リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章108

『来たる大災』

死者が舞い戻る。予告された『大災』が、帝都を呑み込み始める。

❓ 何故だ

唾棄すべき非効率を極めた死が、目の前にある

『星詠み』がもたらした避け難い最期。それははるか昔から覚悟していたことだ。

――自分でなければ、ヴォラキア帝国を救えないという確信があった。

全ては、人生を懸けた計画だった。

鏡を見るたびに力不足と知識不足の焦燥に怒りを覚えたその顔が、血の気を失う。

――『能』による現身は、その命が尽きても元の姿に戻ることはなかった。

もう二度と、あの姿を見ることも、減らず口が鼓膜を叩くこともない。

アベル「何故だ」

ヴィンセント・ヴォラキアなら、潔く負けを認めるはずだった。

――そうならなかった。馬鹿げた賭けだった。

それこそ、アベルの唾棄する非効率を極めた死だ。

🛡️ モグロ・ハガネ

棒立ちの体へ、二射目が吸い込まれる

「――そりゃぁ、下策ってもんでやしょうよ」

放たれる二射目の白い光が、棒立ちのアベルへと真っ直ぐに吸い込まれた。

轟音と激震が水晶宮全体を揺るがし、堅牢な壁が破壊される。

アベル

( ゚д゚ )

「――巨大な腕、モグロ・ハガネか!」

モグロ「玉座の男、守れ。閣下、私に命令」

遠方のモグロに戻るよう指示を出せたのは、玉座に座っていたチシャ以外にいない。

――自分が射抜かれた直後、アベルもまた命を狙われると、そう読んだ。

アベル

(╬゚Д゚)

「――っ、モグロ・ハガネ! 俺を外へ出せ!」

モグロ

(・_・)

「お前、誰。私、閣下、優先――」

アベル

(╬゚д゚)

「皇帝は死んだ! 俺が死ねばそれが無駄死にとなろう!」

モグロ

「遺体――」

アベル

( •̀_•́ )

「不要だ! 死者に構うな!」

🐉 魔弾の射手

数ではなく、凄腕を一人だけ用意していた

四方八方から降り注ぐ攻撃。だがこれは数ではなく、凄腕を一人用意したのだ。

――まさしく、『極限飛行』とでもいうべき技量。

灰褐色の髪と、色を失った顔貌に走った罅割れ。

――そして、闇夜のように黒い眼に浮かんだ金色の光。

アベル「――バルロイ・テメグリフ! 何故、貴様が生きている!」

🐉 バルロイ

(・∀・)

「話しやせんよ、鬼面の御方」

モグロ

「バルロイ、死んだ。お前、偽物」

アベル

(;゚Д゚)

「風を纏わせているな……!」

飛竜乗りを殺すには飛竜から。バルロイの死因も、その例外ではなかった。

アベル

( ゚д゚ )

「あの飛竜も、死の向こうより舞い戻ったか!」

🪨 粉砕

揺れる、我慢しろ、と言われる

モグロ

「揺れる。我慢」

アベル

( •̀_•́ )

「構わん、やれ!」

帝国の街路に突き刺した左腕が、引っこ抜いた街を豪快に空へ放り投げた。

モグロ「粉砕」

左腕を叩き付け、無数の散弾へと変えてバルロイの逃げ道を塞ぐ。

――一つ一つが人間大よりも大きな岩や土の塊だ。

🐉 バルロイ

(>﹏<)

「カリヨン!」

アベル

(¬_¬)

「無論、罠だ」

☁️ 竜の良人

メゾレイア『お前! 竜の良人から離れろっちゃぁぁぁ――っ!!』

回転し、噛み砕くはずだったモグロの左腕が、その直前で横槍を喰らい砕かれた。

メゾレイア

(╬゚Д゚)

『お、おぉぉぉぉぉ――ッ!!』

――相手が、死から舞い戻ったバルロイ・テメグリフであるのなら。

メゾレイア『お前! 竜の良人から離れろっちゃぁぁぁ――っ!!』

アベル

( ゚д゚ )

