第七章63
『スパルカ』
四人一組、剣は二本、獣は一頭。――そして、開始の合図は総督のものではなかった。
🎲 四人一組
組まされた顔ぶれを、確かめる
( •̀_•́ )
「――これより、諸君にはこの島の剣奴となるための資格があるか、試させてもらう」
・薄汚いボロを纏った、灰色の鱗の蜥蜴人
・裸の上半身と剃った頭に刺青の入った、痩せた男
・錆色の髪を伸ばした、精悍な顔の若者
・そして、縮んだままのスバル
「待て、グスタフ総督! こんな子どもを人数に加えて? それは冗談ではないぞ!」
「そうだぜ! ガキが何の役に立つ!? こっちゃ命がかかってんだ!」
「仮にその子どもを加えたとしても人数不足だ。五人一組と、そう話していたはずだろう!」
(╬゚д゚)
「――沈黙せよ。本職の話を遮るならば、それは皇帝閣下の意を遮るも同然である」
❓ 何ができる?
特技は何か、と味方から詰められる
「見たところ、ただの貧相な子どものようだが、何ができる? 特技は? 魔法は?」
(´・ω・`)
「や、役立つ特技……」
――縮んでからは鞭もまともに扱えず、魔法も相棒がいなくては役立たず。
細々とした小技も、この体ではまともに使えない。
「本当に、ただの子どもなのか……なんてことだ」
「ひ、ひひ、ガキがいる上に人数も足りねえ。終わりだ、終わり!」
「でかい声を出すな、鱗野郎。オレを怒らせて、死にたいのか……?」
「私は、ここにくる前はやんごとなき方に仕えた戦士だった! 私の指示に従えば……」
(・・・・・・)
「この剣奴孤島で流れる血の一滴までも、帝国の繁栄のためにこそ使う。一滴までも」
🗡️ 大小二本
渡された二本は、大きさが揃っていない
壁の向こうには階段状の観客席。座る人影は、とても大人しくしている。
――あの融通の利かなそうな大男が、剣奴の下品な態度を許すとは思えなかった。
「――あれは剣、か?」
右の剣は小さいが、左の剣はあんまりにも大きすぎた。
――それこそ、総督が使うための剣ではないかと疑いたくなるくらいに。
「まずは武器の確保が最優先だ。ただし、使えるのは右の剣だけだ」
「あの巨大さだ。武器を手に入れ、剣闘獣の目を狙うしかない」
「開始の宣言があったら、私はあの剣の確保へ向かう」
(>﹏<)
「ち、近付けるなって、どうすれば?」
「声や音を出して注意を引けばいい。そのぐらい自分で考えろ!」
⏱️ 本当の開始
――あれが、ライオンにとっての本当の開始の宣言だったのだ
(╬゚Д゚)
「――では、『スパルカ』を開始する!!」
――走り出そうとした錆色髪に足払いがかけられ、蹴り飛ばされる。
「言ったはずだ。他人に命を預ける気はない……」
「お、俺は御免だ! 死んで、死んでたまるかよぉ!」
一人は仲間を出し抜き、一人は壁に化け、一人は倒され、一人は混乱する。
――だが、剣闘獣は動かない。開始が宣言されていないみたいに。
剣を抜き取り、颯爽と振り返る男の首から上が、前足に刎ね飛ばされる。
――あれが、ライオンにとっての本当の開始の宣言だったのだ。
頭突きが逃げ遅れた蜥蜴人の下半身を押し潰す。
壁と同じ色に化けていても、中身はそのままなのだと、ぼんやり思った。
💔 一度目
後ろにいろと言った手が、前へ突き飛ばす
「私の後ろにいろ」
――だが、その手はスバルの肩を掴み、前へ突き飛ばした。
「嫌だ、死にたく、死にたくない――っ!!」
(´ー`)
「すみません、僕の見込み違いだったみたいです」
(・∀・)
「一応、連れの子が起きたら伝えたいこととかあります?」
(╬¬_¬)
「だい、嫌いだ……」
(≧▽≦)
「――ええ、ええ、確かに。しっかりと覚えて伝えておきますよ、バッスー」
――大口が開き、頭から丸呑みにされた。
🤥 見栄
嘘を暴いても、何もいいことはなかった
――全身が体当たりを、噛み砕かれる恐怖を、投げやりな怒りを思い出す。
思い出したら、とても立っていられない。
( ゚д゚ )
「――嘘だ」
(;´Д`)
「こんな状況で、見栄なんか張ってどうすんだよ!」
「おい、その小僧の言葉は本当か? オレを謀ろうとしたということか?」
――口を挟んだせいで、このチームはまたしても空中分解した。
あそこで嘘を暴いても、何もいいことなんてなかったのに。
🤝 剣を投げろ
引き付ける役と、剣を投げる役に分かれる
「……まだ、生きる気はあるか、小僧」
「生きる気があるなら、剣を拾え」
「あの化け物はオレが引き付ける……お前は剣を拾って、オレに投げろ」
「指二本足りなくても、オレの方が小僧よりマシに使える……」
( •̀_•́ )
「俺も、諦めたく、ない……」
「……お前は、詐欺師と臆病者よりマシだ」
(・_・)
「ヴァイツだ……」
( ゚д゚ )
「……え?」
――剣は届いた。だが、振りかぶった顔が後ろ足の蹄に粉々にされる。
🦁 獣は本能で狩る
なぜ最初に殺されなかったのか、を考える
(・・・・・・)
「あのライオンは、なんでさっき俺を殺さなかったの?」
(・∀・)
「それは簡単ですよ、バッスー。――たとえ獰猛であろうと獣は獣」
「なれば、獣は本能によって狩りをするのみ。本能とはすなわち、生きる力です」
(・_・)
「……どういうこと?」
――もしもスバルがライオンなら、『危ない奴』から狙いを付ける。
例えばこの場所では、武器を持っている奴を。
(;゚Д゚)
「――ぁ」
腑に落ちた直後、前足が振り下ろされる。
――ぐしゃり、自分が潰れる音を、初めてちゃんと聞いた。
📣 ヴァイツ!
名乗られていない名前を、呼んでしまう
――あの、地獄のような十秒間。
あれがあったから、ほんの数秒の大切さが身に染みてわかっていた。
(゚д゚ )
「なに……?」
――一度も名乗っていないのに、名前を知られている。
その困惑が、行動を止める暇を奪った。
⚔️ 誰を狙う
小さい手が、剣を強引に掴み取る
小さい手が、地面に突き刺さった剣を強引に掴み取る。
――号令を待たず、剣闘獣が吠え、猛然と突っ込んでくる。
内臓が震えるような恐怖がある。
――負けない、逃げない、泣きもしない。
――決意の瞬間、強烈な前足が三度目の命を猛然と吹き飛ばしていった。
第七章63『スパルカ』終了。
グスタフ
スバル
セシルス
ヴァイツ