リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章75

『I know』

ナツキ・スバルの権能だけじゃ、足りない。――だから、名前を呼んだ。

🙃 いい死に方

まともな人間は、もう全員死んでしまった

今、この島で生き残っているのは全員、異常な奴ばかりだ。

――まともな人間は、きっともう全員死んでしまったのだ。

セシルス

(・_・)

「そこで蜥蜴人さんも死んでますし、この分だと他の『合』のご友人も全滅でしょうか」

セシルス

「おや、もしかしてまだ彼が死んだの認めてませんでした?」

セシルス

「死んでますよ、完膚なきまでに。……ただ、悪くない死に顔ですね」

スバル

(´;ω;`)

「し、んでる、のに……っ」

セシルス

「いい生き方があるならいい死に方だってある」

セシルス「役割を全うした死に顔、僕もこうありたいものです」

🎭 信義

なぜ楽しそうなのか、と感情任せに問う

スバル

(╬゚д゚)

「なんで、楽しそう、なんだよ……」

セシルス

「ああ、それは因果が逆ですよ」

セシルス

(・∀・)

「楽しいから笑っているんじゃなくて、笑うから楽しくなっていくんです」

炭になった皮膚が剥がれ落ちるが、想像を絶するだろう痛みの中でも笑みは崩れない。

セシルス

「この世界の花形役者たれば! 脚本を僕の側に寄り添わせましょう」

セシルス「笑うのは誰が為か、己が為ですよ」

セシルス

「――天上の観覧者に、いつ如何なるときを見られようと恥じることがないように」

セシルス

「さあ、バッスー、あなたはどんな信義を掲げますか?」

理解できるものではなかったが、感情任せに足蹴にすることが躊躇われた。

――観覧者。誰か、あるいは何か、この世非ざるモノが見ていると言いたげに。

🔥 置いてけぼり

無感情な顔が、複雑な感情に歪む

セシルス

「おっと、休憩おしまいみたいですね」

手の木の枝は折れ、片目を覆った眼帯はなくなっている。

無感情なことが多い顔を、とても複雑な感情で歪めながら。

セシルス

「もしかしなくとも、僕とあなたには何かしら関係があったのでは?」

アラキア

(╬゚Д゚)

「ふざけて……」

アラキア「そうやって……誰も、何も、教えてくれない……!」

アラキア

「姫様も、閣下も、隠してる……わたしは、いつも……」

セシルス

「置いてけぼりで辛い思いをしてると?」

セシルス

「本気でどうぞ。――あなたはいつも、目玉焼きを半分しか焼かない」

セシルス

(・∀・)

「あれ? 今なんか出ましたね?」

反射的に口をついて出た一声。――それはますます彼女の怒りを買う結果になった。

🏃 言い訳できない

――戦略的撤退でも、勇気ある逃亡でもない。ただ、逃げていた

セシルス

「では、またの此岸で」

――戦略的撤退でも、勇気ある逃亡でもない。ただ、逃げていた。

『スパルカ』を二回乗り切ったとき、あらゆる困難を乗り越えてやれるつもりだった。

――とんだ勘違いに、思い上がりだ。

死んでも、やり直すチャンスがあったからうまくいっていただけ。

本当にできる人間なら、一度も死なないで全部うまくやれるはずなのだ。

――それこそ、あの恐ろしい存在、トッド・ファングのように。

スバル

(´;ω;`)

「ちくしょう……っ」

💧 折れた角

ボロボロの姿で、こちらの無事を喜ぶ

足を引きずる彼女は全身ずぶ濡れで、キモノを脱ぎ捨てた白い襦袢姿。

頭に生えた二本の角の片方は折れ、ボロボロの有様でいる。

――なのに。

タンザ「シュバルツ様、よく、ご無事で……」

辛い、苦しい、助けてと、泣き喚いて大人に縋り付いて当たり前の姿。

なのにタンザはスバルを見つけて、「よかった」と目尻を下げた。

――こんな、何もできない、ナツキ・スバルを見つけて。

足の力が抜けて、スバルはその場にへたり込む。

――ただ、自分に、愛想が尽きてしまった。

痛みでも、恐怖でもなかった。かけられた期待に、願いに、応えられないこと。

それこそが、ナツキ・スバルを最も絶望させる、猛毒となった。

🫥 嘘っぱち

三人とも庇って死んだ、と打ち明ける

スバル

「二人とも、死んだ……イドラも、ヒアインも、俺を庇って……」

ヴァイツも、イドラも、ヒアインも、三人ともスバルを庇って死んでしまった。

――この、剣奴孤島の大惨事は全部、ナツキ・スバルのせいだった。

タンザ

(>﹏<)

