リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章87

『頂点決戦』

水晶宮の玉座と、星型城壁の頂点。二つの戦いが同時に進む。

🔢 数の理

兵数は倍以上。それでも決まらない理由

帝都ルプガナの周囲には多数の叛徒が集結し、兵力比で倍以上の兵数を集めた。

――大抵の場合において、戦いとは数で決まる。

アベル「――それも、集った兵力がまともな集団として機能すればの話だ」

ヴィンセント

「集まった叛徒らの目的は余の首で一致していようが、その手法に妥協の余地がない」

ベルステツ

(・_・)

「思い出しますな、『選帝の儀』を」

ベルステツ

「最大の派閥を作られたバルトロイ閣下はその人柄を警戒され、早々に除かれることに」

ヴィンセント

(╬¬_¬)

「よくも語る。その兄上を除いたのは、他ならぬ貴様とラミアであったろう」

ベルステツ

「加えて、バルトロイ閣下の真の思惑を察せず、今も生き恥を晒している次第です」

🌟 道化

星は、眩く主張しないと見てもらえない

ウビルク

(・∀・)

「本物の閣下は今頃は壁の外なんですから、嫌味の矛先に迷ってしまう……」

ウビルク

(;´Д`)

「んん? お二人で揃って険しい目……ぼかぁ、余計なことを言ってしまいましたか?」

ウビルク「皆さんがお守りしている皇帝閣下が、実は偽物だなんて」

ヴィンセント

「貴様の重ねてきた無礼が帳消しになるわけではない」

ヴィンセント

(╬゚д゚)

「これまでのことが実を結べば、貴様は余が手ずから首を刎ねてやろう」

ウビルク

(´ー`)

「もちろん、承知しております。でも、あなたは慎重な方だ」

ウビルク

「本当の本当に寸前まで、ぼかぁ、命を取られないものと思っていますよ」

ウビルク

(;゚Д゚)

「ぼかぁ、宰相閣下の方が怖いなぁ。その内に、地獄を秘めていらっしゃいそうで」

ベルステツ

「私奴のようなものを恐れるなどと、『星詠み』らしくもない」

ウビルク

「星は高い空から地上を見下ろすもので、眩く己を主張するものでないと見てもらえない」

👹 怪物

各部族が英雄を投入してくるのでは、と問われる

ウビルク

「それこそ各部族、自分のところの英雄を投入してくるのでは?」

ヴィンセント

「星は地上の眩い光であれば目に留めると。ならば……」

ヴィンセント

「この戦況を動かし得る綺羅星について、事前に貴様に詠み聞かせてもおかしくなかろう」

ウビルク

(・∀・)

「残念ながら、ぼかぁそうした話は聞いていませんね」

アベル「元より、余が如何なる基準で一将を、『九神将』を選び出したと思っている」

帝国各地の、在野の英雄など比べ物にならない。

地に眠れる獅子がいようものなら、ヴィンセントは決して見逃さなかった。

――その目に適わなかった時点で、英雄は怪物に劣るのだ。

ベルステツ

「所詮、私奴もヴォラキアの人間ということです」

そう笑みも見せずに言い残し、老宰相が謁見の間から歩み出ていく。

🔥 身の証

存在意義でもある眼を、自ら焼き潰した

ウビルク

「時に、宰相閣下はご存知なんですか?」

その沈黙を受けて、ウビルクは「やっぱり」と頷いた。

ウビルク

(´・ω・`)

「まるで、ぼかぁ人間じゃないと言われたみたいで傷付きますよ」

アベル「貴様は人の形をし、人の肉で作られているだけの人形だ」

ウビルク

(´;ω;`)

「……傷付きますねえ」

ウビルク

「ぼくだけを見て、『星詠み』が何たるか決めつけるなんて、なさらないと」

ヴィンセント

「自らの魔眼を潰すような蛮行、己の身の証を立てるためだけに起こせるものではあるまい」

ウビルク

(×Д×)

「ああ、あれは痛かった。喪失感も尋常じゃありませんでした」

ウビルク

「ですが、おかげで話を聞いてくださる気にはなったでしょう?」

魔眼族でありながら、自分の存在意義でもある魔眼を焼き潰す。

――止めなければ、四肢さえ潰したかもしれない。

🖐️ 掌の上

新たな囁きはないな、と確かめる

ヴィンセント

「貴様の耳に、新たな天命の囁きはない。相違ないな」

ウビルク

(・_・)

「――ええ。ぼかぁ、嘘は言いません。新たな天命は下っておりませんよ」

ウビルク

「あなたの作った盤面を、天の差配が崩すようなことはありません」

ウビルク「およそ、帝国のあらゆる人間はあなたの掌の上だ」

ウビルク

「どうされました?」

その、あえて言わずともな装飾が、皇帝に扮するものの胸に引っかかりを残していた。

🌿 森が丸ごと

空さえ飛んでいなければ、と歯噛みする

ガーフィール

(╬゚Д゚)

