リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章90

『地獄の揺り篭』

反乱軍の本陣。そして、戦場のすべての声に耳を開く男がいる。

📢 五つの頂点

五つのうち、二つだけ守護者が見えない

「――間違いありません! 正面、第一頂点『弐』アラキア!!」

「第二頂点『玖』のマデリン・エッシャルトと推測! 飛竜の群れが上空を旋回!」

――「第三頂点、守護者未確認!」

「同じく、第四頂点守護者確認できず! 確認できず!」

「第五頂点、派手な攻撃……一将じゃない! 二将だ! カフマ・イルルクス!」

ズィクル

「堅牢たる帝都ルプガナ、それを落とす側に立つことは考えたくはありませんでした」

アベル

(¬_¬)

「だが、事態は貴様の泣き言が収まるのを待とうとはせぬ」

アベル

「戦況に話を戻せ。優先すべきは第三と第四の頂点」

ズィクル

( •̀_•́ )

「は! 第三と第四の遠見を厚くせよ! 間違いなく、一将が出陣しているぞ!」

🐺 一騎当千

数で勝っていても、連携の考えが乏しい

戦力比で言えば反乱軍が正規兵を圧倒している。

――しかし、集結した叛徒たちに連携の考えは乏しい。

加えて攻め落とすべき敵は、堅固堅牢を絵に描いた帝都の最奥にこもっている。

アベル「――戦力比を最も掻き回す存在こそ、一騎当千たる強者たち」

アベル

「最低限、アラキアとマデリン・エッシャルト、モグロ・ハガネの参戦は疑えぬ」

アベル

「実力だけならカフマ・イルルクスも一将相当だ」

ズィクル

「ゴズ一将やグルービー一将の参戦はない。そうお考えですね?」

アベル

「ゴズ・ラルフォンは生死に拘らず、グルービー・ガムレットは動かしづらい」

帝都を追われるアベルを逃がすために抗ったゴズは、その後の消息が知れない。

アベル

「死を利用するやり方……その責を叛徒へ押し付け、兵の士気を煽る手法ぐらいだ」

ズィクル

「……考えたくありません。私もまた死兵となってでも剣を取ったことでしょう」

だが、実行するつもりがあるならば、開戦前が絶好の機だったはず。

アベル

「どちらであろうと、彼奴なら糸を張る」

😤 あんちゃん

あの中にいるのだから、と食い下がる

ミディアム

(>﹏<)

「やっぱりあたしもいきたい! あの中にあんちゃんがいるんだよ?」

アベル

(╬¬_¬)

「たわけ。不確定要素を増やすな」

ミディアム

( •̀_•́ )

「マデリンって子がいたよ! あの子がいるんなら、二人もいるかも!」

アベル

「この戦況において貴様の兄やあの娘の戦略的価値は低い」

ミディアム「あたしにとって、あんちゃんと友達より大事なものがあるかー!」

ズィクル

「ミディアム嬢、アベル殿は貴女の身を案じておられるのです」

ミディアム

(╬゚д゚)

「だーかーら! あたしだってちゃんと考えてるってば!」

ミディアム

「それが難しいから空っぽの場所から中に……」

アベル

( ゚д゚ )

「――待て」

📨 伝令

その話を、どこで聞いてきたのか

アベル

「がらんどうの場所、と言ったな。それがいずれかの頂点のことなら、どこで得た?」

ミディアム

(・∀・)

「どこでって……あ! そうだった! ごめん、アベルちん!」

ミディアム「三番目の頂点は人形ばっかりで、四番目の頂点は黒い影だけ」

ミディアム

「どっちも、ヨルナちゃんみたいな子はいないって!」

告げられた言葉、その内容の精査は不要だ。意味はわかる。

――問題は、その情報がもたらされた経緯。

アベル

「誰が貴様に伝えさせた」

アベル

(╬゚Д゚)

