リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章57

『賢くは生きられない』

逃げるのが賢い、と怪老は言う。――だが、立ち上がった少年が求めたのは「権能」だった。

🌑 揺蕩っている

『――愛してる』

揺蕩っている。彷徨っている。翻弄されている。蹂躙されている。

胴体から四本の手足と首から上を切り離され、別々の場所を流されているみたいだ。

『――愛してる』

その声が聞こえるたびに、直前までの考えがリセットされ、ゼロに戻る。

――でも、それは逆効果だ。

その声を聞きたくて、声の主の下へゆきたくて、考えは始まっているのだから。

スバル

(・・・・・・)

「誰か、を……」

こんなどうしようもない状況でも、手を貸してくれるかもしれない、誰か。

その誰かが一緒にきてくれたら、きっと、答えも。

――だから、遠くから響いている声に届くために、手を、伸ばして。

🏃 逃げる算段

わざわざ戻ってきた、その理由

オルバルト

「つっても、カフマがあれとやり合っとるっちゅうことはあれじゃろ」

オルバルト

「閣下がやれって命じたってことじゃろし、閣下は逃げる気ねえんか?」

アル

(;゚Д゚)

「た、タンザって嬢ちゃんと一緒に……」

アル

「あんたは、あれとやり合うつもり、か?」

オルバルト

(;´Д`)

「おいおい、馬鹿言うんじゃねえんじゃぜ」

オルバルト

「あれ、かなりやべえんじゃぜ。ワシも右手持ってっかれちまってるし」

オルバルト

「ここに戻ったのも、うっかり閣下がいたら連れ出さなきゃなんねえからよ」

🧠 賢く生きた方が勝ち

何も作らないことで、完成されたシノビ

アル

(>﹏<)

「こ、皇帝がいんだろ! 爺さんが守らなきゃならねぇ皇帝が……」

オルバルト

「閣下が自分で考えて動いてるってことは、それが閣下なりの最善ってこっちゃろ」

オルバルト

「あれ、どうにかできるって感じしねえし、何事も命あっての物種じゃろ」

オルバルト

(・∀・)

「ワシの大事なもんは自分の命と夢なんじゃぜ。踏みとどまる理由がねえわな」

オルバルト「賢く生きた方が勝ちってもんじゃぜ」

――自由ではない。無法なのだ。

大切なものも、心傾ける他者も、何も作らないことで完成されたシノビ。

世界最高峰の『無法者』、それが彼の正体だ。

✊ ズルい大人

座っている場合じゃない、と立ち上がる

アル

「……爺さん、一個聞かせてくれ」

アル

(・_・)

「あの、あの黒い影の塊は、兄弟と関係があるんだよな?」

オルバルト

「おう、そうじゃぜ。あの影、ワシの目には坊主の中から出てきたように見えたわ」

――全部の中心に、ナツキ・スバルがいる。

ナツキ・スバルがあそこにいるなら、アルデバランはそこに往かなくては。

アル

「賢く、生きろって言ったな、爺さん」

オルバルト

「ああ、じゃな。ワシはそう思うぜ」

アル

(╬¬_¬)

「でも、オレはそうは思わねぇ。あんたの生き方は賢い生き方じゃねぇ、ズルい生き方だ」

アル「――オレは、ズルい大人になりたくねぇ」

アル

(>Д<)

「座ってる場合じゃねぇ……親に、顔向けできねぇだろ……ッ!」

🔓 権能

勝てる見込みはあるのか、と聞かれて

オルバルト

「意気込みは結構じゃが、あれとやり合って勝てる見込みがあんのかよぅ」

アル

(╬゚Д゚)

「ねぇよ! 誰も勝てるわけねぇだろ! オレが一万回挑んでも勝てやしねぇ!」

アル「あれに勝てるのは、ナツキ・スバルだけだ!」

アル

「いらねぇよ! それより、とっととオレを戻せ、クソジジイ」

アル

( •̀_•́ )

「逃げる時間ならオレが作ってやる。だから、オレの権能を返せ!」

オルバルト

「元々、勝負はあの坊主の勝ちじゃったんじゃし、約束は果たさねえとよ」

アル

( ゚д゚ )

