リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章78

『一触即発の再会』

都市庁舎の大広間。ようやく顔を合わせた者たちの間に、剣呑な空気が満ちていく。

❄️ もうすぐ会える

目覚めさせるには、絶対条件がひとつある

エミリア「もうすぐ、スバルに会えるからね、ベアトリス……!」

消耗を抑えるために長く眠り続けている少女を目覚めさせるには、

契約関係にあるスバルと接触し、彼からマナの供給を受けることが絶対条件だ。

パックが勝手に行方をくらましたとき以来――違う、それ以上だった。

パックは一人でも大丈夫かもしれないけれど、スバルはそうじゃないのだ。

――スバルをわかってあげられる誰かが、ちゃんと傍にいてあげないと。

ミゼルダ

「ずいぶんと便利に魔法を使うナ。私たちとは根っこから違ウ」

ミゼルダ

「大抵の場合、魔法など使われる前に殴ってしまえば話は終わル」

エミリア

「それは私もわかるかも。遠くじゃなくて、近くにいる場合だけだけど」

😢 再び行方不明

息せき切って駆け付けたのに、姿がない

エミリア

( •̀_•́ )

「スバル! いる!? みんなで迎えにきたのよ!」

息せき切って駆け付けた自分をズルいとわかっていた。それでも、早く会いたかった。

エミリア

(>﹏<)

「――っ、スバル!」

肩を叩いた相手が驚いて目を丸くする。そこにいたのは、探し求めた彼ではなくて。

フレデリカ

「――。伝えなくてはいけないことがありますわ」

フレデリカ「残念ですけれど、スバル様は魔都カオスフレームで再び行方不明に」

フレデリカ

(´・ω・`)

「……戻られた馬車の中に、スバル様のお姿はございませんでしたの」

📏 ちっちゃくなった

傍らの少女に、なぜか見覚えがある気がする

ミディアム「あんちゃんとレムちゃんが連れてかれちゃったって、どういうこと~!?」

ズィクル

「私の認識に間違いがなければ、お嬢さんはミディアム嬢に相違ありませんか?」

ミディアム

(・∀・)

「え? そうだよ、どうしたの? そんなの見たらわかるじゃん」

ズィクル

「――アベル殿、これは」

アベル

「オルバルト・ダンクルケンの術技によるものだ」

アベル

「返答が的を外したものであったのは元々の素養が理由で、この姿が理由ではない」

ミディアム

(≧▽≦)

「あたしちっちゃくなっちゃったの! スバルちんとかと一緒に!」

――そして、その傍らで唸り声を上げる、もう一人の金髪の少女。

オットーには、どういうわけかその子に見覚えがある気がしてならなかった。

🎭 仲間の人

お友達なのか、と無邪気に聞かれる

アベル

「――よもや、ナツキ・スバルの連れがはるばる訪れるとはな」

エミリア

「あなたも、スバルのお友達?」

アベル「俺に友人などいない。目的の途上、手を結んでいるだけの間柄だ」

ズィクル

「こちらの方が、我々を率いる立場にある御方、アベル殿です」

アベル

「そう述べるには、ずいぶんと損耗させたものだな」

ミディアム

(╬゚д゚)

「アベルちん、そんな意地悪なこと言わないの! みんな頑張ったんだよ!」

ミディアム

「あんちゃんが連れてかれなかったらきっと大変だったよ!」

アベル

「先の言葉は聞き捨てよ。……貴様の働きは評価に値する」

――元々、ズィクル相手にかけるべく用意されていた言葉だ。

ミディアム

(╬¬_¬)

「……アベルちん、性格悪い!」

🦊 協定

いるだけで意識せざるを得ない存在感がある

ヨルナ「――それで? いったい、いつになったら話は進みんす?」

ただいるだけで意識せざるを得ない存在感。――ヨルナ・ミシグレ。

彼女を味方に付けることが、帝国の在り方を揺るがす大きな核となる。

ズィクル

「私はズィクル・オスマン、ヴォラキア帝国にて二将の立場に与る身でございます」

ヨルナ

「ミディアムやタリッタの言うように見所のある殿方のようでありんしょう」

ズィクル

「それで、ヨルナ一将もアベル殿と共に戦ってくださると?」

ヨルナ

「わっちにはわっちの思惑がありんすが、それがアベルと利害は一致しておりんす」

アベル

「話は取り付けた。ヨルナ・ミシグレとの協定に問題はない」

💗 スバルは大丈夫

心の価値を信じる側と、信じない側の溝

エミリア

(´・ω・`)

