リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章93

『石塊の軍勢』

第三頂点。押し寄せるのは、顔も声も持たない石の人形の大軍だった。

🗿 数千体

人間らしい部位がないから、急所もない

目や鼻、耳のない頭部を矢が穿ち、石で造られた人形が大きくのけ反る。

――だが、人間らしい部位のない頭部は人間らしい急所にもなり得ない。

クーナ

( •̀_•́ )

「頭潰すだけじゃ足りねーんなラ……ホーリィ!」

ホーリィ

(・∀・)

「わかってるノー!」

クーナ「いちいチ、狙ってやれる数じゃねーゾ!」

ホーリィ

(>﹏<)

「まるで木の蜜に集まるありんこなノー! こんなのとても倒し切れないノー!」

クーナ

(╬゚д゚)

「泣き言ほざいてる場合かヨ! 撃て撃て撃ちまくレ! いくらでも当たル!」

――石人形の数は数百体から数千体、数え切れないほどいるからだ。

ホーリィ

(;゚Д゚)

「みんなみんな、生きてるっぽくないノー!」

クーナ

( ゚д゚ )

「アタイもおんなじ意見ダ! こいつラ、どういう仕掛けになってやがル!?」

💪 返り討ち

二人を唖然とさせたのは、そのどちらでもない

ミゼルダ「――石でできた人形ガ、邪魔をするナ!!」

両腕に握った棍棒を振り回し、飛びかかってきた石人形を打ち砕いていく。

ジャマル

(╬゚Д゚)

「邪魔だ邪魔だ邪魔だぁ!」

ジャマル

(╬゚д゚)

「仰ぐべき皇帝閣下の威光もわからねえ帝国の恥共が、オレに立ちはだかってんじゃねえ!」

だが、真にクーナとホーリィを唖然とさせたのは、そのどちらでもなかった。

🍷 悪夢のように

戦線を支えているのに、倒れてほしいと思う

鮮やかとは言い難く、荒々しく暴力的な斬撃。

――だがそれは、破壊を必要とする石人形を相手する上で、理に適った剣技だった。

亡霊のような風貌の男が石人形を斬り捨てていく光景は、悪夢のように現実味がない。

ホーリィ「とっても辛そうなノー」

同じものを見たホーリィの呟きに、クーナは賛同できなかった。

――クーナの目にはもっと直接的な、死にたがっている顔に見えた。

死にたがっていながら死を恐れ、死に猛然と抗っている姿。

彼の存在が戦線を支えているとわかっているのに、今すぐ倒れ、死んでほしかった。

🎯 心臓を狙う

姉の背中に隠れることを、やめている

タリッタ

「足を止めるのは危険でス。姉上やジャマルが作った道ヲ」

クーナ

(´・ω・`)

「言われなくてもわかってんダ、族長。……ちっト、目を奪われてただけデ」

タリッタ

「ハインケルですカ」

ホーリィ

「族長は不気味に思わないノー?」

タリッタ

( •̀_•́ )

「必死なのモ、戦力になるのも事実なラ、彼と戦うことに私は異存ありませン」

タリッタ

「一発で落とすのはコツがありまス。心臓を狙うんでス。――こうしテ」

素早く三射。三体の背を、頭部を、腿を矢が貫き、射殺してみせた。

クーナ

( ゚д゚ )

「待て待て待テ! なんで一発で死ぬんダ!? 心臓?」

ホーリィ

(´・ω・`)

「石のお人形なのに、心臓なんてどこにあるのかわかんないノー」

タリッタ

(・∀・)

「ソ、そうですカ? しっかり見れバ、重要そうな場所がわかると思いますガ……」

タリッタ「姉上、出すぎないでくださイ! 一人では死にまス!」

そのタリッタの判断と発言に、クーナは本気で驚き、感じ入る。

――本当にタリッタは、姉の背中に隠れ続けることをやめたのだと。

🤝 盟約の先

盟約のための戦いが、自分たちの戦いになる

クーナ

「マリウリのことがあったときなんテ、見ちゃらんなかったガ……」

ホーリィ

(≧▽≦)

