リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章25

『再会は燃える血潮の如く』

紅の少女が、あるはずのない場所に立っていた。彼女とアラキアの間には、余人の知らない過去がある。

🌞 何故、何故、何故

橙色の髪と、血の色のドレスが立っている

眩い橙色の髪。

血の色をした豪奢なドレス。

赤々と輝く、宝剣。

何故、ここに彼女がいるのか。

何故、助けてくれたのか。

何故、アラキアと平然と対峙できるのか。

疑問が、尽きない。

プリシラ

(¬_¬)

「間の抜けた顔じゃな。妾の高貴さに目を焼かれたか」

ナツミ

( ゚д゚ )

「――っ、頭の後ろに目でもついてんのかよ」

プリシラ

「たわけ。そのような奇形に妾が見えるか? 凡愚の面構えなど息遣いでわかる」

😢 世界の崩壊

二人には、以前からの関係があるらしい

紅の瞳を細め、プリシラが静かに相手を見据える。

確固たる自己の世界を維持していたアラキア。

その世界が、一拍を置いて崩壊した。

アラキア

「ひめ、さま……」

アラキア

「姫様、姫様、姫様ぁ……っ」

迷子の幼子が親と再会したような。

弱きが強きに縋り付こうとするような。

その過去の関係が、この場で最も危険な存在の戦意を挫いた。

🔥 黙れ

呼びかけは、最後まで言わせてもらえない

アラキア

「ひめさ――」

プリシラ

「黙れ」

赤い輝きが薙ぎ払い、素足の爪先の数センチ先に炎が燃え上がる。

脛ほどまでの、焚火のような火力。

だが、越えられない壁が生まれたように動けなくなる。

プリシラ

(¬_¬)

「まさか、妾が再会に胸を弾ませ、貴様をこの腕に抱くとでも思ったのか?」

アラキア

(´;ω;`)

「ぷ、プリスカ様……」

プリシラ

「プリスカは死んだ。――時が流れ、地位を得てなお、貴様は何も変わっておらぬのか」

プリシラ

「興醒めじゃな。久方ぶりの故郷の土も、こうも痩せ衰えては感慨もない」

🔴 赤い隻眼

蹲る代わりに、隻眼へ灯がともる

心無い言葉が、深く傷付けたことはわかった。

だが彼女は蹲る代わりに、隻眼に激情を宿す。

怒りとは違う、決意や覚悟というべき灯火を。

アラキア

(´;ω;`)

「……姫様に、どう思われても、いい。つらいけど。でも、わたしは決めたから」

プリシラ

「――。ほう、決めたとはな。何を決めたか、申してみよ」

アラキア「帝国に! 姫様の居場所をとりもどす! そのために――」

隻眼が正面を外れ、見当違いの方向へ向く。

なおもバルコニーで成り行きを見守る、あの男へ。

アラキア

「嘘つき閣下を――ッ!!」

🪖 割り込む人影

漆黒の兜が、割り込んでくる

アル

(・∀・)

「――やべぇな、兄弟。今、声聞くまでオレでも兄弟ってわかんなかったぜ」

漆黒のフルヘルム。

山賊のようなファッション。

肩口から失われた、左腕。

ナツミ

( ゚д゚ )

「――アル?」

アル

(´ー`)

「よお、兄弟! まさか、国境飛び越えた先で出くわすたぁ思わなかった」

アル

(×Д×)

「クソ、腕が痛ぇ! 人の渾身を軽々と打ち返すんじゃねぇよ、凹むぜ」

アル

「よくもまぁ育ったもんだ。美人になるとは思ってたがよ」

アラキア

「……誰?」

アル

「その言われよう、地味にオレも傷付くぜ。お互いに命を預け合った仲なのに、よ!」

🗣️ 心無い声援

連れてこられた理由を、思い出させられる

プリシラ

(¬_¬)

「シュルトではなく、貴様を連れてきた妾の望みはわかるな。仕事をせよ」

アル

(>﹏<)

「してるっつの! 気ぃ抜いたら十秒でボロカスにされるぜ、オレ!?」

プリシラ

「見てくれなら、今とさして変わらぬではないか」

アル

「さすがにボロカスよりはマシだろ!? うおわぁ!?」

脚部を炎に変えたアラキアが、鳥よりも自在に空を旋回する。

アラキア

「邪魔……っ」

アル

「年頃の娘にそう言われっと、オッサンの心は本気で痛むぜ」

🙇 縋るような目

レムが代わりに、頭を下げる

プリシラ

「縋るような目を向けるな、凡愚。その作り物の美貌は褒めてやってもいいが、それで妾を動かすとするなら不敬もよいところであろう」

代わりに動いたのは、レムだった。

レム

( •̀_•́ )