「――スバルが、どこかに飛ばされちゃった」

エミリア

「もう一回、ちゃんと最初からやり直しましょう」

アベル

「規模を考えれば、行方知れずとなったあれが無事とは考えにくいが――」

エミリア「――スバルは大丈夫。それは絶対」

アベル

「あれが、あの状況で生き残る確信が、貴様らにはあると?」

エミリア

( •̀_•́ )

「確信は、スバルを信じてること」

エミリア

「スバルはちゃんと、私たちが迎えにいくまで頑張ってくれてるって信じてる」

アベル

(¬_¬)

「説得力を伴わぬ希望的観測の類か。それが根拠とは失望させる」

エミリア

「信じられたら安心できるし、信じてもらえてたら力が出る。あなたは違うの?」

アベル

「所詮、心持ちは心持ちだ。そこから先の決定打には到底なり得ん」

――心の価値を信じるエミリアと、信じないアベルの違い。

この溝は人生観の違いである可能性が高く、容易く埋まるとも思えない。

🔗 契約関係

眠り続けていた少女が、目を開ける

ベアトリス「……スバルが生きてることの確証なら、ちゃんとベティーが持っているのよ」

エミリア

( ゚д゚ )

「ベアトリス!」

フレデリカ

「様!」

アベル

「ナツキ・スバルの生死の確証を持つとは、何故だ?」

ベアトリス

( •̀_•́ )

「簡単な話かしら。ベティーとスバルが、魂で繋がっているからなのよ」

ヨルナ

「――。ああ、そういうことでありんすか」

アベル

「衰弱し切ったその娘の様子か。合点がいくな」

オットー

「ナツキさんがどこかで……飛ばされた先で生きているのは確かかと」

ヨルナ

「――。そうでありんすか。なら、タンザも少しは浮かばれるでありんしょう」

🧒 幼児化

話を少し戻していいですか、と手が挙がる

ペトラ

「あの、ちょっと話を戻してもいいですか?」

エミリア

「ペトラちゃん」

フレデリカ

「様!」

ミディアム

「あたし、元々はすっごい背が高かったんだから!」

ガーフィール

(>﹏<)

「なァんで一回、俺様ァ外されッてんだよォ」

ペトラ「スバルも、ちっちゃくされちゃったんですか?」

ミディアム

「スバルちんもあたしとおんなじ! もうちょっと小さいかも?」

ミディアム

「でも、ヨルナちゃんと一緒におっかないお爺ちゃんもこらしめたって聞いたから!」

エミリア

「ええ、スバルはすごいの!」

ベアトリス

「当然かしら。それがベティーのパートナーなのよ」

オットー

(;´Д`)

「女装だけに飽き足らず、今度は子ども化……幼児化? 落ち着きのない人だな……」

フレデリカ

「でも、心配ですわね。クリンドとはとても会わせられませんわ」

😨 なんで、ここに

揺れる瞳が、傍らの少女を見ている

ガーフィール

「――ベアトリス様? 呆けたッ面して、どォした?」

揺れる彼女の瞳が見ているのは、ミディアムの傍らに寄り添うもう一人の少女。

ベアトリス「……なんで、ここにお前がいるかしら」

ベアトリス

「答えるのよ! いや、余計なことはするんじゃないかしら!」

オットー

「僕が? 何に……ぁ」

――あの少女に、オットーは見覚えがあるのだ。

あのときオットーは足を抉られ、痛みと出血で意識が朦朧としていた。

ベアトリス

(╬゚Д゚)

「――『暴食』なのよ」

ベアトリス

「あの娘は、『暴食』の大罪司教……ルイ・アルネブと名乗った娘かしら」

🛡️ 悪い子じゃない

間に割って入る声が、上がる

ガーフィール

(╬゚д゚)

