第七章47
『消えぬ■■』
血の染みが広がっていく。動かせない支柱。――そして、あってはならない力が目を覚ます。
🩸 赤い染み
傾いた資材の下から、引き出せない
少女の体が、地面を何度も跳ねて通りの端へ。
テントの骨組みにぶつかり、傾いた資材が下敷きにする。
(>Д<)
「ルイ、ルイ! い、生きてるか! おい、ルイ!」
(´・ω・`)
「……うー」
倒れた支柱が作ったスペースに嵌まり込み、ギリギリで潰されずに済んでいた。
――ホッとしたあとで、すごく困ってしまう。
(>﹏<)
「こんなの、動かせない……」
支柱の太さはスバルの胴体ほど。押しても引いてもびくともしない。
『てこの原理』を使おうにも、ちょうどいい重石が見つからない。
――じわじわと、白い服が土埃ではない赤い染みで汚れていく。
🙏 死なないで
どうしてそんなに怖がっていたのか、と考える
――思えば、ずっとルイの名前を呼ぶことすら最低限にとどめてきた。
警戒し、疎んで、乱雑に扱ってきた。
それでも一度も、彼女はスバルに不利益なことをしなかった。
どうして、そんなにルイを怖がっていたのか。
――記憶に靄がかかったみたいで、思い出の引き出しが開かない。
ただ、引き出しを開けるまでもなくはっきりしていることが、一つ。
ルイがスバルを庇おうとして、血を流したということ。
「し、ぬな……」
(´;ω;`)
「死ぬな、ルイ! 死んじゃ、死んじゃダメだ……! ダメなんだ……!」
「死なないで……!」
(×Д×)
「――うあ、う」
少女の瞳が、ほんのわずかに力を取り戻した。
🪨 全然斬れない
頑丈で力持ちだが、技はまるで下手
(╬゚Д゚)
「う、りゃあああ――っ!!」
刃は、少年の掲げた腕に弾かれた。文字通り、腕で受けて跳ね返したのだ。
(>Д<)
「うわ~ん、硬い! 全然斬れない! ズルいじゃん!」
振り回した腕が地面に激突し、腕より大きな穴が開く。
――喰らわずにいられるのは、少年の動きが隙だらけだからだ。
( •̀_•́ )
「すっごい頑丈だし、力持ちっぽいけど、技は下手!」
まるで、でっかい体で生まれたばっかりの赤ん坊のようだ。
✋ なん、でだ?
急に足を止めて、膝をついてしまう
「アルちん! アルちんってば!」
気絶したわけではない。目は覚めているし、一度は助太刀もしてくれた。
それが今、急に足を止めて、がっくりと膝をついてしまった。
(・・・・・・)
「……なん、でだ?」
まるで、手に握っていたはずのものを、落としてしまったみたいに。
🗣️ よく励め
兄がいない場所で、背中を押される
――昔からこうだ。気持ちが弱ると、体も弱くなる。
だから、いつも前向きに、声を大きく、背筋を伸ばすようにしていた。
兄が「頑張れ!」と声をかけてくれることも、背中を押していた。
――でも、ここには兄がいない。
「――いたぞぉ!!」
増援が、膝をついたアルの背後へ迫る。
(¬_¬)
「――まだ動けぬか、たわけ」
横合いから伸びた足が、アルの肩を蹴り飛ばして一撃から逃れさせた。
( ゚д゚ )
「アベルちん?」
――怒られると思うと、体が縮こまってしまう。
昔は怒られて、殴られることが多かったから。
「ミディアム」
(๑•̀ㅂ•́)و
「うん! 頑張る――!!」
顎を突き上げ、胴を蹴り、膝を踏み、首に回し蹴り。
――猛然と息を吹き返したミディアムに、少年は防戦一方になった。
🦌 有角人種
襲ってくる者たちの、共通点に気づく
ミディアムは髪を掴まれ、犀人の大男に持ち上げられていた。
アルは倒れたまま。アベルは壁際に追い込まれている。
「アベルちん! アルちん連れて逃げて!」
「悪いが、逃がすわけにはいかない。あんたたちにはここで……」
「――貴様は牛人、先のものは羊人だった」
「宿を囲っていたものたちも揃って有角……ここまで条件がわかれば誰でもわかろう」
犀人の鼻の上には、一本の太い角。
羊人の少年にも、宿を囲んだ人たちにも、みんな角があった。
(╬゚д゚)
「でも、それが何なの!」
(╬¬_¬)
「たわけ。――それが、この事態の元凶であろうが」
⚖️ 審判という名の焔
壁際に追い込まれて、なお挑発する
「――試してみるがいい」
「貴様に俺を殺せるか、試してみるがいい」
「……その細い首を折るのに、難しいことがあるか?」
「容易いか否か、その答えは行動の先にある。故に、試してみるがいい」
「貴様にその器があるなら、焔は貴様を称えよう。だが――」
( •̀_•́ )
「試すがいい。――審判という名の焔を、己が上回れるかどうか」
おびただしい汗を浮かべ、男が呻く。
――目を見てしまった時点で、他のものは舞台から外されていた。
「う、うおおおお――!!」
軋った歯が割れる音を立てて、両腕が振り上げられる。
😱 悪夢
テントの下から、二人の姿が忽然と消える
――次の瞬間、テントの下から二人の姿が忽然と消えた。
「うー!」
振り上げた牛人の顎を、真下から撃ち抜いていた。
猛スピードでも、時を止めたのでもない。
瞬きぐらいの一瞬で、別の場所に移動していたのだ。
・ピンボールのような動きで男たちの急所へ一撃ずつ
・地面の表層を絨毯のように引っぺがす
・剥がした薄い地面を投げつけ、質量を伴った土の壁に戻す
・数メートルの距離を、幻のように跳ぶ
――悪夢だった。
スバルが、恐れていた悪夢だ。
(゚Д゚ ;)
「る、ルイ、それは……」
あれはあってはならない力、消えなくてはならない■■で――
「ただの娘ではないと思っていたが、合点がいった」
「これが、貴様があの娘を連れ歩いていた理由か」
(;´Д`)
「ち、ちが……っ」
――だったらどうして連れ歩いていたのかと言われたら、何も答えられない。
💀 今のオレは
大丈夫か、と聞くと否定される
「あ、アル! おい、大丈夫か? 傷は……」
「……大丈夫じゃ、ねぇ」
「――! ケガしたのか!? どこだ?」
「そうじゃねぇ!」
(´;ω;`)
「――役立たずだ」
「……そ、そんなことは」
🦌 まとめ役
この件を仕組んだのは誰か、を突き止める
(>﹏<)
「アベルちん! ひどいことしちゃダメだよ!」
「黙っていよ。聞かねばならぬことがある」
少年は縮んだわけではない。等身大の子どもだ。
大人たちがコテンパンにやられ、鬼の面の男に見下ろされて。
――怖い思いをしていないはずがない。
顔の距離が近付いて、瞳で燃える炎が勢いを陰らせるほどに。
「此度のことを仕組んだ、有角人種のまとめ役――」
第七章47『消えぬ■■』終了。
スバル
ルイ
ミディアム
アル
アベル