リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章46

『幼い蛮勇』

魔都の全員がヨルナの力を分けられている。――確かめる方法は、誰かを傷付けることだった。

👣 即席の足袋

正気の沙汰とは言えない、と言い添えられる

スバル

( ゚д゚ )

「街の人たちが、ヨルナとおんなじ力を持ってる……!?」

スバル

(>﹏<)

「そんな怖い話があるもんか! 『魂婚術』なんて……」

アベル

(¬_¬)

「出任せを並べているとでも? ならば、貴様らの手足が縮んだ事象をどう説明する」

アベル

「王国と帝国とでは術技の土台と培った研鑽が異なる。失伝した術技は枚挙に暇がない」

縮んだせいで、誰も足に合う靴がない。

布でくるんだ、即席の足袋のような状態だ。

――ほどけたら止まってしまう。それはダメだ。

アベル

「とはいえ、俺も候補にこそ考えていたが、まさかとは思っていた」

アベル

(・・・・・・)

「今も、それ以外にないか疑っている。それほど、正気の沙汰とは言えぬ所業だ」

🕯️ 魂を引き裂く

その術が、何を代償にしているのか

アル

「さっきの、正気の沙汰じゃないって話はどういう意味なんだ?」

アベル

「魂とはすなわち、そのものの根源にあるオドのことだ」

ミディアム

(・_・)

「でも、なんで魂がくっつくと強くなるの?」

アベル

「近い例で言えば、精霊術師と精霊との関係だ」

アベル

「術師と精霊は契約関係を結ぶことで、互いの根源に互いを接続する」

スバルも、精霊術師の端くれだ。

可愛いドレスの女の子と契約して、彼女の力を借りている。少な目だけど。

スバル

「精霊と約束するのって、すごい大変なことだから……」

スバル

(;゚Д゚)

「それとおんなじことをしてるって、しかもたくさんの人と!」

ミディアム

「うんうん」

スバル

「む、難しいんじゃないかって、思うんだ」

アベル

「それ故に、正気の沙汰ではないと言ったのだ」

アベル「己自身の根幹を成すものを無数に引き裂き、無分別に譲り渡すことに他ならん」

アベル

「それで自我を保つなどと、尋常で行えることではあるまい」

🤏 裾を摘まむ

自分なら誰に魂を渡せるか、を考えてみる

スバルなら、ベアトリス以外に魂は渡せない。

ここにいるミディアムやアルなら、悪さはしないだろう。

――アベルに渡せと言われたら、ごねてしまいたい。

ルイ

(´・ω・`)

「うー……」

ルイは意外なほど聞き分けがよかった。

大声も上げない。敵の注意も引かない。

裾を摘まむのは、自分の不安をどうにかさせるためではない。

スバルの不安に寄り添う術を、探しているかのようだった。

――嫌な奴で、怖い奴で、許せない奴だ。

レムに嫌われたくないから、それだけが一緒にいる理由だ。

それなのに――

🕵️ 一人捕らえれば

見たまま受け取った答えは、置いておく

アル

「オレたちを襲わせたのもヨルナ姉ちゃんで、Q.E.Dってこったろ」

アベル

「――。それが最も、現状を見たまま受け取った答えであろうな」

スバル

「そ、それはちょっと、違うかも……」

スバル

「ベアトリスと契約してても、今あの子が何してるかとかはわからなくて」

アル

「力だけ借りパクして、こっそり暴れられるって?」

アベル「――一人、相手を捕らえれば事情が変わるな」

スバル

(・∀・)

「た、確かに! 誰か一人、向こうの人から話が聞ければはっきりするじゃん!」

ミディアム

(≧▽≦)

「あ、ホントだ~! アベルちん、天才! それだよ、それ!」

アル

「そりゃ、それができたら苦労はねぇよ。相手はなんせ、全員がヨルナ姉ちゃんの力を受け取ってる」

スバル

(´・ω・`)

「あ、そっか……」

🩸 無作為に

住民か余所者かは、履物で見分けられる

アル

(;´Д`)

