リゼロを読む WEB版・初見向け解説
明るさ
字の大きさ
行間
地の文の書体

206話

第七章59B

『フロップ・オコーネル』

竜の牙は誰の形見か。――そして、目を開けた青い瞳が、仇の名を口にする。

🗝️ 忌まわしの我が家

飛竜に跨って、施設の出身者が現れる

「――自分の命を大事にしろよ、フロップ。自己犠牲なんて大馬鹿のするこった」

――孤児院での生活は、外の世界よりはずっと恵まれていた。

薄くてボロボロでも毛布があり、味のしないスープと一欠片のパンがあった。

大人に気紛れで暴力を振るわれるのも、毎日というわけではないぐらい。

だから、目立つことを覚えた。声と身振りを大きく、表情と仕草を大げさに。

――怒りの矛先を自分に集め、他の子に向かわないように。

「んなわきゃねえだろ、トンチキめ」

飛竜に跨って現れたその人は、お世辞にも見目の整った人物ではなかった。

「元々、オレもお前らと同じこの施設の出だ」

🔓 選べる

縛られた大人たちを前に、子どもが並ぶ

縛られた大人たちを前に、フロップ以外の全ての子どもが反逆者となった。

「いつも痛かった!」

「大嫌い!」

「あんちゃんの仇!」

「今さらなんだ、情けねえ」

「――もうあいつらにやり返したあとだろうが。お前らは、なんだって選べるんだよ」

――そう言われて、子どもたちは初めて気付いた。

自分たちはすでに、反逆することを選んでいたのだと。

ミディアム

(´;ω;`)

「おやすみ、あんちゃん」

もう、殴られる心配も、妹を泣かせる不安も抱えなくていいのだと、気付いた。

――気付いて、フロップは泣いた。塩辛い自由の味を噛みしめた。

🤔 なぜ引いた

飛竜が退いた理由は、二つに絞られる

理由は不明だが、飛竜の群れは撤退した。

――作戦目標の達成か、達成困難と判断したかの二極。

・急激な気温の低下は、寒さに弱い飛竜の戦力を確かに削いだ

・都市南部を平たく消し飛ばした白い光は、この世の終わりの光景だった

ズィクル

「やはり、女性は素晴らしい。が、女性の陰で守られる恥を当然と思いたくはない」

ズィクル

「城郭都市の攻略ならば、飛竜を使うのが定石だ」

ズィクル

「とはいえ、飛竜隊ではなく、『飛竜将』が送られてくるのは予想して然るべきだった」

――これは一都市の反乱ではなく、もっと大きな大政変の先触れなのだ。

⚔️ 双剣の使い手

投降を促す側と、促される側が向き合う

ジャマル

(╬¬_¬)

「オレに大人しく投降しろってか? それじゃ、他の連中と言ってることが変わらねえだろ」

ズィクル

「貴君の働きは見事だった。故に、貴君を解放する」

ズィクル

( •̀_•́ )

「信賞必罰はヴォラキアの掟であり、皇帝閣下のお望みだ」

ジャマル

(#゚д゚)

「その皇帝閣下と帝国を裏切って、敵側についた反乱の『将』がよく言えたもんだな……!」

ズィクル

「もしも、私が貴君と同じく、帝国と皇帝閣下に変わらぬ忠義を誓っていると言えば」

ズィクル

「貴君は私の話に耳を傾ける気になるだろうか」

ジャマル

(・_・)

「――ジャマル・オーレリー。上等兵だ」

ズィクル

(´ー`)

「今の私は『臆病者』と呼ばれる方が奮い立つのだがね」

🎩 探し人

見返りを求めない助力に、身元を尋ねる

「――すみません、この都市の代表の方はこちらでよろしかったですかね?」

オットー

「そちらの方が、『将』のズィクル・オスマンさんですか?」

ズィクル

「帝都の使い……我々への伝令だろうか」

オットー

(;´Д`)

「え? あ、いやいや、全然違いますよ!」

オットー

「負傷者の治療や、このあとの都市の修繕……言うなれば、戦後の処理のお手伝いに」

オットー

「すでに始めてしまっているので、一部は事後承諾なんですが」

ミゼルダ

(・∀・)

「難しい話ではないゾ、ズィクル。その男の話に嘘はなイ」

ズィクル

「ミゼルダ嬢、ご無事で何よりです。彼は?」

ミゼルダ

(≧▽≦)

「知らン。私たちの敵ではなク、顔のいい男だから通しタ」

ズィクル

「この状況で、見返りを求めない助力があるとは思わない。君は、何者だ?」

オットー「オットー・スーウェンと申します。――友人と、友人の妹さんを探していまして」

🥚 でけえ卵

生涯の義兄弟と、ここで出会う

「報告は受けている。私の領地では好きに過ごせ」

――苛烈な女傑、セリーナ・ドラクロイ上級伯。

「結局、ガキを殴る大人ってのは、自分がガキの頃に殴られた大人なのさ」

🐉 バルロイ

(・∀・)

「おお、ご同輩でやしょう。そちらさん方も、マイルズ兄ぃの拾いもんで?」

フロップ

( ゚д゚ )

