リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章66

『ヒアイン・ヤッツ』

跳ね橋を渡ってきたのは、ヒアインを囮にして逃げた仲間たちだった。

👏 いい度胸だった

島での暮らしは、そう悪いものではない

――剣奴孤島での生活は、そう悪いものではなかった。

『スパルカ』での戦いぶりは、剣奴たちにも好評だったらしい。

「どう見てもひょろひょろのガキなのに、いい度胸だった」

セシルス

「僕は僕として生きているだけなので周りの方にどう思われようとといったところ」

――自分を曲げない意志と、それを貫き通せる力量。

それが、傍若無人な自我を肯定させている。

イドラ

(・_・)

「だが、それで嫌われるのはいい傾向とは言えない」

イドラ

「『合』がそうであるように、私たちは一人では島を生き抜けないのだから」

ヒアイン

(╬¬_¬)

「薄気味悪いガキなら、もうこっちは二人で十分って話だぜ」

⏳ 悠長

楽しく過ごしているように見える、と刺される

タンザ「――シュバルツ様は、本当にここをお出になるつもりがあるのですか?」

タンザ

「この数日、シュバルツ様は剣奴の皆様と楽しく過ごされていらっしゃるようですが」

タンザ

「私は、ヨルナ様の下へお戻りしなくては」

――右目に触れる仕草。ヨルナの寵愛が残っている証だ。

ライオンの首を一息で刎ねたのも、彼女本来の実力ではない。

スバル

「でも、焦りすぎてもダメだ。闇雲に足掻いても欲しいものは手に入らない」

タンザ

(>﹏<)

「ですが! シュバルツ様のように悠長にしていられません!」

スバル

( •̀_•́ )

「それは大間違いだ、タンザ。俺も、絶対に、帰らなきゃいけないんだ」

スバル

「それでも、たぶん俺の方が頭の使い方がうまいと思う」

🧱 跳ね橋と呪則

島を出るための障害を、二つに整理する

スバル

「――この島を出るために、俺たちの壁になるのが二個」

スバル

「その一個が、島と向こう岸を繋げてるのが跳ね橋ってこと」

スバル

「二つ目は言うまでもなく、呪則だよ。グスタフさんが剣奴全員にかけてるってやつ」

スバル

(・・・・・・)

「何が怖いって、詳しいルールがわからないことだよ」

セシルス

「絶対やっちゃいけないことは明言してくれてますし安心ですよね」

スバル

「看守に逆らうなとか、剣奴同士で死合い以外の揉め事禁止とか、勝手に逃げるなとか」

タンザ

「――やはり、最後が問題ですね」

セシルス

「年に一度の御前死合いでの褒賞なんてのが有名ですね」

セシルス

「観客の方が大金を払って召し上げるって方法もあるとか」

☁️ 晴れない曇り空

跳ね橋が上がり、新しい到着がある

セシルス

(≧▽≦)

「――バッスー! 跳ね橋が上がりますよ! 新しい方々のご到着です!」

ヒアイン

「シュバルツじゃねえか。なんでここにいやがる」

スバル

(・∀・)

「お、ヒアインもきてたんだ。冷やかし?」

ヒアイン

(╬゚д゚)

「冷やかしなわけあるか! ……次の生贄がくるって聞いて、それで」

剣奴孤島の周辺は、年がら年中曇り空だという。

――空模様からして、人の気持ちを暗くする場所である。

スバル

「意外だ。セッシーは晴れの日大好きなのかと……」

スバル

「でも、雷光って名乗ってるんだから、雲があっても気にしないのか」

セシルス

「なるほど、気にしたことありませんでしたが言われてみれば」

🌉 上がる橋

――上がった跳ね橋を下ろすのではなく、沈めた跳ね橋を『上げる』のだ

最初は、どこかで歯車が動く音が聞こえた。

――そして、湖中に深々と沈んでいた跳ね橋が姿を見せる。

――上がった跳ね橋を下ろすのではなく、沈めた跳ね橋を『上げる』のだ。

分割された橋が水平に持ち上がり、連結して一つになる。

大量の水を排水しながら、剣奴孤島を一時だけ孤立から解き放つ。

スバル

「あの橋を動かしてるのは……」

セシルス

「跳ね橋を制御している塔がありますからその中で操作ですかね」

スバル

「向こう岸まで一キロちょっと、二キロないくらいか……?」

😖 あの、馬鹿共

馬車から下ろされた顔に、見覚えがあった

黒い疾風馬が引く馬車が跳ね橋を渡り終え、中の人たちが下ろされる。

ヒアイン

(゚Д゚ ;)

