第七章92
『因縁の再燃』
戦場に雪が降る。そして、それぞれの頂点で因縁が再び火を噴く。
❄️ ありえない光景
正しいか間違っているかの話は、場違いだ
正しいとか間違ってるとか、そういう話をここでするのは場違いなのだ。
――言えるとすれば一個だけ。
「なんだ、これ……」
生まれつき金属化した部位を武器に打ち直して戦う、刃金人たち。
――動かそうとした体がかじかみ、思うように動かない。
ヴォラキア帝国は一年を通して温暖な気候の続く国だ。
誰が警戒できるというのか。真昼の戦場で、凍える風が吹くことなど。
( •̀_•́ )
「みんな! ここから離れて! ここは私がすごーく頑張るから!」
⚔️ 高みと高み
二度目の顔合わせが、始まる
(・∀・)
「ええ! また私よ、マデリン! 通りすがりの精霊術師、エミリー!」
怖じないやり取り、それだけで刃金人たちは理解する。
――自分たちと、この二人とが立っている舞台の違いを。
始まるのだ。ただ強靭に生まれついただけでは至れぬ領域の戦いが。
(╬゚д゚)
「腹立たしい娘だっちゃ。この間の戦いで、竜には勝てないと――」
「――えい!」
城のように大きな氷塊が天墜し、その姿が轟音と共に氷片の彼方に呑まれた。
🤲 託された想い
先に当たった人が危ない、と反発する
「先に当たった叛徒らから、敵の戦力配置を割り出す」
「それじゃ、先に当たった人たちが危ないじゃない! そんなの絶対ダメよ!」
「エミリー、どこへゆくべきかは僕が指示します。――当てがあるので」
( •̀_•́ )
「大丈夫、エミリー。わたしに任せて」
(・∀・)
「エミリー! 俺様ァ、こっちだ! 風穴、ぶち開けてッやろォぜ!」
「スバル様のため、無茶はしすぎませんように!」
(´ー`)
「スバルのことで、ベティーの次に頑張れるのはエミリアかしら」
「ええ、ホントに、そうだって信じたい」
🥶 戦うどころじゃない
みんなから聞いた話が、作戦になる
ヴォラキアは暖かい国なので、寒いのが苦手な人が多いとはペトラの意見。
空を飛んでいる飛竜も寒さには弱いと、動物好きのオットーからも聞いた。
寒くなると丸くなりたくなるとは、ガーフィールとフレデリカの姉弟の意見。
かつて、燃えてしまう前の屋敷でパックが起こした、雪景色の記憶。
――そのときの経験と知識が、しっかりと活きた。
「私も、できたらちゃんと話してわかり合いたいけど、時間がなくて」
指がかじかんで武器が取れなくなり、膝が震えて技なんか一個も使えない。
――それでもまだ戦おうと、強い体と心で訴える人の相手は。
( •̀_•́ )
「――私が相手よ!」
🧊 えい! えいや!
芸がない、と言われながら続ける
(¬_¬)
「芸がない奴っちゃ」
甲高い音が響き渡って、巨大な氷が縦に真っ二つに割れる。
「あれだけ痛い目を見ても、何も変わらないか、半魔……」
(╬¬_¬)
「私とプリシラがもうすぐ勝てそうだったはずよ。嘘言わないで」
(╬゚Д゚)
「――ッ、竜を侮るんじゃないっちゃ、半魔!」
十や二十、五十や百と生み出される氷が城壁へと降り注ぐ。
――礫なんてほど可愛げのない氷の嵐だ。
「調子に! 乗るな――ッ」
当てるのはエミリアの狙いではない。躱されること前提の、時間を稼ぐ攻撃。
「みんな、離れて! 私とマデリンが戦うと、周りが危ないから!」
🌀 巻き添え
戻ってくる刃は、味方も刈り取っていく
旋回する飛翼刃は轟音と共に戦場を巡り、恐ろしい精度で戻ってくる。
――途上を薙ぎ払う死の旋風は、エミリア以外のものも容赦なく刈り取る。
(>﹏<)
「う、やぁ!!」
跳ね上げた足で刃を蹴り上げる。衝撃が全身の骨を軋ませるも、やせ我慢。
「終わると思ったっちゃか」
