リゼロを読む WEB版・初見向け解説
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206話

第七章33

『いざ、魔都への旅路へ』

魔都カオスフレームへ発つ。レムはグァラルに残る。――そのはずだった。

🙋 隻腕で挙手

同行の許可を、あっさりもらう

アル

「姫さん、ちょいと手綱を離れていいか? 兄弟についててやりたくてよ」

ナツミ

( ゚д゚ )

「うえ!?」

アル

「なんでも何も言ったじゃねぇか。兄弟に協力するってな」

ナツミ

「お前、そんなに本気だったのか」

ナツミ

「別にアルが強いって話は聞いたことないし、俺とアベルと合わせて男女の戦力比がやべぇなって」

アル

(・∀・)

「期待されてたら悪ぃが、そこのアマゾネってる姉ちゃんよりだいぶ弱いぜ!」

プリシラ

「城塞都市まで妾に同行すると、そう申し出たのは貴様であろうが」

アル

「それとも、姫さんはオレがいないと寂しい? ハグして引き止めてくれるってんなら……」

プリシラ

「たわけ」

アル

(´・ω・`)

「ですよねー」

プリシラ「――せいぜい、うまく踊るがいい」

⚖️ 決定権

軍師の意見が、どこまで通るのか

ナツミ

「意見が取り入れられないなら、何のための軍師なんだよ」

アベル

「思い上がるな。耳を傾ける価値ある意見なら耳も傾けよう」

アベル

「だが、物事の決定権を握るのは俺だ」

アベル

「何度も言わせるな。――成果は貴様のものだ。そうでなくてはならん」

玉座を追われた皇帝に、侮れない知恵者がついた。

そういう評判のついた自分が、欲しいのだ。

だが、それでは虚構を積み上げるのと何も違わない。

スバル「偽物じゃダメなんだよ。本物じゃなくちゃ、失ったもんを取り戻せない」

アベル

「――。ならば、俺も周囲も、他ならぬ貴様の手で納得させてみろ」

ナツミ

( •̀_•́ )

「クソったれが、やってやるよ。どんな不良債権も、うまく使ってやる」

アル

(´・ω・`)

「……もしかして、不良債権ってオレのことかね、姫さん」

プリシラ

「たわけ」

🩹 血で汚れた包帯

失敗の実績を、別の角度から見せられる

ズィクル

「なに、『無血開城』と比べれば、何のことはない問題です」

掲げ、できると嘯き、まんまと失敗した実績だ。

ズィクル

「そう落胆されるな。あなたが『無血開城』を献策し、閣下が決行を裁可された」

ズィクル

「事実、私や参謀官たちは血を流さず、あなた方の軍門に加わったのです」

血で汚れた包帯を、無理やり剥ぐ。

ズィクル

(´ー`)

「この程度、軍人にとっては掠り傷」

ズィクル「あなたが尽力した結果、閣下のために戦う将兵が減らずに済んだのですから」

ズィクル

「あなたは自分の務めを果たされることです。――ナツミ嬢」

👋 見送り

言いかけた言葉を、自分で引っ込める

レム

「――本当に、いくんですか」

レム

「いえ、おかしなことを言いました。忘れてください」

ナツミ

「俺にお前のことで何かを忘れろって言われるのはしんどいよ」

ナツミ

「首を絞められたのも指を折られたのも、お前にもらったものは全部、俺にとってはかけがえのない大事な思い出だから」

レム

(¬_¬)

「は?」

ナツミ

「本当は、俺とお前をずっと切れない紐で結んでおきたいぐらいだ」

レム

「本気で言ってるんですか……?」

ナツミ

「わりと」

いよいよ、「は?」とも言ってもらえなくなった。

😞 思ってしまった

思ってはいけないことを、思ってしまった

――思ってしまった。

足が不自由なおかげで、彼女が離れられない場所にいてくれたと。

逃げ切れない状態だったことが、関係を終わらせないでくれた要因だと。

彼女が万全でないことで、自分は幸運だったと思ってしまった。

ナツミ

(´・ω・`)

「こんなんだから、レムだって俺を信じられねぇよ」

もっと、優しくなりたかった。

優しくて賢くて、強い存在になりたかった。

――レムが信じた、ナツキ・スバルを取り戻せない。

👗 まだその格好のまま

なぜまだその格好なのか、と聞かれる

レム

「……それなら、どうしてまだその格好のままなんですか?」

ナツミ

( ゚д゚ )

