第七章77
『運命の悪戯』
城郭都市グァラル。傷跡の残る街で、待ち人を迎える準備が整いつつあった。
📋 報告
無傷で済んだ建物は、半分も残っていない
「――以上が、飛竜の襲来による被害の報告です」
立派な防壁は壊され、市内には高いところから落とされた大岩が転がったまま。
建物の被害も大きく、無傷で済んだものは半分も残っていない。
(´・ω・`)
「もう少し……」
「未然に防ぐ手立てはなかった、ということですよ。因果関係の問題です」
(╬¬_¬)
「でも、言い方ってものがあります。今の言い方、わたしは嫌いです」
(;´Д`)
「――主人であるペトラお嬢様にそう言われると、僕としても心苦しいですよ」
🎭 偽名
密入国のために、名前も目的も作り替える
国境を正規の手段で越えるのは難しく、こっそりと密入国する結果になった。
正体がバレると大変なことになるので、偽名を名乗り、旅の目的も嘘を作り上げた。
――エミリアは『エミリー』として、護衛の役割を任されている。
「僕たちが帝国へきた目的はベアトリスお嬢様の体調回復のため……」
「実際、本命を回収すれば叶う目的ですから、まるっきり嘘ってわけでもありません」
(¬_¬)
「なんかオットーさん、旦那様の悪いところがうつってませんか?」
(>﹏<)
「やっぱり聞かない方がよかった……!」
「街の怪我した人たちも、ガーフィールのおかげでずいぶん減らせたのよね」
(・∀・)
「ミゼルダさん、オットーさんの顔がお気に入りだもんね」
「オットーくんの顔が好きなのはわかるけど、ガーフィールも可愛いのに……」
「ガーフさん、眉間とお鼻のところに皺を寄せてることが多いからかも」
「ようやく、先へ進むための話し合いを始められそうです」
🍶 舌打ち
話しかけた瞬間、選択を後悔する
返ってきたのが盛大な舌打ちで、ガーフィールは早々と自分の選択を後悔した。
『九神将』相手に手痛い敗北を喫し、重傷者の一人となっていたハインケル。
――ガーフィールの治癒魔法がなければ、いまだに寝たきり状態だったろう。
(╬゚д゚)
「てめェは王国の人間じゃァねェか。それも、あの『剣聖』の親父って話だろォが」
(¬_¬)
「――親がどれだけすごかろうと、子がそうとは限らねえだろ」
「逆もおんなじだ。化け物の親が化け物でなきゃいけない理由なんざない」
(・∀・)
「お前、悪態つくのが下手くそすぎるぞ。誰かを挑発したいならプリシラ嬢を見習え」
( ゚д゚ )
「ぬがッ」
🐉 龍の咆哮
区画まるごとが、更地にされている
壁どころか、区画丸ごと更地にされている有様だ。
建物の大半は原形をとどめておらず、凄まじい衝撃波が一切合切を薙ぎ払っている。
竜種でありながら、その一段上の存在である『龍』。
たった一度の息吹きで何もかもをちゃぶ台返ししていった。
(;´Д`)
「……どこッまでも、俺様ァ間が悪ィ」
監視塔に同行できず、『神龍』と対面する機会を逃した。
そして今度は、同じ都市にいながら別の『龍』とも接触し損ねた。
強敵と戦い、これを打ち倒すのがガーフィールの役割だ。
――断じて、傷を負ったものの治療をして回ることが役割なのではない。
「――帝都のてっぺんの取り合いたァ、話がでけェよ、大将」
🫥 救いようがねえ
否定されると思った言葉が、そのまま認められる
(╬゚Д゚)
「――ッ、『九神将』相手にビビった奴が、偉そうにぬかすんじゃねェ!」
「プリシラ嬢のご機嫌も損ねて飲んだくれてる。あぁ、救いようがねえ」
「十何年も追いかけてるもんが指の間をすり抜けてく」
(・・・・・・)
「どこまでいっても、小便漏らしの性根は変えようがねえってこった」
