リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章83

『戦乱と戦場』

帝国全土に火の手が広がる。反乱を潰して回る二人の目に、それはどう映るのか。

🗺️ 血の渇望

数年の安寧が嘘だったかのように、賑々しい

ここ数日、帝国はこの数年の安寧が嘘だったかのように賑々しい。

帝国民は建国以来、初めての『平穏』を甘受していたはずだったのだ。

トッド「蓋を開けてみれば、帝国の人間は平穏無事な日々なんて求めちゃいなかったと」

年単位で心身を消耗し、前例のない平和な時代を築いた。

――それが望まれていなかったとわかれば、その心中の落胆は想像に余りある。

まったく、国民は愚かで、皇帝は哀れだ。

トッド

(¬_¬)

「なんでわざわざ死ぬかもしれない可能性を増やすのやら……」

トッド

(・・・・・・)

「あいつも……あー、えー、そう、ジャマルとかも」

――もはや顔もぼやけている男の記憶を辿りながら、気を引き締める。

迂闊な発言をして、ジャマルを忘れているとバレたら面倒だ。

🪑 見苦しい

いつ隣に来たのか、把握できていない

彼女は直前まで、馬車の屋根の上にいたはずだ。

――いつの間に隣にやってきたのか、トッドの知覚では把握できなかった。

大抵の人間が躓くのは、勝てないと殺せないを混同しているからだ。

絶対に勝てなくても、容易く殺せる相手はいる。

トッド「アラキア、ちゃんと座れ。見苦しい」

アラキア

(・_・)

「座る? わたしが椅子に?」

トッド

(;´Д`)

「他にあるか? 椅子をなんだと思ってるんだ」

トッド

「帝国じゃ強ければ何でもまかり通るが、それはそれとして兵にも心があるんだ」

アラキア

(・・・・・・)

「……意味ある? それ。どうせ、わたしは一人で戦うのに」

トッド

「降伏した連中と交渉するのは誰だ?」

トッド

(¬_¬)

「大体、一人でいいならなんで俺がいる? お前さんの言葉は矛盾だらけだ」

扱いに慣れれば、アラキアも牧羊犬を躾けているようなものだ。

――違うのは、その犬自体が途轍もなく強い力を持った狼でもあること。

✍️ 三本目の手

地図に何を書き込んでいるのか、と聞かれる

アラキア

「地図、何を見てたの?」

アラキア

(´・ω・`)

「……わからない」

トッド

(・∀・)

「だろうな」

意味の読み替えや意図的に間違った記号で、他人が見ても情報を取り出せない。

落としても行動は割れず、捕虜にされても解読目当てに生かされる可能性がある。

――やっておいて損のない、躓かぬための三本目の手というやつだ。

トッド「意味のある書き込みは、戦いの起こった場所と規模の記録だ」

トッド

「意味のない書き込みは単なる目くらまし。どれがどれか、お前さんに説明はしないが」

アラキア

「わからないから、言われても。……多い?」

トッド

(・・・・・・)

「ああ、今の皇帝閣下になってから、ここまで手の付けられない状況は初めてだ」

🏝️ 引っかかり

あの噂の出所が、引っかかっている

トッド

「皇帝閣下の御落胤、黒髪の皇太子」

アラキア

( ゚д゚ )

「閣下に子ども……本当に?」

トッド

「重要なのは事実かどうかじゃなく、そういう風聞が流布されて……」

トッド

「挙句に立ち消えずに火勢を強め続けてるところにある」

アラキア「――。関係ある? 剣奴孤島のこと」

上陸寸前に撤退し、事なきを得た初仕事。ベルステツの叱責は受けた。

――絶対に対峙してはならない脅威が、あそこにあったと感じ取ってしまったのだ。

トッド

(;´Д`)

「馬鹿馬鹿しい。俺らしくもない」

トッド

(¬_¬)

「反乱なんてあちこちで起こってるが、どれも長続きしやしない。――夢を見てるだけだ」

⚔️ 衝突

――帝国軍と反乱軍、西の平原を戦場とした衝突はすでに始まっていた

――帝国軍と反乱軍、西の平原を戦場とした衝突はすでに始まっていた。

トッド

「相手は?」

「クノエレメンテの住民、執政官を殺して気勢を上げている」

トッド

「情勢の悪いときに動かされたな。……それで、あの集団に例の疫病神は?」

「確認されていない。我々はいないと考えている」

トッド

(・_・)