「どうすんだ、アベルちゃん。この調子じゃ付き合えねぇぜ」

アベル

「貴様の望みに興味はない。だが、確かめる方法はある」

アル

「確かめるって、何をだよ」

アベル

「あのものらの強靭さが、『魂婚術』によるものかどうかをだ」

アベル「通りすぎるものを一人選び、無作為に危害を加える」

アベル

「傷が癒えれば、『魂婚術』の影響下だ」

アベル

「傷付き、あるいは命を落とせば『魂婚術』の影響の外――推察は誤りと外せる」

アル

「オレたちみたいに住人の対象外ってパターンもあるだろ」

アベル

「履物を見れば、住民と余所者との区別は付けられる」

⚖️ 出し惜しみ

出し惜しみとは何なのか、わからない

スバル

(>﹏<)

「だ、誰かを傷付けなくたって、他の方法が……」

アベル

「あるなら言ってみるがいい。考慮に値する案なら耳を傾ける」

アベル

(╬¬_¬)

「――もっとも、今の貴様にそれを期待するのも酷というものであろうが」

アベル「――貴様は、殊更に犠牲が出ることを恐れる」

スバル

「でも、それがなんでダメなんだよ」

アベル

「否定ではない。ただの事実だ」

アベル

「自身の望みを最大限に通そうとすれば、知略か実力が必要となる」

アベル

「不足するなら、望む結果の方を削り、妥協するしかない」

アベル「死者も負傷者も望まないなら、その結果を引き寄せる力がいる」

アベル

「――貴様が本心からそれを望むなら、出し惜しむのは矛盾であろう」

わからない、わからない、わからない。

本当に、わからない。スバルの出し惜しみとは何なのか。

短い手足と小さな肺では、飛んだり跳ねたりもうまくできないのに。

📣 かかってこい

涙になる前に、背を向けて走り出す

スバル「――だったら、俺が傷付いたらいいんだろ!」

つぶった目の奥から、熱いものが込み上げてくる。

それが涙に変わってしまう前に、背を向けて走り出した。

アル

( ゚д゚ )

「兄弟!?」

ミディアム

「スバルちん!」

誰も傷付けたくない。死なせたくない。

そのための実力と知略が、どちらも足りない。

――なら、引き換えにするのはスバル自身だ。

スバル

( •̀_•́ )

「かかってこい! 俺はここだ!」

甲高い子どもの声が、通りの雑音を掻き消す。

いくつもの瞳に捉えられ、心臓が縮む痛みを味わった。

スバル

(´・ω・`)

「――ぁ」

早まったことをしたと、やってしまってから後悔する。

🐑 白い癖毛

腕を掴んだのは、同じくらいの年頃の少年

「待って」

腕を掴んでいたのは、背の低い人影。

簡素な軽装、短く見える白い癖毛の少年。

――今のスバルと、そう変わらない年齢感だ。

「ごめん」

――次の瞬間、右目を燃やした少年に軽々と投げ飛ばされていた。

スバル

(゚Д゚ ;)

「わ、わあああああ――!?」

回転しながら青い空へ。

視界の端をすごいスピードで障害物が通りすぎていく。

――やがて高さのてっぺんに達して、今度は真っ逆さまに。

スバル

「ああああ――っ!」

⛺ 即席のクッション

落下先に、間に合わせのクッションが敷かれる

ミディアム

「アルちん!」

アル

「わかってらぁ!」

出店のテントの固定が切り離され、ピンと張られる。

――即席のクッションだ。

スバル

(×Д×)

「いき、てる……?」

だが、二人も無事ではなかった。

衝撃で吹っ飛ばされ、通りに倒れている。

スバル

(>Д<)

「あ、アル! ミディアムさん!」

🐏 小さな角

謝りながら、それでも手を止めない

「さっきので終わってほしかったのに……」

覆い切れない炎を、右目に宿したままに。

スバル

「お、まえは……」

「必要なことなんだ。この街は……僕たちは、あの御方を失えないんだから」

――小路で引っかかったものの正体が、ここでわかる。

タリッタと向かい合っていた、片目を燃やした人たちの表情。

それがみんな、この少年と同じ辛そうな顔だった。

「ごめんよ。許してなんて、言わないよ」

癖毛の中、側頭部からちょんと覗いているモノ。

――小さな、角。

白い癖毛と角を見て、まるで羊のようだと場違いに思った。

ルイ

「うーっ!!」

前に割って入った金髪の少女が、鈍い音と赤い血を撒き散らして飛ばされていく。

第七章46『幼い蛮勇』終了。