リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章110

『言祝ぎ』

第七章、最終話。屋敷の中庭に、生気のない顔をした者たちが現れる。

🐆 伝令

この戦場で二番目の速さで、役目を果たす

美しい金毛の女豹は風を通り越し、この戦場で『二番目』の速さで役目を果たした。

フレデリカ「――大地に異変の兆しありと、わたくしの主と弟からの伝達ですわ」

セリーナ

(・_・)

「――。具体性に乏しいな。詳細は?」

フレデリカ

「わかりませんわ、弟の加護による直感としか。ただ……」

フレデリカ

( •̀_•́ )

「わたくしの弟の直感は、よいことも悪いことも当たりますわ」

シュルト

「フレデリカ様! 羽織るものであります!」

シュルト

「フレデリカ様は頑張って、たくさんの人の間を走り回ってきてくれたであります!」

ウタカタ

(´・ω・`)

「ン、フレーも偉イ。ウーもミーたちと一緒に暴れたかっタ」

🌫️ 傲慢さ

身勝手な言い分が、いま符合しはじめる

セリーナ

「『星詠み』と消えた男が言い残していった言葉とも符合する」

セリーナ

「私にしか果たせない大役を任せるなどと、いかにも身勝手な言い分だったが」

セリーナ

「まるで自分が皇帝閣下であるかのような傲慢さだった。それを討ちにきた立場の分際で」

セリーナ「決着は帝都と叛徒、いずれの側にも傾かないまま、有耶無耶になると」

シュルト

「それなら、プリシラ様やアル様、ハインケル様も戻られるということでありますよね?」

ウタカタ

(・∀・)

「シュー、心配するナ。プーもヨーも強イ。ミーとかターといい勝負」

セリーナ

「全員に伝えよ。――水晶宮に異変があり次第、戦闘行為を中断」

セリーナ

「この戦いを、流した血を、こぼれた命を無為にする有耶無耶に備えよ、と」

🐜 息苦しさ

――この戦場でのペトラたちは、少しだけ働き者の小虫に過ぎないのだと

戦いの最中にも、こちらへと向けられる睥睨する眼差し。

――刃物を突き付けてくるような視線が、ペトラの息苦しさを高める最大の要因だった。

――この戦場でのペトラたちは、少しだけ働き者の小虫に過ぎないのだと。

ミディアム

「うりゃあ! アルちん!」

アル

「おうよ、ミディアム嬢ちゃん」

アルは死にそうなのに、それでも死なない。致命傷だけは、確実に避けている。

――でも、実力を隠している風ではなくて、それがとてもちぐはぐなのだ。

トッド

(¬_¬)

「――厄介だな、お前さん」

トッド

「ここまで、お前さんを六回くらい殺せたはずなんだが、一回も殺せてない」

トッド

(;´Д`)

「絶対よけられないところに放り込んでも、だ。気持ちが悪い」

🔥 土の下の声

教えませんよ、と情報を渡さない

トッド

「長くかけすぎた」

小さい火球が十近く生まれ、周囲の木々や地面に着火する。

ミディアム

(>﹏<)

「あちゃちゃちゃちゃ! 燃えちゃう燃えちゃう!」

握った手にわずかに力が込められる。――気を緩めてはならないという無言の指示。

オットー

「――ありがとう、ペトラちゃん」

身をひねって倒れ込んだ寸前を、斧が横薙ぎに抜ける。

ペトラ「ジワルドっ!!」

五本の指全部から放たれたジワルドの一発が、相手の右目を焼いた。

ミディアム

「いけやぁ! うりゃーぁ!」

額当てで受けつつも、割れた額からの流血は止められない。

オットー

(・∀・)

「――教えませんよ。僕はあなたの親や兄弟じゃないんですから」

🏆 オレらの勝ち

戦場全体が、危なっかしくなる気配がある

ミディアム

(╬゚д゚)

「あ! 待て! 逃げるなんてズルいじゃん!」

オットー

「不利な状態で戦い続けるほど、必死じゃなさそうでした」

ペトラ

(╬¬_¬)

「う~、納得いかないですっ。まるでわたしたちだけ必死だったみたいじゃないですか」

アル「オレらの勝ち、オレらの勝ち。――オレらの勝ちだぁぁ!!」

ペトラ

「オットーさんの『チャンネル』で、土の下の子たちの声を聞かせてもらった……ですよね?」

オットー

「ご名答です」

ペトラ

「オットーさん、悪そうな顔で合図してくれましたから」

オットー

「戦場全体が危なっかしくなりそうな気配がきてるみたいです。それも、わりとすぐ目の前に」

🦁 帝国の剣狼

一発で、警備兵が複数吹き飛ばされる

ゴズ

「娘よ、貴公の治療には救われた! この礼は必ず!!」

ゴズ

「可能であればここを離れ、正規兵と合流せよ!」

ゴズ

「モグロ一将か、カフマ二将ならば悪いようにはせん! それ以外の一将は避けろ!」

ゴズ

「いいだろう。私が皇帝閣下に忠誠を捧げるように、貴公らは宰相へと忠義を誓う」

ゴズ

(≧▽≦)

「その誉れ、私がしかと見届けよう!!」

巨大な拳骨が振るわれ、一発で警備兵が複数吹き飛ばされる。

ゴズ「よく戦った! それでこそ、帝国の剣狼である!!」

🚪 力ずくでも

扉の向こうへ、出てきてくださいと呼びかける

レム

「カチュアさん、私です、レムです。出てきてください」

カチュア

(¬_¬)

