リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章41

『茶飲み話』

湯呑みを持った老人が、いつの間にか部屋にいた。――話を『しに』きたのではなく、『聞きに』きた。

🗓️ あと三時間

議題は、紅瑠璃城への出頭

スバル

( •̀_•́ )

「――作戦会議!」

議題は『紅瑠璃城への出頭』。

手紙を書いたアベルと、昨日の使者三人が必須という条件だ。

――縮んだ三人を連れていって、悪ふざけとみなされないだろうか。

アベル

「相手の出方がわからぬ状況で、手札を見せるなど正気の沙汰ではない」

スバル

(´・ω・`)

「だよな……俺も、ヨルナならきっと話を聞いてくれるはずだなんて言えない……」

ヨルナに抱いた印象を言語化するなら――『悪女』。

そこに魔都の支配者の地位と、『九神将』の力量が備わっている。

アル

「女装などと、わっちに嘘をついたでありんすか、的なこと言われたらどうするよ」

スバル

「あれなら一応、ナツミ・シュバルツのロリ状態を装っておくか……?」

タリッタ

(゚д゚ ;)

「マ、待ってくださイ。それはいよいヨ、私も混乱してしまいそうでス……」

ミディアム

「それで、どうするの? 火の刻の鐘って、あと三時間くらいだよ?」

🍵 湯気の立つ湯呑み

宿の一室で、誰かが茶を淹れている

スバル

「若返りって、不老長寿の秘術っぽくねぇか?」

オルバルト「――と、思うじゃろ? けど、そうそう簡単にもいかねえのよな、これ」

オルバルト

(・∀・)

「勝手に茶ぁ入れて飲んどるけど、他にも飲みたい奴とかおる?」

バネ仕掛けの人形のように、タリッタが動く。

抜き放った弓に矢をつがえ、狙いは超至近距離。

オルバルト

(´ー`)

「やめとけやめとけ。ワシ、先の尖ったもん向けられんの好きじゃねえんじゃぜ」

タリッタ

(╬゚д゚)

「ふざけたことヲ……! あなたはいったイ……」

アベル

「――オルバルト・ダンクルケン」

ミディアム

「でも、お爺ちゃんどうやって入ってきたの?」

オルバルト

「あの、鹿人の娘を通したじゃろ? で、一緒に入ってきたわけよ」

オルバルト

(≧▽≦)

「かかかっか! どうやって入ってきたかは秘密じゃぜ」

😈 面白ぇじゃろ

心当たりを尋ねると、あっさり認められる

スバル

「俺たちがこうなった理由、それに心当たりがあるなら正直に……」

オルバルト

「ああ、それかよ。それならワシがやったんじゃぜ。面白ぇじゃろ、シノビの術技」

駆け引きなど抜きに、あっさりと。

オルバルト「うっかり殺すと、話も何にも聞けなくて面倒があとに残るじゃろ?」

オルバルト

「だもんで、殺さないで絞る技なら色々あるんじゃぜ。――面白ぇじゃろ?」

そう言い放って、温かな茶を啜った。

⚖️ 覆せっかよ

手出しはさせぬ、という明言を持ち出す

アベル

「この魔都の支配者、ヨルナ・ミシグレの考えは耳に入っていよう」

アベル

「あれはこのものたちを使者と認めた。手出しはさせぬと、そう明言したと」

スバル

(#`Д´)

「そ、そうだ! わたくしたちも命懸けでしたのよ! なのに、この仕打ちは話が違いますわ!」

オルバルト

「おいおい、興奮して混ざっちまっとるじゃろ、それ」

オルバルト

「ワシがお前さんらをつついたのって、昨日の勝負がつく前じゃろ?」

オルバルト

「戦ってる最中に付いた刀傷で死んでも文句言われねえんなら……」

オルバルト

「戦ってる最中に入れた縮こまる術の文句も言われる筋合いねえじゃろ」

スバル

(>﹏<)

