リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章56

『大災』

都市を捨てろと皇帝は言う。魔都の主は拒む。――そして、密林の狩人に隠していた名が突き付けられる。

🏳️ 承服できぬ

その案には、到底うなずけない

ヨルナ

「そのような意見、到底、頷けようはずがござりんせん」

アベル

(・_・)

「ほう。何故だ」

ヨルナ

「ここは魔都カオスフレーム、行く当ても寄る辺もなくしたものたちの最後の地……」

ヨルナ

(>﹏<)

「それを捨て去ろうなどと」

アベル

(¬_¬)

「承服できるものではない、か。――下らぬ感傷だ」

ヨルナ

(#`皿´)

「――ッ、ヴィンセント・ヴォラキア……!」

アベル

「今はアベルを名乗っている俺に、その呼び方は不適当だ」

アベル

「皇帝相手に慈悲を乞おうなどと思っているなら、それはあまりに浅慮というものであろう」

ヨルナ

「――。帝国民は精強たれ、でありんすか」

アベル

(・・・・・・)

「そうだ」

☄️ 大いなる災い

あれは何なのか、と問われる

ヨルナ

「いったい、あれはなんでありんす」

アベル「――『大災』」

ヨルナ

( ゚д゚ )

「大、災……?」

アベル

「帝国の存亡を危うくし、陽光の光さえ届かぬ滅びをもたらすモノ」

アベル

「……『星詠み』はそのように申していたな。聞いた当初は大言と思ったものだが」

アベル

「あれを見れば、表現にいささかの誇張もなかったことは知れよう」

ヨルナ

「では、主さんは『星詠み』の言葉を鵜呑みにし、背を向けて逃げるおつもりでありんしょうか」

アベル

(╬¬_¬)

「安い挑発で俺を動かせると思うなら、その思い違いを早々に正すがいい」

アベル

「第一、『星詠み』の言葉を鵜呑みにし、暴挙を働いたのは俺ではない」

🔍 黒髪の幼童

もう一人いたはずの姿が、見当たらない

ルイ

「うあう!」

アベル

「――。ヨルナ・ミシグレ、一つ確かめたい」

アベル「もう一人、黒髪の幼童がいたはずだ。それの姿はどこへ消えた?」

――ヨルナの視線が向いたのは、ルイが指差している『大災』の方だ。

闇が溢れ出した最初の場に、あの少年は居合わせた。

――否、むしろあの『大災』は、少年の内から溢れたようにも。

アベル

「やはり、そうか」

アベル

「思惑は狂うが、致し方ない。方策に拘って、成果を得られぬでは意味がない」

アベル

「魔都を放棄し、撤退戦を行う。――それでも被害は生じよう」

🔥 陽剣

短い腕の掌底が、腹に打ち込まれる

ルイ

「あー、う!」

短い腕の掌底が、アベルの腹に打ち込まれる。

ルイ

(´・ω・`)

「うあう……うあう!」

叫んで、少女の姿が瞬く間に視界から消えた。

ヨルナ

「――『陽剣』の焔なら、対抗できるはずではありんせんか」

アベル「――抜くつもりはない」

ヨルナ

「それでも『陽剣』を抜かぬと……それを、どうして受け入れられんしょう」

ヨルナ

(╬゚Д゚)

「答えるでありんす、ヴィンセント・ヴォラキア!」

ヨルナ

「主が、この帝国の皇帝なら、果たすべき役割があるはずでありんす!」

アベル

(・_・)

「……『陽剣』は使わぬ」

🚪 別の存在

いつになれば解するのか、と苛立たれる

アベル

「――いつになれば解する、ヨルナ・ミシグレ」

アベル「今代の皇帝たるヴィンセント・ヴォラキアと、貴様の思い描く皇帝とは別だ」

アベル

「貴様の願いや理想の通り、俺が動かねばならぬ謂れはない」

――言われずともわかっている。

目の前の男と、思い描く男とは似ても似つかない。

たとえその体に、愛するものの血が流れていたとしても。

ヨルナ

「……主の言葉を、承服することはできぬでありんす」

アベル

「魔都を捨てなければ、それ以外の全ても失うことになるぞ」

ヨルナ

(´;ω;`)