「それでは、『合』の皆様は何のために命を落とされたんです!」

スバル

「……全部、嘘なんだ、タンザ」

スバル「皇帝の隠し子なんて、嘘っぱちなんだ」

スバル

「俺は、立派で、すげぇ格好いい父さんの子どもだけど……皇帝の、子どもじゃない」

タンザ

「……シュバルツ様」

タンザ

「早く、ここから動きましょう。私が、背負いますから」

スバル

(╬゚д゚)

「聞いて、なかったのか……俺は!」

タンザ

「皇帝閣下の、御落胤ではないとお聞きしました。それについては、あとで……」

🤝 寄り添う

本当にそう思うのか、と問い返される

タンザ

「――シュバルツ様、本当にそう思うのですか?」

タンザ

「皆様がお守りしたのが、全部自分のついた嘘が理由だと、本気で?」

タンザ

( •̀_•́ )

「臆病で、卑怯で、嘘つきのあの方たちが、忠誠心や愛国心で、命を賭すと?」

臆病で、自分可愛さに逃げ出そうとしたヒアイン。

卑怯にも、周りを出し抜いて生き残ろうと足掻いたヴァイツ。

嘘をついて、自分を大きく見せることでみんなを操ろうとしたイドラ。

――それなのに、三人は最後には命懸けで、スバルを庇った。守った。逃がした。

スバル

「なん、で……?」

タンザ「シュバルツ様が、きちんと、あのお三方に寄り添える方だからです」

スバル

「そんなの、当たり前だ。何にも、特別なことなんて、してない」

タンザ

「私も、ヨルナ様に救っていただきました。寄り添っていただきました」

タンザ

「ただ、それだけで命を懸ける意味がある。……そう、思わされることも、あるのです」

✊ 俺が嫌なんだ

三人のことを、思っている以上に知っている

あの三人のことを、たぶん、スバルはあの三人が思っている以上に知っている。

ヒアインの自分嫌いも、ヴァイツの冤罪も、イドラの転落も、知っている。

――チャンスが、あの三人にもあるべきだと思った。

スバル

「みんな、助けたかった」

タンザ

「救われていました。シュバルツ様を、命懸けで守ろうとするほどに」

スバル

「違う、違うよ。そうじゃなくて……」

心だけ助けて、それでやり切ったなんて、思えない。全部、救いたいのだ。

スバルの味方を、よくしてくれる人を、みんなを、心も体も救いたい。

スバル「――俺が、嫌なんだ」

認めない。認めたくない。誰も救えない、そんな決着に膝を折りたくない。

🏠 うちに帰りたい

勝ち負けなんてどうでもいい、と返される

スバル「――俺は、お前に、負けたくない」

トッド

「勝ち負けなんて、どうでもいいんだが」

バンダナが外れ、橙色の髪を下ろした姿。――バンダナを奪ったのは、イドラだ。

倒せたわけでも、傷を負わせたわけでもない。それでも、彼は警戒している。

タンザ

「あなたの……あなたの望みは、なんなのですか?」

トッド

「――? うちに帰りたいだけだが?」

悪ふざけの断片も見せず、淡々と。――そしてたぶん、それは嘘でも何でもなくて。

スバル

「お前は、何でも一人で全部こなそうとしてるんだな」

トッド

「――。何でもは無理だ。自分の能力くらい弁えてる」

スバル

「アラキアと、仲間と一緒にきたのに、それも全然信用してない」

強弱に拘らず、アラキアをどうでもいいと思っている。身の回りの全部を。

スバル

「俺の負けは、俺だけの負けじゃない」

スバル

「タンザの、ヒアインの、ヴァイツの、イドラの、『合』のみんなの、負けになる」

🗝️ 見失われている

口にすれば必ず降りかかる、はずの災い

スバル「――俺は、『死に戻り』を、してる」

トッド

「……なに?」

口にすれば必ず降りかかるはずの災い。時の止まった世界と、耐え難い痛み。

――それが訪れない。何故か。『魔女』が、スバルを見失っている。

紅瑠璃城の天守閣、剣奴孤島の『スパルカ』、大虐殺――あらゆる場面の不具合。

解き放たれた魔獣がスバルに殺到しなかった時点で、確信できたことだった。

スバル

(╬゚Д゚)

