第七章110
『言祝ぎ』
第七章、最終話。屋敷の中庭に、生気のない顔をした者たちが現れる。
🐆 伝令
この戦場で二番目の速さで、役目を果たす
美しい金毛の女豹は風を通り越し、この戦場で『二番目』の速さで役目を果たした。
(・_・)
「――。具体性に乏しいな。詳細は?」
「わかりませんわ、弟の加護による直感としか。ただ……」
( •̀_•́ )
「わたくしの弟の直感は、よいことも悪いことも当たりますわ」
「フレデリカ様! 羽織るものであります!」
「フレデリカ様は頑張って、たくさんの人の間を走り回ってきてくれたであります!」
(´・ω・`)
「ン、フレーも偉イ。ウーもミーたちと一緒に暴れたかっタ」
🌫️ 傲慢さ
身勝手な言い分が、いま符合しはじめる
「『星詠み』と消えた男が言い残していった言葉とも符合する」
「私にしか果たせない大役を任せるなどと、いかにも身勝手な言い分だったが」
「まるで自分が皇帝閣下であるかのような傲慢さだった。それを討ちにきた立場の分際で」
「それなら、プリシラ様やアル様、ハインケル様も戻られるということでありますよね?」
(・∀・)
「シュー、心配するナ。プーもヨーも強イ。ミーとかターといい勝負」
「全員に伝えよ。――水晶宮に異変があり次第、戦闘行為を中断」
「この戦いを、流した血を、こぼれた命を無為にする有耶無耶に備えよ、と」
🐜 息苦しさ
――この戦場でのペトラたちは、少しだけ働き者の小虫に過ぎないのだと
戦いの最中にも、こちらへと向けられる睥睨する眼差し。
――刃物を突き付けてくるような視線が、ペトラの息苦しさを高める最大の要因だった。
――この戦場でのペトラたちは、少しだけ働き者の小虫に過ぎないのだと。
「うりゃあ! アルちん!」
「おうよ、ミディアム嬢ちゃん」
アルは死にそうなのに、それでも死なない。致命傷だけは、確実に避けている。
――でも、実力を隠している風ではなくて、それがとてもちぐはぐなのだ。
(¬_¬)
「――厄介だな、お前さん」
「ここまで、お前さんを六回くらい殺せたはずなんだが、一回も殺せてない」
(;´Д`)
「絶対よけられないところに放り込んでも、だ。気持ちが悪い」
🔥 土の下の声
教えませんよ、と情報を渡さない
「長くかけすぎた」
小さい火球が十近く生まれ、周囲の木々や地面に着火する。
(>﹏<)
「あちゃちゃちゃちゃ! 燃えちゃう燃えちゃう!」
握った手にわずかに力が込められる。――気を緩めてはならないという無言の指示。
「――ありがとう、ペトラちゃん」
身をひねって倒れ込んだ寸前を、斧が横薙ぎに抜ける。
五本の指全部から放たれたジワルドの一発が、相手の右目を焼いた。
「いけやぁ! うりゃーぁ!」
額当てで受けつつも、割れた額からの流血は止められない。
(・∀・)
「――教えませんよ。僕はあなたの親や兄弟じゃないんですから」
🏆 オレらの勝ち
戦場全体が、危なっかしくなる気配がある
(╬゚д゚)
「あ! 待て! 逃げるなんてズルいじゃん!」
「不利な状態で戦い続けるほど、必死じゃなさそうでした」
(╬¬_¬)
「う~、納得いかないですっ。まるでわたしたちだけ必死だったみたいじゃないですか」
「オットーさんの『チャンネル』で、土の下の子たちの声を聞かせてもらった……ですよね?」
「ご名答です」
「オットーさん、悪そうな顔で合図してくれましたから」
「戦場全体が危なっかしくなりそうな気配がきてるみたいです。それも、わりとすぐ目の前に」
🦁 帝国の剣狼
一発で、警備兵が複数吹き飛ばされる
「娘よ、貴公の治療には救われた! この礼は必ず!!」
「可能であればここを離れ、正規兵と合流せよ!」
「モグロ一将か、カフマ二将ならば悪いようにはせん! それ以外の一将は避けろ!」
「いいだろう。私が皇帝閣下に忠誠を捧げるように、貴公らは宰相へと忠義を誓う」
(≧▽≦)
「その誉れ、私がしかと見届けよう!!」
巨大な拳骨が振るわれ、一発で警備兵が複数吹き飛ばされる。
🚪 力ずくでも
扉の向こうへ、出てきてくださいと呼びかける
「カチュアさん、私です、レムです。出てきてください」
(¬_¬)
「……絶対出たくないんだけど」
( ゚д゚ )
「え!? あ、ちょっ、あんた!?」