「あ――っ!?」

ヒアイン「あの、馬鹿共……捕まりやがった……!」

――連れてこられたのはみんな、ヒアインと同じ蜥蜴人。

ヒアイン

(¬_¬)

「……俺を囮にしてまで、逃げたくせに」

スバル

「ヒアインを囮にした奴らか」

🎭 端役

いい気味だ、と言った口を止められる

ヒアイン

(╬゚д゚)

「い、いい気味だぜ! 人をダシにするからてめえも馬鹿を見る羽目になんだ!」

セシルス

「ただただ凡庸なやられ役の発言だなぁと思いましてビックリと同時に感心を」

セシルス

「名ありの人物はそれに相応しい言動をし、そうでないものは愚かしさに見合った言動をする」

セシルス

「弱い人は弱そうなことを言い! 強い人は強そうなことを言う!」

セシルス

「何故皆さんこぞって自分から端役へ下ろうとするのか」

セシルス

「みんな自分の人生を生き抜く必要のある役者でしょうに」

セシルス「何か発言する前にじっくり考え直してみては? その発言、なんだかすぐ死ぬ雑魚っぽくないかと」

🍚 分けてもらった食い物

仲間だったんじゃないのか、と食い下がる

スバル

「下の人たちは? 仲間だったんじゃないのかよ」

ヒアイン

「あいつらは俺を囮にして、そのあともヘマしたんだよ!」

スバル

「――でも、崖下に鞄を落としたとき、食い物を分けてもらったんだろ?」

ヒアイン

(゚д゚ )

「あ」

スバル

「野盗から逃げるのに手を引いてもらったり、火が起こせなかったときに代わりに……」

スバル「その最後の顔が、その人の全部だと思うのは寂しすぎるよ」

――極限状態で人間の本性が出る、なんて話がある。

だったら、『スパルカ』で彼らがやってしまったことが本性だとでもいうのか。

臆病で卑怯で詐欺師で、それがその人の全部だと決めつけるのか。

スバル

「話してみたら、違う話が聞けるかもしれない」

ヒアイン

(;´Д`)

「……薄気味悪いガキだ。何でもかんでも知ったような口ききやがって」

ヒアイン

「あいつらに『スパルカ』は越えられねえよ。だから、もう無理だ」

🌱 割り切れない

それは茨の道だ、と釘を刺される

セシルス

「――バッスー、それは茨の道というやつですよ」

セシルス

「もしそうでないのに分不相応を望めば――ただ死あるのみ、ですよ」

セシルス

「運命は変えられないと、目の前にあるものを至極当然と受け入れる」

セシルス

「自らの道は自らで切り開く他にないと割り切るのです」

スバル

「それが、セッシーが人を助けない理由?」

セシルス

(・・・・・・)

「永遠に力は借りられませんよ。人はいずれ死ぬ。僕ですら不死ではない」

――意図はわかる。理屈も、わからないではない。

でもそれは、強くて問題を斬り拓ける人だから言えてしまう理屈だ。

スバル

「セッシーは割り切れっていうけど、この割り切れない気持ちが大事なんだよ」

スバル「この割り切れない気持ちが、誰かを救う原動力になるんだ」

スバル

( •̀_•́ )

「これを、青臭いガキのワガママだって言われても、そうなんだ」

セシルス

(≧∀≦)

「あはっ」

セシルス

(≧▽≦)

「その意気込みまさしく運命の反逆者!」

💪 最強の援軍

頼んでおいたものが、できあがっている

スバル

「ヌル爺さん! ――頼んでたもの、できてる?」

――次の『スパルカ』。剣闘獣は、翼を生やした巨大な鼠だった。

違うのは見た目だけで、獰猛さや危険さに大きな違いはない。

――臆病者のくせに、気が逸って噛みついて、それが理由で問題を招いて。

それでもギリギリまで、仲間たちは見捨てようとはしなかった。

ヒアイン

(´;ω;`)

「てめえが一番どうしようもないなんてこと、わかってんだよ……」

――会場の、観客席にいる大勢の剣奴たちが、驚きにどよめきを起こす。

五人の蜥蜴人の傍には、いるはずのない六人目の人影がいて。

ヒアイン

(゚Д゚ ;)

「な、な、な、何してやがるんだ、シュバルツ――!?」

スバル「――最強の援軍」

第七章66『ヒアイン・ヤッツ』終了。