第七章55B
『城郭都市狂騒曲』
空から岩が降る。飛竜の群れが城壁を跨ぐ。――そして、通りに小さな影が降り立った。
😔 ダメダメであります
役に立てないことが、自分で嫌になる
(´;ω;`)
「うう~、また失敗してしまったであります……僕は本当にダメダメであります……」
貧しい村の生まれで、徴税の重さに口減らしされ、道端で飢えて死ぬはずだった。
泥を齧り、それが人生最後の食事になりかけたところを、眩い太陽に救われた。
「ちっとも役に立てなくて、自分が嫌になるであります……」
「一日素振りしたら、十日もお休みするアル様のやり方より……」
「毎日続けるハインケル様のやり方の方が僕向きだったであります」
「プリシラ様とご一緒なら、みんな幸せいっぱいでありますから」
🌸 悩み相談
悩みを、しっかり聞いてもらえる
「ア、シューきタ」
(´▽`)
「そこにいるのは執事くんじゃないか。あのお姫くんは一緒じゃないんだね」
「おや? なんだか浮かない顔だね、執事くん」
( ゚д゚ )
「ええ!? す、すごいであります! フロップ様、わかるでありますか!?」
「なにせ、大抵の人には悩みがあるからね!」
(・∀・)
「なんと、悩みなんてなさそうな僕の妹にもあるんだよ!」
「ミディー、悩みなさそうだっタ」
(≧▽≦)
「あるんだよ! ビックリだね!」
「どんな悩みも悩んでいる本人にとっては重大事さ。だから、しっかり聞かせてもらうとも」
🌱 影響
今の自分は、どうやってできたのか
「フロップ様やウタカタ様は、どうやって今の立派な自分になったのでありますか?」
「ウーがウーになったのハ、マーがウーを産んだかラ」
(・・・・・・)
「ウーの母! ターと仲良かっタ。でモ、自分を刺して死んダ」
(゚д゚ ;)
「そ、そうなんでありますか……っ」
「ウーよリ、ターの方が大変だっタ。ウーはミーとかみんなが育ててくれたかラ」
「僕も周りにいた人の影響を受けて、今のこんな僕になったというところなんだ」
「その昔、僕や妹はとてもひどい環境で暮らしていてね」
(>﹏<)
「そんなところにいたら、いったい子どもはどうすればいいんでありますか!?」
( •̀_•́ )
「ウーなら焼き討ちすル」
「焼き討ちするであります!」
「ははは、それも一案だったかもしれないね。でも、そうはならなかったんだ」
🤕 撫でても治らない
妹が強くなった理由は、後ろ向きなもの
「ミディアムが強くなったのは、もうちょっと後ろ向きな理由なんだよ」
「僕が大人に殴られたとき、僕の傷をずっと優しく撫でていたんだよ」
「フロップ様はどうしていたんでありますか?」
(´ー`)
「僕は笑っていたよ。僕が笑っていなかったら、庇われたミディアムが気に病んでしまう」
「だから、僕が庇い切れなくて初めて大人に殴られたとき、ミディアムは心の底から驚いたんだ」
「痛いのが嫌だったラ、やられないようにするしかなイ。ミディー、そう思っタ?」
「まぁ、そういうことだね! 我が妹ながら、とても単純でいい答えだ」
(๑•̀ㅂ•́)
「僕も、フロップ様の妹さんみたいに、強くなりたいであります……!」
⚠️ 空が危ない
一緒に練習しよう、という誘い
「強くなりたいなラ、ウーと一緒に練習すル? 弓の練習」
「するであります! 両方やるであります! その方が、倍強くなれるであります!」
「ウーモ、シューみたいに頑張ってル。ターみたいな達人になル」
「ウタカタ様は、どうして弓矢の達人になりたいんでありますか?」
(゚д゚ )
「なるほどであります。……であります!?」
