第七章50
『眺めのいい"穴"』
見晴らしがよくて、奈落。――どちらかが嘘なら、嘘をついているのは奈落の方だ。
🧩 どっちかが嘘
一つ目のヒントも、ナゾナゾだった
「――答えは、俺の中にある」
『瞼の裏側』というナゾナゾ、その答えが最初の部屋だった。
だから『見晴らしのいい奈落』も、ナゾナゾだ。
・見晴らしがいい=眺めがいい
・奈落=深い穴
――眺めのいい穴なんて、ちっともちゃんとしていない。
だから、どっちかが嘘だ。嘘をつけるのは、奈落の方しかない。
(・・・・・・)
「奈落っぽくて、奈落じゃないモノ……」
🕳️ 青い底なし
投げ飛ばされたときの感覚が、答えになる
――通りで、あの男の子に投げ飛ばされたときだ。
ぐるぐると回りながら、何度も思った。
自分が、青い空に向かって『落ちて』いくのだと。
果てしない、青々とした底なしの『穴』へと。
「――空に、一番近い場所にいかないと」
(ノ・∀・)ノ
「あー、う!」
ルイが指差したのは、この街で一番空に近い建物。
(´Д`;)
「お前も、あれだと思うんだよな……」
――紅瑠璃城。縮んだままでは、間違いなく門前払いを喰らう場所だ。
元に戻る手順に、一度は城へ行かせる。
『悪辣翁』らしい悪巧みに思えた。
🤢 内臓がひっくり返る
あの移動に、自分も乗せてもらえるか試す
「お前の、あのワープだけど……俺も一緒に飛ばせてたよな?」
(・∀・)
「あう!」
「ホントか? たぶん使えるじゃ困るんだぞ」
(`ε´)
「うー……っ」
薄暗い路地から、明るい通りへ。
どこかの建物の一室へ、続けて屋根の上へ。
――ちゃんと使いこなせると証明するかのように、五回。
(>﹏<)
「わ、わかった! わかったから、もういい! もうやめてってば!」
(>Д<)
「おええええっ!」
(;´Д`)
「べ、便利だ。これがあれば……うえっ」
🧱 石垣を飛び越える
指差して、手を強く握る。それが合図だった
飛ぶ方向を指差して、手を強く握る。――それが合図だ。
門の前にどっかり座る門番は、青い鱗の蜥蜴人。
大口を開ける欠伸が、遠くからも見えた。
「ルイ」
指を、紅瑠璃城をぐるりと囲む石垣に向ける。
――次の瞬間、二人の体は城壁を飛び越え、敷地内に入っていた。
どんな厳重な警備も、ルイの転移の前には役に立たない。
――監視カメラのないこの世界で、神出鬼没のワープは完全にチートだった。
ただし、連続で使えるのは二回まで。
三回以上は絶対に吐くし、もっと悪いと気絶してしまうかもしれない。
「誰も、こいつを止められなくなる」
――もう誰も殺させない。それが、ルイを連れて逃げたスバルの誓いだ。
😱 真後ろから
慎重にいこう、と言った矢先に
「とにかく、できるだけ慎重にいくぞ。もし見つかったら――」
(´ー`)
「童同士が手を繋いで、何とも可愛らしいものでありんす」
「わっちも思わず、頬が綻んでしまいんすなぁ」
一瞬前まで、廊下には誰もいなかった。
いなかったにも拘らず、突然に現れた。
――異世界の、超越者たちというものは。
「そう怯える必要はありんせん。何しにわっちの城にきたでありんすか?」
🎲 半分だけ合っている
昨日の印象が、一転する
「タンザ、でありんすか?」
( ゚д゚ )
「え……っ」
「主さんらが、こうして城にいる理由でありんす」
――それは合っている。でも、半分だけだ。
もう半分を埋めるために、賭けに出る。
「タンザちゃんは、どこにいますか?」
「生憎と、タンザは使いに出していんす。もう、戻ってもいい頃でありんしょうが……」
――賭けに勝った。
