは言いっこなし!」

「なんだ!?」

セシルス「――でも致命的に遅い!」

声を上げるのは正解だが、何者かと問うのは間違い。

――戦場で所属も明かさず現れた存在は敵とみなすのがひとまずの正解だ。

セシルス

(´ー`)

「うっかり死なせるとボスの心証が下がるので結果よしとしておきましょう!」

武具をぶつけ合っていた戦士たちは、どちらの陣営も少年の存在感に呑まれていた。

セシルス

(≧▽≦)

「ううん、役者冥利に尽きる……」

🎭 両成敗

敵か味方か、と聞かれて答えに困る

「どこの奴だ? こっちの仲間か?」

セシルス

(・∀・)

「いったい僕はどうだと思います? 敵か味方か」

セシルス

(・_・)

「からかったわけじゃありません。ただ僕も真剣に考えたんですよ」

セシルス「ボスの話をよく聞いてなかったので誰の味方なのかよくわからないと」

セシルス

(´ー`)

「なのでとりあえず露払いに両成敗していきますね」

「『青き稲妻』……」

セシルス

(≧▽≦)

「おや、素晴らしい。それ、僕が名乗ろうと思ってる異名ズバリなので」

セシルス

(・∀・)

「僕も素手より得物があった方がずっと見せ場の見得切りにも彩りが生まれる」

セシルス

( •̀_•́ )

「でも半端なものは持ちたくない。一流は一流を知るというやつです」

セシルス

(・∀・)

「あ、これボスの受け売りですけど」

「ぼす……?」

セシルス

(≧▽≦)

「ええ。――我らが、プレアデス戦団の親玉ですよ」

セシルス

(・∀・)

「さて、まず第一の見せ場ですよ、ボス。――派手に決めてくださいね」

📉 外れ

――とりわけ、外れや役立たずといった評価を受け続けているのが『陽属性』

――とりわけ、外れや役立たずといった評価を受け続けているのが『陽属性』。

強化された自分の体を全く扱い切れず、他人の体を操るような不具合さで敗死する。

――戦士とは常に自らの肉体を鍛え、自分の技量を把握して戦場へ臨むものだ。

加えて、効果の大小に魔法使い自身の技量、その日の心身の体調などが大きく影響する。

――安定した戦力の向上が見込めず、それどころか普段の実力も発揮できなくなる。

かつて、陽魔法で最強の兵団を作ろうと画策した皇帝がいた。

結果は惨憺たる有様となり、彼は『大敗帝』などという不名誉な異名を歴史に刻んだ。

――賢帝と謳われる当代の皇帝でさえ、検討の余地なしと切り捨てている。

⭐ 志が同じ

遠目にもわかる、星を象ったマーク

スバル

(╬゚Д゚)

「やるぞ、お前らぁ――っ!!」

描かれているのは、遠目にもそれとわかる星を象ったマーク。

家紋でも国紋でもない、ただ己の心がどこに置かれているか証明するためのもの。

種族の垣根を超えて協調が成り立つ関係は、ヴォラキアでは少ない。

――だが、この一団は違う。目的が同じなのではなく、志が同じであるのだ。

スバル「――俺たちは、最強っ!!」

「「「最強! 最強!! 最強――ッ!!」」」

スバル

( •̀_•́ )

「――俺たちは、無敵っ!!」

「「「無敵! 無敵!! 無敵――ッ!!」」」

地面を踏みしめて大地が揺れ、揺れがさらなる揺れを呼び、戦意を鼓舞する。

――胸の奥が、熱い。熱くて頼もしくてたまらないものが、この全身を駆け巡る。

スバル

(╬゚Д゚)

「――運命様ぁぁぁ!!」

「「「上等! 上等!! 上等――ッ!!」」」

スバル

( •̀_•́ )

「――いくぞ」

🐅 全霊を以て

消耗が最小限だった頂点に、人手が足りなくなる

第四頂点の防衛を命じられた帝国兵たちは、他の頂点と比べて消耗が最小限だった。

『そもそも、ここに届くまでに相手の足を刈っとくのが正解じゃろ』

――だが、そのオルバルトも他の頂点へ駆け付けなくてはならなくなった。

――「こちらの全霊を以てお相手する!」

『虎狩』の異名の代名詞である、それぞれ百キロ近い二本の金棒。

頭から腹までは縦に刻まれた虎の爪痕が白く残されている。

先頭を往くのは一頭の赤い疾風馬。乗るのは、少女を抱いた黒髪の少年。

――黒髪に黒い瞳の少年、それは開戦前に流布された『黒髪の皇太子』の。

「――ヴィンセント・ヴォラキア皇帝へ仇なす、賊徒共めがぁ!!」

🛡️ 本職の務め

叩き潰すはずの一撃が、別のものを捉える

疾風馬ごと叩き潰すはずだった一撃、しかし金棒が捉えたのは彼ではなく――

グスタフ「シュバルツを守るのが、本職に今の務めなのでな」

多腕族の身体能力、それを加味しても驚異的な光景に喉が詰まる。

ヴァイツ

( •̀_•́ )

「そして……シュバルツの敵を叩きのめすのが、オレの役目だ……!」

巨体を空へ打ち上げたのは、全身に刺青を入れた男の振り回す大槌だ。

――鍛えてはいる。だが、あの体格と素人臭い動きで、何故自分がと。

帝国兵たちは一斉に、ほとんどまともな抵抗もできないうちに粉砕されてしまった。

「――馬鹿げてる」

👑 コル・レオニス

技も武具も大義もない。あるのは結束だけ

彼らに鍛えた技はなく、優れた武具もなく、確固たる大義もない。

――あるのは強い結束の意思と、引くことはしないと決めている己自身への誓い。

数千の兵力の全員に、一律同じ効力の強化を施し、

その全員が元々の戦闘力にも技量にも乏しく、強くなった自分に苦しまない。

そして、陽魔法の使い手自体の数を、兵力と同じだけ揃える必要がない。

――そんな夢か奇跡のような条件が揃えば、実現可能ではないか。

『ナツキ・シュバルツ』を自分たちの中心と認めて、心から彼に仲間と思われ、

心から彼を仲間と信じるものだけが起こせる奇跡。

――スバル個人にかけられた陽属性の強化を、『コル・レオニス』で全員に共有する。

傷を、負担を分け合うための『小さな王』の力を悪用し、

王一人では扱い切れない力を、王を支える仲間たちと一緒に使う。

スバル「――愛してるぜ、みんな!!」

数千人の『非戦闘員』を無双の軍勢へと作り変え、戦場をことごとく蹂躙し始める。

第七章98『プレアデス戦団』終了。