「タリッタが立派になって、私たちも嬉しいノー」

タリッタ「言ってる場合ですカ!? 二人モ、戦ってくださイ!!」

かつてのヴォラキア皇帝とシュドラクの民との間で交わされた、古い盟約。

――もはや現代を生きる彼女たちにとって、忘れたとて責められる謂れのない約束。

それを果たすために始まった戦いは、しかし今確かに、

シュドラクの民として、勝ち取らなくてはならない戦いとなったのだ。

❓ 重たい枷

――剣はいつだって自分にとって、見た目以上に重たい枷でしかありえなかった

何故、帝国の大地で自分は剣を振るっているのか。

何故、あれだけの恥を晒したあとで、まだ剣を握っていられるのか。

――何故、見せなくてはいけない相手が不在の地で、自分は。

剣を振るのが楽しかったことなんて、思い出せない。

――剣はいつだって自分にとって、見た目以上に重たい枷でしかありえなかった。

ハインケル

(╬¬_¬)

「クソ」

🌀 思考は尽きない

考えるな、を実践しようとすると考えてしまう

無心になれと、剣の修練ではよく教えられた。

――何度言われても、何を言われてるのかわからない教えだった。

ハインケル「クソが」

考えるなと言われ、それを実践しようとすれば、「考えない」ということを考えている。

生きていれば腹が減る。呼吸だってする。心配事は尽きない。

明日の不安どころか十秒後の不安も尽きず、昨日の失敗をくよくよと気にしている。

――積み重なり、延々と、思考は尽きない。

無心になれる剣士とは人間ではないのか。――だから自分は、剣士ではないのか。

ハインケル

「クソがぁ!」

🐯 挽回だぜ

追い払っても、少年はたびたび顔を出した

『生憎と、俺様にゃァ、オッサンが抱えてるッもんはわかりゃしねェ』

『しくじったッてのも、どのぐれェやらかしッたのか知りもしねェ』

『ッけどなァ、やらかした経験なら俺様にもあんだ』

一度、適当なことを言って追い払ったあとも、少年はたびたび顔を出した。

――ひどく幼稚で安っぽい、鼻で笑いたくなる青臭い理想論を。

ハインケル

(╬゚Д゚)

「うるせえんだよ、クソガキがぁ!!」

欲しいモノはない。与えてほしい人がいるだけだ。

――その相手からもらえるもの以外は全部、引きずって歩くだけの重石なのだ。

ガーフィール「――オッサンがやれるとすりゃァ、てめェの剣で挽回だぜ」

ハインケル

「クソったれが……っ」

🏃 明らかに低い

――他の四つの頂点と比べて、明らかにこの頂点だけ防衛力が低い

――他の四つの頂点と比べて、明らかにこの頂点だけ防衛力が低い。

誰か一人でも本物の強者が居座っていれば、こんな風に先頭を走ることはありえない。

「あの背を追え――!」

「赤毛の男に手柄を取らせるな! 我々も続くぞ!」

「悪くない剣技ダ。髭を剃れバ、もっと見られる顔になル」

ハインケル

(;´Д`)

「クソが……こい、もっとこい! こんなんじゃ、点数稼ぎにも」

そのまま城壁に取りついて、壁上の敵を一掃すれば第三頂点の攻略――

🗿 モグロ・ハガネ

攻略すべき城壁そのものが、動き出す

モグロ

「――お前、一番私、殺した」

攻撃されたわけでもなく、ただ声をかけられただけ。それだけで全身が竦み上がった。

――手も足も出ない、脅威に出くわしてしまった。

モグロ

(・_・)

「一番、私、殺した。だから、私も、お前、殺す」

城壁に生まれた無数の『光』。拳大の、明るく光り輝く緑色の球体。

それは元々城壁になかったのだ。何もなかった壁に、突如として。

――まるで生き物の目のように見えた。その全部と、一斉に目が合ったように思えた。

ハインケル

(×Д×)

「ひ」

モグロ

「吹き飛ぶ」

巨大な石製の拳が、跳躍しているハインケルを捉え、打ち上げた。

モグロ「――九神将の『捌』、モグロ・ハガネ」

攻略すべき星型の城壁、第三頂点そのものが動く。

――それこそが『九神将』の一人、モグロ・ハガネを名乗った強大な存在であった。

第七章93『石塊の軍勢』終了。