――ものすごく巨大な、人型の城壁が屋敷を跨いで、帝都の奥へと向かう一歩。
「た、確かにここが安全って話は違うみたいね……」
「実は言伝を任されていてね」
「自ら逆賊の汚名を被った、僕からすれば大いなる賭けに挑んだ帝国の剣狼だよ」
「置いて、離れを開けてきなさい。ひ、一人で待ってるから……」
「必ず、離れを開けて戻ります」
(>﹏<)
「し、しっかりやんなさい。あんたも戻らなきゃ、ダメだから。絶対!」
🥶 ひび割れた肌
異様な集団が、屋敷を占拠しつつある
生気を感じられない顔色と、見える肌に走ったひび割れ。
――一目で異様だと感じられる集団が、宰相の屋敷を占拠しつつあった。
(;゚Д゚)
「まさか、あれが『大災』……?」
「生気を感じませんでした。まるで……」
「し、死人だとか言わないでしょうね?」
立て続けに聞こえた小さな苦鳴は、手当てだけしておいた兵たちの断末魔。
「……どうやら、話してわかり合うのは難しそうだ」
🛒 顔を売る
気を引く役と、後ろに回る役に分かれる
「奥さん、僕が気を引く。その隙に三人、やれるかい?」
「やりましょう。後ろに回ります。フロップさん、一瞬だけ」
「ああ、任されたよ。自慢じゃないが得意なんだ、囮になるのはね」
「ああ、それなら間違いだ。帝国の人間は、全員死んでもらう」
「なるほど。――やっぱり、交渉の余地はないのだね!」
(>﹏<)
「あ、ああぁぁぁ――!」
自分を内側から鼓舞しなくては、その後の行動が続かなかった。
🧩 死んでるから
倒したはずの相手が、起き上がってくる
足下には打ち倒された『敵』が、バラバラになって散らばっていた。
「陶器や硝子のような割れ方だ」
「……死んでる、んでしょうか」
「少なくとも、こうして粉々になる前から生きていたかは怪しいと思う」
生き物かそうでないかを定義して、自分の心を守りたかったのだと気付いてしまった。
――「簡単には死なないんだ。死んでるから」
まるで時間が逆戻りするかのように繋がり合い、元の状態へ。
❓ 誰ですか
颯爽と現れた少年が、誰だかわからない
「――エル!」
( •̀_•́ )
「ミーニャ!!」
貫かれた『敵』の全身が紫紺の結晶に変わり、砕け散る。――今度は、復活の兆しがない。
(・∀・)
「――待たせたな、レム! 真打登場だ!」
黒髪に目つきの悪い少年は、腕にドレスの少女を抱き上げながら片目をつむり、笑った。
その派手な登場と宣言に、レムはしばし言葉を失い、そして、言った。
颯爽と現れたその少年は、少なくともレムの目には誰だかわからぬ人物だった。
🔥 待たせたな
期待すること自体が間違いだった、はずが
「いや、いやいや、こないでこないでこないで……っ」
誰にも愛される価値のない、不完全でどうしようもない自分だけ。
――期待したり希望を抱いたり、救われたいと願うこと自体が間違いだった。
扉が破られると思った瞬間、『敵』の全身が赤い炎に包まれ、燃え上がった。
「脅した微精霊も、最後の一匹だったんだがな」
あれほど開けられるのが怖かった扉、その鍵を震える手で外し、開ける。
(´;ω;`)
「遅い……遅い、馬鹿! わ、私が死んだら、殺してやるところだった!」
と、残酷に現れた婚約者へと、涙ながらに飛び込んでいったのだった。
🌑 要・熟考
――そう、滅びの象徴たる『大災』の担い手は、静かに静かに、自らを言祝いだ
帝国の歴史に刻まれたものたちが次々と起き上がる。
――それを、悪夢と言わざるしてなんと呼ぶべきか。
(・・・・・・)
「――『大災』」
重要なことは、この災いが帝国の地を滅びへ誘い、その果てに願いを達すること。
――そのために打てる手も、尽くせる策も、全てを費やす。
死んで死なれ、殺して殺し、それが積み上がってできた屍の大地たるヴォラキア。
そのヴォラキアの流した血の全てが、計画の礎たるならば、あとは。
「あとは、最後まで計画を運ぶだけ。――要・熟考です」
――そう、滅びの象徴たる『大災』の担い手は、静かに静かに、自らを言祝いだ。
第七章110『言祝ぎ』終了。

セリーナ
シュルト
ウタカタ
ミディアム
アル
トッド
オットー
「ジワルドっ!!」
ゴズ
レム
カチュア
フロップ
ベアトリス
スバル
アベル