第七章28
『勝利条件』
無血開城は、成らなかった。七人が死んでいる。そして、この戦いの勝ち方が示される。
😞 面目ネー
弓でも追いつかず、取り逃がした
(´・ω・`)
「面目ネー。ホーリィの弓でも追っつかなくテ、逃げられちまっタ」
(´・ω・`)
「なノー……」
(╬゚д゚)
「一人が囮に残っテ、もう一人が九神将を連れ出していきやがっタ」
「このままじゃ終われねーかラ、すぐにアタイらが追跡しテ……」
「――無駄だ」
「――無駄だ」
同時に、同じ言葉。
「少数で敵陣に乗り込み、目的のみを遂げて脱する手合いだ」
「やれると決断した胆力も、逃げおおせた判断力も評価に値する」
🕯️ 見張りが何人か
見張りの何人かが、やられていた
(´・ω・`)
「建物の中に立たせてた見張りが何人かやられタ。全員死んでテ、何もできねーヨ」
「――。何人かじゃなくて、何人だかわかるか?」
「……七人だナ」
その数が、胸に深く突き刺さる。
力強く請け負い、やってみせると豪語した策。
意気込みと裏腹に、多くの死者を出した。
口約は破られ、大嘘つきと誹られても言い訳できない。
誰も責めなかったとしても、自分が自分を誹る。
😲 ずいぶんと無謀な言葉
血を流さずに落とそうとした、と知られる
( ゚д゚ )
「よもや、血を流さずに都市を落とさんとしたというのか?」
「たわけた発想だと、そう呆れ返っただけじゃ」
「ましてや、その夢物語を実行に移さんとしたことに驚嘆する。――アベル、貴様、正気か?」
(¬_¬)
「犠牲なくして戦果はない。血を流さずして誇りは保てぬ。それが帝国の流儀であろう」
「俺とて、剣狼の掟に背くつもりはない。狂気の沙汰とは言ったが、勝算があった」
「事実、アラキアの存在がなければ、無血開城は成っていたろうよ」
「プリシラ、貴様であれど、俺の軍師の献策を愚弄するのは許さん。俺の裁可だ。責は俺にある」
( ゚д゚ )
「ぉ……」
🪖 兜の金具をいじりながら
救える命の数を、数えはじめてしまう
(・・・・・・)
「全部は救えねぇよ、兄弟」
「関わる相手、全部は救えっこねぇ。別に救っても構わねぇんだが、そんな真似してる間に心が壊れちまう」
「誰もが勝手に生きて、勝手に死ぬんだ。そいつの人生のケツ持ちはそいつがするもんなのさ」
ある種、正論なのだろう。
全てを救うことはできないし、救おうと決めればキリがない。
しかし、戦争は規模が違う。
本当に、その選択で正しいと言えるのか。
行動一つで救える命は、十や百では利かないのではないか。
💍 踏み砕いた指輪
あの不自然な揺れの、種明かし
(・_・)
「アラキアは『精霊喰らい』だ。大気中の精霊を喰らい、その力を取り込む性質がある」
( ゚д゚ )
「絶対にベア子と引き合わせたくねぇな……その『精霊喰らい』って一般的なのか?」
「そんなこともない。ヴォラキアの辺境に住まう部族にのみ伝わる秘術の一つよ」
「じゃが、強力な特性故に滅ぼされ、宿し方も失伝した」
「『精霊喰らい』のアラキアを、どうやって惑わせたんだ?」
「バルコニーを落とすのに合わせ、隠していた指輪を踏み砕いた」
「あの瞬間、そんな小細工してやがったのか……」
全員がボロボロに負傷した状態で、なお勝ち筋を探っていた。
諦めの悪さには脱帽するしかない。
🎯 大目標
協力者に何と進言するか、という話になる
「これでは到底、妾も協力者に貴様を支持するよう進言はできぬぞ」
( ゚д゚ )
「協力者!?」
「答えてくれ。正直、俺も他のみんなも、お前をどう思っていいのか測りかねてる」
