リゼロを読む WEB版・初見向け解説
明るさ
字の大きさ
行間
地の文の書体

206話

第七章29

『それぞれの立ち方』

『九神将』を確保した方が勝つ。だが最強の一人には、致命的な問題があった。

📜 明かされた名

九人の名が、一挙に明らかになる

漫画やアニメなら、幹部級の名前がいっぺんに明らかになる燃える場面だ。

だが、我が身に降りかかるとなると、手放しに喜べる展開ではまるでない。

『精霊喰らい』が特性そのものである以上、他も異能に関連した異名だろう。

ナツミ

(・_・)

「名前でどんな奴なのか想像つくのは、『呪具師』と『飛竜将』ぐらいか?」

ナツミ

(¬_¬)

「お前、自分はわかってるからって説明省いてばっかだと、周りから何考えてんのかわからねぇ奴だと思われるぞ」

アベル

「助言のつもりと思って聞き流してやる。疑問を述べよ」

ナツミ

(¬_¬)

「聞き流さずに胸に留めとけよ……」

🔢 四と五

九人のうち、こちらの手札を数えてみる

五人以上の確保が前提だ。

すでに相手には二人を取られている。

手助けしてくれた一人は、安否不明。

確実に取り込める手札まで、なくしている可能性が高い。

アル

(・∀・)

「『選帝の儀』を勝ち抜いたって実績は折り紙付きだ。門前払いさえなけりゃ……」

アベル

(・・・・・・)

「――背くものの首を刎ねる機会も同様に得られよう」

ナツミ

(╬゚Д゚)

「味方に付けろよ!」

🗺️ 国家の要

九神将は、国のあちこちに散らばっている

ナツミ

(・_・)

「それってみんな帝都に控えてるわけじゃないのか?」

プリシラ

「一将は国家の要じゃぞ。帝国の無駄に広大な国土を見よ」

ズィクル

「帝国では内乱の火種が燻るのをあとが絶ちません」

ズィクル

「帝国の守護は、帝都を守れば盤石というわけではないのです」

つまり、全員がクーデターに関与していたわけではない。

⚡ 帝国最強

最強を取りにいくのが定石、のはずだが

ナツミ

(・∀・)

「ラインハルトと並べられるぐらいだし、セシルスだっけ? その人を取りにいくのが定石……ってか、それで決まらねぇか?」

アベル

(´・ω・`)

「……アレを確保すれば、戦力面の問題が一挙に解消されるのは事実だ」

ナツミ

「そのわりに、苦々しい顔なのはなんでなんだ?」

アベル

「九神将の確保が勝利条件なのは、奴らの武勲に多くの将兵が従うからだ」

アベル

「いいや、彼奴めが帝国最強である点に疑いはない。ただ、問題がある」

アベル「――彼奴には人望がない」

ナツミ

(・・・・・・)

「それ、お前が言うの?」

アベル

「事実だ。帝国一将の『壱』の座にあるが、アレには何の権限もない」

アベル

「アレにできるのは、ただ人を斬ることのみだ」

ナツミ

(╬゚Д゚)

「そんな奴、将軍のポジションに置くなよ!」

🤔 忌憚ない意見

国防の要が、味方から恐れられている

ズィクル

「まず、セシルス殿が国防の要であり、ヴォラキア帝国の精強さの象徴であることは間違いありません」

ナツミ

(・∀・)

「おお、いい調子じゃないですか。それで?」

ズィクル

「人間的にも奔放で親しみやすく、誰に対しても態度を変えることのない晴れ晴れしく気持ちのいい人物です。総合して……」

ナツミ

「総合して……?」

ズィクル「多くの将兵は理解し難い怪物であり、深い部分での意思疎通は不可能であると、恐れております」

ナツミ

( ゚д゚ )

「評価が急展開したな!?」

急いで確保するメリットは少ない。

だが、放っておけば危険すぎる爆弾となる人材。

ナツミ

「扱いづれぇ奴だなぁ! めちゃめちゃ邪魔じゃねぇか!」

🤝 ダチにしていい態度

実力と人間性が揃った相手の、ありがたさ

実力と人間性が保証されている相手が、どれだけの優良物件か。

遠い異国の地の今だからこそ思い知らされる。

プリシラ

(¬_¬)

