第七章56
『大災』
都市を捨てろと皇帝は言う。魔都の主は拒む。――そして、密林の狩人に隠していた名が突き付けられる。
🏳️ 承服できぬ
その案には、到底うなずけない
「そのような意見、到底、頷けようはずがござりんせん」
(・_・)
「ほう。何故だ」
「ここは魔都カオスフレーム、行く当ても寄る辺もなくしたものたちの最後の地……」
(>﹏<)
「それを捨て去ろうなどと」
(¬_¬)
「承服できるものではない、か。――下らぬ感傷だ」
(#`皿´)
「――ッ、ヴィンセント・ヴォラキア……!」
「今はアベルを名乗っている俺に、その呼び方は不適当だ」
「皇帝相手に慈悲を乞おうなどと思っているなら、それはあまりに浅慮というものであろう」
「――。帝国民は精強たれ、でありんすか」
(・・・・・・)
「そうだ」
☄️ 大いなる災い
あれは何なのか、と問われる
「いったい、あれはなんでありんす」
( ゚д゚ )
「大、災……?」
「帝国の存亡を危うくし、陽光の光さえ届かぬ滅びをもたらすモノ」
「……『星詠み』はそのように申していたな。聞いた当初は大言と思ったものだが」
「あれを見れば、表現にいささかの誇張もなかったことは知れよう」
「では、主さんは『星詠み』の言葉を鵜呑みにし、背を向けて逃げるおつもりでありんしょうか」
(╬¬_¬)
「安い挑発で俺を動かせると思うなら、その思い違いを早々に正すがいい」
「第一、『星詠み』の言葉を鵜呑みにし、暴挙を働いたのは俺ではない」
🔍 黒髪の幼童
もう一人いたはずの姿が、見当たらない
「うあう!」
「――。ヨルナ・ミシグレ、一つ確かめたい」
――ヨルナの視線が向いたのは、ルイが指差している『大災』の方だ。
闇が溢れ出した最初の場に、あの少年は居合わせた。
――否、むしろあの『大災』は、少年の内から溢れたようにも。
「やはり、そうか」
「思惑は狂うが、致し方ない。方策に拘って、成果を得られぬでは意味がない」
「魔都を放棄し、撤退戦を行う。――それでも被害は生じよう」
🔥 陽剣
短い腕の掌底が、腹に打ち込まれる
「あー、う!」
短い腕の掌底が、アベルの腹に打ち込まれる。
(´・ω・`)
「うあう……うあう!」
叫んで、少女の姿が瞬く間に視界から消えた。
「――『陽剣』の焔なら、対抗できるはずではありんせんか」
「それでも『陽剣』を抜かぬと……それを、どうして受け入れられんしょう」
(╬゚Д゚)
「答えるでありんす、ヴィンセント・ヴォラキア!」
「主が、この帝国の皇帝なら、果たすべき役割があるはずでありんす!」
(・_・)
「……『陽剣』は使わぬ」
🚪 別の存在
いつになれば解するのか、と苛立たれる
「――いつになれば解する、ヨルナ・ミシグレ」
「貴様の願いや理想の通り、俺が動かねばならぬ謂れはない」
――言われずともわかっている。
目の前の男と、思い描く男とは似ても似つかない。
たとえその体に、愛するものの血が流れていたとしても。
「……主の言葉を、承服することはできぬでありんす」
「魔都を捨てなければ、それ以外の全ても失うことになるぞ」
(´;ω;`)
「この魔都が、今のわっちの全てでありなんす!」
💨 わっちを愛しなんし
紫煙が、一人一人の手の中に収まる
煙管の先に火を落とし、思い切りに吸い込んだ煙を空へ吹く。
巨大な紫煙の雲が広がり、やがて散り散りに。
――一人一人の手の中に、紫煙が収まった。
声が届かずとも、人々は一様に紫煙を口の中に放り込む。
――それはきっと、ヨルナがヨルナ自身へ与える免罪符だ。
自分で自分の背中を押すために、必要な祝詞。
顔を上げたものたちが、それぞれ片目に炎を灯していく。
「この都市は、カオスフレームは失わせぬでありんす」
( •̀_•́ )
「――わっちと主らで、あの不躾なお客人にお帰り願うとしなんす」
🏚️ 建物で殴る
城の残骸を振り回して、叩き込む
紅瑠璃城の残骸や破壊された街並みを振り回し、『大災』へ叩き込む。
――まるで『建物』で殴るというような、規格外の攻撃だ。
・城への愛着を破壊力へ変換した一撃が、勢いを確かに削いだ
・あれがなければ、そのまま帝国全土へ深淵が延びていたはず
・だが、放置すれば先延ばしにした崩壊は免れない
住民たちも建物を解体し、数人がかりで砲弾のように投げ込んでいる。
――過去、帝国兵を苦しめた、都市そのものを武器とする集団戦術だ。
「『大災』ガ、大きくなっていル……?」
(>﹏<)
「あれ、ほっといたらダメだよね!? アベルちん、どうするの!」
🗣️ その呼び名
口に出した呼び名を、聞き咎められる
「――あるいはその前に、貴様が状況を変えてみせるか、タリッタ」
(゚д゚ ;)
「エ……」
「な、なんか今の言い方、変だったよ? どゆこと?」
「タリッタ、貴様はあれをなんと呼んだ」
――あのような存在を見て、無知なるものは『大災』と呼べない。
正しくそう呼べるのは、あの存在を知るものだけだ。
「滅びを免れる術を星に教わったか?」
(;゚Д゚)
「――ッ! マ、待ってくださイ、私ハ……!」
🏹 仕留め損なった
覆い隠す努力をしなければ、いつか露見する
――守られる秘密や、露呈しない真実というものは存在しない。
覆い隠すための努力を一切しないでいれば、露見する日は必ず訪れる。
「タリッタ、あの『大災』を貴様が知っているなら、悔やんでいるか」
「悔やむ? アベルちん! 何の話!?」
(゚Д゚ ;)
「――ァ」
「それとも、今からでも天命に応えてみせるか、密林の狩人。いや、こう呼ぶべきか」
🖐️ 九十年以上連れ添った右手
泣きじゃくる声のところへ、誰かが来る
地面が揺れる。大気が怯えている。世界が死んでいく。
――その全部が、アルを蝕み、全身から力を奪っていく。
(>Д<)
「なん、で……なんで、ここに……っ」
――彼と、ナツキ・スバルと行動していれば、こうなる危険性は十分あった。
それでも仕方なかった。放っておいてはいけなかった。
ナツキ・スバルは、あそこで折れてはならなかった。
「――おお、誰が泣きじゃくってんのかと思ったら、お前さんかよ」
(≧▽≦)
「かかかっか! なんじゃ、今の跳ね方! まるで芋虫みてえじゃったぜ、傑作、傑作!」
手を叩くことは、どうやら相手も二度とできそうもない。
「ったく、九十年以上連れ添った右手に先にいかれちまったい」
(・∀・)
「これじゃ今後、どうやって兵糧丸作ったらいいんじゃってよ。かかかっか!」
第七章56『大災』終了。
ヨルナ
アベル
ルイ
タリッタ
ミディアム
アル
オルバルト