第七章79
『緋色の大笑』
母上、と呼ばれた女。そして、噂の『黒髪の皇太子』が誰なのか。
👥 似ている?
髪も瞳も、そもそも人種も違っている
その瞬間、確かな沈黙と空白が大広間を支配し、時が止まった錯覚を皆が味わう。
髪の色も瞳の色も違うし、そもそも人種も違っている二人だ。
――強いて言うなら、二人とも艶っぽい美貌の持ち主だが。
「その程度で家族扱いしていたら、この世は大家族だらけですよ」
とはいえ、合点がいくこともあった。
――プリシラの苛烈な姿勢と性格は、確かに帝国流が色濃く感じられると。
(¬_¬)
「妾を見定める不愉快な視線を感じるが、まぁよかろう」
「よもや、『九神将』の一人になっておったとはな」
👁️ 魂の在り様
待つでありんす、という制止が入る
( ゚д゚ )
「――待つでありんす」
「何ゆえ、わっちが主さんの母などと……」
「つまらぬ言い逃れはやめよ。妾を謀るつもりがあるのなら、魂の在り様を変えねば話にならぬぞ」
そして、この場で強い動揺を露わにしたのはヨルナだけではなく――
(;゚Д゚)
「――馬鹿な」
冷静というより冷徹で、動揺と無縁の印象があった人物の、微かな一声。
「貴様、本気で言っているのか? ヨルナ・ミシグレが、サンドラ・ベネディクトだと」
「――なるほど、貴様もそれを知らなんだか、アベル。無理もないがな」
「でも、プリシラは何にも言われてないのに気付いたのよね?」
(╬¬_¬)
「話の腰を折るでない。半魔は黙っておれ」
🪖 邪魔された
再会の話より、今はこの子の扱いが先だ
(╬゚д゚)
「――思わぬッ再会の話ァ後回しにしろや。今ァ、このガキの話が優先だろォが」
「息の根を止めろたァ言わねェ。ッけどなァ、ふん縛って転がしッとくってのが……」
「――そいつはたぶん、兄弟の望まねぇ話になるぜ」
「一緒にカオスフレームくんだりまでいったってのに、兄弟を連れ帰れなくてすまねぇ」
(´ー`)
「アル……ううん、謝ってくれてありがとう」
「ナツキさんはそれを拒んだ?」
(;´Д`)
「正直、耳を疑ったね。それを体張って守ろうとしやがる」
「兄弟の考えが色々とアレなのはわかってたつもりだったが、想像を超えてったぜ」
スバルがルイに手を下せなかった理由は『甘さ』だと、オットーは捉えている。
――一度手放せば取り戻せないそれを、なくしてほしいとは決して思わなかった。
「そういう『甘さ』の介在しない判断は、僕たち周りがすればいいことですから」
🔏 誓約の呪印
一瞬それもありかと思って、やめる
(・・・・・・)
「――。やめましょう。一瞬、それもありかと思いましたが」
『呪印』とは、対象に約束事を守らせるための魂の縛り。破れば命を落とす。
――その字が示す通り、呪印とは明確に『呪い』だ。
便利さにかまけて他者を呪いで縛り続ければ、いずれ呪縛は自らの魂も焼くだろう。
「何故なら、何を縛れば安心を買えるのか、僕たちは全容を把握できない」
――だとしたら、油断に繋がりかねない呪印などない方が警戒は安定する。
(>﹏<)
「オットー兄ィ! それッでいいのかよ!? 大罪司教だぞ!?」
「ですが、この場で議論しても賛同は得られません」
「故に、実力行使するならば話を聞き終えたあと、か。強かなものよな」
🤝 先に開く
同じ結論でも、誰が言うかで違ってくる
「その子……ルイはすごーく危ない子かもしれない」
「でも、あなたはルイが危ないこととか悪いことをするところを見てない」
( •̀_•́ )
「うん、守ろうとしてくれたんだ。本当に、嘘じゃないよ」
「えエ、ルイは確かに皆を守ろうとしていましタ」
「さすが『幼女使い』の面目躍如、なんて茶化せる空気じゃなかったがな」
(¬_¬)
