リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章54

『理想郷カオスフレーム』

泣きやんだ先に、決着と交渉があった。――そして、黒い影が城を呑み込む。

😭 童の特権

泣いていい、と言ってもらえる

スバル

(・・・・・・)

「おれ、には……ホントに、お前がわからない」

スバル

「でも、お前がいなかったら、無理、だった。……ありがとう」

――決壊は、突然のことだった。

丸い瞳にじわりと涙が浮かび、あっという間に頬を伝って落ちる。

スバル

(´;ω;`)

「顔、拭けって、馬鹿、馬鹿ぁ……」

ヨルナ「――よく、頑張りんした、二人とも」

ヨルナ

「いくら泣いても構いんせん。この魔都の主、わっちが許しんす」

ヨルナ

「童には泣いて、大人の胸に縋る特権がござりんす」

オルバルト

(;´Д`)

「これ、全部背中でやられてるワシ、どんな顔してたらいいのかわからんのじゃぜ」

ヨルナ

(╬゚д゚)

「黙りなんし」

☠️ 死んだら解ける

勝っていたら、術は解けないままだった

ヨルナ

「それで、オルバルト翁は申し開きはありんすか?」

オルバルト

「自分の気分で殴りかかってきたのは狐娘、お前さんの方じゃろ?」

オルバルト

(≧▽≦)

「何でもありって話にしたら、一番得するのはワシなんじゃからよ。かかかっか!」

スバル

「オルバルトさん、俺たちにかけられてる術のことだけど……」

オルバルト

「おお、それな。もち、ワシが死んだら解けんのじゃぜ」

オルバルト

「いや、他の方法があるかもしらんけど、解けた奴は見たことねえわ」

スバル

(゚д゚ ;)

「やっぱり……!」

――ヨルナが勝っていたら、術は解けないままだった。

ずっとナチュキ・シュバルの状態だ。考えただけでもゾッとする。

🕊️ ここには自由がある

――それが、スバルの大好きな女の子の望んだ世界と、何が違うんだろう

辛い目に遭って排斥されて、ようやく見つけた安住の地を守りたい。

自分たちの平和な生活を続けたい。――その何を、責められるだろう。

――それが、スバルの大好きな女の子の望んだ世界と、何が違うんだろう。

最初は、その乱雑さに首をひねった街並み。

――でも、今は思う。ここには、自由があるのだ。

誰にも縛られず、自分を小さくしていなくていい自由。

だから、思うままを表現し、それを誰も否定しない雑多さが溢れている。

ここには、そんな未来の理想図が描かれているようにも思えて。

ヨルナ

「翁、答えてくりゃれ。あの子は、タンザはどこにおりんす?」

オルバルト

「ワシ、余所者じゃぜ? 娘っ子一人、匿える場所なんて限られとるんじゃからよ」

🐝 骨も残らぬ

音すら通さない宿で、鉢合わせる

――さして大きくない平凡な宿。だが、壁も内装も頑健で、音すら通さない。

万一に備えて用意された、要人用の宿泊施設だ。

アベル

「――帝国民は精強たれと、その理念に反した魔の都であろうよ」

カフマ

「貴公らは、ここが如何なる場所か弁えて踏み込んできたのか……!」

カフマ

(╬゚Д゚)

「答えよ! 返答によっては、骨も残らぬと思え!」

突き出した手には何も持っていない。だが、武器など必要ない。

――あらゆる武装は、彼自身の体内に文字通り巣食っている。

アル

「おい、アベルちゃん、本気かよ」

アベル

「貴様、いったい何度そう問えば心が決まる?」

アベル

「決まっていよう。――一人でいるには、今の貴様は臆病すぎるのだ」

ミディアム

(>﹏<)

「アベルちんがそんな言い方するから、スバルちんとルイちゃんも……」

🐺 帝国民は精強たれ

同じ声のやり取りが、二人の間で交わされる

ヴィンセント

「――静まれ、カフマ・イルルクス」

ヴィンセント

「そのものらに敵意はない。少なくとも、この状況ではな」

カフマ

「しかし、閣下! しかも、子連れで……」

ヴィンセント

(・_・)

「子連れがどうした」

カフマ

(´Д`;)

「いえ、子連れであることが、あまりにも意味がわからず……!」

アベル

「苛烈なヴォラキア皇帝にしては、不躾な女の不敬をずいぶんと寛大に許したものだ」

ヴィンセント

「相対するものに相応の価値を認めれば、相応の扱いをして然るものだ。なにせ――」

「「――帝国民は精強たれ」」

アルとミディアムには、二人の会話が全く同じ声のやり取りに聞こえている。

――『白蜘蛛』の化け方は、完璧だ。

🙇 私の全て

他人の分まで、自分の責として引き取る

タンザ

「このたびのこと、全ては主であるヨルナ様に黙り、私が仕組んだことにございます」

タンザ「どうか、ヨルナ様を戦乱に巻き込まないでください」

タンザ

「あの方はお優しい方、きっと多くの弱者のために戦い、傷付き、すり減っていく」

タンザ

( •̀_•́ )

