リゼロを読む WEB版・初見向け解説
明るさ
字の大きさ
行間
地の文の書体

206話

第七章105

『頂点乱麻(中編)』

シノビとの死闘、崩れる城壁、そして玉座の間へ辿り着いた者がいる。

😤 個人的な『敵』

荒々しい防護を、抜いてくる技がある

裂傷や打ち身の類なら、大地の力を頼りに強引に癒し切れた。

――しかし、相手の技はそうした荒々しい防護を抜いてくる。

ガーフィール「てめェの横で、蹲ってッなんてられッかよォ」

ロズワール

(´ー`)

「やれやれ。この場はさすがに私ではなく、あちらの老人へ向けるのが筋では?」

ガーフィール

(╬¬_¬)

「『棚上げするカグリコン』だ。てめェが筋を語るんじゃねェ」

仕草も言動も、弱々しい外見さえも全ては相手を死に至らしめるための道具。

――その存在の全部を凶器とするのがシノビなのだと。

🕰️ 四十年近く前

前にもやり合ったという話が、聞き捨てならない

オルバルト

(¬_¬)

「――前にもシノビとやり合ってるっちゅーんは、ちょいと聞き捨てならんのじゃぜ」

ロズワール

「言葉として正しいかわからないが、抜けシノビというやつさ」

オルバルト

「里を抜けたシノビ、それもしばらく出しちゃいねえんじゃが?」

ロズワール「なにせ、私がシノビと会ったのは四十年近く前だ」

ロズワールの年齢なんて聞いたこともないが、せいぜい三十歳前後。

――四十年前なんて生まれてもいない。この土壇場で、悪ふざけなんてとんでもない。

オルバルト

「――シャスケとライゾウあたりじゃね? お前さんの言っとる抜けシノビ」

ロズワール

「さて、当たりかどうか答える義務があるのかな?」

オルバルト

(≧▽≦)

「ねえな。……お前さん、シノビの才能あるかもじゃぜ」

ロズワール

「私の欲しい才能も歩みたい道も、それこそ四十年よりずっと以前から決まっている」

🔱 二度目の救助

敵は減らせるところから減らす、が定石

瞬きの合間に彼我の距離が消える。怪老の足が跳ね、標的の首へ襲いかかった。

ロズワール「今の会話の流れで、私でなく彼を狙うとは」

オルバルト

「敵は減らす。それも減らせっとこから。定石じゃろ?」

『釵』と呼ばれる、西国のカララギで使われているという無名の武器。

――それが、ガーフィールの命を救った。立て続けに二度目という屈辱と共に。

ガーフィール

(╬゚Д゚)

「お、おおぉォォォッ!」

オルバルト

(・∀・)

「うおっとぃ」

ロズワール

「一度落ち着こうか」

鼻先を、回転する黒刃が横切っていく。

ロズワール

「離れる瞬間、後ろ手で死角に投じた飛刃だ。シノビはこの手の技の宝庫」

🎯 援護止まり

強さの種類を、見誤らないこと

ロズワール

「――ガーフィール、強さの種類を見誤らないことだ」

ロズワール

「君は強い。だから、相手は君の土俵で戦うことを避けようとする」

魔法を使えば、そこから正体がバレる恐れがある。

――そうなれば、これは帝国の内乱ではなく、王国と帝国との戦いに発展しかねない。

ロズワール「私にできるのは援護止まり……帝国一将との戦いの要は君だ、ガーフィール」

ロズワール

「その不足を埋めるために私が立ち回ろう。私は……」

ガーフィール

(¬_¬)

「――性格が悪ィ」

ロズワール

「そう、私は性格が悪いからね。頼もしいだろう?」

ガーフィール

(;´Д`)

「ハッ! 言ってろッ」

🥷 負ける気はない

相手が二人でも、二対一とは限らない

オルバルト

「……これで二対一、面倒臭くなりやがったんじゃぜ」

オルバルト

「ただ相手が二人いたら、二対一って話にゃならねえのよ」

オルバルト

「いる二人が連携して、初めて二対一……厄介になったって話よ」

ロズワール

「では、不利を悟って投降されては?」

オルバルト

(≧▽≦)

「かかかっか! 敵前逃亡も戦闘放棄も、犬死に以下の最低の無様よ」

オルバルト「――二対一でも負ける気とかねえんじゃぜ、ワシ」

「――股下だ」

ガーフィール

「お、ああああァァァ!!」

初めての直撃、そして本当の意味での、シノビとの死闘が始まった。

🦸 情けねぇ

遅れて登場するお約束が、昔から嫌いだった

――ヒーローは遅れてやってくる。そんなある種のお約束が、スバルは嫌いだった。

争い事を決着に導ける実力者の登場なんて、早ければ早いほどいい。

スバル「なのに、俺たちの到着が一番遅いなんて情けねぇ!」

スバル

「一番戦果を挙げてやるって意気込むのも、遅刻癖のヒーローと同じじゃねぇか!」

遅れてやってくるヒーローが一番活躍するのは、遅れたことを悔やんでいるからだ。

――このとき初めて、その後の奮戦ぶりの根拠を知った。彼らも、自分を責めていた。

スバル

( •̀_•́ )

