第七章88
『風穴』
帝都へ向かうと決めるまで。エミリアたちが数日前に交わした、ひとつの談判。
🗺️ 数日前
合流の当てが外れ、方針に迷っていた
――時は、帝都ルプガナの包囲戦から数日前へ遡る。
スバルと合流する当てが外れ、レムとも行き違い、方針に迷っていた。
「竜人たるマデリン・エッシャルトの住処か、あれの飼い主の屋敷であろうよ」
「奴は宰相のベルステツ・フォンダルフォンが推薦した一将だ」
(╬¬_¬)
「ううん、そうじゃなくて……飼い主って言い方、すごーくよくないと思って」
(≧▽≦)
「レムちゃんがいるなら、あんちゃんも!」
大事な兄も連れていかれた一人。きっとすごく不安だろうに、弱った姿を見せない。
🧵 帝都ですよね
一人でやり切れるわけがない、という前提
「皇帝閣下のお力って、優秀な部下をうまく使うところも含めてですよね」
「皇帝がすごーく強くてすごーく頭がよくても、何でも一人でやり切れるわけじゃない」
(¬_¬)
「わざわざ、至極当然の道理を聞かせて何がしたい?」
「貴様の疑問の答えは肯定だ。レムとフロップ・オコーネルも、帝都にいようよ」
「……仕組まれてるみたいで、面白くないです」
「わたしたちは、この帝国で起こってる問題と無関係なんです」
「――。うん、大丈夫よ。私たちは、スバルとレムの二人を探しにきたんだもの」
「でも今、レムは帝都にいるかもなのよね。それじゃ……」
(・・・・・・)
「――わたしたちも、帝都にいかなくちゃいけないの」
😠 卑怯です
言い出すまで黙っていた、そのやり方を咎める
(╬¬_¬)
「卑怯です。わたしたちから言い出すまで、黙ってるなんて」
「筋道を立てれば自ずと一本に繋がる道理だ」
「帝都の話ばっかりして、そっちの方はエミリーが気付かないようにしてた」
(;´Д`)
「時間がないってアベルも言ってたじゃない。それはお互い様なのに、意地悪しないで」
「何故、俺がわざわざ貴様のために物の道理を懇切丁寧に語り聞かせる必要がある」
( •̀_•́ )
「――? 私たちの力が借りたいなら、お願いしますって言えなきゃダメじゃない」
「――。噛み合わぬ女だ」
「私たち、すごーく力持ちだもの」
「エミリー、ちょっと言い方が気になるかも」
(≧▽≦)
「私たち、すごーく頼もしいんだもの!」
🙏 しっぺ返し
お願いした、と思われたくないのではないか
「こんな言い方しかできないのは、私たちにお願いしたって思われたくないから?」
「ロズワールも、お願いしますって言うのがへたっぴだけど……」
「私の言ってること、全然的外れ? だったら恥ずかしいけど、そう言って」
「何を考えてるんだろうって、ずっと考え続けるのが大事なことだもの」
前までのエミリアは、自分のわからないことに見切りをつけるのが早かった。
――でも、頼る相手が変わっただけになるような、そんな風ではいけないのだ。
♟️ 思い通り
運否天賦は、最後の一因に過ぎない
(´ー`)
「――大変、心強いお考えで嬉しいですよ、エミリー」
「オットーくん、みんなで目を離してる間にさらわれてたこともあったから……」
「ぐうの音も出ない! ……まぁ、一応僕も備えてましたが」
「僕たちはすでに帝国の敵対する立場になったと、そういう話では?」
「どこまで、布石を?」
「――貴様らの存在は、この都市へ戻って初めて知った」
「では、ただの偶然だと?」
「偶然と片付けるつもりはない。所詮、運否天賦は最後の一因に過ぎぬ」
🏰 確かめる場所
ただ安全、という話ではなくなってきた
「どォにも、大将がただ安全って話じゃァなくなっちまったらしい」
「黒い髪で黒い目の男の子……兵士さんたちは迂闊に手は出せない」
「でも、安全なのは、その男の子が本物かどうか確かめるまで」
「それで、その男の子はどこで本物かどうか確かめるの?」
「図らずも、貴様たちの探し物はどちらも帝都にある。手間が省けたな」