「お、おおぉぉぉォォォ――ッ!!」

カフマ

「確かに、多対一は自分の得意とするところだが――」

カフマ「たとえ一騎打ちであろうと、技の冴えに陰りはない!!」

ガーフィール

「しゃァらくせェッ!!」

手甲の強度と脚力を信用し、一直線に茨の嵐へ。

カフマ

「その覚悟は見事だが、判断は過ちだ」

――誇張なしに、森が丸ごとぶつかってくるような圧力だ。

ガーフィール

「だったら、こォだ!!」

叩き付けた靴裏を通じ、足場となる城壁の一部が隆起する。

――『地霊の加護』。大地の範囲は、加護者の解釈が大きく寄与する。

ガーフィール

(╬゚д゚)

「空ッさえ飛んでなきゃァなァ!」

👊 間合い

速さではなく、緩急で崩しにくる

カフマ

「ならば切り込む!」

翅が視認困難なほどの速度ではためき、真横に出現する。速さではなく、緩急だ。

ガーフィール

「させッかよォ!」

跳ね上げた両腕を、黒い甲殻が覆っていた。

――茨に翅に肋骨、そして甲殻。いったい、何体の『虫』を入れているのか。

ガーフィール「が、あああぁぁァァァ!!」

手の届く距離はガーフィールの間合い、ここで押し負けては話にならない。

ガーフィール

「いかッせるかァ!」

背中の翅を強引に羽ばたかせ、体を浮かせたカフマの胸部が開く。

――突き出した肋骨の向こう、胸の内にある黄金色の『虫』と目が合った。

🐛 苗床

勇ましく眠れ、と送り出される

カフマ

「貴公のような勇士の存在を知らずにいた。自分の不明を恥じるほどだ」

ガーフィール

(・∀・)

「はんッ、知らねェのを責めやッしねェ。知られてッ方がおっかねェかんなァ」

ガーフィール

「悪ィが、名前ッ以外は話すつもりァねェ。それもギリッギリだかんなァ」

カフマ

(´ー`)

「このような状況下でなければ、貴公とは真っ向から渡り合い、語らいたかった」

一歩、踏み出そうとした膝の力が抜け、その場に膝をつく。

――何かが、自分の体の中を這い回っている。

カフマ

「自分と至近で打ち合うなら、被弾は避けるべきだった」

茨で負った傷、そこに『虫』が管から卵を植え付けた。

カフマ

「治癒魔法とは、癒し手でもあるのか。その多芸さには目を見張る。だが」

カフマ「貴公の体を己の苗床とすることだ。――傷は治せても、変化は治せない」

カフマ

( •̀_•́ )

「貴公の技と力量、このカフマ・イルルクスが確かに胸に刻もう。――勇ましく眠れ」

頭蓋を打ち砕く衝撃に血飛沫が舞い、体が城壁の端で弾んで、落ちる。

📜 覚えておくこと

――『もしも、言葉の売り買いをしたなら――』

『いいですか、ガーフィール、よく覚えておいてください』

『迂闊に相手の挑発に乗って余計なことを言わないように』

『とは言っても、あなたのことですから、辛抱強さはそこまで期待しません』

『だから、これだけはしっかり覚えておくように』

――『もしも、言葉の売り買いをしたなら――』

落ちた先が、野っ原の上だったのが不幸中の幸いだった。

――土の上に落ちたおかげで、大地はガーフィールに味方した。

割れた頭は治癒魔法で治せる。だが、発動するには『虫』が邪魔で。

『虫』は攻撃ではないから、治癒魔法では取り除けなくて。

――だから、頭を使うのをやめる。元々割れた頭だ。頼りになるはずもない。

壁上の魔石砲、その中に装填された魔石を呑み込んで、腹の中で砕いた。

溜め込まれた灼熱のマナが内側で膨れ上がり、『虫』を焼く。

🔥 ぶっ潰す

――『その相手は必ず、足腰が立たなくなるまでぶちのめすこと!』

カフマ

( ゚д゚ )

「――ッ、なんだ!?」

カフマ

「――ガーフィール・ティンゼル」

落ちた城壁を再び這い上がった、肥大化した猛獣の姿。

――全身を燃え盛る炎で包んだ狂戦士が。

――『その相手は必ず、足腰が立たなくなるまでぶちのめすこと!』

ガーフィール

(╬゚Д゚)

「ぶっ潰してやらァ――ッ!!」

カフマ

「こい、ガーフィール・ティンゼル!!」

ガーフィール

「ああああらぁぁぁぁァァァ――!!」

金色の虎の猛撃と、波濤の如き紫の茨が真正面から激突し、星型の頂点がひび割れる。

――動かし難い天墜を、帝国史に刻む亀裂の一矢であった。

第七章87『頂点決戦』終了。