「俺は、『死に戻り』をしてる! 『死に戻り』だ! わかるか、『死に戻り』だ!」

本命はトッドでも、この島にいる他の誰でもなかった。

――セシルスが意識する観覧者と同じように、スバルを見ているはずのものがいる。

俺は、ここにいる。俺を、見つけてくれ。

虫のいい話なのはわかってる。でも、みんなを助けたいんだ。

スバル

(・・・・・・)

「……俺を、見つけてくれ、サテラ」

🖤 愛してる

『――愛してる』

『――愛してる』

世界が、不意に色を失った。耳鳴りが彼方に消える。手足が動かない。

――漆黒の影で編まれたドレスを纏った愛しい『魔女』が、目の前に現れる。

黒い魔手が頬を撫でて、首筋を滑り、鎖骨をなぞって、約束の地に辿り着く。

指が子どもの胸板をすり抜けて、命の機関を柔らかく包む。

囁かれる無数の愛の言霊も、この先に待ち受ける苦しみも、全部が待ち遠しかった。

――おぞましく世界を埋め尽くす言霊さえも、ナツキ・スバルを壊せない。

👊 次は頭を

島中の魔獣が、一斉に吠え出す

剣奴孤島で生き残っている魔獣が、示し合わせたみたいに一斉に吠える。

――それも、尋常じゃない勢いで興奮して、正気を失ったような剣幕で。

トッド

「なんだ……!?」

タンザの投げた石を左腕で受け、被害を最小限に食い止めるトッド。

右手の斧がタンザの小さい体を薙ぎ払おうとして――それはスバルがさせなかった。

タンザ

「シュバルツ様!?」

硬い音と重たい衝撃。トッドの体が宙を舞った。

トッド

「ごほっ……今、のは……っ」

スバル「――インビジブル・プロヴィデンス」

スバル

( •̀_•́ )

「次は、頭を吹き飛ばしてやる」

じっと見据えたまま、トッドはゆっくり後ずさり、黒煙の中へ消えた。

――形勢不利と見た途端、未練も何もかも投げ捨てて、逃げを選んだのだ。

🤲 次だ

痛みも関係ないところまで、命が遠ざかる

トッドの最後の斧の一撃が、スバルの右肩を砕いて、突き刺さっている。

痛みも何も関係ないところまで、スバルの命が遠ざかってしまっている。

スバル

「これ、を……」

タンザ

「――っ、呪具?」

スバル

「セッシー、が……あっち、で、アラキアと……」

タンザ

「わ、わかりました……! わかって、わかっています、から……」

順番が、あべこべだ。タンザが、先によくしてくれた。

――最後の最後まで諦めなくていいのだと、思い出させてくれた。

スバル「――次、だ」

タンザ

「はい、そうです、シュバルツ様。次こそはきっと、負けません」

噛み合って、いない。でも、その互いを救いたいという想いは噛み合っている。

スバル

「――俺が、みんなを」

🌑 わかってる

祈りの届かない最果てで、訪れを待つ

闇しか存在せず、光の差し込まない空間。祈りや願いの届かない最果て。

――でも、このとき、この瞬間は、訪れを待っていたように思う。

『――愛してる』

スバル

「――全部じゃない。でも、わかってる」

一人でやり遂げられることなんて、そう多くない。

そこまで大それた人間じゃない。だから、間違いもするし、覚悟も捻じ曲がる。

『――愛してる』

スバル「ちゃんと、俺もわかってる。――わかってる」

スバル

(´ー`)