「……その異名、ベティーはあまり気に入ってないのよ。気を付けるかしら」
「あなたを一生懸命信じてあげてるこの子みたいに、私もあなたを信じたい」
(;゚Д゚)
「――ッ、エミリア様、そいつァ」
「ガーフィールだって、最初は私たちにすごーく噛みついてきたじゃない」
「ミディアムちゃんが信じてるあなたを、信じさせてほしいの」
(´・ω・`)
「……あ、うー」
差し出される右手に、ルイが自分の右手を重ねる。
「うあう」
「ん、私もスバルのこと、心配」
あくまで、『保留』という結論。
――だが、同じ落とし所でも、エミリアが言うのと自分が言うのとでは違う。
👀 目ェ離さねェ
想像もできないことなら、前にもあった
「魔女教の、ましてや大罪司教の改心なんて想像もできませんから」
――白鯨や大兎、大罪司教の討伐も、想像できないことだった。
それを、この一年と少しの時間で何度も起こしたのがナツキ・スバルだ。
故に、可能性には思いを馳せてしまう。また、とんでもないことをしでかしたのではと。
「嫌だな……」
📰 御噂
確認しておきたいことが、まだ残っている
「一度、話が落ち着いたところで、よろしいですか?」
「いくつかアベル殿に確認しておきたいことが残っております」
「――。話すがいい」
「報告によれば、その噂は東の地から流れてきたと。この出所は……」
「貴様の察する通り、魔都より広めたものだ」
「――玉座を脅かすには力がいる。そして力は大義の下にこそ集う」
💡 小さくなってる
聞いた話を並べた子が、先に気づく
(・・・・・・)
「……黒髪の、皇太子」
「さっきのお話だと、スバルって小さくなってるんですよね」
「わたしとか、ベアトリスちゃんくらいに」
「そう言われてましたわね。スバル様でしたらそうしたことに……ぁ」
「そうだ」
(>﹏<)
「――っ、そんなのっ」
😂 笑い殺す
大広間に、こらえきれない笑い声が響く
(≧▽≦)
「――く、ははははは!」
「ああ、アベルよ、貴様、妾を笑い殺すつもりか?」
「姫さん?」
「なんじゃ、貴様も笑え、アル。いいや、貴様はこの謀に加担した立場か」
(・∀・)
「よくぞここまで妾を笑わせた。道化の務め、見事と言わざるを得ぬ」
( ゚д゚ )
「スバルが皇帝の子どもって、そんなはずないでしょ?」
「だってスバルは、大瀑布の向こうからきたって」
「エミリー、それはスバル様の冗句ですわ」
「皇帝の子どもなのか、という疑問については嘘ですよ。偽りです」
幼児化という事態と、アベルたちの目的とがうまい具合に噛み合ったのだ。
「ナツキさんは実在するんですから、諸刃の剣も使いようですか」
「その物言い、無礼だが俺好みではある。ならば、貴様もわかっていよう」
「――悔しいですが」
🚪 逃げ道が消えた
命を落とす可能性は、確かに減らせる
「――行方のわからないスバル様が、命を落とされる可能性を大きく減らせる」
「……そうです」
(´・ω・`)
「それが反乱の大将にされッてんだったら余計に危ねェんじゃァねェのかよ」
「いいえ、注目は集めますが、大なり小なり命の危機は薄くなる」
「この『皇太子』の価値は、生きていてこそ効果を発揮しますから」
処刑して勢いを削ぐのも、調略して大義名分を失わせるのも、生きていてこそ。
「誰に身柄を確保されたとしても、その場で殺される事態は避けられる。その代わり――」
望むと望まざるとに拘らず、一番高い場所にある御輿に乗せられることになった。
「――どうじゃ、笑わずにはおれぬであろう?」
第七章79『緋色の大笑』終了。
「――? ヨルナが、プリシラの母様なの?」
オットー
プリシラ
ヨルナ
アベル
ガーフィール
アル
ミディアム
タリッタ
ベアトリス
ルイ
ズィクル
フレデリカ