第七章109
『帝国の剣狼』
死者が起き上がる。壊れゆく帝都に、皇帝が素顔を晒す。
📗 教えるのは上手
嫌いだからと、不当に貶めはしない
相手を嫌いという理由では、相手を不当に貶められないのがペトラの性格だった。
――だったら、ガーフィールも認めなくてはならないだろう。
ロズワールの教えは的確で、それが自分を生かし続けているのだと。
「ガーフィール、手裏剣だ。毒が塗ってある。避けても爆発する。正解は?」
(╬゚д゚)
「まどろっこッしィんだよ、てめェ!!」
「どっちだッ!」
「私だ」
🌱 泣き言はしまい
布陣の層は、向こうの方が厚い
(´ー`)
「ずいぶんと余裕あるじゃねえの。ワシらの方が層が厚い布陣じゃろうからよ」
「こちらを惑わそうとする発言が増えていやしないかい?」
「どうやら、ご老人もかなりイラついているようじゃないか」
(╬¬_¬)
「――。嫌な若造じゃなぁ、お前さん」
笑い、挑発し、おちょくってみせるのは余裕だからではない。
――余裕があると思わせ、精神的に優位に立つためだ。
「ああ、そうだとも。それでいい。君の、少年期の終わりだ」
(;´Д`)
「――やれやれ、これだから若ぇ奴は嫌いなんじゃぜ」
🌍 地霊の加護
今すぐ全員に知らせろ、と叫ぶ
(>﹏<)
「待った待った待った! こんな中途で引き上げるのはズルいでしょう!」
( ゚д゚ )
「……なんで、セシの野郎が小せぇ?」
「さてはチェシ、ワシの色抜いてやがったな?」
「――今の彼の前で余所見とは、あまりに時勢が見えていない」
痛打を与えられ、歯噛みする矮躯の姿が地面に溶ける。
異様にざらついた下に、首筋をねぶられるようなおぞましい感触。
――もっと大きく、広い範囲から迫るもので。
「戦場のッ土が……いや、ヴォラキアの土が、暴れてやがる?」
( •̀_•́ )
「ロズワール! 今すぐッ飛んで、全員に知らせろ!」
💜 覆せぬ現実
灰になったはずの体が、そこにある
『選帝の儀』でヴィンセントを最も追い詰めた対立候補。
――だが敗北は敗北。その体は『陽剣』の炎で焼かれて灰となった。
「『選帝の儀』で勝ったのはヴィンセント兄様? プリスカ?」
「玉座を得たのはヴィンセント・アベルクス閣下です。在位九年の統治を」
「その玉座はヴォラキアの皇帝以外が座ることの許されぬもの」
(・・・・・・)
「――閣下には、その資格がございません」
彼女こそが玉座へ就くに相応しいと、盛り立てるのに全霊を尽くした日々があった。
――なのに今、胸の奥に沸々と、耐え難い嫌悪と怒りが込み上げてくる。
🗡️ 持っていて当然
動かなければ。しかし、動けなかった
「御覚悟を――!」
(¬_¬)
「馬鹿ねぇ。ヴォラキアの皇族相手に火はないでしょう、火は」
眩い赤い光が玉座の間を照らし、火球が斜めに両断される。
「――『陽剣』ヴォラキア」
動かなけば。しかし、動けなかった。――その眩さに目を奪われた。
🦁 縛につかれますか
投げ込まれた戦斧が、細い体を吹き飛ばす
(╬゚Д゚)
「ぬうううん!!」
投げ込まれた戦斧がラミアと正面から衝突し、皇女の細い体を吹き飛ばした。
「貴様には公の場で裁きを受けてもらう!」
( •̀_•́ )
「たとえ如何なる艱難辛苦だろうと、『大災』など我らが力を合わせて粉砕してくれる!!」
「どうしてここに……あなたは、私奴の屋敷の地下に繋がれていたはずですが」
「勇敢な娘に助けられたのだ! 強き心の持ち主……」
(≧▽≦)
「あれこそヴォラキア帝国の誇るべき婦女子よ!」
「……なるほど、彼女でしたか」
😭 閣下ぁぁぁ
取り違えたまま、慟哭が上がる
(´;ω;`)
