リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章51

『魔都の女主人』

城の屋根の上で、告げ口と要求と提案が交わされる。――そして、踵の一撃が天守閣を割った。

🍙 兵糧丸

腹が減っていないか、と差し出される

オルバルト

(・∀・)

「あれじゃな、坊主。お前さん、腹ぁ減っとりゃせんか?」

オルバルト

「兵糧丸つってよ、ワシらシノビの携帯食よ」

オルバルト

(;´Д`)

「これ一個で腹具合は一日もつのと、頭と体もうまく回るって代物じゃぜ。ただし、味は最悪でよ」

オルバルト

「仕事先でこれ食うたびに思ったもんじゃぜ」

オルバルト

「里の偉い爺様たちみてえに、ワシもとっとと隠居して、こんなもん食わない生活をしてえと」

スバル

(・_・)

「……だったら、そうすればいいじゃんか」

オルバルト

「じゃが、なんでか今もワシはこいつを食っとる」

オルバルト「結局、習慣は抜けねえって話なわけじゃぜ」

オルバルト

(´ー`)

「一切合切ぶち込んだごちゃっとした食い物が、ワシにとって一番の馳走ってことよ」

――たぶん、オルバルトなりの称賛ではある気がした。

🗣️ 告げ口

子どもの言葉を、真剣に受け止める大人がいる

ヨルナ

(╬¬_¬)

「――オルバルト翁、ここはわっちの城でありんすよ?」

オルバルト

「城主尻目に、その城を尻に敷くっちゅうのはなかなか気分がええもんよ」

ヨルナ

「その長生きの秘訣とやらで、自分の寿命を縮めるだなんて正気の沙汰とは言えぬでありんす」

スバル

( •̀_•́ )

「悪いけど、告げ口させてもらったよ」

スバル

「オルバルトさんのルールなら、別に反則じゃないだろ」

オルバルト

(≧▽≦)

「かかかっか! 口の減らねえ坊主よな。けど、それで正解よ」

オルバルト

「お前さん、もしかしてヴォラキア皇族だったりせんか? 性格悪いのが揃っとるからよ」

スバル

(´Д`;)

「めちゃくちゃ怖いこと言わないでくれよ……」

ヨルナ『――必死な童の言葉が嘘か真か、見抜けぬ女ではありんせん』

――子どもの言葉だからこそ真剣に受け止め、応えようとする大人もいる。

✌️ 二つの要求

返せ、と、手出しするな、の二つ

ヨルナ

「オルバルト翁、わっちから二つ、要求がありんす」

ヨルナ

「まず、タンザをわっちの下へ返すでありんす」

オルバルト

「おいおい、そりゃ乱暴な話じゃぜ。娘っ子には娘っ子の考えがあんじゃろうよ」

ヨルナ

(╬゚д゚)

「――黙りなんし」

たった一言が、空気を一変させる。

ヨルナ

「タンザの訴えも考えも、あの子の口以外から聞くつもりはありんせん」

ヨルナ

「もう一つ、この子らとしているお遊戯、それを中止することでありんす」

オルバルト

「お遊戯、ねえ。一応、遊びっぽくても真剣勝負じゃぜ?」

ヨルナ

「わっちは昨日、皇帝閣下の御前で申し上げたはずでありんす」

ヨルナ

「――使者の方々に手出し無用、閣下であろうと守っていただきとうござりんすと」

🔥 誰の街だと

勝てないと、こちらもわかっている

ヨルナ「この魔都で、わっちを敵に回す覚悟がありんすか?」

オルバルト

「一応、ワシは何にも手出ししてねえんじゃぜって、そういう言い訳はすっけども」

ヨルナ

「それはオルバルト翁の決めた解釈でありんしょう?」

ヨルナ

(╬゚Д゚)

「――ここが、いったい誰の街だと思っていんす?」

――本気で怒っている人は、その人生を懸けて感情を燃え上がらせる。

だから、傍にいればわかってしまう。

ルイ

(´・ω・`)

「うー……」

戦っても勝てないと、彼女もわかっているのだろう。

🤝 お相子

割って入った提案を、誰も止めなかった

スバル

「――っ、オルバルトさん!」

スバル

( ゚д゚ )

