第七章62
『孤島の秩序』
公平で、公正で、偏りのない。――その秩序が課してきたのは、剣闘獣との試験だった。
🏷️ 自称
その異名を、誰が考えたのか
(・_・)
「自分がここにいる理由がわからないって……」
「僕は気付いたらこの剣奴孤島に放り込まれてまして、前後の文脈も今後の展望もまっさら」
「なんで、『九神将』のこととかわからないのに、自分が『青き雷光』って呼ばれてることは知ってるんだ?」
(≧▽≦)
「いずれこの名前を轟かせて誰もが僕という主演役者に目を奪われる天下を作る!」
(´・ω・`)
「自分で考えた、あだ名……」
――いくら何でも、本物の一将が『九神将』を知らない発言はフォローできない。
彼は、ただの悪ふざけが過ぎるオオカミ少年――偽セシルスだ。
🦾 四本の腕
呼びにきた相手を、見上げることになる
「――このようなところにいたのかね、セグムント」
(゚Д゚)
「で、っけ……!」
・身長は二メートルを軽々と超える
・首も手足も丸太のようで、黒い制服がはち切れそう
・口を閉じてもはみ出す牙と、青い肌
・そして――両肩から二本ずつ、四本の腕
(・∀・)
「やあ、どうも、グスタフさん! 今朝も立派なお召し物ですね!」
「世辞は結構、君の方は相変わらず無闇に健康そうで何よりだ」
「君の如き存在は剣闘場でこそ消耗されるべきと、そう公正なる私が厳正に判断している」
「ええ、ええ、わかりますとも! グスタフ総督の配慮に大感謝~!」
🤝 自己紹介
島の管理を任されている、と名乗られる
「少年、目覚めたのであれば改めて話をしよう」
「本職は、神聖ヴォラキア帝国第七十七代皇帝であるヴィンセント・ヴォラキア皇帝閣下より……」
「この島の管理を任されているグスタフ・モレロだ」
( •̀_•́ )
「君は自分の名前と所属を話すことができるかね」
(´・ω・`)
「じ、自己紹介ありがとうございます。俺の名前はナツキ……ナツキ・シュバルツ」
――本名が広がるのはいいことではない。隠せることは隠しておくべきだ。
「しかし、ナツキ・シュバルツならば、セグムントはどうして君をバッスーなどと?」
(・∀・)
「セッシーにはセッシーの理屈があるんだと思います。確かめてみますか?」
(・・・・・・)
「――。いや、やめておこう。本職は知恵者ではないが、賢明でありたいとは思っている」
🙏 合流したい
間違いでここに来た、と訴えてみる
「俺とこの子……タンザっていうんだけど、この子は何かの間違いでここにきたみたいなんだ」
「俺たちはもっと遠く……カオスフレームって知ってるでしょう? その街にいたはずなんです!」
(>﹏<)
「きっと、仲間が俺たちを探してる! できればすぐに無事を知らせて合流したいんだ」
( •̀_•́ )
「――そこまで。そこまでだ、シュバルツ」
「君の主張は理解した。その上で、本職の話も聞いてもらわなくてはならない」
「それが、公平というものだ」
⚖️ 真っ平らな基準
この島を貫いている、たった一つの原則
「そう、公平だ」
「秩序と呼ばれるものを構築するのに欠かせない、絶対の理だ」
「君を助けたのはセグムントであり、本職が上陸を許したのは条件付きであったと」
「それは……はい、覚えてます、けど……」
「たぶん、というのはいささか説得力に欠けた意見だ。あるか、ないか、だけでは?」
(・・・・・・)
「――。異論は、ありません」
⚔️ スパルカ
島に置いてもらう条件が、提示される
(・∀・)
「ほらね、言ったじゃありませんか。ちゃんとバッスーはグスタフさんの目に適いますって」
「だが、少女の方は目を覚ましていない」
「総督権限とかでうまく調整したり誤魔化したりとやりようはあるでしょう?」
「そうだな。少女が目覚めない以上、規定より一名少ない状態で始めることとする」
(;・∀・)
「ありゃりゃ、藪蛇しましたか!?」
(´ー`)
「すみません、バッスー。あとは自力で頑張ってください」
(>﹏<)
「ま、待て待て待て! 俺たちを島に置いた条件って……」
🐟 本来の運命
出なければどうなるのか、を聞く
(╬゚д゚)
「なんで、俺たちがスパルカに出なきゃいけない!?」
「捕虜に奴隷、犯罪者……このギヌンハイブに上陸するものの事情は様々だ」
「だが、望んでやってくるものはほとんどいない」
「――この剣奴孤島を、帝国で最も意義ある血の流れる場所へ作り変えること」
――まるでロボットみたいに無機質で、冷たいのだ。
「皇帝閣下、とお呼びしろ。一度は注意、二度目は警告、三度目はない」
「もしも君が『スパルカ』への参加を拒むなら、少女共々、本来の運命を辿らせる」
(;゚Д゚)
「本来の運命って、なんだよ……」
😠 大っ嫌い
恨み言は、眠る子に配慮して小さくなる
「資格を証明すれば、本職が総督として責任を持って君を剣奴として迎えよう」
(¬_¬)
「……それ、最高だね」
うまくいっても奴隷になって、うまくいかなかったら魚の餌にされる。
――このヴォラキア帝国にきてから、一度もいいことが起こっていない。
――恨み言は、眠り続けるタンザに配慮したみたいに小さく、か細いものだった。
🏟️ うるさい静寂
命日は、同じになることだ
――熱気が、会場を押し包んでいるのが全身で感じられた。
薄気味悪いことに、降り注いでくる視線の数は多くとも、ほとんど喧騒はない。
・岩のような肌をした蜥蜴人
・多くの刺青を体に刻んだ禿頭の男
・錆色の髪を長く伸ばした整った顔立ちの青年
「クソ、クソ……冗談じゃねえ、最悪だ……!」
「やってやる、オレはやってやるぞ……」
「黙っていろ! 貴様ら、私の指示に大人しく従え! そうすれば死なずに済む!」
共通点は、スバルを頭数に入れていないことと、命懸けの緊張が目に宿っていること。
――そしてこのままだと、誕生日は違っても、命日は同じになることだ。
🦁 剣闘獣
野蛮な試験の、試験官が口上を述べる
「――諸君、まずはよくぞこの島へ上陸した」
「その皇帝閣下より、直々に剣奴孤島の管理を任された総督として、諸君に栄誉ある試練を与える」
・赤い瞳を備えた獅子の顔
・蹄のある鹿のような四本の足
・ねじくれた角と牙
・巨漢の総督すら小さく見せる、恐ろしく長い尻尾と巨大な体
――ここでは剣闘獣と呼ばれている、恐ろしい敵。
――『スパルカ』という、剣奴となるための野蛮な試験の試験官であった。
第七章62『孤島の秩序』終了。
スバル
セシルス
グスタフ