第七章44
『収縮する視野』
死んだ覚えのないまま、同じ朝へ。――そして、記憶から名前が一つ、抜け落ちかける。
❓ 死の自覚がない
何が起きたのか、わからないまま戻された
『死』の自覚がないままの回帰。
認めたくなくとも、認めるしかない。
(・・・・・・)
「……死なないはずの、かくれんぼの最中に」
宿の外に踏み出した、その瞬間。
突如として、世界は暗転した。
――そして気付けば、この場所に舞い戻っている。
「――かくれんぼだ」
💪 頭がいいとこ
顔色が悪い、と気づかれる
(・_・)
「どうしたよ、兄弟。だいぶ顔色悪いぜ」
(;´Д`)
「いや、悪い。話してる最中に、急にドッと疲れがきた……感じだ」
「縮んだせいで能力半減したオレやミディアムちゃんと違って……」
「兄弟の強みは縮んでも健在のはずだろ?」
(๑˃̵ᴗ˂̵)
「もちろん! スバルちんのすごいところは頭のいいとこだよ!」
(≧▽≦)
「おっぱいちっちゃくなってもへっちゃらじゃん!」
――縮んで最も影響が少ないのは、スバルなのだ。
そのスバルが、精神的な消耗を引きずっている場合ではない。
🚫 ありえんな
約束を破る可能性を、確かめてみる
「手出しさせないってあれだが、オルバルトさんが破る可能性とか、ないか?」
「――いいや、ありえんな」
「そのような行い、オルバルトに得るものがない。故にありえぬ」
(>﹏<)
「け、けど、オルバルトさんは皇帝殺しまで考えてたんだぞ!」
「死後の名声は、俺にはない発想という話だ。だが、これとそれは別の話だ」
「奴が皇帝の首を狙うなら、それこそ俺の情報は喉から手が出るほどに欲するものだ」
「破る気があるなら、宿の中も外も関係ねぇ。だろ?」
――確かに、そうだ。
殺すつもりなら、外に出る前の方が人目にもつかない。
それに、あの怪老なら自分の顔を見せたがるはずだ。
(´・ω・`)
「どういうことになるんだ……?」
💗 規則正しい鼓動
何が心配なのか、と聞いてもらえる
「ねえねえ、スバルちん、何が心配なの? お外が心配?」
(´ー`)
「よしよし、スバルちん、落ち着いて落ち着いて」
額と頬が、規則正しい心臓の拍動を感じる。
硬直した意識が、柔らかく砕かれていく。
「あたしも、頭がわやくちゃになったときとか、あんちゃんにやってもらうんだ~」
「あんちゃんも、昔、人にやってもらったんだって」
「……落ち着く、感じがする」
「それじゃ、そのままでいいから教えて? スバルちんは、お外の何が心配なの?」
「それが、その……宿の外が、危ない状況になってる、気が、して……」
(;゚Д゚)
「ああ、そうなんだ。誰かが、俺たちを狙ってる、と、思う……」
🖤 禁忌に触れる
『――愛してる』
「実際に、俺たちが宿の外に出たら、そこで死ん――」
――瞬間、世界が静止した。
色が失われ、音が失われ、時間の流れが失われる。
動けない。動かない。動かれない。動かせない。
何故、禁忌に触れてしまったのかと、黒い影がにじり寄る。
何故、これを忘れてしまったのかと、闇色の細い指が胸に滑り込む。
何故、幾度も繰り返そうとするのかと、全てを塗り潰す声がやってくる。
『――愛してる』
心の臓を握られ、動かない肉体がズタズタに引き裂かれる。
――もう二度と、忘れるなと刻印される。
誰かに『死に戻り』は打ち明けられない。
類推させることさえ、口走れない。
――伝えようとすれば、あの手はスバル以外の誰かにも届きうる。
(´Д`;)
「あぶな、かった……」
(´・ω・`)
「ホントに? なんか、さっきよりもっと辛そうに見えるけど……」
「俺が辛いだけなら、状況的には一番マシってことだから」
⚡ 亀裂
変なことを言っても信じてほしい、と頼む
「外に出るなら気を付けたい。あと、すごく変なことを言っても信じてほしい」
「ですガ、スバルの言うことにも一理ありまス。ここは敵地と言ってもいい場所でス」
「そうそう、あたしもタリッタちゃんと同感! 気を付けようよ!」
(¬_¬)
「それが交換条件になると思うか? いずれにせよ、貴様はそれを明かさざるを得ん」
「アベルちゃん、兄弟は判断材料を寄越すって言ってんだぜ」
「兄弟が突飛なこと言い出すのは今に始まったことじゃねぇ。だろ?」
(╬¬_¬)
「で、兄弟を蔑ろにしようってんなら、オレも気分はよかねぇよ」
――アルがアベルに肩入れする理由は、元々ない。
強いて言えば、主人であるプリシラがそれを望んでいるくらいか。
その希薄さが、ここで亀裂として顕在化している。
(>Д<)
「ケンカはやめろ! わかった、俺の負けだ! 降参する!」
🚪 裏口から
二度目の隠れ場所も、あっさり看破される
――そして、二度目の『瞼の裏』も、あっさり看破された。
「兄弟は見事に、あの爺さんの居場所を言い当ててくれたわけだが」
「成果を出したことは評価に値する」
「……そんだけ?」
「あと二回、オルバルトの居所を暴かなくてはならん。他に何がある?」
(・o・)
「あれ? アベルちん、それってスバルちんの言ったこと信じるってこと?」
「警戒するに越したことはない。ただそれだけの話だが?」
(;´Д`)
「……お前、本当に性格悪いぞ」
🕳️ ど忘れ
あってはならない忘れ方を、していた
「ありゃどうやったんだよ。――何なら、攻略本でも読んだみてぇだったぜ」
「あれはただ、経験が活きたんだ」
「経験? かくれんぼの?」
「似たようなもんだよ。前に……前に?」
あのお約束を、オルバルト以前にやったものがいたはずだ。
だから、はっきりと覚えていたはずで――
(・∀・)
「ど忘れか? 物忘れってのは年寄りがするもんだろ」
「あれじゃね? 兄弟の身内の誰か。銀髪の嬢ちゃんじゃねぇだろうし、いつも連れてるロリっ子……」
相棒であり、愛しい愛しい大精霊。
彼女が仕掛けた最初の悪戯が、怪老を見つける手掛かりになった。
――あれを手柄というなら、二人で勝ち取った手柄だ。
(;゚д゚)
「冗談はやめろよ……」
それがすっぽ抜けるなんて、あってはならないことだった。
⚠️ 百人近い
裏口の扉を開けた横顔に、警戒が宿る
( ゚д゚ )
「――スバル! アル! きてくださイ!」
裏口に回ったタリッタが、押し開いた扉から外を眺めている。
その横顔に、強い警戒が宿っていた。
第七章44『収縮する視野』終了。
スバル
アベル
アル
ミディアム
タリッタ