「そ、それ、どうやってんの……?」

オルバルト

「かかかっか! 身体制御はシノビの基礎中の基礎なんじゃぜ」

オルバルト

「ワシも人生で指折り何本目かの危ねえ状況だからよ。目ん玉の半分しか気にしてやれねえ」

スバル「お、お相子ってことにしない?」

スバル

「オルバルトさんも、ルール違反っぽいことをしようとしたし、俺も告げ口した」

スバル

「どっちもどっちってことで、だから……」

オルバルト

「大人しく悪かったって認めて、それでお互い収めようってことかよぅ」

スバル

(>﹏<)

「約束は三回で、まだ見つけられたのは二回目だけど……そこは大目に見てよ」

――ヨルナは、何も反対しなかった。

尊重してくれたということだと思う。すごく、ありがたい。

🦶 踵の一発

今の頭で考えたことか、と問い返される

オルバルト

「のう、坊主。それが、今のお前さんならではの考えなのか……」

オルバルト

「元々のお前さんでも考えることなのか、ワシにゃあちっともわからねえんじゃが……」

オルバルト

(・・・・・・)

「一度けしかけた勝負、ぽいと途中で投げ捨てるなんて半端な真似、生憎とワシはしたくねえのよ」

オルバルト「――ジジイってのは、頑固なんじゃぜ?」

手の中で瓢箪が握り潰され、砕け散る。

ヨルナ

「童の差し出した手も取れぬ老害、その頑なを悔やみなんし」

飛んだ長い足が振り下ろされ、轟然と天守閣が二つに割れた。

スバル

(゚Д゚ ;)

「うおわあああ――っ!?」

ヨルナ

「下がって、巻き込まれないようにしなんし。生憎と、わっちは手加減が苦手でござりんす」

⚔️ 超越者同士

手出し無用の約束が、外れる

オルバルト

「お互い、手出し無用って話だったはずじゃが……これで、もう構わんわけよな?」

ヨルナ

「この都市で、わっちに勝てるおつもりとは驚きでありんす」

ヨルナ

(¬_¬)

「耄碌したなら『九神将』の席、後進に譲るのをおススメするでありんすよ」

オルバルト

「かかかっか! そりゃ無理じゃぜ。ワシ、『九神将』で一番長生きする気じゃし」

・ヨルナの一撃は、いずれも城壁さえ崩壊させる威力

・オルバルトの攻撃は派手さがなく、いなしながらちょっかいを入れる程度

オルバルト

「別に、人殺すのに城崩す力なんていらんからよ」

オルバルト

「究極、でこに長めの針一本刺したら死によるんじゃぜ」

ヨルナ

「なら、試してみなんし」

💨 たわむ煙

質量のないはずの煙が、衝撃を散らす

質量も硬度もないはずの煙管の煙が、足刀を受けてたわむように衝撃を散らす。

オルバルト

(╬゚Д゚)

「おしゃああああ――!!」

十発、二十発の蹴りに、煙はいよいよ散り散りになる。

オルバルト

「面白い真似しよる。それ、術技書に書き残しちまいてえんじゃが」

ヨルナ「残念でありんすが、誰も愛せないシノビには真似のできない秘術にこざりんす」

煙管がクナイを打ち砕く。

――煙管の方には、何の被害もない。

🌀 宙の階段

四方から迫る手裏剣が、何かに止められる

衝撃が屋根を伝い、ヨルナの体が高々と舞い上がる。

四方から迫るのは、いつ投げたかもわからない手裏剣。

ヨルナ

「わかっておりんしょう。わっちはこの街の主、魔都の支配者でありんすと」

手裏剣を止めたのは、空に舞い上がっていた屋根瓦の一枚だった。

十枚以上の手裏剣の全てが瓦に受け止められる偶然など、起こるはずがない。

腕の動きに合わせて瓦が空を泳ぎ、螺旋状の階段を作って停止する。

――厚底が瓦を足場にし、ゆっくりと天守閣へ降りてくる。

オルバルト

(;´Д`)

「かーっ、本当に厄介じゃぜ、お前さん。どうやっとんのよ」

ヨルナ

「わっちは、こう見えて物を大切に扱う女でござりんして」

🏯 城にも

半壊した天守閣が、直っていく

パンパンと、両手が叩かれる。

傷が治っていく映像を、何倍速にもしたみたいに。

――半壊した天守閣が、直っていく。

スバル

(゚д゚)

「こ、これって……」

『魂婚術』の使い手であるヨルナ。

そして、「物を大切に扱う女」という言葉。

――組み合わせると、一個の仮説が思い浮かぶ。

スバル「お、お城にも『魂婚術』を使ってる……?」

第七章51『魔都の女主人』終了。