「『雲龍』メゾレイア……今の中身は、マデリン・エッシャルトか!」

世界で最も美しい城と呼ばれた水晶宮の庭園が踏み荒らされ、街並みが死んでいく。

💧 濁流

――やがては防壁全体を崩して濁流となって帝都へ流れ込むだろう

はるか離れた場所で発生した、世界が割れるような破砕音。

――帝都全体の水源となっている貯水池の防壁に、千切れた左腕が突き刺さっていた。

――やがては防壁全体を崩して濁流となって帝都へ流れ込むだろう。

モグロ

(・・・・・・)

「――失敗」

その呟きが聞こえた直後、アベルの体を浮遊感が襲った。

――アベルを包んだ手首から先が、龍に噛み砕かれていた。

🕳️ 同じ毒

――死者に構うなと言ったものが、同じ毒を飲んだも同然だった

アベル

(×Д×)

「何かを――」

アベルの目に入ったのは、モグロから引き出された水晶宮の大穴だ。

――玉座の間と繋がった穴、その中を覗くことはできないが、意識は引き付けられた。

――死者に構うなと言ったものが、同じ毒を飲んだも同然だった。

その一秒があったところで、打開の策が見出せたかはわからない。

――だが、その一秒を費やせなかったことは、尽くせなかった全霊の証。

その魂に消えない傷を永遠に刻み込むものだった。

🌟 天命の時

落ちてくる体を、広げた布が受け止める

「引けぇ――っ!」

誰かが落ちてくるアベルの下で重ねた布を広げ、受け止めたのだ。

ウビルク「――さーあ、きましたよ、天命の時が!」

ウビルク

(・∀・)

「閣下か、それとも閣下か。いずれにせよ、『大災』がやってきます」

ウビルク

(≧▽≦)

「ぼくと一緒に、『大災』に抗おうじゃあーりませんか!」

壊れてゆく街と、それを実現している戦いを背後にしながら男は笑う。

――『星詠み』の自らにもたらされた天命の、確かな実現の瞬間を祝福して。

🕯️ 誉れある行い

一目でわかる。痛みを感じる暇もなかった

ベルステツ「――チシャ殿、ですか?」

うつ伏せに倒れたその体の胸に穴が開き、命脈が途絶えている。

――武官ではないが、一目でわかる。即死だ。痛みを感じる暇もなかっただろう。

ベルステツ

(・・・・・・)

「それは、私奴たちの行いを思えば、何とも慈悲深い終わりと言えましょう」

それは明確な裏切り行為だったが、責めるつもりはなかった。むしろ、称賛する。

――欲しいものを得るためであれば、己の持てる力を尽くして挑むのが帝国流。

自らの力を証明してみせた。それは、ヴォラキア帝国の男として誉れある行いだ。

ベルステツ

「『大災』と、それがもたらす滅び……いったい、私奴の知らぬ何が帝国に?」

💜 ラミア・ゴドウィン

玉座に、腰を下ろしている人影がある

「――あらぁ、知らされてないのぉ? なら、私が教えてあげましょうか?」

畏れ多くも、皇帝閣下の座るべき玉座に腰を下ろし、見下ろしている人影が。

ベルステツ

( ゚д゚ )

「――な」

宰相の立場にあるベルステツが咎める言葉を発せない相手など、国内にもほとんどいない。

――にも拘らず、ベルステツには相手を咎められなかった。

ラミア「まだ生きてたなんてしぶといわぁ、ベルステツ」

ラミア

(・∀・)

「――ねぇ、『選帝の儀』はどっちが勝ったのぉ?」

ラミア

「ヴィンセント兄様? それともプリスカかしら?」

血の気の引いた美しい顔をひび割れさせ、そう言ったのはヴォラキアの皇族。

――『選帝の儀』で敗死したはずの皇女、ラミア・ゴドウィンだった。

第七章108『来たる大災』終了。