「なんだって、てめェはそんな風に腐ってやがる。まァだ生きてんだ」
「――。なんで、まだ生きてるんだかな」
「そう言えば、俺を治したのはお前か。次からは気を付けろ」
「気に入らない奴を、後腐れなく見捨てられる機会を逃すなってな」
覇気のない青い瞳。ラインハルトやヴィルヘルムと起源を同じくするもの。
――にも拘らず、それらが同じものととても思えない。
「何がどうなりゃァ、そんな目ェすることになんだ」
(・・・・・・)
「――女房を」
🐎 馬車だ
指に引っかけたはずのものが、すり抜けていく
「馬車だ」
その言葉に、ガーフィールも振り返らざるを得なかった。
指の先に引っかけたはずのものが、無情にもすり抜けていったのだと感じる。
「待ち人来たるだろ。とっとと迎えにいったらどうだ?」
「物見の役目を果たすさ。何か見えたんなら報告するのが仕事だろ」
その一言に込められた切実な感情が、棘のように突き刺さって存在を主張する。
( ゚д゚ )
「大将……ッ!」
☕ 気遣い
働き詰めの相手に、茶が差し出される
「――ズィクル様、お気遣いありがたくいただきますわ」
(´ー`)
「帝国の『将』の方は、こうしたこともお得意でいらっしゃいますのね」
「私の場合、実家で大勢の姉や妹に鍛えられましたので」
(・∀・)
「無論、家族のためより、フレデリカ嬢のような美しい方のために用意する方が力が入りますが」
『女好き』と称される人物が都市の代表と聞かされたときの警戒心は、会って払拭された。
「こういうときのオットー様は本当に頼りになりますわね」
🗺️ 別行動
八人が、二手に分かれて動いている
ロズワールとラムの二人と、それ以外のフレデリカたち六人。
地道な聞き込みのエミリア組と分かれ、二人は帝国貴族の下へ交渉に向かった。
マナの補給が厳しいベアトリスは『ショウエネ』の状態が続き、大半を眠って過ごす。
――そのため、次点で年上のエミリアが頑張ろうと奮起していたわけだ。
「帝国に反旗を翻した反乱軍、その首謀者を支える黒髪の乙女……」
『ナツミ・シュバルツ』という名前を聞いたとき、完全に思考が停止してしまった。
『あの人、女装が万能の解決策だと思ってる節がありますからね……』
レムがいなくなったのは飛竜災害の只中。自らを人質にして、都市を救ったのだ。
「――。目覚めて早々に、ラムの妹だと確信させてくれますこと」
再会させてあげたかった。――どれだけ生意気でも、ラムは可愛い妹分だから。
🚚 魔都から
一台ではなく、多数の車が押し寄せてくる
一台の馬車――否、多数の馬車や牛車が押し寄せてくるのが映っていた。
( ゚д゚ )
「こ、こいつァ……」
道なりに都市へと向かう一団の先頭、立派な疾風馬の引く馬車が堂々とやってくる。
そう、馬車から顔を覗かせる鬼面の男が、ガーフィールに息を呑ませるのだった。
💔 行方がわからない
――ナツミ・シュバルツ嬢のお姿がなく
「報告します。都市の南側に多数の馬車が到着、いずれも魔都からのものです」
(≧▽≦)
「――! 魔都の。では!」
「お戻りになられたか。さすがは、時を過たれない御方だ」
ひとまずせめてではあるが、目的の半分がこれで果たせるはずと。
「何よりです、フレデリカ嬢」
「――二将、実はそのことなのですが」
――ナツミ・シュバルツ嬢のお姿がなく。
「カオスフレームにて、行方がわからなくなられてしまったと」
そう、運命の悪戯がまた続くことを、残酷にも宣告したのだった。
第七章77『運命の悪戯』終了。
オットー
エミリア
ペトラ
「そォいやァ、礼を言われッてねェなァ、オッサン」
ハインケル
「フレデリカ嬢、お疲れ様です」
フレデリカ