リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章55

『魔都狂騒曲』

同じ声が重なって号令をかける。――そして皇帝が下した判断は、都市の放棄だった。

🗣️ 重なった声

城が倒れ、影が氾濫する

紅瑠璃城の倒壊と、影の氾濫。

――魔都を知るものにとって、天が落ちてくるのに等しい衝撃だった。

「「――全員、静まれ!!」」

アベル

(╬゚д゚)

「止まるな! あれへの対処が遅れれば全員が命を落とすことになる」

ヴィンセント

「城を呑み込み、なお空を喰らい尽くさんとする大喰らいだ」

ヴィンセント

「ここで余らが手を打たねば、瞬く間に犠牲が増えよう!」

「「――カフマ・イルルクス!」」

「「あの影の足を止めよ! 貴様の停滞は、帝国民の命と引き換えと知れ!」」

カフマ

( •̀_•́ )

「御身の傍を離れます。どうか、陽剣の加護ぞあらんことを!」

ヴィンセント

「貴様らの働きが余の加護となる。死力を尽くせ」

窓を切り裂いて飛び出した背中が大きく膨らみ、マントの奥から六枚の透明な翅が広がる。

🃏 伏せた手駒はなし

互いの手駒を、数え合う

アベル

「何人連れてきた」

ヴィンセント

「供回りは見ての通りだ。カフマ・イルルクスに不在のオルバルト・ダンクルケン」

ヴィンセント

(¬_¬)

「もう一人はいても大した役に立たぬ」

アベル

(・∀・)

「伏せた手駒はなしか。身軽さが仇になったな」

ヴィンセント

(╬¬_¬)

「その責を余に問うのは不条理が過ぎようよ」

アル

(>Д<)

「あ、ああ……なんで、なんで、なんでこんなときに……っ」

――底を見せていない少年だが、この怯えようでは方策に組み入れられない。

心情に配慮してではない。純粋に、役に立たないという判断で。

ヴィンセント

「なれば、取るべき手立ては多くはあるまい」

アベル「――ヨルナ・ミシグレと合流する。奴の力が必要だ」

🧣 絞め技

打撃もナイフも効かないなら、何が効くか

打撃もナイフも効果的でないとわかり、絞め技が効くとわかってからは。

――それ一辺倒での撃退に終始した。

タリッタ

「外せませン。たとエ、どれだけ力があったとしてモ」

タリッタ

「対処法がわかれバ、私でもどうにかできましタ」

アベル『――あまり殺すな』

別れる直前に、アベルから告げられた言葉。

――できもしない指示を、あの目の持ち主が出すだろうか。

獣には通用しないはずの絞め技を、彼女が習得している事実。

そしてその理由までも、彼なら知り得ているのではないかと――

⭐ 天命

通りがかりの一般人が、名を言い当てる

ウビルク

「――ありゃりゃ、こーれはまたなかなか壮観ですねえ」

ウビルク

「ぼかぁ、たまたまここを通りがかっただけの一般人なんですが……」

タリッタ

「……一般人ハ、これを見て平然としてはいられないと思いまス」

ウビルク

「なかなか壮観とお伝えした通りです。――ねえ、タリッタさん」

タリッタ

(゚д゚ ;)

「私が何故、シュドラクだト……!」

ウビルク「――シュドラクの穢れ」

――以前、その言葉を口にした男は、すでに。

ウビルク

(・_・)

「天命、ですよ。シュドラクの穢れとなった、タリッタさん」

ウビルク

「星の巡りとも、導きとも言えるそれのことです」

ウビルク

「ぼくたちの天命、というべきでしょうかね」

ウビルク

「――ぼくを殺しても事態は好転しません。前もそうだったでしょ?」

タリッタ

(>﹏<)

「まるデ、何度も見た悪夢と向き合わせる気分ですかラ……!」

ウビルク「――天命はすでに下っている。知っていますね、シュドラクの穢れ」

ウビルク

「果たすも果たさぬも、あなたの自由だ」

🤝 一緒に頑張って

名前を呼ばれて、胸の奥が弾む

ミディアム

(≧▽≦)

「タリッタちゃん!! よかったー! すぐ見つかったし、タリッタちゃんが無事で!」

タリッタ

( ゚д゚ )

「アベルやスバルたちは無事ですカ? それニ、あれはいったイ……」

ミディアム

「アベルちんとアルちんは無事! スバルちんとルイちゃんははぐれてる!」

ミディアム

( •̀_•́ )

「今から、ヨルナちゃんと一緒にあの影を止めるの!」

ミディアム

「タリッタちゃんの力もいるって、そうアベルちんが言ってたから!」

ミディアム

(๑•̀ㅂ•́)