「ありがとう。――いってくる」

――あらゆる命が潰える絶水の地へ、ナツキ・スバルは再臨する。

🔄 止まれ

島が見えている。それでも、止まれと言う

アラキア

「島、見えてる。準備いい?」

トッド

「誰とも揉める必要のない、楽な仕事だよ」

呪則の発動条件は単純明快――決められた距離、呪具から離れた者は死ぬ。

跳ね橋を渡られても脱走は阻止できる。中に閉じ込めておくための抑止力。

トッド

「まぁ、そのときは全滅させるつもりで、呪具を湖に投げ込めばいいだけだが」

アラキア

「――トッド、なんだか変」

トッド

「――止まれ! 今すぐだ! 止まれ! 反転しろ!」

トッド

「アラキア、島を警戒していろ! 動きがあったら構わず撃て!」

トッド

「――準備万端でお待ちかねとは、相手は相当ヤバいのが率いてるぞ」

アラキア

「勝てない? わたしがいても」

トッド「――勝ち目がある相手じゃない。少なくとも、今日は」

🏳️ 殿下

勅命が成就するときだ、と告げられる

スバル

「……引き返すとは思ったけど、損切りの判断が早すぎるだろ」

タンザ

「そう、ですか。……『弐』を相手せずに済んで、ホッといたしました」

彼女の頭の角は二本とも健在で、幼子の玉の肌にも目立った傷は皆無。

――全く何の問題もなく、すくすくと元気で健気なパーフェクトタンザだ。

タンザ

「いえ、その、どうして私の頭を撫でていらっしゃるのかと……」

スバル

(´・ω・`)

「あ、ごめんごめん、つい」

ヒアイン

(>﹏<)

「――って、いつまでやってやがんだ! ガキ同士でいちゃついてる場合か!?」

イドラ

「言い方と間の悪さというものだろうな」

ヴァイツ

「お前よりはマシだ……。少しは配慮しろ、トカゲ野郎……」

ヴァイツ

「帝都の使いを追っ払ったんだ……。これでオレたちに退路はない。そうだな……?」

スバル

「――。ちょっと違うけど、それも正解」

三人は――違う、みんなも、何も知らないが、それで大丈夫だ。

――ちゃんと、スバルが全部覚えている。

グスタフ

「――どうやら、裁定は下ったようだ」

スバル

「これで、俺を信じてくれる?」

グスタフ

「否やはない。皇帝閣下が本職に下した勅命、その成就のときだ」

グスタフ「剣奴孤島ギヌンハイブの剣奴一同、旗下に加わらせていただく。――シュバルツ殿下」

🎩 ボス

脅しなんかなくても一緒にいく、と言われる

ヒアイン

「妙な脅しなんぞなくても、俺たちゃシュバルツと一緒にいくぜ」

ヒアイン

「なぁ、そうだろ、てめえら! ビビっちゃいねえよなぁ!?」

「――笑わせんな、トカゲ野郎!」

「おお、おお、いこうぜ、我らが帝国皇子殿下!」

「いけ好かない親父をぶっちめて、おれたちの帝国を建国だぁ――!!」

スバル

「で、俺たちはいくけど、セッシーはどうする?」

セシルス

(´・ω・`)

「でもですねあれですよ。――僕、口説かれてないんですが?」

グスタフも、『合』の三人も、オーソンたちもヌル爺さんも口説いたのに、セシルスはスルーした。

スバル

「――セッシーの、その顔が見たかったんだよ」

スバル

「今ならこき使ってやるけど、一緒にくる?」

セシルス

(≧▽≦)

「は、ははは、ははははは! あーっはっはっはっは!!」

セシルス

「もちろんご一緒しましょう!」

スバル

「そのバッスーって呼び方、全然ピンとこないんだよな」

スバル

「――ボス」

スバル「俺のことは、これからボスって呼んでくれ」

セシルス

「意味は全くわからんちんですが、嫌いじゃないです、むしろ好き」

スバル

「頭目って意味だよ。ちょうどいいだろ?」

スバル

( •̀_•́ )

「――いくぜ、みんな! 帝都にいる、クソ親父の横っ面をぶん殴る!!」

「「おお――!!」」

スバル

「安心しろ、タンザ」

スバル

( •̀_•́ )

「――今度は、俺たちが勝つ」

――異世界召喚されて以来、最強の存在としてヴォラキア帝国を蹂躙する。

第七章75『I know』終了。