リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章97

『西の彼方より来たる』

盤面が動く。西の空から、そして西の丘陵から、二つの予備戦力が姿を現す。

🎯 空撃ち

両者の思惑は、同じ一点で重なった

アベル「――魔晶砲の余力は限界で三度、だがこの戦場では一度しか切れぬ」

魔晶砲はあらゆる意味で国土防衛の切り札だ。残弾を空にするような暴挙はできない。

アベル

「貴様にそうまで自暴自棄な真似はできまい」

アベル

「――精鋭は囮に使う。敵は無視できない」

味方にも被害の出かねない欠点は、モグロの戦場では考慮する必要がなくなる。

――ばら撒かれた石人形も、巨大なモグロさえも、本体ではないからだ。

故に、両者の思惑は重なり、放たれた魔晶砲は――はずだった。

⚡ 速い判断

呆気に取られた中で、誰よりも早く戻る

放たれた白い光を呑み込んだ黒い光を、戦場の大勢が目の当たりにした。

――誰もが呆気に取られて動きを止めた。指揮所にいたアベルも例外ではない。

彼が違ったのは、そこからの復帰が誰よりも早かった点のみ。

アベル「――予定通り、打ち上げよ!」

多くの場合、戦場において必要なのは正しい判断よりも、速い判断だ。

アベル

( •̀_•́ )

「今すぐに打ち上げよ! 遅れれば、ズィクル・オスマンの死を招く!」

アベル

「疾く、動け!」

元より、ズィクルの命も勘定に入れた上での作戦だ。その空々しさを呑み込んで、兵は動いた。

――ここはアベルの決断力よりも、ズィクルの積み上げた信頼の為せる業だ。

アベル

「――必然、俺のすべき役目も、近い」

アベル

「――西から盤面を動かそうとしている貴様は、何者だ?」

😔 惜しい

良しとするくらいなら、玉座に在るべきではない

ベルステツ

( ゚д゚ )

「――よもや」

惰弱な姿を見せれば、帝国では侮られる。それがヴォラキア帝国流だ。

ベルステツ

「無論、帝都へ挑む以上、何らかの対策はあるものと考えてはいましたが……」

献上されたものを平らげ、『九神将』の力で以て敵の策ごと粉砕する。

『互いの奇策が消えれば、あとは純粋な兵力の差だ。――やれ』

ベルステツ

(;゚Д゚)

「魔晶砲の被害を、皆無とされますか」

――伏せ札をギリギリまで伏せておく手腕、まさしくヴィンセントのやり口だ。

ベルステツ「閣下、私奴は心から惜しむのですよ」

ベルステツ

「戻ってなんとされますか、閣下……」

以前と変わらぬ帝国の在り方を維持し、再び皇帝の務めを放棄するのか。

――それを良しとさせるぐらいならば、優れたる皇帝でも玉座に在るべきではない。

🎆 予備戦力

同じ轍は踏めない、と次の手を用意する

ベルステツ

「――次の、魔晶砲の用意を」

相手が魔晶砲を打ち消す切り札を二枚持つなら、同じ轍は踏めない。

「――! ベルステツ宰相! あれを!」

叛徒たちの本陣が敷かれているだろう地点の空に、魔石の光が放たれる。

前線で戦う兵たちに知らせるつもりなら、いささかあの合図は頼りなさすぎる。

――故に、知らせる相手は前線の兵たちではなく。

ベルステツ「――予備戦力」

予備戦力とは、ただ単に出し惜しんだ駒ではない。

――戦況を決定的に変えるために投入される、正しい意味での切り札であるべきだ。

🐉 飛竜隊

西の空から、悠然と迫りくる群れがある

西の空より来たる影。横に大きく展開し、悠然と迫りくる空の覇者たる飛竜の群れ。

ベルステツ「――セリーナ・ドラクロイ上級伯ですか」

炎のように赤い帆を張り、たなびかせる竜船。

――帝国最強の飛竜隊を擁した存在が、反乱軍の予備戦力だった。

ベルステツ

「だとしても、制空圏の奪い合いが拮抗するのみ」

ベルステツ

「いえ、彼女が『雲龍』を呼び出したのであれば、その前提も変わってくる」

竜人であるマデリンは、自らの血族に当たる『龍』を呼び出すことができる。

――ただしそれは、それだけ彼女が追い込まれた可能性とも隣接する。

⭐ あれは、星?

見覚えのない旗が、掲げられている

西の丘陵、そこによくよく見れば新たに展開する一団の姿があった。

――一瞬、上級伯の戦力かと思われたが、どうやらそうではないらしい。

ドラクロイ上級伯の家紋である、頬傷のある飛竜のものでもない。

ヴォラキア帝国の剣に貫かれた狼の国紋でもない。

――全く異なる旗が掲げられている。

ベルステツ「――あれは、星?」

🟠 ナツキ・スバル

完全に出遅れた、と急かされる

ヒアイン

(>﹏<)

「おい、兄弟、どうすんだ!? 完全に出遅れちまってんぞ!?」

ヴァイツ

(╬¬_¬)