「そのようなこと、決して見過ごせません。ヨルナ様は、私の全てなんです」

タンザ

「決めるのはヨルナ様ではなく、あなた様の方です」

タンザ

「ああも、乙女のような顔をされたヨルナ様をお目にかけるのは、初めてのことでした」

アベル

「ヨルナ・ミシグレは断らぬと、貴様はそう踏んだ。故に」

タンザ

「――はい。全てを、企みました」

オルバルトの関与した領分まで含め、自らの責と引き取ろうとしている。

――美しいな。

⚖️ 効率的に死ぬべき

首を落とされることまで策の内か、と問う

アベル

「あるいは、貴様自身の首を落とされることまで策の内か」

――俯いたまま、微かに首筋に緊張が走る。

アル

「死ぬつもり、だったってことか。……とんでもねぇ嬢ちゃんだ」

ミディアム

(>﹏<)

「そんなこと! 絶対にさせないよ! させないよね、アベルちん?」

アベル

「命を奪うことはこの娘の策の成就を意味する。そのような策に乗るつもりはない」

アベル「人とは、もっと効率的に死ぬべきだ」

アベル

「貴様の命を奪うつもりはない。ただ、同胞に出した命令は引いてもらう」

タンザ

「……それでは、先のお願いは」

アベル

「ヨルナ・ミシグレを戦乱に巻き込むな、か。――それは不可能だ」

アベル

「俺がこなかったとしても、ヨルナ・ミシグレは戦乱の渦に呑まれる」

アベル

「それがあれの選び取った立場であり、避け難い在り方だ」

ヴィンセント

「負けた。だがそれは、挑んだということだ。――余も、そうありたい」

タンザ

(´;ω;`)

「ヨルナ様、申し訳ありません……私は、未熟でした……」

🚫 解かせるつもりはない

三人のうち、一人だけ元に戻さない

アベル

「貴様の考えはどうあろうと、オルバルトの術を容易く解かせるつもりはない」

アル

( ゚д゚ )

「は?」

アベル

「正確には、貴様とミディアムは構わぬ」

アベル「だが、ナツキ・スバルの術を解かせるつもりはしばしない」

アル

(#゚д゚)

「ふ、ふざけんじゃねぇ! どういうことだ!? 聞いてねぇぞ!?」

ミディアム

「それって、スバルちんをイジメてたのと関係あるの?」

アベル

「イジメる、などと程度の低い真似をした覚えはないぞ」

アル

(╬゚д゚)

「なんで兄弟だけ……オレやミディアム嬢ちゃんは!」

アベル

「それでは条件に合わん。貴様は片腕、ミディアムは髪と目の色だ」

アベル「――付き合ってもらうぞ、ナツキ・スバル。抗えぬ風の吹く、戦乱の只中へ」

🤚 鳩尾に触れる

縮むときと同じことが、もう一度起きる

ヨルナ

「わっちの街の住人が、主さんらにずいぶんと無体なことをしたそうで、お詫びするでありんす」

スバル

(゚д゚ ;)

「え、そんな、ヨルナさん、よしてよ! 謝ることなんてないって!」

――死にかけの子どもを助けるために、キスすることを厭わなかった人。

正直、とても尊敬するし、好きになってしまった。

スバル

「巻き込みたく、ないな」

スバル

「お前に対する答えを、その相手がでかくなった自分でも、任せきりにしたくないんだ」

――ルイに殺させたくも、ルイを死なせたくもない。それだけは。

スバル

「大丈夫だ、ルイ。今度こそ、俺はちゃんとお前と向き合うよ」

ルイ

「うあう……あう」

スバル

「あの、痛かったりする?」

オルバルト

(・∀・)

「縮むとき痛かったかよ? それが答えじゃ、ぜ!」

🖤 見つけた

『――見つけた』

あの絶望の十秒間は、知っている『死に戻り』と一線を画したものだった。

あれは、いったい何がもたらしたものなのか――

『――見つけた』

オルバルトの右手が、手首から先を散らして消える。

ヨルナがルイを抱いて大きく後ろへ飛びずさる。

――視界一杯を黒い闇が溢れ返り、城の上部を、中部を、一挙に呑み込んでいく。

カフマ

「閣下! あれは……」

タンザ

(´;ω;`)

「そんな、城が……ヨルナ様……」

アル

(>Д<)

「あ、あああ、あああああああ――ッ!!」

ウビルク

「あーらら、なんという……これはちょっと、詠んでないとこかもですねえ」

タリッタ

「あなたハ――」

アベル

「――これが、貴様が内に抱えていたモノの正体か」

――愛してる。愛してる。愛してる。

あらゆる次元を超越して、ナツキ・スバルを塗り潰し、離れようとしない愛情。

愛のない、地獄のような世界を知った。

――ならば、愛ある世界に訪れる地獄とは、如何なるものか。

排斥されてきたモノたちの理想郷、魔都カオスフレーム。

――その崩壊は、他ならぬナツキ・スバルの因果にもたらされるのだと。

第七章54『理想郷カオスフレーム』終了。