リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章86

『五つの頂点』

帝都ルプガナ、星型の城壁。その五つの頂点に、五人の怪物が立つ。

🧿 単眼族

――『巨眼』イズメイルは、単眼族の勇士であり、一族の希望だった

――『巨眼』イズメイルは、単眼族の勇士であり、一族の希望だった。

眼部を一つしか持たない単眼族は、生存力を大きく喪失する欠点と引き換えに、

その単一の眼球に多くの特異性を獲得した。

――遠方を望める視力、マナの濃度や熱源の視認、異常に優れた動体視力。

身の丈以上の戦斧を振るい、豪快に戦場を薙ぎ払う『巨眼』。

――しかし、時代は彼の成長を待たず、停滞と弛緩のぬるま湯へと突入した。

イズメイル

( •̀_•́ )

「戦う機会さえあれば――」

東の地から始まった反乱の灯火が、戦う機会を奪われた彼を戦場へ誘った。

――黒い髪の男児を用意することが、この大乱の参加資格だった。

🪓 一閃

越えられないはずの障壁を、容易く踏破する

イズメイル「――我こそが、このヴォラキア帝国に覇を唱えん!!」

外の民にとっては決して乗り越えられない絶対の障壁を、容易く踏破する。

放たれた巨大な刃が音もなく空を薙いで、兵の上半身が五つ同時に消し飛んだ。

イズメイル

(╬゚д゚)

「帝国の兵が、何たる無様!」

眼を瞬きさせ、見える世界を切り替える。生き物の感情が、色として見える。

強い戦意は赤く、不安は黄色く、怯えは青く。

イズメイル

(╬゚Д゚)

「臆病者は消え去れ!」

イズメイル

「なんだ、これは。ここは帝都、ヴォラキア帝国の皇帝閣下の膝元だろう!」

イズメイル

「こんな弱卒を虐げ、それで手に入るような安っぽい栄誉ではない!」

⛓️ 恩赦

壁の上にいるのが、誰なのかに気づく

「殺さないで! 死にたく、死にたくねえ!」

イズメイル

(・_・)

「――。もうやめろ。これ以上、生き恥を晒すな」

イズメイル

「貴様も戦士なら、せめて最後は相応しく――」

「ちが、違う! 戦士じゃ、兵士じゃない!」

イズメイル

( ゚д゚ )

「なに?」

――「着させられたんだ! これ着て、弓持って戦え!」

「恩赦がある! 釈放するって、牢の外に出られるって……」

帝都に攻め上がる途中、矛を交えた守備隊の兵たちの方がまだ善戦した。

――彼らは正規兵ではなく、装備を与えられただけの罪人だというのか。

だとしたら、それは何のために――

今、壁上にいるのは、自分たち戦士と、戦わされる罪人たちだけ。

🔥 消えて

聞こえるはずのない声が、届いてくる

アラキア「――まとめて焼く」

本来なら聞こえるはずのない声量。――力あるものはその声にすら力が宿る。

脚部を炎と化しながら浮かんだ褐色の肌の女が、赤い瞳をこちらに向けている。

イズメイル

(×Д×)

「お、おお、おおおお――っ!!」

全身全霊の一発――それを撃ち込まなくては勝てない相手と、全身の細胞が叫んだ。

アラキア

(・・・・・・)

「消えて」

女の一声に続いて、視界を白く埋め尽くす光が世界を覆った。

💨 目くらまし

涙で洗い流そうと、眼を閉じた瞬間

とっさに戦斧を盾にして、押し寄せる炎から我が身を守った。

――かろうじて命を拾えたのは自分だけだろうと、イズメイルは理解する。

トッド

(・_・)

「――なんだ、生き残りが出るのか。運のいい……いや、悪いか?」

イズメイル

「き、さまが、皆を……」

トッド

(;´Д`)

「馬鹿言え、焼いたのは俺じゃない。こんな大それたこと俺にできるかよ」

トッド

「できる化け物がやった。恨むならそっちを恨め」

単眼の視界を切り替え、男を見通そうと眼を凝らす。――そして愕然とした。

一網打尽にしておきながら、青い。この男は戦士ですらない。臆病者でもない。

――もっと、おぞましい何かだ。

イズメイル

(╬゚д゚)

