第七章54
『理想郷カオスフレーム』
泣きやんだ先に、決着と交渉があった。――そして、黒い影が城を呑み込む。
😭 童の特権
泣いていい、と言ってもらえる
(・・・・・・)
「おれ、には……ホントに、お前がわからない」
「でも、お前がいなかったら、無理、だった。……ありがとう」
――決壊は、突然のことだった。
丸い瞳にじわりと涙が浮かび、あっという間に頬を伝って落ちる。
(´;ω;`)
「顔、拭けって、馬鹿、馬鹿ぁ……」
「いくら泣いても構いんせん。この魔都の主、わっちが許しんす」
「童には泣いて、大人の胸に縋る特権がござりんす」
(;´Д`)
「これ、全部背中でやられてるワシ、どんな顔してたらいいのかわからんのじゃぜ」
(╬゚д゚)
「黙りなんし」
☠️ 死んだら解ける
勝っていたら、術は解けないままだった
「それで、オルバルト翁は申し開きはありんすか?」
「自分の気分で殴りかかってきたのは狐娘、お前さんの方じゃろ?」
(≧▽≦)
「何でもありって話にしたら、一番得するのはワシなんじゃからよ。かかかっか!」
「オルバルトさん、俺たちにかけられてる術のことだけど……」
「おお、それな。もち、ワシが死んだら解けんのじゃぜ」
「いや、他の方法があるかもしらんけど、解けた奴は見たことねえわ」
(゚д゚ ;)
「やっぱり……!」
――ヨルナが勝っていたら、術は解けないままだった。
ずっとナチュキ・シュバルの状態だ。考えただけでもゾッとする。
🕊️ ここには自由がある
――それが、スバルの大好きな女の子の望んだ世界と、何が違うんだろう
辛い目に遭って排斥されて、ようやく見つけた安住の地を守りたい。
自分たちの平和な生活を続けたい。――その何を、責められるだろう。
――それが、スバルの大好きな女の子の望んだ世界と、何が違うんだろう。
最初は、その乱雑さに首をひねった街並み。
――でも、今は思う。ここには、自由があるのだ。
誰にも縛られず、自分を小さくしていなくていい自由。
だから、思うままを表現し、それを誰も否定しない雑多さが溢れている。
ここには、そんな未来の理想図が描かれているようにも思えて。
「翁、答えてくりゃれ。あの子は、タンザはどこにおりんす?」
「ワシ、余所者じゃぜ? 娘っ子一人、匿える場所なんて限られとるんじゃからよ」
🐝 骨も残らぬ
音すら通さない宿で、鉢合わせる
――さして大きくない平凡な宿。だが、壁も内装も頑健で、音すら通さない。
万一に備えて用意された、要人用の宿泊施設だ。
「――帝国民は精強たれと、その理念に反した魔の都であろうよ」
「貴公らは、ここが如何なる場所か弁えて踏み込んできたのか……!」
(╬゚Д゚)
「答えよ! 返答によっては、骨も残らぬと思え!」
突き出した手には何も持っていない。だが、武器など必要ない。
――あらゆる武装は、彼自身の体内に文字通り巣食っている。
「おい、アベルちゃん、本気かよ」
「貴様、いったい何度そう問えば心が決まる?」
「決まっていよう。――一人でいるには、今の貴様は臆病すぎるのだ」
(>﹏<)
「アベルちんがそんな言い方するから、スバルちんとルイちゃんも……」
🐺 帝国民は精強たれ
同じ声のやり取りが、二人の間で交わされる
「――静まれ、カフマ・イルルクス」
「そのものらに敵意はない。少なくとも、この状況ではな」
「しかし、閣下! しかも、子連れで……」
(・_・)
「子連れがどうした」
(´Д`;)
「いえ、子連れであることが、あまりにも意味がわからず……!」
「苛烈なヴォラキア皇帝にしては、不躾な女の不敬をずいぶんと寛大に許したものだ」
「相対するものに相応の価値を認めれば、相応の扱いをして然るものだ。なにせ――」
「「――帝国民は精強たれ」」
アルとミディアムには、二人の会話が全く同じ声のやり取りに聞こえている。
――『白蜘蛛』の化け方は、完璧だ。
🙇 私の全て
他人の分まで、自分の責として引き取る
「このたびのこと、全ては主であるヨルナ様に黙り、私が仕組んだことにございます」
「あの方はお優しい方、きっと多くの弱者のために戦い、傷付き、すり減っていく」
( •̀_•́ )
