第七章59B
『フロップ・オコーネル』
竜の牙は誰の形見か。――そして、目を開けた青い瞳が、仇の名を口にする。
🗝️ 忌まわしの我が家
飛竜に跨って、施設の出身者が現れる
「――自分の命を大事にしろよ、フロップ。自己犠牲なんて大馬鹿のするこった」
――孤児院での生活は、外の世界よりはずっと恵まれていた。
薄くてボロボロでも毛布があり、味のしないスープと一欠片のパンがあった。
大人に気紛れで暴力を振るわれるのも、毎日というわけではないぐらい。
だから、目立つことを覚えた。声と身振りを大きく、表情と仕草を大げさに。
――怒りの矛先を自分に集め、他の子に向かわないように。
「んなわきゃねえだろ、トンチキめ」
飛竜に跨って現れたその人は、お世辞にも見目の整った人物ではなかった。
「元々、オレもお前らと同じこの施設の出だ」
🔓 選べる
縛られた大人たちを前に、子どもが並ぶ
縛られた大人たちを前に、フロップ以外の全ての子どもが反逆者となった。
「いつも痛かった!」
「大嫌い!」
「あんちゃんの仇!」
「今さらなんだ、情けねえ」
「――もうあいつらにやり返したあとだろうが。お前らは、なんだって選べるんだよ」
――そう言われて、子どもたちは初めて気付いた。
自分たちはすでに、反逆することを選んでいたのだと。
(´;ω;`)
「おやすみ、あんちゃん」
もう、殴られる心配も、妹を泣かせる不安も抱えなくていいのだと、気付いた。
――気付いて、フロップは泣いた。塩辛い自由の味を噛みしめた。
🤔 なぜ引いた
飛竜が退いた理由は、二つに絞られる
理由は不明だが、飛竜の群れは撤退した。
――作戦目標の達成か、達成困難と判断したかの二極。
・急激な気温の低下は、寒さに弱い飛竜の戦力を確かに削いだ
・都市南部を平たく消し飛ばした白い光は、この世の終わりの光景だった
「やはり、女性は素晴らしい。が、女性の陰で守られる恥を当然と思いたくはない」
「城郭都市の攻略ならば、飛竜を使うのが定石だ」
「とはいえ、飛竜隊ではなく、『飛竜将』が送られてくるのは予想して然るべきだった」
――これは一都市の反乱ではなく、もっと大きな大政変の先触れなのだ。
⚔️ 双剣の使い手
投降を促す側と、促される側が向き合う
(╬¬_¬)
「オレに大人しく投降しろってか? それじゃ、他の連中と言ってることが変わらねえだろ」
「貴君の働きは見事だった。故に、貴君を解放する」
( •̀_•́ )
「信賞必罰はヴォラキアの掟であり、皇帝閣下のお望みだ」
(#゚д゚)
「その皇帝閣下と帝国を裏切って、敵側についた反乱の『将』がよく言えたもんだな……!」
「もしも、私が貴君と同じく、帝国と皇帝閣下に変わらぬ忠義を誓っていると言えば」
「貴君は私の話に耳を傾ける気になるだろうか」
(・_・)
「――ジャマル・オーレリー。上等兵だ」
(´ー`)
「今の私は『臆病者』と呼ばれる方が奮い立つのだがね」
🎩 探し人
見返りを求めない助力に、身元を尋ねる
「――すみません、この都市の代表の方はこちらでよろしかったですかね?」
「そちらの方が、『将』のズィクル・オスマンさんですか?」
「帝都の使い……我々への伝令だろうか」
(;´Д`)
「え? あ、いやいや、全然違いますよ!」
「負傷者の治療や、このあとの都市の修繕……言うなれば、戦後の処理のお手伝いに」
「すでに始めてしまっているので、一部は事後承諾なんですが」
(・∀・)
「難しい話ではないゾ、ズィクル。その男の話に嘘はなイ」
「ミゼルダ嬢、ご無事で何よりです。彼は?」
(≧▽≦)
「知らン。私たちの敵ではなク、顔のいい男だから通しタ」
「この状況で、見返りを求めない助力があるとは思わない。君は、何者だ?」
🥚 でけえ卵
生涯の義兄弟と、ここで出会う
「報告は受けている。私の領地では好きに過ごせ」
――苛烈な女傑、セリーナ・ドラクロイ上級伯。
「結局、ガキを殴る大人ってのは、自分がガキの頃に殴られた大人なのさ」
🐉 バルロイ
(・∀・)