「あたしも頑張るから、一緒に頑張ってくれる!?」

タリッタ

「わかリ、ましタ。――すぐに向かいましょウ」

――背丈が縮もうと、彼女の真っ直ぐな心根は縮みも曲がりもしない。

タリッタ「――天命」

まるで名前を呼ばれたことを喜ぶように、胸の奥で懊悩が弾んだ気がした。

🖐️ 底知れない餓え

呑まれたものは、世界から消失していく

――呑まれたのは天守閣だけではない。

上層が中層が、濁流の如く氾濫する黒に呑まれ、世界から消失していく。

取り込まれれば救われる術などない、本物の暗闇。

――あれは、あってはならないモノなのだと本能が察する。

伸びてくるそれは、他にたとえようもないほど『手』であった。

一本や二本ではなく、まとめて十も二十も。

膨大な影が訴えかけてくる感情は一つ、『餓え』だ。

ありとあらゆるモノを取り込まんと欲する、底知れない『餓え』。

ヨルナ

「童、振り回しんす。舌を噛まぬよう気を付けなんし!」

爆ぜた瓦を引き寄せ、足場として空に逃げ道を作る。

――撃ち込んだ瓦は影を貫けず、触れた箇所を消失して呑まれた。

💎 住民が建てた城

あの城を建てようと言い出したのは、誰か

――紅瑠璃城を建てようと考えたのは、ヨルナではなかった。

魔都の住民たちが、主の居城がみすぼらしくあってはならないと話し合い。

それぞれで希少な貴石を集め、あの美しい城を築き上げたのだ。

――苦難を想像したことなどない。想像するまでもなく、見ていたのだから。

ヨルナ「わっちの愛を呑みんしたな、この狼藉者――!!」

城壁の石の一個に至るまで、全てに住民の愛が込められた代物。

――それをただの城だと、何故思えよう。何故、愛さずいられよう。

爆ぜる城の衝撃波が、内側から黒い闇の勢いを猛然と削いだ。

ヨルナ

(´;ω;`)

「新たな城を建てようと、あの日々を愛した城はあの城のみ……」

ヨルナ

「潰える愛を呪わしく思うのは、わっちの想いが至らぬせいでありんしょうか」

🐝 等しく帝国臣民

手の届かない場所へ、別の手が伸びる

城へ集まってきた住民たちへ、影が押し寄せる。

――ヨルナの位置からでは、手が届かない。

カフマ

「――容易くさせると思うな!!」

深緑色の茨が影より早く、住民たちの体を棘に引っかけて外へと逃がす。

カフマ

(╬゚Д゚)

「カフマ・イルルクス、皇帝閣下の命にて助太刀する――!」

――過去、彼はヨルナの謀反鎮圧のためカオスフレームで暴れ回った一人だ。

カフマ「たとえ誰に仕えていようと、等しく帝国臣民なれば」

カフマ

「貴公と考えは相容れないとわかっているが、これを放置することはあってはならない!」

ヨルナ

「先の、わっちの子らを守ってくれたこと、感謝するでありんす」

カフマ

(´・ω・`)

「――。『将』として、当然のことをしたまでだ!」

✉️ 親書の望み

言われる前に、用件はわかっている

ルイ

「うあう!」

アベル

「皆まで言わずともわかっている。そも、貴様の処遇を巡って、あれとは意見を違えた」

アベル

「俺に従うつもりがあるのか? ならば、数に加えるとする」

アベル

「ヨルナ・ミシグレ、事情はわかっているな。あれは放置できぬ大災だ」

ヨルナ

(¬_¬)

「まさか、あのようなことが起こると知っておりんしたか?」

アベル

「何かあるとは考えていた。何があるかまでは、俺の推測の外側だ」

ヨルナ

(・・・・・・)

「――閣下」

アベル

「不用意に俺をそう呼ぶな。親書の望みを破り捨てられたくなくばな」

ヨルナ

「それは失礼を。……いったい、どこでわっちの望みを知りんした」

アベル

「確証はなかった。貴様が、俺からの使者を無事に帰すまでは」

ヨルナ

(・∀・)

「使者の子らに、閣下は一度は叱られるべきでありんしょう」

アベル

「それも、全ては事を収めてからだ。ヨルナ・ミシグレ、俺の指示に従え」

🏳️ 撤退戦

どんな策にも乗る覚悟で、問いかける

ヨルナ

「それで、どうするつもりでありんすか」

――魔都を守るためならば、どんな策にも乗る覚悟で問いかける。

アベル「――都市を放棄し、撤退戦を行う。魔都は、あの影に呑ませる以外にない」

第七章55『魔都狂騒曲』終了。