「生かしては、おけん――!」

トッド

「生かしておけないのは同意見だ。それと、前々から思ってたんだが」

トッド「目が一個しかない奴が、強いわけないだろ」

腰から下げた小さな包みが空中で開き、黒い粉をぶちまける。

涙を分泌して洗い流そうと、眼を閉じたその瞬間――

魔石砲の砲弾が直撃し、その『巨眼』ごと吹き飛ばしてしまっていた。

🎯 一番槍

足止めさせて、まとめて焼く単純な作戦

トッド「保険はかけておくもんだ」

敵の先鋒を城壁へ上らせ、死んでも構わない相手に足止めさせる。

――あとは相手方ごと、大火力でこんがり一掃する単純な作戦だ。

トッド

「大抵の場合、一番槍ってのは自信のある奴が務めるからな」

トッド

(¬_¬)

「さて、相手の出足は潰してやったが、どう出る?」

帝国各地から集まった荒くれ部族たちの博覧会だ。

トッド

「相手がどれだけ妙な部族を揃えても、大した影響があるとは思えん。なにせ……」

⭐ 五つの頂点

――五つの頂点に五人の怪物

――紫色の茨が荒れ狂い、押し寄せる人馬人の大軍を薙ぎ払う。

――巨大すぎる飛翼刃が空を切り裂き、体の一部を武器とする刃金人を噛み砕く。

――大地から生える石塊の人形の拳が、飛べぬ翼を生やした翼人を打ち倒す。

――殺戮の技を極めた異常者集団が、額に石を埋め込む光人を鏖殺する。

――大自然と我が身を一体にし、呼吸同然に単眼族を真っ赤な炎が焼き尽くす。

トッド

(・∀・)

「化け物具合なら、こっちもいい勝負だ」

――五つの頂点に五人の怪物。

トッド

「少なくとも、俺ならやれって言われても絶対に御免だ。とはいえ……」

――近付けないための方策、殺すための方策、殺し損ねたときの方策、逃げる方策。

トッド

(;´Д`)

「そのせいで、帝都に戻れたってのにカチュアと会えてない」

トッド

(╬¬_¬)

「いい加減にしろ、戦いたがりの異常者共め」

🌿 力不足だ

間に合わせた、と守りに就く

カフマ「――残念だが、貴公らでは力不足だ! ここより先へは決してゆかせん!!」

体内が脈動し、腕から凄まじい勢いで紫色の茨が放出される。

上半身が人、下半身が馬の人馬人の群れの足下を薙ぎ払い、胴体を貫く。

馬の脚力と勢いが上半身へ伝い、投げつけられる投槍の威力は魔石砲に見劣りしない。

カフマ

( •̀_•́ )

「自分の守護する頂点を選んだのが、貴公らの不運だ」

痛みと共に骨が軋む音がして、軽鎧を纏った胸部が内側から裂ける。

外に向かって開いた白い肋骨が、震えながら鋭い先端を眼下へ向けた。

――直後、射線上がごっそりと抉れ、人馬人たちをまとめて呑み込み、消滅させる。

カフマ

「……だが、間に合わせた。自分のいる限り、この帝都の守護は抜かせん」

🙇 治世

疎まれるばかりの一族が、その世で生きてきた

カフマ

「閣下の、その手腕がもたらした安寧を容易く踏み躙る叛徒たちめ」

一人の、希少で疎まれるばかりの虫籠族の男として、その作った世で生きてきた。

――何故、ヴィンセント・ヴォラキアが刃を向けられなくてはならない。

この帝国の在り方を変え続けている男と、それに匹敵する覇業が他者に為せるものか。

カフマ「貴公らのようなものを、皇帝閣下の前へゆかせるわけにはいかない」

🐯 大一番

農地を蹴って、城壁へ飛び上がった影がある

「――そりゃァ、大した覚悟じゃァねェか。嫌いじゃァねェよ」

茨も、白い砲撃も回避して、農地を蹴って城壁へと飛び上がった人影。

――端的に言って、強敵だった。

カフマ

( •̀_•́ )

「ヴォラキア帝国二将、カフマ・イルルクスだ」

羽織ったマントを内側から破って、六枚の透明な翅が飛び出した。

ガーフィール

(・∀・)

「――ガーフィール」

ガーフィール「俺様ァ、『ゴージャスタイガー』ガーフィール・ティンゼルだ」

ガーフィール

(・∀・)

「――本当は名乗るなって言われッてんだが、しょうがねェときってのがあらァ」

――開戦初日にして訪れた大一番と、帝国二将最強の男は見誤らなかった。

第七章86『五つの頂点』終了。