リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章55B

『城郭都市狂騒曲』

空から岩が降る。飛竜の群れが城壁を跨ぐ。――そして、通りに小さな影が降り立った。

😔 ダメダメであります

役に立てないことが、自分で嫌になる

シュルト

(´;ω;`)

「うう~、また失敗してしまったであります……僕は本当にダメダメであります……」

貧しい村の生まれで、徴税の重さに口減らしされ、道端で飢えて死ぬはずだった。

泥を齧り、それが人生最後の食事になりかけたところを、眩い太陽に救われた。

シュルト

「ちっとも役に立てなくて、自分が嫌になるであります……」

シュルト

「一日素振りしたら、十日もお休みするアル様のやり方より……」

シュルト

「毎日続けるハインケル様のやり方の方が僕向きだったであります」

シュルト

「プリシラ様とご一緒なら、みんな幸せいっぱいでありますから」

🌸 悩み相談

悩みを、しっかり聞いてもらえる

ウタカタ

「ア、シューきタ」

フロップ

(´▽`)

「そこにいるのは執事くんじゃないか。あのお姫くんは一緒じゃないんだね」

フロップ

「おや? なんだか浮かない顔だね、執事くん」

シュルト

( ゚д゚ )

「ええ!? す、すごいであります! フロップ様、わかるでありますか!?」

フロップ

「なにせ、大抵の人には悩みがあるからね!」

フロップ

(・∀・)

「なんと、悩みなんてなさそうな僕の妹にもあるんだよ!」

ウタカタ

「ミディー、悩みなさそうだっタ」

フロップ

(≧▽≦)

「あるんだよ! ビックリだね!」

フロップ

「どんな悩みも悩んでいる本人にとっては重大事さ。だから、しっかり聞かせてもらうとも」

🌱 影響

今の自分は、どうやってできたのか

シュルト

「フロップ様やウタカタ様は、どうやって今の立派な自分になったのでありますか?」

ウタカタ

「ウーがウーになったのハ、マーがウーを産んだかラ」

ウタカタ

(・・・・・・)

「ウーの母! ターと仲良かっタ。でモ、自分を刺して死んダ」

シュルト

(゚д゚ ;)

「そ、そうなんでありますか……っ」

ウタカタ

「ウーよリ、ターの方が大変だっタ。ウーはミーとかみんなが育ててくれたかラ」

フロップ

「僕も周りにいた人の影響を受けて、今のこんな僕になったというところなんだ」

フロップ

「その昔、僕や妹はとてもひどい環境で暮らしていてね」

シュルト

(>﹏<)

「そんなところにいたら、いったい子どもはどうすればいいんでありますか!?」

ウタカタ

( •̀_•́ )

「ウーなら焼き討ちすル」

シュルト

「焼き討ちするであります!」

フロップ

「ははは、それも一案だったかもしれないね。でも、そうはならなかったんだ」

🤕 撫でても治らない

妹が強くなった理由は、後ろ向きなもの

フロップ

「ミディアムが強くなったのは、もうちょっと後ろ向きな理由なんだよ」

フロップ

「僕が大人に殴られたとき、僕の傷をずっと優しく撫でていたんだよ」

シュルト

「フロップ様はどうしていたんでありますか?」

フロップ

(´ー`)

「僕は笑っていたよ。僕が笑っていなかったら、庇われたミディアムが気に病んでしまう」

フロップ

「だから、僕が庇い切れなくて初めて大人に殴られたとき、ミディアムは心の底から驚いたんだ」

フロップ「殴られた傷を撫でられたら、痛いんだよ。治ったり、痛みがなくなったりはしないんだ」

ウタカタ

「痛いのが嫌だったラ、やられないようにするしかなイ。ミディー、そう思っタ?」

フロップ

「まぁ、そういうことだね! 我が妹ながら、とても単純でいい答えだ」

シュルト

(๑•̀ㅂ•́)

「僕も、フロップ様の妹さんみたいに、強くなりたいであります……!」

⚠️ 空が危ない

一緒に練習しよう、という誘い

ウタカタ

「強くなりたいなラ、ウーと一緒に練習すル? 弓の練習」

シュルト

「するであります! 両方やるであります! その方が、倍強くなれるであります!」

ウタカタ

「ウーモ、シューみたいに頑張ってル。ターみたいな達人になル」

シュルト

「ウタカタ様は、どうして弓矢の達人になりたいんでありますか?」

ウタカタ「マーが言ってタ。旅人、ウーが弓矢で殺すたメ」

シュルト

(゚д゚ )