(╬¬_¬)
「白々しい……っ」
「その全てが俺の仕組んだことと。――俺は多忙だな」
「変な言い方で、ペトラお嬢様をイジメないで。もし、また同じことをしたら……」
「同じことをすれば、なんだ?」
( •̀_•́ )
「さっき話したしっぺ返し、一番最初にするのは私になるんだから!」
「――。腹芸の一つもない。貴様らの筆頭はいつもこうか?」
「そんな相手ッだからやり甲斐があらァ」
🎭 呼び寄せる嘘
どちらかの目を、常に開け続けている人
「アベルは頭がよくて、へんてこなお面を被ってる人で、それと……」
(´ー`)
「やっぱり、不器用な人なんじゃないかしら」
面のことに触れたとき、アベルの手がそっと鬼面へと触れた。
「――ッ、そりゃァそォかもだが、なんだってこいつが大将を」
(≧▽≦)
「そんなの決まってるじゃない。――スバルが、すごーく頼もしいから!」
「ちゃんと手伝ってって言えたら、きっとスバルは話を聞いてくれたはずよ」
――アベルはその両目を、一緒に瞬きすることがない。
どちらかの目を常に開け続けている。目が乾かないのだろうか。
――そんなに無理をして、心が乾かないのだろうかと。
🙇 お願い
取り合う道理がどこにある、と突き放される
「俺が貴様らのとりとめのない言葉に取り合い、あれこれと受け答えする道理がどこにある」
(・∀・)
「今の、すっごいカッコ悪い! あたしから見ても、アベルちんの負けだよ!」
「勝ち負けを競う場とした覚えはないぞ。袖を引くな。替えがない」
「服がなくなったら、また女の子の格好しなよ! アベルちんにはお似合いだい!」
「あたし、また二人と会いたいの。スバルちんとも! だから、だからね……」
「アベル、こういうことだと思うの」
「貴様たちも、帝都攻めに加わる。その意思表明と捉える」
(╬゚д゚)
「恥知らずっ!」
「アベルちん――!」
🕯️ 茨の道
あの人に囚われず、こちらの目的を果たす
「アベルさんの発言や存在に囚われすぎず、僕たちは僕たちの目的を果たしましょう」
「ドラクロイ上級伯と合流できているそうで、どうやら反乱に乗り気なんだとか」
「じゃあ、その上級伯とダドリー……ロズワールも、帝都に?」
「もちろん、ペトラのことも心配ですわ。ですけれど、わたくし自身が怖いんですのよ」
「私たちはここにいて、戦いに参加する人たちとも知り合っちゃったから……」
「もうここから逃げられても、眉間に皺を寄せるだけじゃ済まないわ」
( •̀_•́ )
「私たちが参加したら、死んじゃう人が減らせると思う」
「エミリー……いえ、エミリア様。それはかなりの茨の道ですよ」
(・_・)
「もしも、この決戦で死人が二人しか出なくても、その二人が二人だったなら失敗です」
「オットー兄ィ、いくら何でもそいつァ……」
「今はエミリア様と話しています」
「私たちの全力にはオットーくんが必要だから、スバルたちと会えるまで頑張ってもらう」
「もしもオットーくんが倒れても、無理やり負ぶっていくから。だから」
❄️ 風穴
猛烈な冷たい風が、草原を白く埋める
猛烈な冷たい風が吹き荒れて、緑色の草原を白い空気が埋め尽くす。
倒れているのは、体そのものが武器になった人々――刃金人。
( •̀_•́ )
「みんな! ここから離れて! ここは私がすごーく頑張るから!」
――もう十分、相手の目はエミリアに引き付けられていた。
(╬゚д゚)
「――また、お前だっちゃか」
「ええ! また私よ、マデリン! 通りすがりの精霊術師、エミリー!」
「腹立たしい娘だっちゃ。この間の戦いで、竜には勝てないと――」
(・∀・)
「――えい!」
都市庁舎よりも大きな氷塊がマデリンへと天墜し、戦いが轟音と共に開戦した。
第七章88『風穴』終了。

エミリア
ミディアム
ペトラ
オットー
ガーフィール
フレデリカ
マデリン