「……絶対出たくないんだけど」

レム「ごめんなさい。無事な顔が見たいだけというのは嘘でした」

カチュア

( ゚д゚ )

「え!? あ、ちょっ、あんた!?」

――ものすごく巨大な、人型の城壁が屋敷を跨いで、帝都の奥へと向かう一歩。

カチュア

「た、確かにここが安全って話は違うみたいね……」

フロップ

「実は言伝を任されていてね」

フロップ

「自ら逆賊の汚名を被った、僕からすれば大いなる賭けに挑んだ帝国の剣狼だよ」

カチュア

「置いて、離れを開けてきなさい。ひ、一人で待ってるから……」

レム

「必ず、離れを開けて戻ります」

カチュア

(>﹏<)

「し、しっかりやんなさい。あんたも戻らなきゃ、ダメだから。絶対!」

🥶 ひび割れた肌

異様な集団が、屋敷を占拠しつつある

フロップ「……なんだか、とても顔色の悪い人たちだね? 寝不足だろうか」

生気を感じられない顔色と、見える肌に走ったひび割れ。

――一目で異様だと感じられる集団が、宰相の屋敷を占拠しつつあった。

レム

(;゚Д゚)

「まさか、あれが『大災』……?」

レム

「生気を感じませんでした。まるで……」

カチュア

「し、死人だとか言わないでしょうね?」

立て続けに聞こえた小さな苦鳴は、手当てだけしておいた兵たちの断末魔。

フロップ

「……どうやら、話してわかり合うのは難しそうだ」

🛒 顔を売る

気を引く役と、後ろに回る役に分かれる

フロップ

「奥さん、僕が気を引く。その隙に三人、やれるかい?」

レム

「やりましょう。後ろに回ります。フロップさん、一瞬だけ」

フロップ

「ああ、任されたよ。自慢じゃないが得意なんだ、囮になるのはね」

フロップ「やあやあ、諸君、元気にしているかな? 僕は売り物のない行商人だ」

「ああ、それなら間違いだ。帝国の人間は、全員死んでもらう」

フロップ

「なるほど。――やっぱり、交渉の余地はないのだね!」

レム

(>﹏<)

「あ、ああぁぁぁ――!」

自分を内側から鼓舞しなくては、その後の行動が続かなかった。

🧩 死んでるから

倒したはずの相手が、起き上がってくる

足下には打ち倒された『敵』が、バラバラになって散らばっていた。

フロップ

「陶器や硝子のような割れ方だ」

レム

「……死んでる、んでしょうか」

フロップ

「少なくとも、こうして粉々になる前から生きていたかは怪しいと思う」

生き物かそうでないかを定義して、自分の心を守りたかったのだと気付いてしまった。

――「簡単には死なないんだ。死んでるから」

まるで時間が逆戻りするかのように繋がり合い、元の状態へ。

❓ 誰ですか

颯爽と現れた少年が、誰だかわからない

ベアトリス

「――エル!」

スバル

( •̀_•́ )

「ミーニャ!!」

貫かれた『敵』の全身が紫紺の結晶に変わり、砕け散る。――今度は、復活の兆しがない。

スバル

(・∀・)

「――待たせたな、レム! 真打登場だ!」

黒髪に目つきの悪い少年は、腕にドレスの少女を抱き上げながら片目をつむり、笑った。

その派手な登場と宣言に、レムはしばし言葉を失い、そして、言った。

レム「――誰ですか?」

颯爽と現れたその少年は、少なくともレムの目には誰だかわからぬ人物だった。

🔥 待たせたな

期待すること自体が間違いだった、はずが

カチュア

「いや、いやいや、こないでこないでこないで……っ」

誰にも愛される価値のない、不完全でどうしようもない自分だけ。

――期待したり希望を抱いたり、救われたいと願うこと自体が間違いだった。

扉が破られると思った瞬間、『敵』の全身が赤い炎に包まれ、燃え上がった。

「脅した微精霊も、最後の一匹だったんだがな」

あれほど開けられるのが怖かった扉、その鍵を震える手で外し、開ける。

トッド「待たせたな、カチュア。――ここから出るぞ」

カチュア

(´;ω;`)

「遅い……遅い、馬鹿! わ、私が死んだら、殺してやるところだった!」

と、残酷に現れた婚約者へと、涙ながらに飛び込んでいったのだった。

🌑 要・熟考

――そう、滅びの象徴たる『大災』の担い手は、静かに静かに、自らを言祝いだ

帝国の歴史に刻まれたものたちが次々と起き上がる。

――それを、悪夢と言わざるしてなんと呼ぶべきか。

アベル

(・・・・・・)

「――『大災』」

重要なことは、この災いが帝国の地を滅びへ誘い、その果てに願いを達すること。

――そのために打てる手も、尽くせる策も、全てを費やす。

死んで死なれ、殺して殺し、それが積み上がってできた屍の大地たるヴォラキア。

そのヴォラキアの流した血の全てが、計画の礎たるならば、あとは。

「あとは、最後まで計画を運ぶだけ。――要・熟考です」

――そう、滅びの象徴たる『大災』の担い手は、静かに静かに、自らを言祝いだ。

第七章110『言祝ぎ』終了。