第七章102
『覚悟の壁』
戦場の『血管』を断ちにきた男と、断たれまいとする三人。
🍀 ケチのつき始め
抜け穴を潰しても、奥の手には勝てない
ひたすら『当然』を突き詰め、抜け穴を全部潰し、悲観的に考えて失策を減らす。
――それだけのことをやっても、考えの及ばない奥の手には手も足も出ない。
ケチのつき始めは、帝都から東の地への派兵の一団に編入されたこと。
――野営地近くの川を流されていた二人の男女。あの最悪の拾い物だ。
傑物と言われる存在は、自分だけの道を歩くしかないことを自覚している節がある。
――そんな中であの男だけは例外だ。凡庸なのに、異常だった。
それがヤバい。だから、機会があれば何が何でも殺そうとだけは考えた。
🩸 情報戦
――流れる血を巡らせる管が機能しなければ体は立ち行かない
集団の指揮官は頭か心臓だ。どちらも潰せれば致命傷だが、誰でも当たり前に守ろうとする。
――流れる血を巡らせる管が機能しなければ体は立ち行かない。
見た目は十代前半の女児が二人と、優男が一人。
――本来ならいるべきではない存在がいることが、そのままいなければならない存在だと疑わせる。
優男の目つきがおかしい。自分の命を平気で道具にする類の眼光が隠れている。
女児の片方は異様に肝が据わった目をし、もう片方は構えや立ち方に戦士の色がある。
――殺しの経験があるなら、それが女児だろうと覚悟の壁は乗り越えている。
「――お前さんたちも、時間をやらない方がいい奴らだってな」
🧠 手強い
――自分が弱いと思っている相手は脅威だった
情報戦の肝は、そもそも扱うための情報をどうやって入手するかにある。
――大抵の場合、その部分には目がいかず、情報を扱う本体を狙いたくなるのが人情。
しかし、目の前の男は違った。
疑問点は大きく二つ。どうやってチャンネルに引っかからずに現れたのか。
そして、どうやって居場所を特定したのか。
――おそらくその二つの疑問は、同じ理由が答えになっている。
多くを語らないことが、自分を守る術になると理解している。
――自分が弱いと思っている相手は脅威だった。
💥 七番
陰湿なぐらい周到な、仕込みが効く
ペトラ・レイテは逆境に置かれるたび、自分の研磨不足を悔しがる。
――いつでも期待された成果は挙げられなくてはならない。
(>﹏<)
「ペトラちゃん!」
( •̀_•́ )
「――七番!」
(・・・・・・)
「――スバル」
ペトラのジワルドでは、火傷を負わせるのがせいぜいだ。――だが、それでいい。
男に火傷を負わせるのが目的ではない。――仕込みに、引火させるのが狙いだった。
「何が役立つかわかりませんから」と、陰湿なぐらい周到なオットーの構え。
――背後で地面が爆発を起こし、男の警戒がわずかに後ろへ移る。
🗡️ まだまだ
無傷の理想より、生き延びる現実を選ぶ
(╬゚Д゚)
「おりゃあああ――!!」
跳ね返された勢いでくるっと回転し、そのまま勢いを乗せて剣撃を放つ。
――まるで、増水した川の水みたいに勢いの止まらない剣舞。
「四番!」
( •̀_•́ )
「はいっ」
(・_・)
「必要なら、ミディアムさんごと巻き込みます」
(;´Д`)
「あとでちゃんと、治癒魔法かけるからっ」
(≧▽≦)
「うおおおお! よくわかんないけど、あたしは止まらない!」
――三人が無傷で切り抜ける理想よりも、三人が傷を負ってでも生き延びる現実が重要だと。
🥶 呆れ
込められていたのは、怒りではなく呆れ
(・∀・)
「おいおい、勘弁してくれ」
出鼻を挫かれたことへの怒りや焦りではない。込められていたのは、呆れだった。
( •̀_•́ )
「二番!!」
ペトラの指が向く先は、今度は自分たちの足下だった。
――「痛いので使いたくはないですね」と前置きされていた、緊急避難用の仕込み。
オットーは、二人がばらけて支援できなくなる失態を防ぐことを選んだ。
――そして、せめて自分の体でペトラが受ける被害を最小限にすることを。
直前まで二人がいた場所で、あの炎が炸裂する。
――斧で斬り殺すと思わせ、本命は後ろに仕込んでいた炎だった。
👁️ そこと、そこ
仕込みの位置を、次々と言い当てられる
「あまりやりたくないんだがな」
六番、九番、一番、五番、八番と、立て続けに仕込みが爆発を起こしていく。
( ゚д゚ )
「ど、どうして……」
(;゚Д゚)
「……まさか、精霊?」
「でも、精霊なんてどこにも……」
(¬_¬)
「従わせる方法は一個じゃない。喰われたくないならって話もある」
「意趣返しじゃありませんが、聞く耳を持たない方がよさそうですね」
(╬¬_¬)
「あなたのこと、嫌いですっ」
(╬゚д゚)
「あたしもおんなじ意見!」
🪓 帝国流だ
三人の中で、一番読みやすいのは誰か
我慢に我慢を重ね、思い切った一撃は真っ直ぐ男に吸い込まれ――
「お前たち三人の中で、一番読みやすいのがお前さんだよ」
(×Д×)
「――ぁ」
(>﹏<)
「ミディアムちゃんっ!」
💛 あんちゃんの教え
死んじゃった、と思いながらも慌てない
「妹よ! 僕たちは頭で考えるより、心で考える方がずっといい正解が引けそうだ」
縮む前の胸と、縮んだあとの胸のどちらにも仕舞ってある道しるべ。
「あ、死んじゃった」と思いながらも、ミディアムは慌てなかった。
――最善の行動をしたから、やるべきことを果たしたから、悔いはない。
自分の顔に突き刺さる寸前、分厚い斧の刃が火花を散らして弾かれる。
🪖 星も見えねぇ
兎が別のものに化けたと、警戒する構え
(´ー`)
「――おお、そりゃ羨ましいもんだぜ。オレなんてとても数え切れねぇ」
「お前さんは……」
「調子いいとこ邪魔して悪ぃんだが」
(・∀・)
「どこが一番やべぇかと思ってたが、灯台下暗しってのはこのことだ」
「まったく、一寸先は暗闇すぎてガチで困るぜ」
兎相手にも手を抜かない獅子の構えではなく、兎が別のものに化けたのを警戒する狩人の姿勢。
第七章102『覚悟の壁』終了。
「――このところ、とにかく運が悪い」
オットー
ペトラ
ミディアム
アル