リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章81

『女傑と道化』

帝国北西部。ロズワールとラムは、旧友である上級伯の館を訪ねていた。

🕊️ 平和主義

在位九年、戦争という戦争を取り上げてきた

ヴィンセント・ヴォラキアの統治により、帝国は建国以来例を見ない安寧の時代を迎えていた。

在位して九年間、戦争という戦争を取り上げ続けた。

――薄氷の上で焚火をするような、矛盾した行いを。

ロズワール「――閣下はご自身が『平和主義』なんて呼ばれているのを、決して快く思ってはいないだろうがな」

セリーナ

「行いの是非はどうあれ、自分の所業が評価されて悪い気はしないんじゃないかい?」

ロズワール

(¬_¬)

「ならば、お前は『亜人趣味』という呼ばれ方を誇らしく思っているとでも?」

セリーナ

(・∀・)

「紛れもなく。そもそも、その呼び名は私自身が広めたものだからねーぇ」

🗡️ 刀傷

――『灼熱公』セリーナ・ドラクロイ上級伯

すらりと背が高く、しなやかに鍛えられた体つき。傍らには鞘に入った曲刀。

左の頬には、額から顎にかかるほど長く、大きな白い刀傷があった。

――一度見れば焼き付いて忘れ難い傷。それさえ装飾品の類に過ぎない。

――『灼熱公』セリーナ・ドラクロイ上級伯。

ヴォラキア帝国でも指折りの大貴族の一人。

――そしてロズワールにとっては、国を隔てて交流のあった友人。

🍵 茶葉が死んでいる

味を感じないはずの舌が、口を開く

何を飲み食いしても味を感じない。それは、今の自分に辿り着くための代償の一部だ。

ラム「せっかくの茶葉が死んでいますね。給仕の担当者は変えることをおススメします」

セリーナ

「はっきり言うものだ。給仕は変えるべきか」

ラム

(・_・)

「ええ、茶葉に失礼が過ぎますね」

セリーナ

「実は家中のものが忙しくしていて、このお茶を淹れたのは私なんだ」

ラム

「そうでしたか。では、金輪際やめた方がよろしいかと思います」

セリーナ

(≧▽≦)

「忖度を知らぬ娘だ、気に入った。いい奥方を迎えたじゃないか」

ロズワール

(;´Д`)

「ギリギリの諧謔をわかってくれただけなのだから、過ぎた口は慎みたまえよ、ラム」

ラム

(・∀・)

「承知しました、アナタ」

ロズワール

(´・ω・`)

「――。セリーナ、訂正しておくけれど、彼女は私の従者で、妻じゃなーぁいからね」

🔥 焼き殺した

その冗句は、帝国の外だと笑えない

セリーナ「あんまり無礼だと、我が父のように焼き殺してやりたくなるだろうに」

ロズワール

「セリーナ、その冗句は帝国以外の人間だとあまり笑えないよ」

セリーナ

(´ー`)

「うん? そうか。社交界では大抵の相手を笑わせられる鉄板なんだがな」

父親を焼き殺してドラクロイ家を掌握した、彼女の実話からきたもの。

頬の刀傷も、殺す前の父親から浴びたものだという。

知り合ったのは、まだ十代の頃。所用で王国を訪れた彼女が刺客に狙われた。

――しかもそれが父親の差し金だったことを暴いたので、縁は案外深い。

🎯 悲願

この人の行動は、すべて一つの願いに繋がる

ロズワール「連絡もなしに突然訪ねたのは事情があってねーぇ」

ロズワールの人生は全て、心の一番奥に沈めてある願いのためにある。

――帝国を訪れたのも、瞬きや呼吸すらも、悲願のための一助なのだ。

四大国のうち、王国と水の合わない帝国の在り方は群を抜いて難易度が高い。

不可侵条約も、余計な茶々を入れるなという警告の色が強い代物だ。

セリーナ

「――帝都を揺るがすこの一大事も、不可侵条約を反故にしたい一派の目論見だとでも?」

セリーナ

(¬_¬)

「疑り深いにも限度があるぞ。王国の人間らしからぬ考えだ」

ラム

「――ルグニカ王国との領土戦争、それを見据えてのことではないかと」

ラム

「安寧を壊したあと、何を望むのか。それがルグニカ王国ではないか、と」

セリーナ

(・∀・)

「ただ自分より偉いものがいるのが気に食わないから反乱する、という手合いも実在するぞ」

ラム

「そういう特殊な事例の話は置いておきましょう」

⚔️ 血の大河

王国との戦争を望まない、その理由を問われる

セリーナ

「王国との戦争を望まない、というのはどういう思惑から出た意見だ?」

セリーナ

「もしも、我々の分が悪いと言い出すなら、私の心中にも風が吹くことになるぞ」

ロズワール

「訂正しよう。――王国と戦争になれば、無用な血が大量に流れる。それも帝国のね」

セリーナ

( ゚д゚ )