「いるなら最初から顔見せしてくるはずだしな。――アラキア一将」

トッド

「合図を出して、兵を撤退させてくれ。脇目も振らずに下がるのをおススメする」

トッド

( •̀_•́ )

「そうでないと――アラキア一将の炎は、焼き尽くす相手を選ばない」

「太鼓を鳴らせ! 兵を引かせろ!」

🔥 戦術兵器

狩る側ではなく、狩られる側だと知らされる

トッド

「アラキア、太鼓の音を聞いて下がってくる兵には当てるな」

アラキア

「他は?」

トッド

(´ー`)

「好きにしていい」

とんでもないことをやらかす力を持った女だが、彼女は別に戦いが好きではないらしい。

――なので、戦場で好きにしろというのは適切ではなく。

トッド「――逆らう相手は全員殺せ」

その片手に子どもが遊ぶような木の枝を握り、両膝から下を炎と変えて、高い空へ。

――降り注ぐ爆炎が、逃げ出す背中を追いかける狩人気取りを灰へと変える。

自分たちが狩るものではなく、狩られるものに過ぎない立場であることを、彼らは知る。

「鳴らせ鳴らせ鳴らせ! 太鼓を鳴らせ! 全員戻れ――ッ!!」

👑 皇太子

降伏の申し出が、こちらへ届く

「――ファング上等兵! アラキア一将を止めてくれ!」

「相手が降伏を訴え出てきた! 戦いは終わりだ!」

トッド

「そんな都合のいい申し出を許していいのか?」

トッド

「今なら一方的に全滅させられる。余計な禍根を断つのと、見せしめはしておいた方がいい」

――「ダメだ! 降伏した奴らが、『皇太子』を連れてる!」

トッド

( ゚д゚ )

「――なんだと?」

トッド

「どうしてここで『皇太子』が出てくる。いないって話だっただろう」

「や、奴らが隠していた……今さら、出てきたんだ……」

トッド

(╬¬_¬)

「ちっ、切り札のつもりだったのか? 手札の価値もわからない奴らめ」

トッド

「使者を引っ張ってこい。全滅したくないならって、必死に走らせろ」

🪓 嘘だな

大義名分として使われているのか、を確かめる

トッド

「お前さんたち、『皇太子』を抱えてるそうだな。それが反乱の大義名分か?」

「そ、そうだ。『皇太子』は、帝位を望まれている……」

トッド「――嘘だな」

「あ?」

その反応が、トッドに確信させた。――言いがかりは、言いがかりでないと。

次の瞬間、腰に下げた斧を振るい、棒立ちの男の頭を叩き割る。

「上等兵! 勝手な真似を……」

トッド

「こいつは嘘をついた。相手に『皇太子』なんていない」

トッド

「――アラキア一将には、あのままやらせる」

「ぐ……もしも、もしも本当に『皇太子』がいたら」

トッド

「いない」

その御落胤を名乗り、反乱を企てるもののなんと多いことよ。

――そしてその『皇太子』を、可能な限り生きて捕らえよという宰相の指令。

トッド

(;´Д`)

「ああ、まったく、お話にならん。――いつになったら帝都に戻れる」

🕯️ 生存本能

――燃え広がっていく戦乱の炎の向こうに、誰かがいる

反乱は潰える。どれだけ気勢を上げようと、帝国という重みには勝てようはずもない。

そのことに一切の疑いはないと、そう考えていながら、トッドはふと思う。

――燃え広がっていく戦乱の炎の向こうに、誰かがいる。

延々と、延々とトッドの生存本能を疼かせる、誰かが。

『――。関係ある? 剣奴孤島のこと』

基本的に、過ぎたことをトッドは振り返らない。

にも拘らず、あの出来事だけは引っかかり続ける。

あの判断は正しかったはずだ。悔やむはずもない。

だが、もしも、万一、何かの理由で悔やむことがあるとすれば、それは――

トッド

(・・・・・・)

「――あの日の撤退が、俺の人生を詰ませたときだけだ」

第七章83『戦乱と戦場』終了。