リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章85

『ユージン』

帝都の屋敷。囚われの二人が言葉を交わし、そして決戦の予感が届く。

🌬️ 張り詰める

緊迫感が、破裂のときを待っている

レム「ここ数日、屋敷の中にも物々しい空気が広まっていますね」

肌で味わう緊迫感は日毎に増し、破裂のときを待ち構えている。

レム

「反乱軍が優勢……今や、帝国の色んな場所で反乱が起きていると聞きます」

きっかけは、レムたちが連れ去られる原因となった城郭都市グァラルの攻防。

――むざむざ追い返された帝国軍など恐るるに足らず、という風説だそうだ。

レム

「嘘はついていない、と言えるかもしれませんが……」

もう一つの理由は、ヨルナ・ミシグレ一将の合流。

――それこそが元々のアベルの計画であり、共にいった彼の方針でもあった。

レム

「……ただついていっただけで、役に立っていない可能性もありますが」

口を閉じ、動かないでいる姿なんて欠片も想像できないのだから。

💇 責任持って

爪を噛むのは、感情がささくれ立ったとき

カチュア「何を、ボーっとしてんのよ」

カチュア

(╬¬_¬)

「あ、あんたがやりたいって、言い出したんでしょうが」

レム

(´・ω・`)

「ごめんなさい。考え事をしていました」

カチュア

「そんなこと、いちいち言い訳がましく報告しないでよ」

カチュア

「――ぁ、別に、言うなってわけじゃない、けど」

カチュア

(¬_¬)

「……なに、その顔。あんたのその顔、イライラする」

レム

「ごめんなさい。私も、いまだにちゃんと見慣れないんです。まるで他人の顔みたいで」

カチュア

(;゚Д゚)

「こ、怖いこと言わないでくれる?」

何事かあると、そうして爪を噛むのがカチュアの癖だ。

――良くも悪くも、感情がささくれ立ったときにそうしていることが多い。

👭 ユージン

髪を結うのが上手い、と褒められる

カチュア

(´・ω・`)

「……あんた、髪結うの上手よね」

カチュア

(>﹏<)

「ば、馬鹿なこと言ったわ。忘れなさい。忘れろ、忘れろっ」

カチュア

「な、なんでなのよ。言ってみなさい! 言えないなら……」

レム「それは、私とカチュアさんが友人だからではないかと」

カチュア

(╬゚д゚)

「ユージン……ユージンって、誰よ!」

レム

(・∀・)

「え? あ、人の名前じゃありませんよ。友人、友達という意味です」

カチュア

( ゚д゚ )

「ユージ……え、ともだ、ち……?」

レム

「ごめんなさい、勝手でした。軟禁仲間と言い換えた方が……」

カチュア

(>﹏<)

「ゆ、友人! 友人って、言った。言ったじゃない」

カチュア

「……別に、いいわよ、それでも」

カチュア

「でも、あんたが、嫌だって思ったら、その、いつでもやめれば?」

レム

「やめませんが。そうじゃなく、私とカチュアさんは友人ということです」

🕊️ 兄と婚約者

打ち明ける勇気が、どうしても出ない

カチュア

「やけに外の、反乱のことに詳しいじゃない」

レム

「私は元々、戦っていたところから連れてこられましたから関心はあります」

カチュア「馬鹿な兄貴が、死んじゃったし、戦争とかは嫌い」

レム

「カチュアさんの婚約者も、戦場へ出ているというお話でした。心配、ですよね」

カチュア

(´;ω;`)

「あいつは……! な、何したって死ななそう、だし。でも」

レム

「それはお兄さんも、だったんですよね」

アベルの理念に感化されたわけでも、賛同しているわけでもない。

それでも、レムと関わり、互いに世話し、世話された人たちがそこにいる。

――もしも、カチュアがレムの立場の実際を知れば、レムを許すだろうか。

とても、大切な兄を亡くして悲しむ彼女に、それを打ち明ける勇気はなかった。

🏚️ 黒髪の少年たち

――いずれも、共通した特徴を持った十代の少年、『黒髪の皇太子』たちだ

レム

「最近、離れの方に集められた人たちが理由だと思います」

カチュア

「離れ……ああ、あの連中」

――いずれも、共通した特徴を持った十代の少年、『黒髪の皇太子』たちだ。

カチュア

「閣下に御子がいないのは変だって、そういう話は、まぁ、あったのよね……」

カチュア

「これまでの歴代の皇帝閣下はみんな、たくさん伴侶を作って、子どもも……」

レム

「そこに、『黒髪の皇太子』の噂が」

カチュア

(¬_¬)

