リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章88

『風穴』

帝都へ向かうと決めるまで。エミリアたちが数日前に交わした、ひとつの談判。

🗺️ 数日前

合流の当てが外れ、方針に迷っていた

――時は、帝都ルプガナの包囲戦から数日前へ遡る。

スバルと合流する当てが外れ、レムとも行き違い、方針に迷っていた。

アベル「――あの娘を連れ去ったのが『飛竜将』である以上、居所は……」

アベル

「竜人たるマデリン・エッシャルトの住処か、あれの飼い主の屋敷であろうよ」

アベル

「奴は宰相のベルステツ・フォンダルフォンが推薦した一将だ」

エミリア

(╬¬_¬)

「ううん、そうじゃなくて……飼い主って言い方、すごーくよくないと思って」

ミディアム

(≧▽≦)

「レムちゃんがいるなら、あんちゃんも!」

大事な兄も連れていかれた一人。きっとすごく不安だろうに、弱った姿を見せない。

🧵 帝都ですよね

一人でやり切れるわけがない、という前提

ペトラ

「皇帝閣下のお力って、優秀な部下をうまく使うところも含めてですよね」

エミリア

「皇帝がすごーく強くてすごーく頭がよくても、何でも一人でやり切れるわけじゃない」

アベル

(¬_¬)

「わざわざ、至極当然の道理を聞かせて何がしたい?」

ペトラ「皇帝閣下の大事な懐刀なら、宰相さんのお住まいがあるのは帝都ですよね」

アベル

「貴様の疑問の答えは肯定だ。レムとフロップ・オコーネルも、帝都にいようよ」

ペトラ

「……仕組まれてるみたいで、面白くないです」

ペトラ

「わたしたちは、この帝国で起こってる問題と無関係なんです」

エミリア

「――。うん、大丈夫よ。私たちは、スバルとレムの二人を探しにきたんだもの」

エミリア

「でも今、レムは帝都にいるかもなのよね。それじゃ……」

ペトラ

(・・・・・・)

「――わたしたちも、帝都にいかなくちゃいけないの」

😠 卑怯です

言い出すまで黙っていた、そのやり方を咎める

ペトラ

(╬¬_¬)

「卑怯です。わたしたちから言い出すまで、黙ってるなんて」

アベル

「筋道を立てれば自ずと一本に繋がる道理だ」

ペトラ

「帝都の話ばっかりして、そっちの方はエミリーが気付かないようにしてた」

ペトラ「相手の無知につけ込んで利用するのを、わたしの故郷では恥知らずって言うんです」

エミリア

(;´Д`)

「時間がないってアベルも言ってたじゃない。それはお互い様なのに、意地悪しないで」

アベル

「何故、俺がわざわざ貴様のために物の道理を懇切丁寧に語り聞かせる必要がある」

エミリア

( •̀_•́ )

「――? 私たちの力が借りたいなら、お願いしますって言えなきゃダメじゃない」

アベル

「――。噛み合わぬ女だ」

エミリア

「私たち、すごーく力持ちだもの」

ペトラ

「エミリー、ちょっと言い方が気になるかも」

エミリア

(≧▽≦)

「私たち、すごーく頼もしいんだもの!」

🙏 しっぺ返し

お願いした、と思われたくないのではないか

エミリア

「こんな言い方しかできないのは、私たちにお願いしたって思われたくないから?」

エミリア

「ロズワールも、お願いしますって言うのがへたっぴだけど……」

エミリア「いつか、すごーくおっきなしっぺ返しされちゃう前にやめた方がいいと思う」

エミリア

「私の言ってること、全然的外れ? だったら恥ずかしいけど、そう言って」

エミリア

「何を考えてるんだろうって、ずっと考え続けるのが大事なことだもの」

前までのエミリアは、自分のわからないことに見切りをつけるのが早かった。

――でも、頼る相手が変わっただけになるような、そんな風ではいけないのだ。

♟️ 思い通り

運否天賦は、最後の一因に過ぎない

オットー

(´ー`)

「――大変、心強いお考えで嬉しいですよ、エミリー」

エミリア

「オットーくん、みんなで目を離してる間にさらわれてたこともあったから……」

オットー

「ぐうの音も出ない! ……まぁ、一応僕も備えてましたが」

オットー

「僕たちはすでに帝国の敵対する立場になったと、そういう話では?」

オットー

「どこまで、布石を?」

オットー「どこまで、あなたの思い通りなんでしょうね」

アベル

「――貴様らの存在は、この都市へ戻って初めて知った」

オットー

「では、ただの偶然だと?」

アベル

「偶然と片付けるつもりはない。所詮、運否天賦は最後の一因に過ぎぬ」

🏰 確かめる場所

ただ安全、という話ではなくなってきた

ガーフィール

「どォにも、大将がただ安全って話じゃァなくなっちまったらしい」

ペトラ

「黒い髪で黒い目の男の子……兵士さんたちは迂闊に手は出せない」

ペトラ

「でも、安全なのは、その男の子が本物かどうか確かめるまで」

ペトラ

「それで、その男の子はどこで本物かどうか確かめるの?」

エミリア「――皇帝のいる、帝都?」

アベル

「図らずも、貴様たちの探し物はどちらも帝都にある。手間が省けたな」

ペトラ

(╬¬_¬)

