第七章14
『埋め難き価値観』
焚火の向こう。皇帝を名乗った男を前に、スバルの思考が止まる。
🔥 焚火を挟んで
「まず、それ本当なのか?」
(・・・・・・)
(¬_¬)
前回――
「俺は第七十七代ヴォラキア皇帝だ」
と名乗ったアベル。
黒髪。鋭い目。人を黙らせるような威圧感。
確かに、普通の人間には見えない。
ただし皇帝の顔は、帝都の外ではほとんど知られていない。
剣狼の国
皇帝すら、奪える
( •̀_•́ )
ヴォラキアの根本は、とても単純。
強い者が、全てを得る。
弱ければ失う。
地位も。財産も。命も。
皇帝の座すら、例外じゃない。
だから皇帝自身も、常に命と玉座を狙われる。
トッドたちが「勝てば正しい」と考えていた理由も、ここへつながる。
部下のはずなのに
なぜ、自国の軍を襲った?
普通に姿を見せて、命令すればよかったはず。
皇帝が、自国の兵に会うだけで自殺になる。
(・・・・・・)
そして森の討伐隊は、政敵が彼を始末するために動かした兵だった。
隠された命令
兵士たちも知らなかった
でも、帝国兵たちは本気で「シュドラクへの対応」が任務だと思っていた。
皇帝の追放は、指揮官さえ知らない可能性がある。
事実が広まれば、帝国全体が揺れるからだ。
では、なぜシュドラクだったのか。
手を組む前に、シュドラクごと潰す。
表向きの任務と、命令を出した者の狙いは違っていた。
戻せるのは一人だけ
死者を救い直せるとしても
「起きた出来事は変えられん。死者は蘇らない」
(・・・・・・)
でも。
『死に戻り』すれば、陣地が壊滅する前へ戻れるかもしれない。
帝国兵へ警告できるかもしれない。
けれど、帝国兵を救えば今度はシュドラクが危険になる。
この結果を捨てて、もう一度死ぬ覚悟がない。
皇帝の目
アベル、核心を突く
(¬_¬)
他人ばかりを見ている男。
誰も傷つかないように。誰にも嫌われないように。
自分の心を「誰かのため」という施しで覆っている。
(╬゚Д゚)
当然、ブチ切れる。
それでも言葉の一部が刺さるからこそ、余計に腹が立つ。
埋まらない溝
「どうして、殺すんだよ」
敵は帝国の兵力を動かせる。
こちらにいるのは、百人にも満たないシュドラク。
その「モノ」は――国。
一方、焼けた陣地では百人を超える規模の命が失われた。
白鯨でも、大罪司教でもない。
同じ人間同士。話せる相手だったのに。
会話はできている。言葉も通じている。
それでも根本だけが、まったく噛み合わない。
これが――『埋め難き価値観』。
それぞれの道
「俺は、付き合えない」
帝国の歴史を変えたいわけでもない。
目的は――
みんなのところへ戻る。
そのため、最寄りの町から帰還手段を探すと決めた。
瞬きするとき、必ず片目ずつ閉じる。
ほんの一瞬さえ、完全に視界を失わないため。
(・・・・・・)
この男は、そうしなければ生き残れない世界を生きてきた。
同胞の決断
「死ぬなよ、ウタカタ」
同胞が決めた道として、静かに尊重してくれる。
幼いから戦争を知らない――なんて世界ではない。
(´ー`)
励ますつもりが、もっと強い声援を返されてしまった。
森の外へ
「いってきます!」
大罪司教をシュドラクへ置いていく方が怖い。
ただ、今の振る舞いが全部演技だとも思い切れなくなっている。
大切なものを守り、未来へつなぐことも誇り。
戦争へ向かう相手に「元気で」なんて、軽すぎる。
それでも――
生きていてほしい。
第七章14『埋め難き価値観』終了。
第七章14『埋め難き価値観』終了。
スバル
アベル/ヴィンセント
レムは、皇帝争いへ巻き込まれた。
エミリア。
ベアトリス。
ラム。
ミゼルダは、
ウタカタは少し寂しそう。
ルイも同行。
ホーリィと
クーナ。目的地は城郭都市グァラル。