「誰だ」

🌀 言霊の加護

――膨大な、猛烈な、情報の渦に呑み込まれながら、オットーは瞑目する

――膨大な、猛烈な、情報の渦に呑み込まれながら、オットーは瞑目する。

右から左から、上から下から、前から後ろから、とめどなく押し寄せる声の暴力。

――かつて、物心つくかつかないかの頃を過ごした地獄の揺り篭の再臨。

『言霊の加護』の持ち主には、人の声と、動物の声と、虫の声と、

風の音と、雨音と、耳鳴りの区別さえつかない。

――死なずにその時期を過ごせたのは、環境のおかげに他ならない。

そして、周囲の全てと言葉を交わせる代償に、周囲の全てから孤立する。

――自分が何なのかという問いかけの牢獄で、永遠に孤独になれるのだ。

故に、『言霊の加護』の歴代の加護者はいずれも早逝してきた。

📻 最大へ

――以前、スバルにせがまれて話したとき、彼はこれを『チャンネル』と呼んだ

常時発動する種類の加護は、その効果に強弱をつけることで影響を緩められる。

――普段は最弱に設定している、その音量を上げ、強弱を最大へ引き上げた。

――以前、スバルにせがまれて話したとき、彼はこれを『チャンネル』と呼んだ。

オットー

「ガーフィールにも、ずいぶんと無理を言いましたからね……」

エミリアを死力を尽くすまで戦わせるわけにはいかない。

――当然だが、スバルやレムの回収以前に、エミリアの命が最優先なのだ。

その目的を果たすため、一番傷を負い、血を流す役目がガーフィールだった。

🩸 責任から逃げるな

安全圏で罪悪感に浸っているだけでいいのか

どこまでいっても、危険を負うのはガーフィールだ。オットーではない。

自分は安全圏でぬくぬくと、胸を痛めて罪悪感に浸っているだけでいい。

――それで事が済んだら、「さァすが、オットー兄ィだぜ!」と称賛されるのか。

オットー

(╬゚д゚)

「冗談じゃない」

オットー「負うなら自分も負え。責任から逃げるな、オットー・スーウェン」

自分では絶対に選べない道をエミリアが選んでくれて、オットーは安心した。

――内心で喜んでしまった。だから、部外者でいてはいけない。

いくつもあった可能性から、ここを選び取ったのはオットーなのだ。

🤧 とってもバカ

言ってほしかった言葉を、言ってもらえる

ペトラ「――オットーさんって、たまにとってもバカになりますよね」

ペトラ

(;゚Д゚)

「鼻血、いっぱい出てますよ。ちょっと怖いです」

オットー

( ゚д゚ )

「鼻……ぁ、気付きませんでした」

ペトラ

「ガーフさんに負けないぞーって?」

ペトラ

(¬_¬)

「やっぱり。オットーさんって、たまにすごいバカ」

オットー

「ガーフィールと違って、僕はもっとあっさり失血死しますから」

オットー

「ただ、身を切る覚悟はすべきです」

ペトラ

「オットーさんが、みんなにいけって言ったから?」

オットー

(;´Д`)

「ペトラちゃんには敵いませんね」

――正確には、オットーが言ってほしかった言葉だった。

🤍 使えない子じゃない

思っているほど頭の悪い子ではない、と言う

ペトラ

「わたし、オットーさんが思ってるほど、頭の悪い子じゃないと思います」

ペトラ

(╬¬_¬)

「それで、オットーさんは自分が思ってるより、頭がよくないと思います」

オットー

「それは……答えづらいですね」

ペトラ

「わたしはオットーさんが思ってるほど、使えない子じゃないつもりです」

小さな手が白く発光し、それが浸透してくる。頭に鳴り響いた耳鳴りが和らいだ。

オットー

「これは……陽魔法?」

ペトラ

(´・ω・`)

「旦那様から教わってる、魔法の一部です。まだ、初歩も初歩ですけど」

ペトラ「苦しい思いをした分だけ、偉いわけじゃないです」

ペトラ

「こんなの、いつもオットーさんが言いそうなことなのに」

ペトラ

「ずっと怒ってるの。気持ちはわかるけど、声と態度がトゲトゲしすぎ」

📡 支配します

かつてほど、孤独ではありえなかった

ペトラ

「わたしがいたら、もうちょっと効率よく頑張れます」

ペトラ

「それなのに、子どもは見ちゃダメってわたしのこと、後ろに下がらせますか?」

オットー

(>﹏<)

「言い方が悪い!」

ペトラ

「下がらせますか?」

握りしめた手が、ほんのわずかに震えているのを、この賢い少女が気付いていないはずがない。

――自分も何かしたいと願うのはペトラも同じなのだ。

オットー

「あとで、フレデリカさんには一緒に怒られてもらいますよ」

ペトラ

「一人で鼻血出してるより、一緒に鼻血出そうって言ってもらえた方が嬉しいです」

ペトラ

(・∀・)

「鼻血は嫌ですけどっ」

オットー「――この戦場のチャンネルは、僕が支配します」

ペトラ

( •̀_•́ )

「わたしたちが、支配しますっ」

――懐かしき故郷へ帰るオットーは、しかしかつてほど孤独ではありえなかった。

第七章90『地獄の揺り篭』終了。