第七章82
『反乱側の思惑』
『ナツミ・シュバルツ』の名が届いた瞬間、ラムは杖を抜いた。
🪄 制圧
ここにいると示した判断は、称賛に値する
(・∀・)
「やはり、いい奥方を迎えたじゃないか、ロズワール」
(;´Д`)
「……もう何度目の訂正か数えるのも面倒が、ラムは私の従者だーぁよ」
「ラム、一応聞いておくけれど、この暴挙の理由は……」
(・_・)
「――ナツミ・シュバルツです」
(´ー`)
「だーぁよね」
自分はここにいると、そう示したスバルの判断力は珍しく称賛の要素しかない。
――問題があったとすれば、その狼煙が上がった『側』だ。
🚩 反乱軍
探し人が、どちら側にいるのかが判明する
「厳密には、そちらはラムにとっておまけです」
(¬_¬)
「だが、ロズワールにとってはそうではない」
「そしてそれは、お前には殊の外大事なことのはずだ」
「まさか、反乱軍側とは……」
良くも悪くも、こちらの思惑通りに運ばないのが如何にもスバルらしいが。
「ラム、君もスバルくんの悪い影響を受けてやしないかーぁい?」
(╬¬_¬)
「心外です。ラムの行動に、バルスが影響することなんて吐息一つ分もありません」
「そもそも、この状況が彼の動きを受けてのものだというのに?」
「ロズワール様、セリーナ様とお話を」
🐉 制空圏
当代最強の部隊が、どちらに付くか
飛竜を従え、意のままに飛び回る帝国最高峰の攻撃部隊。
――制空圏とは、戦況を押さえる究極の一手だ。
ドラクロイ伯は先代以前からその方向性に優れ、当代で最強の『飛竜隊』を有する。
「ここで永遠に私と睨み合うだけにもいくまい? どう従える?」
( •̀_•́ )
「セリーナ様、ご家族は?」
(・∀・)
「縁者を探すなら無意味だ。ロズワールに振られてから良縁がなくてな」
(╬¬_¬)
「ロズワール様?」
(;´Д`)
「冗談を真に受けない。セリーナ、悪ふざけしてる場合じゃないんだ」
ラムはプレアデス監視塔の出来事を強く悔やんでいる。
――離れ離れになったのは自分の落ち度だと責めているのだ。
🤝 一緒に
思いがけない誘いに、声が漏れる
( ゚д゚ )
「は」
「目的が同じとなれば、ラムが杖を向けている理由もなくなる」
「我が領地は皇帝閣下から安堵されているのに、事を荒立てて何の得が――」
(¬_¬)
「――皇帝閣下に不満はない。本当にそうかい?」
『誰かと話してるときは、話してる相手の顔をちゃんと見て話すの!』
思いがけず、その言葉に背中を押された気分になりながら。
🕊️ 空は自由か
一昨年の一件が、今も尾を引いている
「――一昨年の暗殺未遂、『九神将』が加担したと噂の一件、それが尾を引いていると」
「命を落とした『九神将』が飛竜乗り……それも、君の配下だった人物とも聞いた」
「杖を下ろせ、ラム。それがなくても話はしてやる」
「ラム、彼女の言う通りに。セリーナは言葉を違えないよ」
「自由と思うか? この空が」
「帝国は水も土も空気も、人の血肉さえも全て皇帝閣下の所有物だ」
(╬゚д゚)
「それは空さえも例外ではない。――誰が口を割った?」
「誰、と限定するのは難しいんじゃーぁないかな。なにせ、皆が思っていることだ」
バルロイが皇帝に刃を向けたことで、彼を推したセリーナの立場も悪くなった。
――帝都の覚えは悪く、挽回の機会を与えられることもない。
🐲 飛竜将
後任の素性が、驚くべきものだった
「従軍経験なく、宰相の推薦で一将へ成り上がった存在、その素性はなんと驚きの竜人だそうだ」
「わざわざ手間暇かけて乗り手を育てる飛竜乗りなど、迂遠の一言だろうさ」
(¬_¬)
「それは、飛竜隊を有するセリーナ様の立場がありませんね」
(;´Д`)
「おっと、私の飛竜隊を侮ってくれるなよ。乗り手が不要というのも善し悪しだ」
「飛竜乗りには戦術への理解と応用がある」
「もっとも、件の竜人はそれも数の暴力で押し潰すそうだがな」
「その屈辱に甘んじるかは、話が別では?」
(・∀・)
「――。いちいち、私の腹の底をくすぐる物言いをする」
(・∀・)
「恐縮です」
🐾 すでに決めていた
誘導する必要など、最初からなかった
父親から家督を奪う前に見せた、野心的な笑み。
――しかし此度、その笑みが向く先は。
反乱に与する方向へ誘導する必要などなかった。
すでにセリーナは立ち位置を決めていて、彼女なりに配慮したのだ。
――何も知らず、尋ね人をしにきた旧友を巻き込むまいと。
「今回ばかりは気の利く嫁を迎えたことを恨むがいい」
「安心しろ。お前の素性を明かせば、王国との内通を疑われる」
「そうなって二正面作戦など正気の沙汰ではない。やるなら勝ち目のある戦いをする」
「ロズワール様、もしかして……」
(;´Д`)
「ああ、まんまと獣の狩場に踏み込んだよーぉうだ」
「だが、旧友から一緒に戦おうと誘われては是非もないな」
「白々しい……」
🔥 燃え広がる
その火の手に、心当たりはあるのか
「……その火の手、君は心当たりがあるのかーぁな」
「どうだろうな。お前の方こそ、思い当たる節があるんじゃないか?」
放置しておけば只事では済まさないだろう特異点に、心当たりがある。
――彼であれば、どんな苦境に陥ろうとどうとでも切り抜ける。
「――帝国全土を燃え上がらせることも、あるのかな、スバルくん」
誰かの欠けた未来など、全てを拾い切ると決めた彼には受け入れ難いモノ。
――ならばせめて、その試行回数が減るよう、動くだけ。
自分の望まぬ形になっていると、スバルに気付かせなければいいだけの話だ。
⏳ もどかしさ
酒を飲んで親交を深める、という自然な営み
「お互い、同じ目標に向かってより強い団結力を養う必要が生まれた」
「だから、酒を飲んで親交を深める。挑む相手を思えば、ひどく自然な営みだろう」
「ロズワール様、城郭都市には」
「位置的には、東から攻めるエミリア様たちの方が近い」
「もちろん、君にはもどかしいだろうが」
(・・・・・・)
「……いえ」
広い帝国での人探しには、ある種の心を押し殺した合理性が求められる。
「――はい」
📣 合流宣言
――ひと際早く、反乱軍への合流を宣言したのがドラクロイ上級伯であり
――数日後、セリーナ・ドラクロイが言うところの『火の手』が上がる。
皇帝の御子を旗頭とする反乱軍の勢いは、一挙に帝国全土に燃え広がった。
――ひと際早く、反乱軍への合流を宣言したのがドラクロイ上級伯であり。
勇ましい女領主の傍らには、見知らぬ美丈夫と可憐な従者が控えていたとされる。
第七章82『反乱側の思惑』終了。

ロズワール
ラム