「グダグダ騒ぐな、トカゲ野郎……。シュバルツは取り込み中だ……!」

イドラ

「我々はどうする。このまま叛徒の列へ加わるのか?」

セシルス

(≧▽≦)

「まさしく天下分け目の大戦の様相! 胸の高鳴りが止まりませんよ!」

スバル「ええい、うるせぇ!! 今、ものすごい感動シーンやってるとこだよ!?」

ナツキ・シュバルツはあくまで偽名でしかない。

――自分の本当の名前は『ナツキ・スバル』であるのだと、名前を呼ばれて強く思えた。

スバル

「お前のそれ、俺の名前呼んでるって認識でいいんだよな?」

ルイ

「うあう! うあう、うあう、うあうー!」

スバル

(;´Д`)

「わかった! わかったから鼻水付けるな! ばっちぃ!」

ルイに対してスバルはとても償い切れないあれこれをやらかした。

スバル

「それをしたら、お前と向き合う資格がない。だから、ちゃんとするよ」

⚡ 険悪

二人の間に、剣呑な空気が流れる

タンザ

「――シュバルツ様、よろしいですか?」

タンザ

(¬_¬)

「あまり悠長にされている時間はないのではないでしょうか」

スバル

(´・ω・`)

「悠長って、ちょっと刺々しい言い方……」

タンザ

(╬¬_¬)

「悠長にされている時間はないのではないでしょうか」

ベアトリス

(╬゚д゚)

「……スバル、何なのかしら、この生意気な鹿娘は」

タンザ

「タンザと申します。成り行き上、シュバルツ様の世話係をしていました」

ベアトリス

「ここからはちゃんとスバルはベティーたちで引き取るから、お役御免なのよ」

タンザ

「引き取る、ですか? そのご様子で?」

ベアトリス

(・∀・)

「ベティーを抱っこするのはスバルの生き甲斐だから、これでいいかしら」

スバル「待て待て待て待て、なんでケンカすんの!? 幼女同士、仲良くしようよ!?」

ベアトリス

「今、ベティーよりもその娘の名前を先に呼んだのよ。どういうつもりかしら?」

スバル

( ゚д゚ )

「え? そうだった?」

ベアトリス

(╬゚Д゚)

「そうなのよ! 激おこぷんぷん丸かしら!」

🤫 内緒で

忍耐も無限ではない、と釘を刺される

グスタフ「――シュバルツ、本職の忍耐も無限ではない」

ベアトリス

(>﹏<)

「みゃっ」

スバル

「グスタフさんだ。見た目は怖いけど、根は真面目でおっかない」

スバル

「背中のはルイで、この子はベアトリス。この子は俺の……」

スバル

「えーと……あれだ、ほら、あれ」

スバル

「……詳しいことは、おいおい話すってことで」

ベアトリス

(╬゚д゚)

「待つかしら! スバル、まさか見た目だけじゃなく、頭の中身も……もがもがっ」

スバル

「俺が縮んでること、みんなに話すとややこしいんだ。いったん、内緒で」

ベアトリス

(´・ω・`)

「……ベティーのこと、ちゃんと覚えてるのよ?」

スバル

「お前を大好きだってことと、これをしなくちゃってことは」

スバル

(´ー`)

「お前がいなきゃ、俺は生きていけない。だろ?」

❓ おかしいのよ

流れ込んでくる量が、多すぎる

正面から手と手を握り合い、スバルの内からベアトリスへと温もりが流れ込む。

――感覚的にそれが悪いものではないと、むしろ安心に繋がるものだとわかる。

ちょっと、微妙に、ベアトリスについての記憶があやふやな部分がある。

――細部がぼやけているだけなのと、体が元に戻れば大丈夫という楽観があった。

ベアトリス「――。これ、スバル、おかしいのよ」

ベアトリス

「離れ離れの間、スバルはマナを排出する手段がなかったかしら」

ベアトリス

「だからマナは溜まる一方で、でも、この量は」

それは確かに、こう呟いていた。――多すぎる、と。

⭐ プレアデス戦団

何をしにきたのか、を言い切る

ヒアイン

(;゚Д゚)

「――あ、兄弟、ヤバい! セシルスの奴が先走った!!」

ヴァイツ

「どうする、オレが連れ戻すか……?」

スバル

「いや、セッシー止めるのは誰がいっても無理。……旗を」

イドラ

「心得ているぞ、シュバルツ」

次々と旗が掲げられ、この丘陵にいる一団の結束が固いと、周囲にも見えただろう。

スバル

「ルイ、背中から降りてくれ」

スバル

「もういきなり消えないから、そこは大丈夫。飛ばした原因と和解したんだよ」

ベアトリス

「――。ベティーは離れるつもりはないのよ」

スバル

「ああ、お前は一緒にいてくれ。――タンザ、準備いいか?」

タンザ「はい。――プレアデス戦団、いつでも出られます」

スバル

「じゃあ、仕掛けるぜ、みんな!」

「「「おおおお――っ!!」」」

ベアトリス

「スバル、何をするつもりかしら」

スバル

( •̀_•́ )

「決まってるだろ? ――クソ親父の始めたくだらない戦争を、台無しにしてやるんだ」

第七章97『西の彼方より来たる』終了。