リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章91

『戦場を駆ける』

金色の獣が戦場を走る。届けるのは、集められた情報が形にした一本の指示。

🐆 血の香り

血の香りが、心を昂揚させようとする

纏った衣を脱ぎ捨てて、常日頃、淑やかを心掛ける手足を思い切りに伸ばす。

ここは戦場で、大勢が命をぶつけ合う場で、散りゆく命の終着点なのだ。

――それを頭でわかっていながらも、血の香りが心を昂揚させようとする。

フレデリカ「嫌になりますわね……」

自分の内に流れる血、人と獣の性質が交わったそれが偏ったものであるのだと。

――ガーフィールが無意識に制御している本能の訴え。それを御し切れない自分の性。

フレデリカ

( •̀_•́ )

「――などと、自分を憐れんでいる場合ではありませんわ」

🧩 自分は何を

戦えも、知略もない自分は何をするのか

エミリアは強力な精霊術師であり、乱戦においても頼れる存在。

ガーフィールは武官として申し分なく、オットーは優れた判断力で道を示す。

――前者は発散の機会を戦場に求め、後者にはペトラがうまく対処してくれた。

フレデリカ「あまり頼もしくなりすぎると、わたくしも寂しくなりましてよ」

ペトラは陽魔法で加護の反動を軽減しつつ、情報の取捨選択にも力を貸している。

――その成長度合いで言うなら、エミリアやスバルさえも抜き去って陣営一位だろう。

エミリアやガーフィールのように戦えず、オットーやペトラのような知略もない。

――ただ、滾る本能を抑え込んで戦場を駆ける自分は、何をと。

🏹 味方ダ

本陣からのお達しを、届けに来た

フレデリカ

(・∀・)

「――見つけました! タリッタ様!」

タリッタ

( ゚д゚ )

「――ッ!? なんでス!?」

ミゼルダ「待テ、タリッタ。味方ダ」

フレデリカ

(´・ω・`)

「こんな姿で失礼いたします。わたくしはフレデリカですわ」

ミゼルダ

(≧▽≦)

「なるほド、お前だったカ。――美しい獣化だナ」

ミゼルダ

(・∀・)

「お前でなけれバ、毛皮を剥いで集落に飾っておきたいほどダ」

フレデリカ

(;´Д`)

「ほ、褒め言葉として受け取っておきますわね?」

フレデリカ

「お伝えすべきことが。――本陣の、アベル様からのお達しです」

🎯 第三頂点

壁を越えさせれば、防衛力が一気に落ちる

フレデリカ「――第三頂点、本陣の判断ではそこが最も突くべき穴であると」

『シュドラクの民』の実力の本質は、狩猟と言えるほどの状況を用意してこそ真価を発揮する。

――彼女たちに壁を乗り越えさせれば、帝都の防衛力は一気に低下する。

タリッタ

(・_・)

「――。石ノ、人形が動いているようでス」

ミゼルダ

「鋼人カ? だガ、『九神将』は一人のはずだろウ」

獣化した今は通常時より高い視力を持っている。それでも土煙以外の何も見えない。

――狩猟を生業とする種族とはいえ、またしても及ばぬ自分に辟易としてしまう。

フレデリカ

「それは『九神将』の一人であるモグロ・ハガネの手勢であると」

🦿 雪辱

いるとわかっていても、恐れは消えない

いるとわかっていたところで、『剣聖』への恐れは消えてなくならないのと同じだ。

ミゼルダ

(´ー`)

「心配するナ、タリッタ」

ミゼルダ「たとえ相手が『九神将』であろうト、もう二度と遅れは取らなイ」

ミゼルダ

「あの『九神将』ならば雪辱を晴らシ、違う『九神将』なら腹いせダ」

膝下を木の棒に代替した右足を見せながら、そう問いかける。

タリッタ

( •̀_•́ )

「――いいエ、問題ありませン」

目にも止まらぬ速度で抜いた矢が真上に射出され、飛竜が回転しながら落ちてくる。

タリッタ

「頃合いを見テ、私たちで壁を越えましょウ。城壁を抜けれバ、私たちの勝ちでス」

ミゼルダ

(・∀・)

「それでこソ、シュドラクの長ダ。――フレデリカ、お前はどうすル」

フレデリカ

「今お伝えした話を、他の方々にも伝えてまいりますわ」

ミゼルダ

「一穴が堤を崩ス、カ」

フレデリカ

( •̀_•́ )

「ええ。――風穴が開きますわ」

💨 疾風の如く

二人が繋いだ連携を、無駄にはできない

フレデリカ

「決して、命をみだりに投げ出すようなことはなさいませんよう」

ミゼルダ

(・∀・)

「お前が死ねバ、お前の毛皮はシュドラクで代々継いでいク」

フレデリカ

(;´Д`)

「生憎と、お渡しする予定はございませんわよ!」

疾風の如く草地を蹴り、駆け抜けた先へアベルの指示を伝える。

ペトラとオットーの連携を無駄にはできない。

フレデリカ「ただ、今はひたすらに走るのみですわ」

⚔️ じれってえ

顔を見ても満たされない、と言われる

ジャマル「――ちっ、斬り込めねえ! 邪魔な連中が多すぎだ!」

ミゼルダ

「ジャマルカ。お前の顔は見ても満たされなイ」

ジャマル

(╬゚д゚)

「わけわかんねえこと言ってんな! クソ、じれってえ!」

ジャマル

(´・ω・`)

「カチュアの無事がわからねえ……トッドの野郎、ちゃんと守ってんだろうな」

城郭都市で捕虜になった帝国兵であり、アベルの素性を知ってこちらについた稀有な立場。

――生憎と、その野卑な性根が表れた顔は、面食いのミゼルダのお気に召さなかったが。

ミゼルダ

「私たちはこれかラ、第三頂点に向かウ。そこが狙い目だと話があっタ」

ジャマル

「狙い目だぁ? どこの誰がそんな話……」

タリッタ

「アベルだそうでス」

ジャマル

(╬゚Д゚)

「それを早く言え! おい! お前ら、準備しろ! 第三頂点にいくぞ!」

❄️ 白い結晶

手を伸ばすと、一秒ともたずに消えた

ちらちらと目の前を揺らいで落ちていくものに手を伸ばす。

――ほんの一秒ともたずに消えたのは、冷たい氷の粒、雪の結晶だ。

タリッタ「何故、こんナ」

ミゼルダ

(・・・・・・)

「――。そうカ、お前は見ていなかったナ、タリッタ」

ミゼルダ

「エミリーダ」

生まれて初めて目にする雪の存在に、タリッタはわずかな震えを覚える。

ミゼルダ

「まったク、世界というのは広いものだナ」

ミゼルダ

「シュドラクの族長と元族長が揃っテ、やられっ放しになることが多すぎル」

視線を向けた先は、先ほどまでフレデリカの踏んでいた草、彼女が消えた方角。

――生きた情報の鮮度を保ったまま、縦横無尽に運び続ける伝令役を思い。

ミゼルダ

(´ー`)

「――美しい獣が私たちを生かス。どこまでモ、狩人の冥利に尽きるものダ」

第七章91『戦場を駆ける』終了。