「閣下に、帝国は任せておけないとか、言ってるらしいわね。……馬鹿馬鹿しい」

カチュア

「強い奴が幅を利かせる帝国で、私みたいなのは居場所がない、し」

カチュア

「……戦いがない間は、そこのところの差がないじゃない。だから、楽だった」

🧐 考えなし

黒髪黒瞳という以外、何もわかっていない

レム「あの離れに、本物の『皇太子』はいないと思います」

カチュア

「そ、れは私も聞いてるけど……そ、それが?」

レム

「皇帝閣下の子を名乗って反乱を扇動して、早々に囚われの身になるなんて状況……」

レム

「あんまりに考えなしではないかと」

アベルという、本物の皇帝の人物像を知っているため、その子どもとなると見る目も厳しい。

――少なくとも、愚かであるとは思えなかった。

カチュア

「担がれて、騙ってるだけ? そんな畏れ多いこと、何のために……」

レム

「……体のいい、人手集めの口実でしょう」

帝都を押さえ、玉座を奪い、皇帝の首を刎ねればそのものが次の皇帝となる。

――その人手集めの口実として、次代の皇帝候補を担ぎ上げるのはとても都合がいい。

レム

「黒い髪と黒い瞳ということ以外は何もわかっていませんから、言ったもの勝ちです」

🩸 狩り

本物が見つかれば、あの老人は満足して死ぬ

マデリン「――ぴいぴいうるさいっちゃ、娘」

マデリン

(╬゚д゚)

「耳障りな声を出すな。目障りな真似をするな。竜の前で、不敬だ」

中庭に堂々と立ったマデリン、その姿はべったりと黒い血で汚れていた。

レム

「その、血は? 怪我しているんですか?」

マデリン

(・・・・・・)

「――。竜の血じゃない。これは返り血だ」

レム

「戦ってきたんですか?」

マデリン

「戦いは、対等と認めた相手とするものだ。竜と並び立つモノがいると思うか?」

マデリン

「竜がしてきたのは狩りだ。面倒な縛りのある狩り」

マデリン

「髪の黒いものは生かす。それ以外は殺す」

――もしも本物の『皇太子』が見つかったなら、あの老人は満足して死にそうな気がする。

それが、レムの心胆を寒からしめる想像であった。

🛡️ やめろ

癒者の替えを用意する、と脅される

マデリン

「お前、調子に乗るんじゃないぞ。今さらお前がいなくても、癒者なら帝都に……」

レム

「その癒者の人は口が堅いですか?」

マデリン

(╬゚Д゚)

「――お前、調子に乗るんじゃないっちゃ」

カチュア

(>﹏<)

「ば、馬鹿! 余計なこと言うな! ぜ、全然違うから!」

カチュア

「な、何にもわかってないだけ、全部忘れてるから、馬鹿なのっ」

カチュア

「馬鹿だけど、いた方がマシだから、やめ、やめて……」

マデリン

「――お前みたいな、弱いモノが竜に逆らうな。次はない」

窓枠に手を置いたマデリンが、淡々と言いながらそれを握り潰した。

レム「カチュアさんを弱いモノというのは訂正してください」

カチュア

(´;ω;`)

「や、やめろっ! やめろ、馬鹿! 死ね! 馬鹿! やめろ!」

🛁 譲れない

口の利き方に気を付けろ、と言われても引かない

マデリン

「口の利き方に気を付けろ、娘。本気で癒者の替えを用意するぞ」

レム

「待ってください。どちらに?」

マデリン

「あの男のところだ。竜は、あの男と話がある」

レム「フロップさんのところにいくなら、血を洗い流して着替えてからにしてください」

レム

「怪我人なんですから、気持ちもいたわらなくちゃダメです。考えてください」

マデリン

「お前……」

レム

「水浴びを」

マデリン

「……わかった」

レム

「服も着替えてください。ちゃんと可愛い着替えがたくさんあるんですから……」

マデリン

(;´Д`)

「わかったって言ってるっちゃ! しつこい奴っちゃ!」

彼女を手懐けたフロップの大手柄だ。――いつか、その調子で寝返らせてくれないだろうか。

⏳ 決する機会

呼び戻された理由が、そこにある

マデリン

「不埒な目で竜を見るな、娘。――何を企んでも無駄だ」

レム

「無駄なんて、言い切れないと思います。何をするのであっても」

マデリン

「そういう意味じゃないっちゃ。何かするには、その時間がないって言ってるっちゃ」

マデリン「皇帝に逆らう連中と、決する機会が近いっちゃ」

マデリン

「そのために竜は呼び戻された。――お前の役割も、そこまでだっちゃ」

❔ 何ができるか

空っぽな自分に、何が響かせられるのか

レム

「――反乱軍との、決戦」

カチュア

「ど、どこでとか、言ってなかったけど……」

戦場があちこちに点在する現状で、相手を一網打尽にする準備ができるとするなら。

カチュア

「……もう、本当に馬鹿ばっかり。あんたも、あんたもそうよ、大馬鹿っ」

カチュア

「馬鹿な真似したいなら、勝手に死ね! 死ね、馬鹿!」

レム

(´ー`)

「ごめんなさい、ありがとうございます」

レム

「でも、カチュアさんを悪く言われて、とても黙っていられなくて……」

カチュア

「し、知るか! 私は、言われ慣れてんのよ!」

レム

「言われ慣れるなんて、馬鹿げています」

レム

「何度言われても、私はまた同じ場面で同じように反論すると」

カチュア

「や、やめる。やめてやる。友達じゃない。私の方から、やめてやる……!」

レム

「いえ、やめるかどうかは私に選択権があるはずです。ダメですよ」

カチュア

(>﹏<)

「そんな一方的な話、あるか!」

レム「……私に、何ができるでしょうか」

何もない空っぽな己に、何を響かせることができるのか。

第七章85『ユージン』終了。