「なるほどであります。……であります!?」

フロップ

「――執事くん! ウタカタ嬢!」

フロップ「空が危ない感じになっている! ちょっと慌てて逃げよう!」

🔔 敵襲

最初に気付いたのは、鼻を鳴らした元族長だった

最初にその異常に気付いたのは、鼻を鳴らして何かを直感した元族長だった。

膝下をなくした右足に、杖の先のような棒を取り付けている。

ズィクル

「――飛竜の、群れ」

ミゼルダ

「――ッ! ズィクル! 兵たちに報せロ! 私はシュドラクを動かス!」

ズィクル

(╬゚Д゚)

「鐘を鳴らせ! 敵襲! 空からくる!」

ハインケル

「敵襲だとして、攻め手の心当たりは?」

ズィクル

「飛竜乗りをあそこまで動員できる戦力は帝都にも……可能性は一つ」

ズィクル

「『飛竜将』マデリン・エッシャルト……彼女は飛竜を操ります。つまり」

ハインケル

(#`Д´)

「クソったれ、『九神将』か……!」

🗡️ アストレア

この都市の存亡には、何の興味もない

――元々、帝国になんてくるつもりは毛頭なかった。

この城郭都市の存亡にだって、何の興味もない。だが――

ハインケル

「プリシラ嬢の機嫌を損ねるわけにはいかねえ……」

ハインケル

「プリシラ嬢が王様になっても、俺が追い払われてたら意味がない」

ズィクル

「ハインケル殿はどうされる?」

ハインケル

「――俺は、好きにやらせてもらう」

戦場の、血と鋼の気配が近付くに従い、耳の奥で高い音が鳴る幻聴を聞く。

沸々と、胸の奥からどろりとしたどす黒い熱が全身に流れ込んでいく。

ハインケル

(╬゚д゚)

「クソ、クソ、クソ、どいつもこいつもクソったれめ……っ」

ハインケル「――全員くたばれ、クソ共がぁ!!」

剣が一閃され、滑空する飛竜の太い首が血を噴いて吹き飛んだ。

🪨 高い空から

城壁が意味をなさない、たった一つの相手

城壁の弱点があるとすれば、それは壁さえ越えられる脅威の存在だ。

――城壁を跨げるか、あるいは飛び越せる空の支配者。

フロップ

「――これは、とてもよくないな」

フロップ

「旦那くんは、できるだけ被害を出さないようにしようとしていたけど……」

フロップ

「どうやら、今回の相手にはそういう気配りはなさそうだ」

フロップ「飛竜に岩を運ばせて、それを高い空から落としているだけなのに」

一抱えも二抱えもある大岩が、石造りの建物を破壊し、通りに大穴を開ける。

フロップ

「飛竜はとても嗅覚が優れているからね。反面、刺激の強い匂いは苦手な生き物なんだ」

フロップ

「もしかしたら全身にペッパを振りかけておくと、捕まるのは避けられるかもしれない」

ハインケル

(・_・)

「……詳しいな」

フロップ

「飛竜に関してはたまたま詳しい人が知り合いにいたのさ」

🗡️ 誰も、剣になんてなれない

怯えではなく、情けと言うべきもの

シュルト

「ハインケル様! ご無事だったでありますか!」

ハインケル

(¬_¬)

「怪我? ああ、この血なら返り血だ。してても、掠り傷ぐらいのもんだよ」

ハインケル

「言っとくが、俺はこの都市に何の義理もない」

フロップ

「君はあのお姫くんの機嫌を守る方が、街を守るより大事だって言うのかい?」

ハインケル

「――そうだ」

ハインケル

「俺にはこの街よりも、誰かの命よりも大事なものがある」

ハインケル

「プリシラ嬢に、譲ってもらわなきゃならないもんがあるんだよ」

ハインケル

「それを手に入れるためなら、誰が何人死んでも知ったことか」

ハインケル

(╬゚д゚)

「身の程を知れよ。できることは限られてる。その外側に手を伸ばそうとするな」

ハインケル「誰も、剣になんてなれないんだよ」

シュルト

(´・ω・`)

「ハインケル様、辛そうであります」

――それは怯えではなく、情けと言うべきものだった。

🐲 竜に血を流させた報い

地面に大穴を開けて、闖入者が降りてくる

マデリン「――お前か、竜を殺しているのは」

猛烈な轟音と共に、地面に大穴を開けた突然の闖入者。

小さい背丈に愛らしい顔つき、傷一つない白い肌、可憐な空色の装い。

――外見はシュルトやウタカタとそう変わらないように見える。

しかし、起こった出来事が全てであり、それは何者にも否定できない。

マデリン「竜に血を流させた報い、その血を流し尽くすまで流して贖え。――愚人共」

第七章55B『城郭都市狂騒曲』終了。