「お願いします。どうか、お力をお貸しください」

プリシラ

「――。ふん、殊勝な物言いよな。凡愚と比べれば、まだ礼儀は弁えていると言えよう」

プリシラ

「逸るな。それに見ておれ。すでに状況の動く用意は整った」

🪢 手すりの下に命綱

アベルは、自らの意思で足場を崩した

半壊したバルコニーの床を、強く踏みしめる。

ひび割れが拡大し、足場が一挙に崩落した。

落下するはずだった体が、中空に吊り下げられる。

手すりに置いた手の下に、命綱を隠していた。

雑兵が相手なら、崩落に巻き込んで階下へ落とせた作戦だっただろう。

しかし相手は『九神将』の『弐』。

アラキア

「お遊び……っ」

⚡ 不自然な揺れ

空を蹴ろうとした体が、不自然に揺れる

空を蹴ろうとしたアラキアの体が、不自然に揺れる。

驚きに見開かれる目と、押し殺した苦鳴。

常人にはわからない類の、変調だった。

アベル「――仕掛けよ!!」

まるで、この瞬間の訪れを確信していたかのように。

アル

(>﹏<)

「種明かしはあとで頼まぁ!!」

青龍刀の一撃が放物線を描く。

だが、手首が返され、刃ではなく峰が向かった。

プリシラ

「馬鹿め」

掲げた左腕で真正面から受けられる。

肘が反対に折れ、折れた骨が肌を突き破った。

だが、致命打にはなり得ない。

アル

(×Д×)

「ど、あぁぁぁ――っ!?」

🔥 黒く焼け焦げた長身

ミゼルダが、命を燃やして飛びかかる

瓦礫を吹き飛ばし、猛々しい雄叫びと共に急襲する影。

負傷し、黒く焼け焦げた鍛えられた長身。

赤く染められた黒髪と、白い紋様。

ナツミ

(>﹏<)

「ミゼルダさん!!」

アルと違い、獲物にかける慈悲や情けはない。

アベルが「仕掛けろ」と命じた対象は、彼女だった。

だが、あと一歩が足りない。

枝が腹を貫き、内臓を掻き回す。

アラキア

「これで、やっと……」

ミゼルダ

(╬゚Д゚)

「――どこを見ていル?」

血の泡を口の端に浮かべながら、目が爛々と光り輝く。

両手で、枝を持つ右手を掴んで離さない。

🗡️ 一足で距離を詰めて

味方の誰も届かない一瞬に、一人だけ届く

生まれた一瞬の停滞は、最後の好機だった。

だが、味方の誰も届かない。

プリシラ「――せいぜい胸を張れ、鬼の娘。貴様の懇願が妾の一振りを呼び込んだことを」

気配の正体を察して、迎撃できなくなる。

アラキア

「ひめ――」

紅の剣閃が、一撃する。

プリシラ

(・・・・・・)

「言ったはずじゃ、アラキア。――次に妾と会うまでに、覚悟を決めておけと」

交わされた過去の約束。

その真意は、余人には立ち入る資格もない。

二人はもつれ合うように倒れ、糸の切れた人形のように手足を投げ出した。

✨ 淡い光

焼かれ、吹き飛ばされ、腹を貫かれた体へ

唐突な静寂に呑まれ、時が静止したような錯覚。

一息、あるいはほんの一歩で、全てが台無しになりそうな強迫観念。

レム

(>﹏<)

「――ミゼルダさん!」

たどたどしい足取りで這うように床を進む。

全身を焼かれ、大風に吹き飛ばされ、腹を貫かれた体。

決死の表情で両手を当て、淡い治癒魔法の光で繋ぎ止めんとする。

🕳️ ぽっかりと空いた空洞

手を貸せ、と言われて立ち上がる

アベル

「呆けている場合か。手を貸せ」

アベル

「生き残ったか。悪運が強いものよな」

ナツミ

(´・ω・`)

「……お前も、憎まれ口の切れ味は十分残ってるみたいだな」

こちらもボロボロなら、引き上げられる方もボロボロだ。

今すぐにでも手足を投げ出して意識を手放したい。

そうも言っていられない。

ナツミ

「ミゼルダさん、だけじゃない……」

治癒魔法を使えるものが貴重な環境では、応急手当も必要になる。

ここで倒れるということは、失われることを許容するということだ。

そんなことは、あってはならない。

第七章25『再会は燃える血潮の如く』終了。