「――執事くん! ウタカタ嬢!」
🔔 敵襲
最初に気付いたのは、鼻を鳴らした元族長だった
最初にその異常に気付いたのは、鼻を鳴らして何かを直感した元族長だった。
膝下をなくした右足に、杖の先のような棒を取り付けている。
「――飛竜の、群れ」
「――ッ! ズィクル! 兵たちに報せロ! 私はシュドラクを動かス!」
(╬゚Д゚)
「鐘を鳴らせ! 敵襲! 空からくる!」
「敵襲だとして、攻め手の心当たりは?」
「飛竜乗りをあそこまで動員できる戦力は帝都にも……可能性は一つ」
「『飛竜将』マデリン・エッシャルト……彼女は飛竜を操ります。つまり」
(#`Д´)
「クソったれ、『九神将』か……!」
🗡️ アストレア
この都市の存亡には、何の興味もない
――元々、帝国になんてくるつもりは毛頭なかった。
この城郭都市の存亡にだって、何の興味もない。だが――
「プリシラ嬢の機嫌を損ねるわけにはいかねえ……」
「プリシラ嬢が王様になっても、俺が追い払われてたら意味がない」
「ハインケル殿はどうされる?」
「――俺は、好きにやらせてもらう」
戦場の、血と鋼の気配が近付くに従い、耳の奥で高い音が鳴る幻聴を聞く。
沸々と、胸の奥からどろりとしたどす黒い熱が全身に流れ込んでいく。
(╬゚д゚)
「クソ、クソ、クソ、どいつもこいつもクソったれめ……っ」
剣が一閃され、滑空する飛竜の太い首が血を噴いて吹き飛んだ。
🪨 高い空から
城壁が意味をなさない、たった一つの相手
城壁の弱点があるとすれば、それは壁さえ越えられる脅威の存在だ。
――城壁を跨げるか、あるいは飛び越せる空の支配者。
「――これは、とてもよくないな」
「旦那くんは、できるだけ被害を出さないようにしようとしていたけど……」
「どうやら、今回の相手にはそういう気配りはなさそうだ」
一抱えも二抱えもある大岩が、石造りの建物を破壊し、通りに大穴を開ける。
「飛竜はとても嗅覚が優れているからね。反面、刺激の強い匂いは苦手な生き物なんだ」
「もしかしたら全身にペッパを振りかけておくと、捕まるのは避けられるかもしれない」
(・_・)
「……詳しいな」
「飛竜に関してはたまたま詳しい人が知り合いにいたのさ」
🗡️ 誰も、剣になんてなれない
怯えではなく、情けと言うべきもの
「ハインケル様! ご無事だったでありますか!」
(¬_¬)
「怪我? ああ、この血なら返り血だ。してても、掠り傷ぐらいのもんだよ」
「言っとくが、俺はこの都市に何の義理もない」
「君はあのお姫くんの機嫌を守る方が、街を守るより大事だって言うのかい?」
「――そうだ」
「俺にはこの街よりも、誰かの命よりも大事なものがある」
「プリシラ嬢に、譲ってもらわなきゃならないもんがあるんだよ」
「それを手に入れるためなら、誰が何人死んでも知ったことか」
(╬゚д゚)
「身の程を知れよ。できることは限られてる。その外側に手を伸ばそうとするな」
(´・ω・`)
「ハインケル様、辛そうであります」
――それは怯えではなく、情けと言うべきものだった。
🐲 竜に血を流させた報い
地面に大穴を開けて、闖入者が降りてくる
猛烈な轟音と共に、地面に大穴を開けた突然の闖入者。
小さい背丈に愛らしい顔つき、傷一つない白い肌、可憐な空色の装い。
――外見はシュルトやウタカタとそう変わらないように見える。
しかし、起こった出来事が全てであり、それは何者にも否定できない。
第七章55B『城郭都市狂騒曲』終了。
シュルト
ウタカタ
フロップ
ズィクル
ミゼルダ
ハインケル
「――お前か、竜を殺しているのは」