リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章101

『愛は炎』

灼熱と化した第一頂点。そこにいるのは、母と娘と、母を持たなかった娘だった。

🔥 姫様を取り戻す

戦う理由を、何一つ持っていない

アラキア「わたしは、姫様を――」

そこには忠義も愛国心も、矜持も誇りも、怒りも功名心も、邪念の一切がない。

――他の『九神将』たちが持つ、戦う理由や意義を何一つ持たない。

それでも、帝都側の有する中で最高戦力として君臨するのが『弐』のアラキアだ。

強さを求められ、それを自分自身ではなく他者のために使うことを強いられる。

――それが『精霊喰らい』の在り方であり、アラキアもその例外ではない。

⚗️ 副作用

――そうした副作用が原因で、人間ではなくなった志望者は多い

火の精霊を取り込めば体温は上昇し、風の精霊は体の内を破る危険性がある。

水の精霊は血の巡りを危うくし、地の精霊は人の体を失う可能性すらあった。

――そうした副作用が原因で、人間ではなくなった志望者は多い。

古の時代、物言わぬ大精霊さえも従えた一人の『魔女』と対抗するために生み出された。

――瘴気を感じ取る鬼族と同様の、戦うための生き物だ。

力を維持するには常に新しい精霊を補充し続ける必要がある。

――その毎回の補充のたびに、心身の自我を奪われる可能性に怯え続ける。

🏛️ 刷り込み

――まさしく、柱こそが『精霊喰らい』の存在意義なのだ

取り込んだ精霊と親和するため、希薄に等しい自意識と自我が要求される。

――ただし、薄すぎる自我は容易に同一化を招き、人でなくなる可能性も高い。

そうならないために与えられるのが柱――そのもの自身を見失わないための『芯』。

雛が初めて目にした相手を親鳥と思う『刷り込み』のように機能し、本能に根付く。

――まさしく、柱こそが『精霊喰らい』の存在意義なのだ。

唯一の完成例とでもいうべき娘は、当時の皇帝へと献上され、

皇帝はそれを自身の血を継ぐ娘の一人に、乳兄弟として与えた。

――かつてのどんな同類たちよりも、手の付けられない強力な存在として完成した。

💔 値段は付けられない

献上品の数々が、命を肩代わりしている

呼吸するだけで肺を焼かれ、渇いていく瞳を潤すための涙滴さえも蒸発する。

――赤い空の下、大地にはヨルナとプリシラのたった二人しか立っていない。

『魂婚術』の効果で、献上品の数々がその命の肩代わりをする。

ヨルナ「わっちの、この胸の痛みを除けるならでありんしょう」

簪は特別優れた意匠でも高価なものでもない。

――住民たちが、自分の角や鱗、体の部位を使って献上してくれた品々。

そこにあるのは敬愛と信頼だけである。故に、値段は付けられない。

⏳ あとどれだけ

水量の差が、どちらを重く見ているかを示す

プリシラ

(¬_¬)

「簪が砕けたか。先ほどは髪飾りと、じりじりと削られるな、母上」

ヨルナ

(╬¬_¬)

「命の肩代わりの残数のように数えられるのは不愉快でありんす」

プリシラ

(・∀・)

「贈り物の一つもしたことのない妾では、愛し子と呼ぶには抵抗があるか?」

プリシラ

( •̀_•́ )

「戯れにも付き合えぬか。――ならば、望み通りに現実的な話をしてやろう」

プリシラ「あとどれだけ、あれと渡り合えるか、じゃ」

指一本分ほどに圧縮された水の槍が、雨あられとばかりに降り注ぐ。

――掠めるだけで腕や足を飛ばされかねない致命の一撃だ。

プリシラへ放たれる槍の数は、ヨルナと比べて倍では利かないほど多い。

――どちらにより重きを置いているか、その絶対的な水量からも推し量れる。

😔 後悔

紅の瞳に過ったものが、信じ難い

プリシラ

(・・・・・・)

「妾の手足を飛ばしても、か。――醜悪な希望に魅入られたものよな」

一瞬、その紅の瞳に過ったもの、それが信じ難く。

ヨルナ「後悔しておりんすか、プリシラ。――アラキア一将の在り方に」

プリシラ

(・∀・)

「戯れ言を。――この世界は全て、妾にとって都合のよいようにできておる」

ヨルナの前身は、プリシラを産み落としたときの難産に耐えられずに命を落とした。

――その後は『選帝の儀』が執り行われ、娘もまた戦いに敗れて命を落とした。

ヨルナ

(´;ω;`)

「悔やんでいるのは、わっちも同じでありんすか」

――何の因果か時間は流れ、巡り合うはずのなかった機が巡った。

🔥 愛しなんし

起こり得ない現象が、二人の間で起こる

ヨルナ「――愛しなんし」

激突するはずだった水と雷が掻き消えた。――否、斬り払われたのだ。

ただし、紅の宝剣が描いた剣閃は、それまでよりもさらに洗練された神速だった。

プリシラ

( ゚д゚ )

「これは……」

――魔都の住民たちに施される、ヨルナの庇護の証。

本来、戦う力と術を持たない子らへ授けられ、戦士には付与できない縛りがある。

――だが、ここにその例外が生まれる。

力の大小に拘らず、ヨルナが守りたいと願う『愛し子』の資格を満たした存在。

ヨルナ

「プリシラ――」

プリシラ

(´ー`)

「ようやく、妾を我が子と認める気になったか、母上」

ヨルナ

( •̀_•́ )

「主さんが往くなら、わっちも同じ地獄を往きんしょう」

――使い手が二人、お互いに条件を満たして、互いの魂を補完し合う。

本来、絶対に起こり得ない現象が起こる。

😢 なんで

百を誰かに譲ることなど、この人にはない

アラキア

(・・・・・・)

「……なんで」

アラキア「なんで! なんでなんで、なんで、あなたに姫様の!」

その瞳に炎を宿し、恩恵を受けるヨルナへと。

――その瞳に炎を宿せず、恩恵を受け取れないアラキアが。

アラキア

(´;ω;`)

「姫様は、わたしの……っ」

プリシラ

(╬¬_¬)

「勘違いをするな、アラキア」

プリシラ

( •̀_•́ )

「貴様が妾のものであり、妾が貴様のものになるわけではない」

プリシラ

「そして、妾が誰かに百を譲ることなどない」

🪈 覚悟するでありんす

なぜ頭を叩いたのか、と抗議される

プリシラ

( ゚д゚ )

「母上、何ゆえに妾の頭を叩いた?」

ヨルナ

(╬゚д゚)

「わっちは我が子を、そうまで居丈高に育てた覚えはないでありんす」

プリシラ

(¬_¬)

「そもそも、母上に育てられた覚えがない」

ヨルナ

(・∀・)

「であれば、ようようその機会が巡ってきたということでありんしょう」

ヨルナ

( •̀_•́ )

「ようやっと、わっちを見たでありんすな、アラキア一将」

ヨルナ

「するべき躾をできずにいたわっちの不徳、プリシラ共々、贖う機会がきたでありんす」

アラキア

( ゚д゚ )

「何を……」

ヨルナ

「早い話――」

その唇から溢れる煙を自らに纏い、娘からの信に瞳を燃やしながら。

ヨルナ「――子の躾に手を抜く親ではあれりんせん。覚悟するでありんす、小娘たち」

第七章101『愛は炎』終了。