「やるぞ、ベアトリス!」

ベアトリス

「エル・シャマク!」

スバル

「――俺は、ヴォラキア帝国が嫌いだ」

戦うことを、殺し合いを、戦士であることを強いる帝国への、腹いせだった。

🧱 判断は君が

判断はしない。利と不利だけ並べられる

グスタフ

「本職は判断しない。ただ考え得るメリットとデメリットを提示する」

グスタフ

「帝都に入り、水晶宮へ至れば決着を早められる」

グスタフ

「他の頂点へ援護に回れば、敵味方の被害を本職たちの力で減らせる。以上だ」

スバル

(>﹏<)

「悩ましい! 悩ましいが……」

可能性を提示しても、何を選ぶべきかを強制しない。

――その一線を守り続けてくれたからこそ、戦団は瓦解せずに団結してきた。

スバル

「グスタフさん! ヒアインと半分連れて他の戦いの援護!」

スバル

「ヴァイツ! もう半分を半分にしてここを維持! 任せた!」

ヒアイン

「任せろ、兄弟! 同じ船に乗ったつもりでなぁ!」

ヴァイツ

「同じ船に乗るのは当然だ、トカゲ……! お前の頼みだ、オレも聞こう……」

スバル「――俺たちなら、やれる!」

🦌 壁を抜く

壁の向こうへ、堂々と入っていく

イドラ

「シュバルツ、私たちはどうする!?」

スバル

「決まってる! 俺たちはこのまま、壁の向こうに堂々エントリーだ!」

スバル「やっちまえ、タンザ! お前が頼りだ!」

タンザ

(¬_¬)

「――シュバルツ様は、調子のいい」

彼女こそが――プレアデス戦団最強の、アタッカーだからだ。

タンザ

「――はぁぁ!!」

堅牢な城壁を打ち壊し、その向こうへと突き抜ける。

スバル

「続け続け続け続けぇぇ――!!」

戦団一人一人の攻撃というより、プレアデス戦団という一個の生き物としての一撃。

ベアトリス

( ゚д゚ )

「あの城壁をあっさりと……とんでもなさすぎるかしら……」

タンザ

「――それがプレアデス戦団です」

🤝 チーム

顔を合わせた途端、また険悪になる

ベアトリス

(╬゚д゚)

「お前、生意気な面構えなのよ……!」

タンザ

(・_・)

「生意気と申されましても、生まれつきこの顔です」

ベアトリス

(>﹏<)

「表情は違うかしら! 表情は作れるものなのよ!」

スバル「ケンカすんな! 俺たちはチーム! 仲間! 一つの『合』!」

「おのれ、覚悟ぉ――!」

ルイ

「うあう!」

瞬きの間に移動――違う、転移したのだ。

ベアトリス

「シャマク」

動きの止まった帝国兵の足を、タンザの水面蹴りが豪快に刈り取る。

タンザ

「お見事でした」

ベアトリス

「お前も、なかなか悪くない動きなのよ」

スバル

「まぁ、幼女同士が打ち解けるのはいいことだ」

スバル

(;´Д`)

「……って、ルイ! いきなりやるのはやめろ、イドラの中身がひっくり返っただろ!」

🏰 目指せ水晶宮

戦場に子ども四人、という編成になる

スバル

「頼んだぜ!」

グスタフ

「本職は職務を果たすのみだ。君もそうしたまえ」

ヒアイン

(≧▽≦)

「よっしゃぁ! プレアデス戦団、堂々と力ずくの凱旋だぜえええ!」

ヴァイツ

「シュバルツ、ここは死守する……。玉座を奪ってこい……!」

イドラ

「では、中へ乗り込む。どうやら私たちが一番乗りのようだ」

スバル

「街の代表がよっぽど神経質じゃねぇとこうならないだろうな」

スバル「もちろん、決まってるぜ! 目指せ、帝都の水晶宮!」

スバル

( •̀_•́ )

「てっぺんでふんぞり返ってる皇帝閣下の真ん前に、こんにちはって挨拶してやる!」

イドラ

(;´Д`)

「戦場に四人の子ども連れ……やはり、私に戦士の才能はなかったようだ」

👑 下から仰いでも

咎める忠臣も、刎ねる兵もそこにいない

「よもや、ここまで食い下がってくるとは思わなんだ」

アベル

「それは貴様の巡らせた十重二十重の糸の、どの段までをさした物言いだ?」

咎める忠臣の姿も、無礼者の首を刎ねる兵の姿もそこにはない。

――絨毯を踏みしめる闖入者の無遠慮な靴音が室内に響き渡る。

その事実を認識するには、阻害された認識に踏み込むだけの根拠がいる。

――故に、鬼面を被った人物の声色が、皇帝のそれと全く同じと易々とは気付けない。

アベル「存外、感慨も湧かぬものだな。――追われた玉座を、こうして下から仰いでも」

第七章105『頂点乱麻(中編)』終了。