「き、詭弁だ……!」

オルバルト「まあよ、実際詭弁じゃぜ? ――けど、覆せっかよ?」

❓ 胸の内を聞きに

何用で来たのか、何度も問い直す

アベル

(╬¬_¬)

「俺は貴様に、何用できたと聞いたはずだ。いったい、何度問えば答える気になる?」

オルバルト

「どうせ敵になる連中なら、ちょっと弱らせといてもバチは当たらんじゃろ?」

アル

「そいつはオレたちを縮ませた理由になっても、茶ぁ飲みにきた理由にはなってねぇ」

オルバルト

「ワシがきた理由はぶっちゃけ、お前さんらの話を聞きにきたってのが一番すんなりじゃろうよ」

オルバルト

「昨日の城での啖呵、ありゃワシも痺れたもんじゃぜ」

オルバルト

「閣下相手にあれこれかまそうって奴は結構おるし、今んとこは全部失敗しとるわけよ」

オルバルト

「だのに、なんでまた危ねえ橋を渡んのかと、胸の内を聞いてみてえって話じゃわな」

スバル

(・_・)

「……それを聞いて、どうするんだよ」

オルバルト

「そんなもん、聞いてから決めるに決まっとるじゃろ」

オルバルト

(≧▽≦)

「で、嘘言えんように先に小細工しとくわけじゃぜ、かかかっか!」

👁️ 面はお喋り

正体を明かすか、という誘惑がよぎる

――ここは勝負すべき場面ではないか。

アベルの正体を明かせば、オルバルトを味方にできるかもしれない。

オルバルト「――面白ぇことに、人の面ってのはこれが案外お喋りなんじゃぜ?」

オルバルト

「目線、顔の強張り具合、ほんのちょっぴの筋肉の緊張……」

オルバルト

「別に口が動かなくてもよ、色々と喋ってくれんのじゃぜ、実際」

オルバルト

「踊り子っぽい嬢ちゃんは弓使いの嬢ちゃんを頼りにしとる」

オルバルト

「布巻いた若僧とちっちぇえのはお前さんじゃな。で、お前さんと弓使いは……仮面の若僧」

オルバルト

(¬_¬)

「――弱ってるときなんか、ますますそれが顕著なもんじゃろ?」

🪢 忍びの不文律

話を聞くとは言ったが、交渉とは言っていない

――『幼児化』は、話を聞くためだと彼は言った。

決して、『交渉』するためだとは言わなかった。

スバル

「話を、しにきたんじゃ……」

オルバルト

「話を『しに』きたと、話を『聞きに』きたは似ててちょっと違ぇじゃろ?」

オルバルト「ワシもシノビの頭領じゃし……拷問もしてねえ相手の言葉なんぞ、信じらんねえんじゃな」

オルバルト

「態度でけえし、自分は誰も頼ってねえしで仮面の若僧が大将じゃろ?」

オルバルト

「それが何のつもりで、あの狐娘を口説きにきたのか聞かせてみるんじゃぜ」

アベル

「――。それが叶わなければ、如何にする?」

オルバルト

「そんときゃ、もっと別の手段を講じるだけじゃね?」

――どちらも動けない、膠着状態。

偽皇帝とヨルナに縛られ、オルバルトは追加の敵対行動が取れない。

こんな状況が、ここ以外のどこで用意できるだろうか。

🎭 素顔を晒す

賭けに出て、鬼面の中身を差し出す

スバル

( •̀_•́ )

「――アベル」

鬼面越しに、意識がこちらを向くのがわかる。

感情は見えない。――しかし、意図は察せられたと感じたから。

スバル「ヴィンセント・ヴォラキア皇帝だ」

オルバルト

( ゚д゚ )

「……ああん?」

スバル

「顔の見えない若僧の正体と、俺たちの目的が知りたいんだろ」

オルバルト

「おいおい、そいつはちょっと笑えねえんじゃぜ?」

スバル

「笑い話にするつもりもねぇよ。――アベル」

たおやかな指が、自分の顔に伸びる。

オルバルト

(゚д゚)