「言っておくがな、凡愚。『剣聖』であれば、国家同士の約定が理由で国境を越えることができん」

プリシラ

「くだらぬ期待は抱かぬ方が賢明よ」

ナツミ

「人の心を読むな。本気でやろうとは思ってねぇよ」

スバル「……困ったときだけ当てにするなんて、ダチにしていい態度じゃねぇし」

🚪 威勢のいい声

血に汚れたまま、治療現場から報告が届く

フロップ

(・∀・)

「――ナツミ嬢に村長くん! 失礼するよ!」

あちこちが血で汚れていて、治療現場の凄惨さを際立たせている。

ナツミ

「フロップさん、みんなの手当ては?」

フロップ

「ちょうど一段落ついたところさ!」

フロップ「死者は出ていないよ、旦那くん」

ナツミ

( ゚д゚ )

「え……」

フロップ

「奥さんと姪っ子ちゃんが頑張ってくれたおかげだろう」

フロップ

「タリッタ嬢やウタカタ嬢の機敏さも手伝った。無論、僕と妹も奮闘させてもらったわけだけどね!」

ナツミ

(´;ω;`)

「死人なし……っ」

失われた命はある。

だが、失われなかった命も、またある。

🗣️ 呼び方

治癒術師、という呼び方に注文がつく

アベル

(・・・・・・)

「――商人、治癒術師はどうなった」

フロップ

「それはもしや……旦那くんの奥さんのことかい?」

アベル

「他に誰がいる。あの場に、あの娘以外に治癒魔法の使えるものがいたとでも?」

フロップ

(´ー`)

「村長くんは、もっと相手に好感を持たれる言い方をした方がいいんじゃないかな」

フロップ

「呼ぶにしても、親しみやすさを意識した方がずっと円滑に物事は進むだろう!」

フロップ

「頑張ってくれたおかげでかなり消耗はしているけれど、それは休めばよくなる範囲のものさ」

ナツミ

「そうか……なら、よかった」

🤝 一番新しい友人

死線を共にすれば友か、と返される

プリシラ

「そこな優男、商人と呼ばれておったが……貴様もアベルの部下か?」

フロップ

「む、部下というわけではないよ。まぁ、一番新しい友人というのが適切かな!」

プリシラ

「妾の知らぬうちに友人作りに勤しんでおったとは」

アベル

「皮肉はやめよ。そも、そこな男と俺が友人となった覚えなどない」

フロップ

(╬゚д゚)

「何を言うんだい、村長くん! 一緒に女装で死線を潜った仲じゃないか!」

アベル

「共に死線を潜ればすぐさま友か? ならば、帝国兵はことごとく俺の友ということになるな」

アベル「そして、最も身近で死線を潜った一人が俺の敵だ」

😔 微かな躊躇い

太陽のような瞳に、憂いが浮かんでいる

アベル

「――待て」

太陽のような在り方を貫いてきた瞳に、憂いが浮かんでいる。

アベル

「商人であれば、話題の運び方には注意深くもなろう。その点、貴様は商人に向いているとは到底思えんな」

フロップ

「……旦那くん、さっきの僕の話には言葉足らずな部分があった」

その先の言葉を聞きたくない。

そう思いながらも、聞かずにはおれない。

フロップ「村長くんとも無関係じゃない。クーナ嬢とホーリィ嬢も、一緒にきてほしいんだ」

🏥 野戦病院のような有様

焦げた黒髪を切り揃えて、待っていた

ミゼルダ

(´ー`)

「――アベルとナツミもきたカ」

焦がした黒髪を、切り揃えていた。

野性味のある風格が、微笑みから抜け落ちている。

それでも目力のある表情の力は失われていない。

それが、アンバランスだった。

ミゼルダ

「まずは礼を言ウ。レムのおかげで命を拾っタ。奇跡ダ」

ミゼルダ

「見事に都市も奪って見せタ。お前の働きにハ、シュドラクの族長として感服すル」

ミゼルダ

「その上でこの先の戦いのためニ、宣言しなくてはならなイ」

ミゼルダ「シュドラクの族長の座ヲ、我が妹のタリッタに譲ル。私でハ、もう務めを果たせヌ」

膝から下を失った右足を撫でながら、そう言った。

第七章29『それぞれの立ち方』終了。