「冗談じゃァねェぞ。大罪司教たァ、なァに考えてッやがる」

ミディアム「ま、待って! 違うの! ルイちゃんは、悪い子じゃないの!」

オットー

「ちなみに僕は彼女にこの両足を痛々しく抉られています」

オットー

「被害者は僕以外にも……それこそ、数え切れないほどいます」

ミディアム

「前の、ルイちゃんはそうだったのかも……でも、今のルイちゃんは違うよ!」

ミディアム

「あんちゃんともスバルちんとも、レムちゃんとも仲良しだったもん!」

オットー

「――ナツキさんと?」

ペトラ

「オットーさん、スバルまで記憶をなくしてたりしないよね?」

エミリア

「この街で聞けたスバルの話は、私たちが知ってるスバルのまま」

オットー

「――権能の解除条件、それを懸念した可能性もありますか」

命を奪って権能の被害者が戻らなければ、元に戻す方法が永遠に失われる。

ガーフィール

「けど、それでもあのチビを自由にしとかなきゃならねェって話じゃァねェだろ」

⚔️ 一触即発

扱いは貴様の領分だ、と突き放される

ミディアム

「アベルちん! 何とか言ってよ!」

アベル

「俺が何を言う。それの扱いは貴様の領分であろう」

アベル

「貴様の不徳の責を俺に押し付けるな。そもそも、不要だ」

ガーフィール

( •̀_•́ )

「おォ、俺様ァ相手が女ッでも手加減ァしねェぞ」

ヨルナ

「それは重畳にありんす」

ヨルナ

「そうでなくては、わっちが美しいのが理由で手を抜いたと言い訳をされてしまいんす」

オットー

「まさか、ヴォラキア帝国では魔女教の恐ろしさが知られていないとでも?」

アベル

「有用であれば使い道を一考する」

アベル

「貴様らの方こそ、全てが自分たちに味方するというのは勘違いも甚だしいぞ」

ミゼルダ

「――言っておくガ、スバルとレムの二人と我々は仲間ダ」

ミゼルダ「ルイの行く末を決める資格は二人にあル」

タリッタ

「私の意見も姉上と同じでス。でモ、私自身の考えでルイを守ル」

タリッタ

「ルイにハ、恩がありますのデ」

ベアトリス

「大罪司教、それも『暴食』なんて見逃せんのよ。お前たちも頭を冷やすかしら」

エミリア

「ダメよ、みんな落ち着いて! そんな風に暴れちゃ――」

🌞 血気盛ん

発言力を持つ最後の一人が、姿を見せる

プリシラ「――なんじゃ、貴様ら、まだ戦い足りぬのか。血気盛んなことよな」

白い肌と橙色の髪、宝石すらも煌びやかさで後れを取るような天性の美貌。

――この城郭都市で、発言力を持った最後の一人の登場だ。

プリシラ

(・∀・)

「都市がこれだけ荒らされようと、飢えた犬は吠える場所も選べぬらしい」

エミリア

(;´Д`)

「プリシラ! 今、すごーくみんなピリピリしてるの! 変なこと言わないで」

プリシラ

「たわけ。妾がこなんだら、貴様が再び雪を降らしておったろう」

プリシラ

「言っておくが、いくら冷やそうと妾は肩をはだけるのをやめぬ。だが、冷えるのは冷える」

エミリア

「それはごめんねだけど……」

👑 プリスカ

動じないはずの人が、愕然と立ち尽くす

甲高い、硬いものが落ちる音が大広間に響いた。

ミディアム

「――ヨルナちゃん?」

泰然自若と、動じる姿が浮かばないような印象を与えるヨルナが、愕然と。

ヨルナ

( ゚д゚ )

「ぷ、プリスカ……?」

似ているが、異なる名前。その呼び名に反応したのはこの場で三人。

――ズィクルは思わしげに、アベルは思案げに、プリシラは不機嫌に。

プリシラ

「なんじゃ、貴様、何故に妾をそのように……いや」

青い瞳と血色の瞳が見つめ合い、しばしの沈黙が流れた。

プリシラ「――誰かと思えば、母上ではないか」

第七章78『一触即発の再会』終了。