「――こいつは、どえれえことじゃぜ」

オルバルト

「閣下、じゃと? じゃが、そいつはおかしすぎんじゃろ。なら、ワシが一緒に――」

アベル

「老いた知恵を巡らせろ、オルバルト・ダンクルケン」

アベル

「貴様は答えを持っていよう。あとは引き出すだけだ」

オルバルト

(;´Д`)

「なら、あれはチシャってことになんのかよ。まんまとやってくれる……」

オルバルト

「しかし、そうなっとあれかよ。閣下らしくもなく、やられっ放しじゃね?」

アベル

「俺の腹の底を、貴様の眼が見透かせると?」

🎆 死に花

弓は下ろさなくていい、と言われる

スバル

「タリッタさん、もう弓下ろしていいよ。オルバルトさんは……」

オルバルト

「あ? いや、別に下ろさんくていいんじゃぜ?」

オルバルト

「つか、敵じゃねえって確定しとらん奴の前で警戒解くとか、無理じゃろうもん」

スバル

(゚Д゚)

「は?」

スバル

「こっちの話を……」

オルバルト

「聞いたんじゃぜ? 聞いてから判断するって言ったじゃろ。で、したわけよ」

アベル

「どちらへ出るかわからぬ札の一枚だったが、貴様はそう動くか」

オルバルト

「らしくねえぜ、閣下。本気で手札がねえって状態だったのが致命的よな」

オルバルト

「しかも、ここで引くのがワシってのが運がねえ。いっぺん、やってみたかったのよ」

アベル

「ほう、何をだ?」

オルバルト「老い先短ぇジジイの死に花に、いっぺん、皇帝を弑逆してみたかったんじゃぜ」

🩸 血の匂い

全員が動いたが、間に合わなかった

全員が動いた。しかし――

オルバルト

「昨日、種がわかんねえのがお前さんじゃぜ、隻腕の」

オルバルト

「けど、ちびっこくなるとあちこち思った通りに動かなくてしんどいじゃろ」

オルバルト

「歳喰ってから覚えた技ってのは、若ぇときはうまく使えねえもんじゃぜ」

指先から血が散る。

アルとミディアムの首が抉られ、血が噴出した。

タリッタは、壁に縫い留められていた。

星形の投擲具が胸を貫き、背を貫通して壁に。――即死だ。

アベル

「――手出しを禁じる理屈も、貴様には及ばぬか」

オルバルト

「ワシは死ぬ前にでけえ花火を打ち上げてえのよ」

オルバルト

(・∀・)

「歴代最高って言われてる皇帝を弑逆して、それで処刑されんなら大満足ってもんじゃぜ」

アベル

「貴様の、その破滅的な嗜好は読めなんだ。俺の手落ちか」

オルバルト

「こいつらは仕掛けてきたから返り討ちじゃけど、お前さんは別に死ぬ必要ねえんじゃね?」

アベル

(╬゚д゚)

「――たわけめ」

スバルがアベルを庇い、ルイがスバルを庇う。

――あまりにも、馬鹿げた肉の盾だった。

オルバルト

「てっきり、閣下は一人で死ぬもんじゃと思っとったんじゃぜ」

アベル

「――。誰も、貴様の目測の限りに収まるものではない」

スバル「――俺は、あんたを許さない」

🔁 やり直し

聞き覚えのある声が、始まりを告げる

血が流れ、熱が奪われ、奥底まで沈んで――

失われた血液が体を巡り、耳元でうるさく騒ぐ。

極限まで研ぎ澄まされた聴覚が、自分の血流の音を拾う。

自分がどこへ戻ったのか、確かめるべく――

オルバルト「勝手に茶ぁ入れて飲んどるけど、他にも飲みたい奴とかおる?」

忘れ難い悪辣な声が、新たな戦いの始まりを告げていた。

第七章41『茶飲み話』終了。