「ほう?」

ロズワール「なにせ、王国には『剣聖』ラインハルト・ヴァン・アストレアがいるのだからね」

ロズワール

「国境を跨いでやってくる帝国兵はことごとく、血の大河を築くことになる」

セリーナ

(;゚Д゚)

「おいおい、それは禁じ手だ!」

ロズワール

「この奥の手は、最初に切られることを一切躊躇わない」

セリーナ

「お前の目から見ても、『剣聖』というのは規格外の怪物か?」

ロズワール

「先代までの『剣聖』には可愛げもあったけーぇれど、当代の『剣聖』はその表現が適切と言える」

セリーナ

「まるで、これまでの『剣聖』を全て見てきたように言う」

ロズワール

(・∀・)

「お目にかけようか? 手も足も出ない高高度からの、容赦のない魔法攻撃の無慈悲さを」

セリーナ

「底知れん奴だ。とはいえ、突出した力には相応の枷が伴う」

セリーナ

「お前が帝国で自由気ままに振る舞えないのも、それが理由だろう」

ロズワール

(´ー`)

「ご名答」

🔎 命も同然

連れ戻したい相手が、二人の間で違っている

セリーナ

「――察するに、この情勢で帝国入りしたのはお前たちだけではないな?」

セリーナ

(・_・)

「探し物……いや、探し人か。お前たちにとって、よほど大事なものと見える」

ラム「どうしても連れ戻したい相手が。ラムにとっては、命も同然の」

ロズワール

「ラム」

ラム

「誤魔化しても伏せても、この方には通用しないかと」

セリーナ

「驚いたのは、お前が彼女の大事なモノのために無茶をしたことだ」

ロズワール

(´ー`)

「ええ、ラムの代わりはいませんから」

セリーナ

「否定しない事実だが、いささか言い方が気になるねーぇ」

――連れ戻したい相手が誰か、二人の間では異なっている。

そうとはわからないセリーナには誤解を生んだようだが。

🎲 悪い顔

久々に見る、悪巧みの顔になる

セリーナ

「お前の忠言に耳を傾ける私と違い、他の帝国民の態度は保証できんぞ」

ロズワール

「その点が、『剣聖』の実力を説明する必要がない王国との違いなのだーぁね」

ロズワールの悲願に、スバルの存在は欠かせない。

そして、辿るべき道筋に、ヴォラキア帝国との戦いなど含まれない。

『親竜儀』が訪れ、王国と龍との盟約が更新される日まで、邪魔はあってはならない。

ロズワール「――皇帝閣下には早々に反乱を制圧してもらい……ね」

セリーナ

(・∀・)

「ふうん? その悪い顔、久々に見たな。悪巧みか?」

🍶 上策

二人がどう知り合ったのか、が語られる

ラム

「――ロズワール様と、本当に親しげでいらっしゃいますね」

セリーナ

「私がこの男とどう知り合ったのか、気になるらしいな」

ラム

「ちょうど十年になります」

セリーナ

「なら、私との付き合いの方が少し長い。ラム、酒は飲めるか?」

ラム

(・∀・)

「お茶ほどではありませんが、うるさいですよ」

ロズワール

「セリーナ、誘いはありがたいが、私たちは急ぎの用事があるんだ」

セリーナ

「だったらなおさら、私の機嫌は損ねるべきではないはずだ」

ロズワール

「……ラム」

ラム

(・_・)

「レムのためを思えばこそ、セリーナ様の申し出を断るのは得策ではないと思いますが」

ラム「ロズワール様のお話も聞けるなら、同じ足踏みをするにしても上策と言えます」

セリーナ

「ちょうど、別の客人がお前たちと入れ違いに出ていったばかりでな」

セリーナ

「厳密には、私が親しくしていたのはその客人の夫だったが」

⛓️ 制圧

――セリーナ・ドラクロイ上級伯の身柄をラムが制圧した、二日後のことだった

興味津々なラムと、話好きなセリーナ。話題は弾み、昔語りが始まってしまう。

――全ては悲願の成就と、そのために必要な駒を取り返すために。

ロズワールの思惑が外れ、帝国の内乱により深く関わらざるを得なくなったのは、

反乱軍に与する黒髪の乙女、『ナツミ・シュバルツ』の名前が館に届き――

――セリーナ・ドラクロイ上級伯の身柄をラムが制圧した、二日後のことだった。

第七章81『女傑と道化』終了。