「白々しい……っ」

アベル

「その全てが俺の仕組んだことと。――俺は多忙だな」

エミリア

「変な言い方で、ペトラお嬢様をイジメないで。もし、また同じことをしたら……」

アベル

「同じことをすれば、なんだ?」

エミリア

( •̀_•́ )

「さっき話したしっぺ返し、一番最初にするのは私になるんだから!」

アベル

「――。腹芸の一つもない。貴様らの筆頭はいつもこうか?」

ガーフィール

「そんな相手ッだからやり甲斐があらァ」

🎭 呼び寄せる嘘

どちらかの目を、常に開け続けている人

エミリア

「アベルは頭がよくて、へんてこなお面を被ってる人で、それと……」

エミリア

(´ー`)

「やっぱり、不器用な人なんじゃないかしら」

面のことに触れたとき、アベルの手がそっと鬼面へと触れた。

エミリア「アベルのついた嘘は、スバルがいる可能性をちょっとでも高くするための嘘……じゃない?」

ガーフィール

「――ッ、そりゃァそォかもだが、なんだってこいつが大将を」

エミリア

(≧▽≦)

「そんなの決まってるじゃない。――スバルが、すごーく頼もしいから!」

エミリア

「ちゃんと手伝ってって言えたら、きっとスバルは話を聞いてくれたはずよ」

――アベルはその両目を、一緒に瞬きすることがない。

どちらかの目を常に開け続けている。目が乾かないのだろうか。

――そんなに無理をして、心が乾かないのだろうかと。

🙇 お願い

取り合う道理がどこにある、と突き放される

アベル

「俺が貴様らのとりとめのない言葉に取り合い、あれこれと受け答えする道理がどこにある」

ミディアム

(・∀・)

「今の、すっごいカッコ悪い! あたしから見ても、アベルちんの負けだよ!」

アベル

「勝ち負けを競う場とした覚えはないぞ。袖を引くな。替えがない」

ミディアム

「服がなくなったら、また女の子の格好しなよ! アベルちんにはお似合いだい!」

ミディアム

「あたし、また二人と会いたいの。スバルちんとも! だから、だからね……」

ミディアム「お願い! アベルちんはあんなだけど、エミリーちゃんたちも手伝って!」

エミリア

「アベル、こういうことだと思うの」

アベル

「貴様たちも、帝都攻めに加わる。その意思表明と捉える」

ペトラ

(╬゚д゚)

「恥知らずっ!」

ミディアム

「アベルちん――!」

🕯️ 茨の道

あの人に囚われず、こちらの目的を果たす

オットー

「アベルさんの発言や存在に囚われすぎず、僕たちは僕たちの目的を果たしましょう」

オットー

「ドラクロイ上級伯と合流できているそうで、どうやら反乱に乗り気なんだとか」

エミリア

「じゃあ、その上級伯とダドリー……ロズワールも、帝都に?」

フレデリカ

「もちろん、ペトラのことも心配ですわ。ですけれど、わたくし自身が怖いんですのよ」

エミリア

「私たちはここにいて、戦いに参加する人たちとも知り合っちゃったから……」

エミリア

「もうここから逃げられても、眉間に皺を寄せるだけじゃ済まないわ」

エミリア

( •̀_•́ )

「私たちが参加したら、死んじゃう人が減らせると思う」

オットー

「エミリー……いえ、エミリア様。それはかなりの茨の道ですよ」

オットー

(・_・)

「もしも、この決戦で死人が二人しか出なくても、その二人が二人だったなら失敗です」

ガーフィール

「オットー兄ィ、いくら何でもそいつァ……」

オットー

「今はエミリア様と話しています」

エミリア

「私たちの全力にはオットーくんが必要だから、スバルたちと会えるまで頑張ってもらう」

エミリア

「もしもオットーくんが倒れても、無理やり負ぶっていくから。だから」

エミリア「スバルたちを助けるのも、できるだけ帝国の人を死なせないのも、どっちもやりましょう!」

❄️ 風穴

猛烈な冷たい風が、草原を白く埋める

エミリア「――私たちが、この戦いに風穴を開けましょう」

猛烈な冷たい風が吹き荒れて、緑色の草原を白い空気が埋め尽くす。

倒れているのは、体そのものが武器になった人々――刃金人。

エミリア

( •̀_•́ )

「みんな! ここから離れて! ここは私がすごーく頑張るから!」

――もう十分、相手の目はエミリアに引き付けられていた。

マデリン

(╬゚д゚)

「――また、お前だっちゃか」

エミリア

「ええ! また私よ、マデリン! 通りすがりの精霊術師、エミリー!」

マデリン

「腹立たしい娘だっちゃ。この間の戦いで、竜には勝てないと――」

エミリア

(・∀・)

「――えい!」

都市庁舎よりも大きな氷塊がマデリンへと天墜し、戦いが轟音と共に開戦した。

第七章88『風穴』終了。