第七章80
『アイリスと茨の王』
各地で上がる火の手。そして、母と娘を隔てていたものの正体が明かされる。
📌 成果
この一件で、確かに得られたもの
「城郭都市の陥落を避けられたことと、ヨルナ一将の協力を得られたことは確かな成果です」
「そのためにも、もう一点お伝えすべきことが」
(;´Д`)
「最後にもう一点、ですか。……あまりいい予感はしませんね」
「黒髪の皇太子扱いされている、ナツミ嬢も関わりのあるお話でして」
「ナツミ……え? でも、皇帝の子ども扱いされてるのってスバルなんじゃ……」
「エミリー、スバル様は帝国ではなんと名乗っておられるか……」
(´・ω・`)
「あ、そっか。そうよね。ごめんなさい、頭の中でこんがらがっちゃった」
🔥 尻馬
表情を隠す寸前の顔を、見られていた
「皇帝閣下の御子の存在が市井に知れ渡ったことで、帝国の内情に動きが」
手が表情を隠し切る寸前、エミリアの目は確かに捉えていた。
――アベルの唇が、ほんのわずか、意地悪く笑みを象っていたことを。
(╬¬_¬)
「半魔の言う通り、不愉快な話じゃな。日和見共が、都合よく尻馬に乗り出すとは」
「早ければ自らも出血を強いられるが、遅すぎれば参じても空手で帰ることとなる」
「帝国民は平穏を享受していると聞いていましたが」
「所詮、平穏など仮初の、泡沫の夢のようなものでしかない」
「人間の本質は闘争にあり、闘争心という炎は命ある限り消えはせぬ」
(;´Д`)
「そしてやがて、逃げ場を失って大爆発ですか」
🥺 可哀想
なぜそう思う、と理由を求められる
「寂しい? 何ゆえにそう思う、半魔」
「帝国の皇帝は一生懸命頑張ってきたはずなのに」
(´・ω・`)
「頑張ったのが報われないのは寂しいじゃない。勝っても負けても、辛いと思うの」
この数年、大きな戦いが起こっていないのは、皇帝ヴィンセントの功績だ。
――少なくとも彼は、戦いのない世の中を作り続けてきたのだ。
「こんなの、誰かが怒ったときに、もう辛くなるのが決まっちゃってるみたい」
「――。なるほど、どちらが先なのかはともかく、あれの在り方も腑に落ちた」
(・・・・・・)
「疑うべくもなく、貴様たちがナツキ・スバルの同類ということだ」
❔ すごーく嫌い
間違ってたらごめんなさい、と前置きして
( •̀_•́ )
「間違ってたらごめんなさい。でも、間違ってないと思う」
オットーやズィクルたちと話すときと、確かな違いがあった。
――エミリアはそれを、アベルがスバルに抱いた嫌悪だと感じたのだ。
( •̀_•́ )
「――ズィクル、反乱の声を上げ始めたものたちと連携せよ」
「より強い風を起こし、火勢を増す。帝都へと黒煙が届くまでだ」
「よろしいのですか? 当初の目的では『九神将』を……」
「あくまで、それは副次的な目標だ。重要なのは戦局を成立させること」
「――予定より早く、帝都へ仕掛ける用意が整うやもしれん。努々、気を抜くな」
💤 ベティーたちしか
自分だけ安全、を受け入れる人ではない
「それで自分の周りでみんなが争って、平気でいられるスバルじゃないもの」
「なのよ」
周りが危なかったら、すぐに自分のことはほったらかしで動くのがスバルだ。
――自分だけは安全なんて、そんな状況を受け入れるとはとても思えなかった。
🤝 お友達
何を一番にするつもりか、を先に伝えておく
「私たちは、スバルとレムのことを一番にするつもりで動くって覚えておいてほしいの」
(¬_¬)
「何ゆえ、それをわざわざ妾に宣言する?」
「だって、誰にも言わないで勝手にしちゃったら、みんな困っちゃうでしょ?」
(・∀・)
「スバルもよく、ホウ・レン・ソウが大事って言ってたわ」
「そのあやふやな知識を基に、よくもまぁ妾に話を持ちかけられたものよ」