「な、ぁ……か、閣下……閣下ぁぁぁ!!」
「このゴズ・ラルフォン、あまりにも遅く……! もはやこの愚かしさ、死んで償う以外に……!」
「これが、チシャ一将……? 馬鹿な! だとしたら、何が起こった!?」
「未曽有の事態……おそらく、『大災』と関わる何かが」
🩸 皇族
砕けた右半身が、ゆっくり繋ぎ合わされる
(´・ω・`)
「いきなりひどい扱い、生まれてから死んでから初めてだわぁ」
陶器のように砕けた右半身を、ゆっくりと繋ぎ合わせながら首を傾ける。
――傷から血も流れておらず、湖水に張られる氷のような印象だった。
「何故、『選帝の儀』で亡くなられたはずの皇女閣下がああしている!?」
「そのようなはずがありません。あの面妖な姿、ラミア閣下の方の問題です」
「嫌よぉ、そんなの。目を覚ましてまた不自由だなんてたまらないわぁ」
「――それに、ねぇ?」
地面から影が立ち上がるかのように、色を失った肌をひび割れさせた異貌が現れる。
二十以上の人影が全員、紅に輝く宝剣を抜き放つ。――焼かれぬ資格を持つ皇族が。
🎲 確率が高い
どこまで知っていたのか、と問い詰める
(╬゚Д゚)
「貴様、どこまで知っていた!」
「ヴィンセント・ヴォラキアの死が、『大災』の始まりになると」
「ヴィンセント・ヴォラキアとは、俺のことだ」
「いいえ、いいえ! それは違います」
「チシャ・ゴールド一将は、紛れもなくヴィンセント・ヴォラキアを全うされました」
「他ならぬ閣下ご自身が、それができるようチシャ一将を象ったんです」
(╬゚д゚)
「何故だ、答えろ」
「まぁ、閣下ご本人でもチシャ一将でも、ぼかぁ、どっちでもよかったんですよ」
「王国の『魔女』、都市国家の『夜泣き』、聖王国の『崩落』」
「そして、帝国の『大災』……世界を滅ぼす四つの災い、そのときが迫っています」
(´;ω;`)
「――チシャ・ゴールド、貴様は」
👥 九神将
――気付けば、ヴォラキア帝国の『九神将』の過半数がこの場所にやってきている
「布が敷き詰めてあって正解であった! ベルステツ宰相! 生きているか!」
「おーや、ゴズ一将じゃありませんか」
「貴様のせいで閣下は……閣下はぁぁぁ……っ!!」
「僕を袖にした龍を追いかけて走ってきてみれば代理の相手がでっかい人形ですか!」
「せ、セシルス・セグムント――!?」
「あれ? 今僕のこと呼びました?」
「ちびっちぇえのに足速すぎじゃろ、お前さん」
「ワシがやってねえのにセシが小せえのは、チェシの野郎がやりよったんじゃろ」
「ワシは人の技は盗んでも、人に盗まれんのは嫌いなんじゃぜ」
(≧▽≦)
「あはははは、すごい身勝手な言い分ですね! でも嫌いじゃないです、むしろ好き」
――気付けば、ヴォラキア帝国の『九神将』の過半数がこの場所にやってきている。
( ゚д゚ )
「……なんだ、これは」
🐺 剣狼の一頭
命を投げ打ったのは、誰のためだったのか
『――申し訳ありませんが、それはできかねますなぁ』
自分のために死ねるかと聞かれ、それはできないと正面から答えたのだ。
――ならば、チシャが命を投げ打ったのは、ヴィンセント・アベルクスのためではない。
アベルや、ヴィンセント・ヴォラキアのためでもない。
( •̀_•́ )
「――聞け! これより『大災』がくる! 以降、俺の指示に従え!」
全員の瞳を過ったのは一末の疑念――いったい、この男は何者なのかと。
最期の瞬間、チシャが自分に被せた鬼面を剥ぎ取り、素顔を見せる。
第七章109『帝国の剣狼』終了。
「旦那様って……教えるのは本当に上手」
ロズワール
ガーフィール
オルバルト
セシルス
ラミア
ベルステツ
ゴズ
アベル
ウビルク