(¬_¬)
「は、思い上がりも甚だしい。凡愚共が妾をどう思おうと知ったことではない」
「たとえ貴様らがどう思おうと、妾は妾のしたいようにする。なにせ……」
「――世界は妾にとって都合のよいようにできておる、だろ?」
「でなくば、妾の下に煩わしい来客がひっきりなしに訪れる」
「あー、飛竜の速達便って感じだわな」
🕸️ 絵図を描いたのは
誰が始めたことなのか、を問われる
「問題は、誰が始めた? 誰の企てじゃ?」
(・・・・・・)
「――絵図を描いたのは、宰相のベルステツであろうよ」
「当然、奴の叛意を見通し、相応に備えていた。だが……」
彼らしくもない、初めて見せる弱味に近い反応だった。
( ゚д゚ )
「――馬鹿な、チシャ一将が?」
「政治的な右腕の宰相と、付き合いの長い右腕の将軍にそれぞれ裏切られたってこと?」
「重ねて言うな。俺の右腕は俺の右肩についている」
(´・ω・`)
「それ、今言われても強がりにしか聞こえねぇから……」
🦁 逃がすために
逃げ延びられたのは、誰かの足止めがあったから
「同じ九神将のゴズ・ラルフォン……奴は俺を逃がすために尽力した」
「あれの足止めがなければ、転移の仕掛けを起動させられなかったろう」
「僭越ながら、私の下にゴズ一将が亡くなられた報せは届いておりません」
「ならば、囚われの身の目もあるか」
( •̀_•́ )
「おそらくは。いえ、必ずや! ゴズ一将ほどの武人であれば!」
🐺 力あるものを尊ぶ国
今さら皇帝を名乗って、通じるのか
(・_・)
「アベルが皇帝って名乗り出るのはどうなんだ?」
「残念だが、それで怒れる民衆やら軍人やらがクーデター政権を血祭りに上げてくれるのを期待するのは無理だぜ、兄弟」
「――ここが、力あるものを尊ぶヴォラキア帝国であるからだ」
「俺が名乗り出れば歓迎はされよう。だが、それが俺を支持することとはならん」
「物とか土地だけじゃなく、皇帝の座も……」
「例外はない。――故に、俺のすべきことは決まっている」
🗺️ 地図を
帝都ルプガナは、帝国の中央にある
「ズィクル二将、地図を」
「は! すぐに!」
「俺たちがいるのが東の地、城塞都市グァラルがここだ」
「そして、奪還すべき帝都ルプガナはおよそ帝国の中央にある」
( ゚д゚ )
「……ヴォラキア、かなりでけぇな」
四つの大国が世界を四分割している。
その中で、南のヴォラキア帝国の国土が最も大きい。
あれほど苦労して抜けたバドハイム密林も、ほんのささやかな地理を占めるだけ。
「各都市を傘下に加え、帝都を奪還するための戦力を確保する」
「グァラル一個でこの大仕事だ。こんなうまくいくと思えねぇ」
⚔️ 帝国民は精強たれ
懸念を払拭する術が、ひとつだけある
(・∀・)
「貴様の懸念を払拭する術はある。むしろ、俺の為すべきを為すには必須の術が」
その『九神将』に裏切られたことが原因で、玉座を追われたばかりではないか。
「帝国民は精強たれ。『九神将』こそが、その習わしの体現だ」
「ヴォラキア帝国の覇者たらんとすれば、『九神将』を束ねることは外せぬ」
第七章28『勝利条件』終了。
クーナ
ホーリィ
アベル
プリシラ
ナツミ
アル
ズィクル
『青き雷光』セシルス・セグムント。
『精霊喰らい』アラキア。
『悪辣翁』オルバルト・ダンクルケン。
『白蜘蛛』チシャ・ゴールド。
『獅子騎士』ゴズ・ラルフォン。
『呪具師』グルービー・ガムレット。
『極彩色』ヨルナ・ミシグレ。
『鋼人』モグロ・ハガネ。
『飛竜将』マデリン・エッシャルト。