「この魔都が、今のわっちの全てでありなんす!」

💨 わっちを愛しなんし

紫煙が、一人一人の手の中に収まる

煙管の先に火を落とし、思い切りに吸い込んだ煙を空へ吹く。

巨大な紫煙の雲が広がり、やがて散り散りに。

――一人一人の手の中に、紫煙が収まった。

ヨルナ「――わっちを愛しなんし」

声が届かずとも、人々は一様に紫煙を口の中に放り込む。

ヨルナ「――わっちに愛されなんし」

――それはきっと、ヨルナがヨルナ自身へ与える免罪符だ。

自分で自分の背中を押すために、必要な祝詞。

顔を上げたものたちが、それぞれ片目に炎を灯していく。

ヨルナ

「この都市は、カオスフレームは失わせぬでありんす」

ヨルナ

( •̀_•́ )

「――わっちと主らで、あの不躾なお客人にお帰り願うとしなんす」

ヨルナ「――『極彩色』ヨルナ・ミシグレ、お相手仕るでありんす」

🏚️ 建物で殴る

城の残骸を振り回して、叩き込む

紅瑠璃城の残骸や破壊された街並みを振り回し、『大災』へ叩き込む。

――まるで『建物』で殴るというような、規格外の攻撃だ。

・城への愛着を破壊力へ変換した一撃が、勢いを確かに削いだ

・あれがなければ、そのまま帝国全土へ深淵が延びていたはず

・だが、放置すれば先延ばしにした崩壊は免れない

住民たちも建物を解体し、数人がかりで砲弾のように投げ込んでいる。

――過去、帝国兵を苦しめた、都市そのものを武器とする集団戦術だ。

タリッタ

「『大災』ガ、大きくなっていル……?」

ミディアム

(>﹏<)

「あれ、ほっといたらダメだよね!? アベルちん、どうするの!」

🗣️ その呼び名

口に出した呼び名を、聞き咎められる

アベル

「――あるいはその前に、貴様が状況を変えてみせるか、タリッタ」

タリッタ

(゚д゚ ;)

「エ……」

ミディアム

「な、なんか今の言い方、変だったよ? どゆこと?」

アベル

「タリッタ、貴様はあれをなんと呼んだ」

アベル「――『大災』と、そう呼んだのだ。どこで、その呼び名を知った」

――あのような存在を見て、無知なるものは『大災』と呼べない。

正しくそう呼べるのは、あの存在を知るものだけだ。

アベル

「滅びを免れる術を星に教わったか?」

タリッタ

(;゚Д゚)

「――ッ! マ、待ってくださイ、私ハ……!」

🏹 仕留め損なった

覆い隠す努力をしなければ、いつか露見する

――守られる秘密や、露呈しない真実というものは存在しない。

覆い隠すための努力を一切しないでいれば、露見する日は必ず訪れる。

アベル

「タリッタ、あの『大災』を貴様が知っているなら、悔やんでいるか」

ミディアム

「悔やむ? アベルちん! 何の話!?」

アベル「決まっている。――森で、俺をその矢で仕留め損なったことをだ」

タリッタ

(゚Д゚ ;)

「――ァ」

アベル

「それとも、今からでも天命に応えてみせるか、密林の狩人。いや、こう呼ぶべきか」

アベル「『大災』を防ぐ天命を継いだ、新たなる『星詠み』よ」

🖐️ 九十年以上連れ添った右手

泣きじゃくる声のところへ、誰かが来る

地面が揺れる。大気が怯えている。世界が死んでいく。

――その全部が、アルを蝕み、全身から力を奪っていく。

アル

(>Д<)

「なん、で……なんで、ここに……っ」

――彼と、ナツキ・スバルと行動していれば、こうなる危険性は十分あった。

それでも仕方なかった。放っておいてはいけなかった。

ナツキ・スバルは、あそこで折れてはならなかった。

オルバルト

「――おお、誰が泣きじゃくってんのかと思ったら、お前さんかよ」

オルバルト

(≧▽≦)

「かかかっか! なんじゃ、今の跳ね方! まるで芋虫みてえじゃったぜ、傑作、傑作!」

手を叩くことは、どうやら相手も二度とできそうもない。

オルバルト

「ったく、九十年以上連れ添った右手に先にいかれちまったい」

オルバルト

(・∀・)

「これじゃ今後、どうやって兵糧丸作ったらいいんじゃってよ。かかかっか!」

第七章56『大災』終了。