「え!?」

レム

「城塞都市を離れるのに、まだその格好をしていることが一点。どう申し開きするんです」

――このヴォラキア帝国で、『ナツキ・スバル』の名を売ることはできない。

すでにその名は、王選候補者エミリアの騎士のものだ。

つまり、行っているのは隣国への立派な内政干渉である。

ナツミ

「ナツミの名前なら、どれだけ売れても問題ない」

ナツミ

「ナツミなら、ただヴォラキア帝国で突然現れた黒髪の美少女で済む」

レム

(¬_¬)

「終わりましたか?」

ナツミ

「まだだ! ナツミ・シュバルツの名前なら、ルグニカにいる俺の身内が気付いてくれる可能性が残せる」

以前にも、必要に迫られて同じ名を名乗ったことがある。

その正体は、エミリア以外のみんなが知っている。

この名が帝国に広まれば、飛ばされていると気付いてもらえるかもしれない。

レム

「――。――――。わかりました」

🍽️ 今さらですよ

目を離すな、と言おうとして止まる

ナツミ

「レム、あいつはどうした」

レム

「ルイちゃんですか? 今頃、ウタカタちゃんと一緒だと思いますが……」

レム

「……呼んできてほしい、わけじゃありませんよね」

レム

「もう、グァラルを陥落させる作戦の間、ずっと目を離していたじゃありませんか」

レム

「今さらですよ」

今なら、ルイの本性を話しても無下にはされないのではないか。

ナツミ

「……いや、馬鹿な真似はよせ」

信じてもらえたところで、どうにもならない。

ただ自分がすっきりする代わりに、彼女の不安を増大させるだけだ。

そんな真似、する必要はない。

ナツミ

「ああ、レムの人生に幸せなことだけ降り積もればいいなって」

レム

(¬_¬)

「は?」

🐎 疾風馬の引く馬車

離れがたい足を、杖で押し出される

ナツミ

「靴裏が、お前の傍を離れ難いって地面から離れな……痛い痛い痛い!」

杖の先端で背中を抉られ、くっついたはずの靴裏が地面を離れた。

レム

「注意します。警戒もします。困ったら誰かを頼ります。さようなら」

ナツミ

(´・ω・`)

「うう……」

レム

「気を付けて、いってきてください。帰りを待っています」

レム

「急にいなくなるようなことはしません。……あなた以外の方々は、信用しています」

ナツミ

(´;ω;`)

「――いってくる!」

🚪 見えなくなった軌跡

見送ったあとに、二人だけが残る

プリシラ

「奴らはいったか。持ち帰るのが朗報か、アベルの首かはわからぬがな」

レム

「……ありがとうございました」

プリシラ

「妾に言わせれば、奴らが命を拾った功は貴様にあろう」

プリシラ

「妾にはその慈悲を示す意図はなかった。勝手に妾の行いを捻じ曲げるでない」

相手の意図を早合点し、自分の型に嵌めた判断をするのは悪い癖だ。

レム

「……ごめんなさい。あなたの言う通りだと思いました」

レム

「でも、私があなたに感謝している事実も、あなたには捻じ曲げられないのでは?」

プリシラ

(・∀・)

「ほう?」

プリシラ

「貴様は自分をなくしたと聞いていたが……なかなかどうして、妾に口答えするとはな」

レム

「思い出せないだけで、消えてなくなったわけじゃ、ありません」

🪟 通路の窓辺で

見当たらない子の行方が、判明する

レム

「タリッタさんは、きっと大丈夫です」

ウタカタ

(・∀・)

「ン、わかっタ! レー、頼りになル」

ふと、違和感に気付く。

通路に佇むウタカタは一人きりで、周りに誰の姿もない。

レム

「ウタカタちゃん、一人ですか? その、ルイちゃんは?」

ウタカタ

「そウ! ルーなラ、ついていっタ」

レム

( ゚д゚ )

「……え?」

レム

「る、ルイちゃんは」

ウタカタ「ン、ついていっタ! 馬車の中、ウーも乗り込むの手伝っタ」

第七章33『いざ、魔都への旅路へ』終了。