「兄弟の、勝ち?」

オルバルト

「あの坊主、追いかけっこでまんまとワシを捕まえやがったのよ」

オルバルト

「一万回挑んでも勝てねえって相手に、どうやって挑むってんじゃ?」

アル「うるせぇよ、クソジジイ。――百万回でも、死んできてやる」

🏹 密林の狩人

確証を得たのは、いつだったのか

ミディアム

「ほし、よみ……?」

アベル

「星の巡りや導きから未来のことを予見する役割を負ったもののことだ」

アベル

「いや、役割というより、宿業という方が正しかろうな」

アベル

「俺が帝都を追われた理由と『星詠み』には密接な関わりがある」

アベル

「帝国の滅びを予見したものだ。貴様はそれを知っていた」

アベル

「――故に、バドハイム密林で俺の命を狙ってのであろう」

タリッタ

「いつかラ、私があなたを狙っていたと気付いていたのですカ……?」

ミディアム

(゚Д゚ ;)

「タリッタちゃん!?」

アベル

「玉座の仕組みを知っていれば、俺の頼る先が『シュドラクの民』とは推測できる」

アベル「確証を得たのは、貴様が俺と見誤り、ナツキ・スバルを狙ったことだったがな」

🛡️ 蚊帳の外

なぜ従おうとしなかったのか、を問われる

アベル

「その後のグァラルの攻略と魔都への道行き、どちらにも同行したが……」

アベル

「貴様は一向に天命に従おうとはしなかった。何故だ?」

アベル

「『星詠み』の宿業は、わかっていても抗せるものではないと聞くぞ」

ミディアム

(#`Д´)

「――もう! 全然わかんない!」

ミディアム

「タリッタちゃんがその気になってたら、アベルちんなんてもうとっくにやられてるじゃない!」

アベル

「貴様、少しは歯に衣を着せろ」

タリッタ

「……意味ヲ、見出せなかったかラ、でス」

タリッタ

「私ハ! あなたが皇帝ということモ、帝都を追われた事情も知りませんでしタ……!」

タリッタ

「だっテ、私ハ、『星詠み』なのは私でハ――」

✋ 五指を備えた

巨大な黒い腕が、真上から振り下ろされる

ミディアム

(╬゚Д゚)

「――ダメえ!!」

巨大な黒い腕が、五指を備えて真上から振り下ろされる。

叩き潰さんと――否、その手で掴み取ろうとするように。

タリッタ

「――ッ、ミディアム! アベル!」

ミディアムを抱え、アベルを肩に担いで真後ろへ跳ぶ。――が、足りない。

カフマ

「そうはさせるものか――!!」

緑の茨に搦め捕られた城壁が、三人の天蓋となって割り込む。

――だが、触れた城壁は飴細工のようにほどけ、消滅していく。

ヨルナ

「わっちの都で、これ以上の狼藉は許さぬでありんす――っ!」

真上へ蹴り上げられた城壁が巨腕を突き上げ、侵食が止まる。

――ただし、一瞬。それでも、その一瞬があれば十分だった。

タリッタ

「――っ、抜けタ!」

🙏 まずはお礼

また救われたな、と礼から入る

アベル

「また俺を救ったな、タリッタ」

アベル

「それでも俺を救ったのは、自らの手を汚さなくては天命を成就できぬからか?」

タリッタ

(´;ω;`)

「チ、違いまス……!」

ミディアム

(╬゚д゚)

「それよりも、助けてくれてありがとうでしょ!」

ミディアム

(*´▽`*)

「タリッタちゃん、ありがと~!」

ミディアム

「それしてから、今の話! タリッタちゃんにどうしてほしいって言ってるの?」

アベル「――あの『大災』を鎮めるには、俺が命を落とさねばならぬ」

アベル

「それが『星詠み』の詠んだ未来であり、タリッタに下った天命だ」

ミディアム

(¬_¬)

「――? 聞いても意味わかんないよ。そんなの変じゃん!」

♟️ 別物か

知る滅びと、目の前のものが違うのか

アベル

「――おかしい、か」

アベル

「貴様の知る滅びとは、あれのことで相違ないか?」

タリッタ

「あれガ、『大災』かどうかハ……」

アベル

「貴様の知り得ることではない、か。ならば、他の『星詠み』であればどうだ」

――『星詠み』の心当たりなら、ついさっき出くわしたばかりだった。

飄々とした態度の優男は、あの闇を見て、なんと言ったか。

タリッタ

「あれハ、自分の担当外だト……」

アベル

(・・・・・・)

「――。そう、『星詠み』が述べたか。そうか」

アベル「――帝国の滅び、その『大災』とは別物か」

表情の見えない仮面の下から、短い呼気が漏れる。

――それが、笑ったように聞こえて。

アベル「ならば、途上に躓く道理はない。――盤面から消えてもらうぞ、慮外者」

第七章57『賢くは生きられない』終了。