蹴り飛ばした飛翼刃を掴み取って、そのまま振りかぶっている。
――避けたら周りのみんなが危ない。
一本目は呆気なく砕ける。だが、反対の手で二本目、なくした手で三本目。
砕かれながらも諦めず、氷剣連撃が唸りを上げる。
🧑🤝🧑 一人じゃない
あの女はどうした、と聞かれる
「お前だけだっちゃか。あの女はどうした」
「それがプリシラよ。私がエミリー。プリシラは、会いたい相手がいるって」
(;´Д`)
「あ! ええと、ペトラお嬢様の! 騎士、かも!」
「ううん、嘘。スバルは私の騎士なの。騙してごめんなさい」
(╬゚д゚)
「そもそも、そんな話聞いてもいないっちゃ!」
「一人ずつ、竜をコケにしたお前たちを血祭りに上げてやる」
体ごとぶつかって攻撃を邪魔する、氷でできたナツキ・スバル。
( ゚д゚ )
「な……!?」
「えいやぁ!!」
🌫️ わっちの役目
玉座を手放してまですることではない
「あえて自ら小火を起こし、平穏で緩んだ思考の引き締めにかかる……」
いかにも皇帝のやりそうなことだが、自ら玉座を手放してまですることではない。
「わっちの愛し子たちと、閣下の愛した帝国の地で生きる民」
『魂婚術』を無機物に付与し、意のままにする技法。
――ただし、長く想いを染み込ませた魔都と違い、帝都の土の動きは鈍い。
( •̀_•́ )
「万全の状態でなくて申し訳なくありんすが、主さんの相手はわっちでありんす」
(・・・・・・)
「――ヨルナ」
🌞 子離れ
揺るがなかった仮面が、途端に崩れる
「誰ぞの入れ知恵があったか、アラキア」
「プリスカ、主さんがわっちを許せないのは当然でありんすが……」
( •̀_•́ )
「生憎、その名を冠した娘は死んだ。妾はプリシラ・バーリエルである」
「――。この場はわっちに任せると、アベルが話していたはずでありんしょう」
「妾はアベルの言いなりにならぬと、それも同じ場で話したはずじゃ」
ヨルナを前にしても揺るがなかった仮面が、プリシラを目にした途端に崩壊した。
――それは紛れもなく、二人の間に特別な関係があった証左であり。
🗡️ 姫様を取り戻す
心は決まったか、と正面から問われる
「アラキア、貴様の心は決まったか」
「『選帝の儀』の正式な決着を望むか。それもよかろう」
空いた手を空に掲げ、空間から紅の宝剣を抜き放った。
――ヴォラキア皇帝のみが扱うことを許される『陽剣』。
かつて、その真紅の宝剣を振るった愛しい男が、瞼の裏に蘇った気がして。
(¬_¬)
「見惚れている場合ではないぞ、母上」
「どうしてそのような育ち方をしたでありんすか」
「あれは妾の乳兄弟じゃ。母上の亡きあと、妾と姉妹同然に育った」
「今は、妾を玉座に座らせるのが目的であるらしい」
「くるぞ」
(╬゚Д゚)
「姫様を取り戻す、わたしの力で!! ――そう、教えてもらった」
🧭 悪さを働いてる奴
崩れるはずの第一陣が、立て直されている
「――最初の一手が効いたのは間違いないが」
総崩れになるはずの第一陣が、後続の第二陣に吸収され、立て直しを図っている。
――よほど、目端の利く指揮官が第二陣にいるのだろうと、そこまで考えて。
(¬_¬)
「まさか、遅れて到着したのも策の内か?」
血が上った頭を冷まさせられた挙句に、話に耳を貸さない邪魔者を根こそぎ喪失。
「馬鹿ばかりの先鋒より、第二陣の方が本命か」
悪魔的な敵の頭脳に、遠くまで見通す目と耳と、小器用な手足までついてきている。
――真に戦争において厄介な敵は、もっと他にあるとトッドは考える。
第七章92『因縁の再燃』終了。
「――私が、すごーく嫌なの」
「――また、お前だっちゃか」
アベル
オットー
ペトラ
ガーフィール
フレデリカ
「悔しいけど、ベティーの代わりに頼むのよ」
ヨルナ
アラキア
トッド