彼女は、正体を見透かしていたわけではなかったのだ。
「わっちのために尽くすのはよくても、友人との約束を忘れるようでは従卒なんて務まりんせん」
(´・ω・`)
「と、友達……」
「その矛先を、わっちにだけ向けるようではダメと、そういつも言っているでありんすが」
――昨日の、底知れない魔都の女帝という印象が一転する。
もっと身近でわかりやすい、子どもを案じる大人の雰囲気に。
🍵 もてなす役目
追い返さずに、部屋へ通してもらえる
「タンザの不注意でありんすが、追い返すのもしのびのうござりんす」
「――部屋で、タンザが戻るのを待ちなんし」
「ついてきなんし。わっちが案内しんしょう」
(゚д゚ ;)
「うえ……!? ヨルナ様が、ですか!?」
「ここはわっちの城でありんす。当然、もてなすのはわっちの役目でござりんしょう」
(・∀・)
「あの子の友人がくるのも初めてのことでありんす。さ、ついてくりゃれ」
「街の外から……その、怖い大人と一緒に」
「怖い大人……それはそれは、苦労も多そうでありんす」
「――その怖い大人、わっちが仕置きしてあげんしょうか」
( ゚д゚ )
「仕置きって……え、ヨルナ様がですか?」
(*´ω`*)
「ふふ、こう見えて、わっちはなかなか力持ちでありんすから」
🕊️ 終の地
怖がられていた方が、通しやすい筋もある
「ヨルナ様は、ちゃんとお話を聞いてくれるんですね」
「てっきり、偉い人は怖い人だって、勝手に思ってたから……」
「その主さんらの目から見て、この都市はどう見えるでありんすか?」
「すごい、賑やかな街だなって。色んな人が、たくさんいるし」
「この都市には、余所で暮らしづらいものたちが大勢集まりんす」
「街の外では小さくなって、行き場のない子ら……」
(・・・・・・)
「声を上げても、気付かれのう子らでありんす」
「いったい誰が耳を貸してやれるんでありんしょう」
――タンザの言葉の本当の意味が、ここでわかった。
(´;ω;`)
「ごめんなさい、ヨルナさん……」
「偉いお人が怖く見えるのは、そうしないと偉いお人も怖いからでありんしょう」
「怖がられていた方が通しやすい筋もある、でありんす」
🗣️ 聞いてほしいこと
正しいか間違っているか、考える頭が今はない
「長く、欲しかったものに手が届きそうな兆しが見えてきたでありんして」
――上機嫌の裏にあるのは、おそらくアベルの送った親書。
だが、その約束が果たされるかは、合流できるかにかかっている。
そして、それを妨害しているのは付き人のタンザなのだ。
自分の望みとタンザの望みがぶつかったとき、彼女はどちらを選ぶのか。
――前にも誰かのために、皇帝に逆らったことのある人が。
(´ー`)
「――また、眉間に皺を刻んでおりんすな」
これも、早まった考えなのかもしれない。
でも、正しいか間違っているか、ちゃんと考える頭が今はないから――
🍶 絶景絶景
天守閣の屋根瓦に、瓢箪を持つ影がある
――紅瑠璃城の天守閣、その屋根瓦の上。
青と赤が入り混じる輝きを尻に敷き、瓢箪に口を付ける。
(´ー`)
「かかかっか、絶景絶景」
混沌としたものが好きだ。
混沌とした街並みも、入り乱れる亜人種も、右へ左へ流れる思惑も。
(≧▽≦)
「ワシんとこ辿り着くにしても、意外性高まりすぎの顔ぶれじゃぜ、ホント」
指差す少年と、その手を握る金髪の少女。
――そして、二人の後ろに保護者のように佇む、魔都の女帝の姿だった。
第七章50『眺めのいい"穴"』終了。
スバル
ルイ
「――見つかったら、どうするでありんす?」
オルバルト