「おお、ご同輩でやしょう。そちらさん方も、マイルズ兄ぃの拾いもんで?」
( ゚д゚ )
「それはまさか、卵?」
🐉 バルロイ
「そうそう、でけえ卵でやしょう? 実はこいつ、飛竜の卵なんですぜ」
「飛竜の卵なんて、どうするんだい?」
――生涯の義兄弟となる、バルロイ・テメグリフとの出会いだった。
🏛️ 宰相
懐かないはずの飛竜が、甘えた声を出す
凶暴かつ凶悪と聞かされた飛竜が、甘えるような声で餌を与えられている。
――散々、誇り高い竜は人には懐かないと言い聞かせられていたのに。
「物憂げにされておりますな」
(¬_¬)
「きたくて連れてこられた場所ではありませんから」
「私奴はこの神聖ヴォラキア帝国にて、皇帝閣下より宰相の役目を与っております」
「ベルステツ・フォンダルフォンと申すもの」
(゚д゚ ;)
「では、あなたが……」
👑 お世継ぎ
なぜ敵対するのか、その理由を聞く
「何故、アベルさんを? アベルさんの人柄のせいですか?」
(・・・・・・)
「一国の頂、皇帝に人格など求めません」
「求めるものがあるとすれば、それは能力と、責任を果たしていただける信頼と実績のみ」
「レム殿、現在、皇帝閣下にはお世継ぎが何人いらっしゃると思われますか?」
「想像がつきません。いらっしゃらないのでは?」
「――。よくおわかりですね。その通り、いらっしゃらないのですよ」
押し黙った老人の細めた目がうっすらと開き、その奥の瞳が見える。
――全身から溢れ出すのは、想像を絶する強烈な怒りだった。
「帝国は精強でなくてはならない。そうでなくては、この国は」
🏙️ 囚われの身
いなくなったと知ったら、と考えてみる
「……ベルステツさんは、マデリンさんのなんなんですか」
「協力者、というのが一番適当でしょう。この屋敷も、私奴の屋敷なのですよ」
「でも、ゆるりと過ごせるとも、過ごしたいとも思っていません」
――グァラルから一日とかからず運ばれた先。
アベルが玉座を追われ、そして奪還しなくてはならないと志す都市。
その中心にある水晶宮を遠目にしながら、レムは囚われの身となっている。
(´・ω・`)
「……あの人が」
レムがいなくなったと知ったら、その胸に痛みが走るだろうか。
――それが自分のどんな想いから来る考えなのか、レムにはわからなかった。
🦷 カリヨン
なぜそれを持っているのか、と問い詰められる
(>Д<)
「な、なんだって……ちっとも体が動かないじゃないか……!」
(;´Д`)
「――。お前、かなりおかしな人間だな」
「竜だ。お前の傷は治している最中だから、無意味にはしゃぐな」
「マデリン嬢、聞きたいんだけど、グァラルはどうなったんだい?」
(╬゚д゚)
「街は無事だっちゃ! 壊し切れなかったっちゃ! これでいいっちゃか!?」
「奥さんは、僕の命をうまく使ってくれたのだね……」
「カリヨンが生まれたとき、僕もその場に居合わせた」
「あの子の名前は、僕も一緒に考えたんだよ。マイルズ兄ぃと、バルロイと一緒にね」
「あの子の牙が生え変わったとき、その記念にもらったんだ。義兄弟の……家族の証だとね」
🔥 悲しみ方がわからない
なぜ『九神将』になったのか、を尋ね返す
「君は、バルロイの後釜として『玖』になった子だ」
「君はどうして、『九神将』になったんだい?」
「――復讐、だっちゃ」
「……バルロイの、竜の伴侶になるはずだった男の、復讐っちゃ」
( •̀_•́ )
「竜の良人を殺したモノを、竜は絶対に許さんっちゃ」
――悲しみ方がわからないのだ。
彼女には、怒ることしか思いつかない。
そしてそれは、泣き方を忘れてしまったフロップと同じだった。
「――誰が、バルロイの仇だと? どうすれば、復讐は果たされるんだい?」
――名前を聞いたフロップは、目をつむった。
そして、青い瞳に光を灯す。
第七章59B『フロップ・オコーネル』終了。
ミディアム
ズィクル
ジャマル
オットー
ミゼルダ
フロップ
「もちろん、孵すんでさぁ」
ベルステツ
レム
マデリン