「それはまさか、卵?」

🐉 バルロイ

「そうそう、でけえ卵でやしょう? 実はこいつ、飛竜の卵なんですぜ」

フロップ

「飛竜の卵なんて、どうするんだい?」

ボルカニカ「もちろん、孵すんでさぁ」

――生涯の義兄弟となる、バルロイ・テメグリフとの出会いだった。

🏛️ 宰相

懐かないはずの飛竜が、甘えた声を出す

凶暴かつ凶悪と聞かされた飛竜が、甘えるような声で餌を与えられている。

――散々、誇り高い竜は人には懐かないと言い聞かせられていたのに。

ベルステツ

「物憂げにされておりますな」

レム

(¬_¬)

「きたくて連れてこられた場所ではありませんから」

ベルステツ

「私奴はこの神聖ヴォラキア帝国にて、皇帝閣下より宰相の役目を与っております」

ベルステツ

「ベルステツ・フォンダルフォンと申すもの」

レム

(゚д゚ ;)

「では、あなたが……」

ベルステツ「ええ。――私奴が、ヴィンセント・アベルクス閣下の敵です」

👑 お世継ぎ

なぜ敵対するのか、その理由を聞く

レム

「何故、アベルさんを? アベルさんの人柄のせいですか?」

ベルステツ

(・・・・・・)

「一国の頂、皇帝に人格など求めません」

ベルステツ

「求めるものがあるとすれば、それは能力と、責任を果たしていただける信頼と実績のみ」

ベルステツ

「レム殿、現在、皇帝閣下にはお世継ぎが何人いらっしゃると思われますか?」

レム

「想像がつきません。いらっしゃらないのでは?」

ベルステツ

「――。よくおわかりですね。その通り、いらっしゃらないのですよ」

押し黙った老人の細めた目がうっすらと開き、その奥の瞳が見える。

――全身から溢れ出すのは、想像を絶する強烈な怒りだった。

ベルステツ「いらっしゃらないのですよ、お世継ぎが。――それは、問題なのです」

ベルステツ

「帝国は精強でなくてはならない。そうでなくては、この国は」

🏙️ 囚われの身

いなくなったと知ったら、と考えてみる

レム

「……ベルステツさんは、マデリンさんのなんなんですか」

ベルステツ

「協力者、というのが一番適当でしょう。この屋敷も、私奴の屋敷なのですよ」

レム

「でも、ゆるりと過ごせるとも、過ごしたいとも思っていません」

――グァラルから一日とかからず運ばれた先。

レム「――帝都、ルプガナ」

アベルが玉座を追われ、そして奪還しなくてはならないと志す都市。

その中心にある水晶宮を遠目にしながら、レムは囚われの身となっている。

レム

(´・ω・`)

「……あの人が」

レムがいなくなったと知ったら、その胸に痛みが走るだろうか。

――それが自分のどんな想いから来る考えなのか、レムにはわからなかった。

🦷 カリヨン

なぜそれを持っているのか、と問い詰められる

フロップ

(>Д<)

「な、なんだって……ちっとも体が動かないじゃないか……!」

マデリン

(;´Д`)

「――。お前、かなりおかしな人間だな」

マデリン

「竜だ。お前の傷は治している最中だから、無意味にはしゃぐな」

フロップ

「マデリン嬢、聞きたいんだけど、グァラルはどうなったんだい?」

マデリン

(╬゚д゚)

「街は無事だっちゃ! 壊し切れなかったっちゃ! これでいいっちゃか!?」

フロップ

「奥さんは、僕の命をうまく使ってくれたのだね……」

マデリン「これは、カリヨンの牙だっちゃ。どうして、お前が持っているっちゃ?」

フロップ

「カリヨンが生まれたとき、僕もその場に居合わせた」

フロップ

「あの子の名前は、僕も一緒に考えたんだよ。マイルズ兄ぃと、バルロイと一緒にね」

フロップ

「あの子の牙が生え変わったとき、その記念にもらったんだ。義兄弟の……家族の証だとね」

🔥 悲しみ方がわからない

なぜ『九神将』になったのか、を尋ね返す

フロップ

「君は、バルロイの後釜として『玖』になった子だ」

フロップ

「君はどうして、『九神将』になったんだい?」

マデリン

「――復讐、だっちゃ」

マデリン

「……バルロイの、竜の伴侶になるはずだった男の、復讐っちゃ」

マデリン

( •̀_•́ )

「竜の良人を殺したモノを、竜は絶対に許さんっちゃ」

――悲しみ方がわからないのだ。

彼女には、怒ることしか思いつかない。

そしてそれは、泣き方を忘れてしまったフロップと同じだった。

ボルカニカ『あっしにゃ向いてやせんって。ここでマイルズ兄ぃとフロップと、ミディたちと一緒に……』

フロップ

「――誰が、バルロイの仇だと? どうすれば、復讐は果たされるんだい?」

――名前を聞いたフロップは、目をつむった。

そして、青い瞳に光を灯す。

フロップ「――君が、バルロイの仇なんだね。村長くん……いや、皇帝ヴィンセント・ヴォラキア」

第七章59B『フロップ・オコーネル』終了。