「そのようなこと、決して見過ごせません。ヨルナ様は、私の全てなんです」
「決めるのはヨルナ様ではなく、あなた様の方です」
「ああも、乙女のような顔をされたヨルナ様をお目にかけるのは、初めてのことでした」
「ヨルナ・ミシグレは断らぬと、貴様はそう踏んだ。故に」
「――はい。全てを、企みました」
オルバルトの関与した領分まで含め、自らの責と引き取ろうとしている。
――美しいな。
⚖️ 効率的に死ぬべき
首を落とされることまで策の内か、と問う
「あるいは、貴様自身の首を落とされることまで策の内か」
――俯いたまま、微かに首筋に緊張が走る。
「死ぬつもり、だったってことか。……とんでもねぇ嬢ちゃんだ」
(>﹏<)
「そんなこと! 絶対にさせないよ! させないよね、アベルちん?」
「命を奪うことはこの娘の策の成就を意味する。そのような策に乗るつもりはない」
「貴様の命を奪うつもりはない。ただ、同胞に出した命令は引いてもらう」
「……それでは、先のお願いは」
「ヨルナ・ミシグレを戦乱に巻き込むな、か。――それは不可能だ」
「俺がこなかったとしても、ヨルナ・ミシグレは戦乱の渦に呑まれる」
「それがあれの選び取った立場であり、避け難い在り方だ」
「負けた。だがそれは、挑んだということだ。――余も、そうありたい」
(´;ω;`)
「ヨルナ様、申し訳ありません……私は、未熟でした……」
🚫 解かせるつもりはない
三人のうち、一人だけ元に戻さない
「貴様の考えはどうあろうと、オルバルトの術を容易く解かせるつもりはない」
( ゚д゚ )
「は?」
「正確には、貴様とミディアムは構わぬ」
(#゚д゚)
「ふ、ふざけんじゃねぇ! どういうことだ!? 聞いてねぇぞ!?」
「それって、スバルちんをイジメてたのと関係あるの?」
「イジメる、などと程度の低い真似をした覚えはないぞ」
(╬゚д゚)
「なんで兄弟だけ……オレやミディアム嬢ちゃんは!」
「それでは条件に合わん。貴様は片腕、ミディアムは髪と目の色だ」
🤚 鳩尾に触れる
縮むときと同じことが、もう一度起きる
「わっちの街の住人が、主さんらにずいぶんと無体なことをしたそうで、お詫びするでありんす」
(゚д゚ ;)
「え、そんな、ヨルナさん、よしてよ! 謝ることなんてないって!」
――死にかけの子どもを助けるために、キスすることを厭わなかった人。
正直、とても尊敬するし、好きになってしまった。
「巻き込みたく、ないな」
「お前に対する答えを、その相手がでかくなった自分でも、任せきりにしたくないんだ」
――ルイに殺させたくも、ルイを死なせたくもない。それだけは。
「大丈夫だ、ルイ。今度こそ、俺はちゃんとお前と向き合うよ」
「うあう……あう」
「あの、痛かったりする?」
(・∀・)
「縮むとき痛かったかよ? それが答えじゃ、ぜ!」
🖤 見つけた
『――見つけた』
あの絶望の十秒間は、知っている『死に戻り』と一線を画したものだった。
あれは、いったい何がもたらしたものなのか――
『――見つけた』
オルバルトの右手が、手首から先を散らして消える。
ヨルナがルイを抱いて大きく後ろへ飛びずさる。
――視界一杯を黒い闇が溢れ返り、城の上部を、中部を、一挙に呑み込んでいく。
「閣下! あれは……」
(´;ω;`)
「そんな、城が……ヨルナ様……」
(>Д<)
「あ、あああ、あああああああ――ッ!!」
「あーらら、なんという……これはちょっと、詠んでないとこかもですねえ」
「あなたハ――」
「――これが、貴様が内に抱えていたモノの正体か」
――愛してる。愛してる。愛してる。
あらゆる次元を超越して、ナツキ・スバルを塗り潰し、離れようとしない愛情。
愛のない、地獄のような世界を知った。
――ならば、愛ある世界に訪れる地獄とは、如何なるものか。
排斥されてきたモノたちの理想郷、魔都カオスフレーム。
――その崩壊は、他ならぬナツキ・スバルの因果にもたらされるのだと。
第七章54『理想郷カオスフレーム』終了。
スバル
「――よく、頑張りんした、二人とも」
オルバルト
アベル
カフマ
アル
ミディアム
タンザ
ルイ
ウビルク
タリッタ