「森を出て、王選に参加して、大変なことをたくさん経験して、今の私になったのよ」
(´ー`)
「貴様と妾を一緒にするな。妾は生まれながらに完璧である」
( •̀_•́ )
「そう……でも、私も負けないからね」
「王選が終わったら、そうしましょうって……だから」
「まさか、妾とも友誼を結びたいとでも?」
(・∀・)
「ええ。ダメ?」
(;´Д`)
「そら見よ、やはり妾ですら思い浮かばぬ戯言が飛び出した」
「また明日、聞いてみるわね」
「明日になろうと、妾の答えは変わらぬ」
「でも、明日の明日はわからないから」
(・・・・・・)
「好きにするがいい」
📖 アイリスと茨の王
血も繋がらず、育ての親でもない母
「血は繋がってなくて、育ての親でもない……それで母様って、どうすれば?」
「妾が全て、語って聞かせねばならぬ理由があるか?」
「ううん、ないと思う。でも、教えてもらえないとすごーく気になるから」
「古い物語よ。知っておるか?」
ヴォラキア帝国を発祥とする史実。『茨の王』と『アイリス』という少女の恋物語。
「アイリスと茨の王は手を取り合い、多種族を巻き込む帝国の内乱を終戦へ導いた」
「じゃが、想いを通じる二人は結ばれる直前、裏切りに遭い、物語は幕となる」
(´;ω;`)
「……悲しいお話なのね」
「しかし、物語と史実は違う」
「史実では、アイリスを失った茨の王は狂気に落ち、刃を向けた狼人と土鼠人を根絶やしにした」
「それは、怒るのも無理ないけど……でも、今の時代の人たちは」
「何の関係もない、か。自身も半魔として迫害された身には他人事ではあるまいよ」
🌹 呪い
昔話には、まだ続きがある
「それで、茨の王のお話はおしまい?」
「――。茨の王の狂気はこのあと、失われたアイリスへ向けられた」
「茨の王は、アイリスに何をしたの?」
(・・・・・・)
「呪いをかけた」
「この『茨の戒め』は尽きぬ渇愛が生んだ呪いと言えよう」
「でも、魂を引き下ろすってどういうことなの? 生き返るってこと?」
「そう都合よくはゆかぬ。『茨の戒め』にそんな力はない」
「だったら、どうなるの? 体がなかったら――」
「その魂は本来の措置を受けぬまま地へ戻り、次の器へと入る」
「――再誕とも、転生とも言えような」
「呪いの解けぬ限り、死した魂の再臨は繰り返される」
「そのうちの一度、ヨルナ・ミシグレの一つ前の人生が、妾の母上であったということじゃ」
🌫️ 紫煙
隠していたのはお互い様だ、と返される
(╬¬_¬)
「主さんの方こそ、プリスカのことを隠していたのは人が悪すぎるでありんしょう」
「お互い、秘密主義が仇になったと素直に認めてはいかがでありんす?」
「秘する理由はあった。貴様も、想像はつこう」
「――。それは、そうでありんすな」
プリシラが生きていることなど、あってはならないことなのだ。
――そのありえない出来事の裏に、アベルの関与があったことは間違いないのだから。
「主さんは、いったい何を――」
「――俺が貴様に約束したのは、その茨の戒めを解く術だ」
「貴様が問いの答えを欲するならば、それ以外の褒美を与える理由はない」
👑 奮起せよ
愛しい人が呼んだ名を、冷たい声が呼ぶ
もう長く長く、何度となく生と死を重ね、この魂で世界を眺め続けてきた。
あの人の面影も、ほとんど思い出せなくなるようになってなお。
愛おしい人が何度も呼んでくれた名前で、その血を何代も重ねた先にある男が呼ぶ。
「より一層の奮起をせよ。己の悲願と、何より――」
( •̀_•́ )
「プリスカ・ベネディクト、貴様の失われたはずの娘を未来に生かすために、な」
愛しい人とは比べ物にならないぐらい冷たい声で、そう強いたのだ。
第七章80『アイリスと茨の王』終了。
ズィクル
オットー
フレデリカ
「――他の地でも、火の手が上がったか」
プリシラ
ヨルナ