第七章103
『星の秒読み』
囚われの屋敷を抜け出したレムは、地下に繋がれた男を見つける。
🪜 抜け出す
足踏みという選択肢だけは、選べない
じりじりと日毎に焦げ臭さを増していくのを感じていながら、何もできなかった。
――そのことを強く恥じ入っているレムには、足踏みという選択肢は選べなかった。
(・_・)
「私とベルステツさんとでは、立っている側が違いますから」
立ち位置の違う相手の事情を汲めるのは、強者か、余裕のある人間だけだ。
――レムはそのどちらでもないから、選ばなくてはならない。
🦯 賭け
歩く練習は、ずっと続けていた
足の不自由を訴えてきたのが嘘なわけではない。歩く練習をずっと続けていたのだ。
――このまま足が悪いと思わせておけば、役立つかもしれないと。
こうして実際に役立てた以上、賭けには勝ったと言えるだろう。
――もっとも、油断は大敵だ。せっかく賭けに出た以上は、勝たなくては意味がない。
そもそも、賭けに出るような真似をしたこと自体、誰の影響によるものなのか。
――レムは、考えないようにしていたが。
🚪 不合理
合理を考えるまでもなく、不合理を選ぶ
目標は離れに囚われた『皇太子』たちとの接触。だが、屋根の傾斜で足が滑った。
――その拍子に、行き止まりに設置された見慣れない扉が目に飛び込んできた。
どちらが合理的か考えるまでもない。――なのに、レムは不合理を選んでいた。
扉に鍵がかかっていなかったのは、不用心というより、不必要だからだろう。
――招かれざる客が訪れることを想定していない場所だ。
(・・・・・・)
「地下に続く階段……」
🔗 忠心
地下室の奥に、鎖で繋がれた気配がある
(;゚Д゚)
「――誰か、いるんですか?」
人間としてかなりの大柄、そんな気配が地下室の奥の壁に鎖で繋がれ、囚われていた。
(×Д×)
「閣下、を……」
( ゚д゚ )
「……あなたは」
血の色をした低い声が、地下のひび割れた空気を痛々しく揺すった。
――込められた切実な響きは、我が身を顧みない忠心で満たされている。
(・・・・・・)
「……ゴズ、ラルフォン」
それは確か、このヴォラキア帝国で最強と名高い『九神将』の一人の――
(>﹏<)
「閣下を、『大災』から、お守りしなくては――」
❓ 玉座に誰を
雑談に付き合う暇はない、と突っぱねる
(╬¬_¬)
「今、俺が貴様の雑談に付き合う暇があるように見えるのか?」
「これでも、私はお前からの文を理由に立場を定め、こうして馳せ参じた立場だ」
(・_・)
「『黒髪の皇太子』が、本当に閣下の御子であると私は思っていない」
「閣下は妃を娶らないし、女を抱いたという話も皆無だ」
(・∀・)
「以前、私も誘惑してみたことがあるが、完全に無視された」
( ゚д゚ )
「――。正気か?」
( •̀_•́ )
「無論、本気だ」
(;´Д`)
「俺は本気かを問うたのではなく、正気かを問うたのだ」
(¬_¬)
「可能性は二つ、種無しか……」
「意図的に子を作っていない」
👑 委ねるのか
勝ったあとのことを、問われる
(・_・)
「何故、俺に問う?」
「あの『皇太子』が、この巨大な内乱を牽引するお前の本命であると考えるからだ」
『認識阻害』の効果があるとはいえ、その効力のあまりの高さに我が事ながら感心する。
――正体も、本心もこうまで覆い隠せるものかと。
(・・・・・・)
「疑らずとも、あれに玉座を与えるつもりはない。貴様の見立ては誤りだ」
「では、私の推察は全て外れたと?」
「あれを表舞台に引き出すことと、手元に置いておくこととの比重だ」
「後者はさして重要ではない。――どのみち、あれの甘さは他者の犠牲を容認できぬ」
🖤 憎悪
首を刎ねる芽は、すでに摘んである
場合によっては、ここでアベルの首を刎ね、反乱を終わらせることさえできたのだ。
――その芽は摘んだ。いくらかの、アベルの内の溜飲を犠牲に。
唇に乗せた名前の主の姿は、記憶の中でもいちいち安定しない。
素顔と女装、さらには幼児の姿と、記憶の中ですら慌ただしい手合いだ。
甘さと青さを剥き出しにしながら奔走するスバルの姿に、アベルは唇を歪める。
強い、嫌悪で。――否、それは憎悪と、そう言い換えた方が適切かもしれない激情だった。
🔮 星に導かれて
歓迎されるとは思わなかった、と笑う
「――何奴だ!」
(・∀・)
「いやー、こうまで歓迎されるだなんて思いませんでした。ぼかぁ、人気者ですねえ」
「ふざけるな! お前はいったい、どこからやってきた!」
「星に導かれて、なんていうと少し詩的が過ぎますかーね?」
( •̀_•́ )
「――武器を下ろすがいい。そのものに危険はない」
「たとえ刃物を持たせたとて何もできぬ。言葉を弄することだけが取り柄の道化だ」
(´・ω・`)
「あーれれ、ひどい言われようだなぁ。ぼかぁ、傷付きましたよ?」
(╬゚д゚)
「何故、お前がここにいる? お前は『星詠み』の――」
「――ウビルク、ですよ。お見知りおきを、ドラクロイ上級伯。もっとも」
第七章103『星の秒読み』終了。
「動くなら、今しかありません」
ゴズ
アベル
ウビルク